四物湯

【四物湯(ツムラ71)の効果と副作用】|皮膚科医解説

四物湯(ツムラ71)の効果と副作用|皮膚科医解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • 四物湯は「血虚」を改善し、冷え性や月経不順、皮膚の乾燥などに用いられる漢方薬です。
  • ✓ 皮膚科領域では、乾燥性皮膚炎や湿疹、肌荒れ、しもやけなど、血行不良や栄養不足が関与する症状に処方されます。
  • ✓ 副作用は比較的少ないですが、胃腸症状や発疹などに注意し、体質に合わせた服用が重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

四物湯(ツムラ71)とは?その定義とメカニズム

四物湯の生薬構成と効能、貧血や冷え性への作用を解説する図解
四物湯の成分と効果

四物湯(シモツトウ)は、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)、川芎(センキュウ)の4種類の生薬から構成される漢方薬です。主に「血(けつ)」の不足状態である「血虚(けっきょ)」を改善する目的で用いられます[1]。血虚とは、西洋医学的な貧血とは異なり、漢方医学において血液の量や質が不足し、全身に栄養や熱が行き渡らない状態を指します。

この血虚の状態が続くと、冷え性、月経不順、月経痛、更年期障害、貧血症状、皮膚の乾燥、爪や髪のトラブルなど、多岐にわたる症状が現れると考えられています。四物湯はこれらの症状に対し、血を補い、血行を促進することで、全身の機能を整えることを目指します。

血虚(けっきょ)とは
漢方医学における概念で、血液の量や質が不足し、全身への栄養供給や血行が滞る状態を指します。具体的には、顔色が悪く、皮膚や粘膜が乾燥し、冷え性、めまい、立ちくらみ、月経不順、月経痛、不眠などの症状を伴うことがあります。

各生薬の主な作用は以下の通りです。

  • 当帰(トウキ): 血を補い、血行を促進し、体を温める作用があります。婦人科領域で広く用いられます。
  • 芍薬(シャクヤク): 血を補い、鎮痛・鎮痙作用があります。特に月経痛や筋肉の痙攣緩和に効果が期待されます。
  • 地黄(ジオウ): 血を補い、体液を潤す作用があります。滋養強壮や乾燥症状の改善に役立ちます。
  • 川芎(センキュウ): 血行を促進し、気の巡りを改善する作用があります。鎮痛作用も持ち、頭痛や冷え性にも用いられます。

これら4つの生薬が協調して作用することで、血虚による様々な症状の改善に寄与します。当院の皮膚科外来では、特に皮膚の乾燥が強く、冷えを訴える患者さまに、体質改善の一環として四物湯を処方する機会が多いです。

四物湯の皮膚科領域での効果とは?

四物湯は、その「血虚」改善作用により、皮膚科領域においても様々な症状に効果が期待されます。特に、血行不良や皮膚の栄養不足が原因と考えられる症状に対して処方されることが多いです。

具体的な適応症としては、以下のようなものが挙げられます[1]

  • 乾燥性皮膚炎・アトピー性皮膚炎の乾燥症状: 血虚により皮膚の潤いが不足し、乾燥やかゆみが悪化している場合に、血を補い、皮膚に栄養と潤いを与えることで症状の緩和を目指します。
  • 湿疹・皮膚炎: 慢性的な湿疹で、皮膚が乾燥し、角化が目立つような状態に用いられることがあります。血行改善により、皮膚の新陳代謝を促します。
  • しもやけ(凍瘡): 末梢の血行不良が原因で起こるしもやけに対し、血行促進作用が期待されます。当院では、冬場に手足のしもやけを繰り返す患者さまに、体質改善として処方することがあります。
  • 肌荒れ・くすみ: 血行不良による肌のターンオーバーの乱れや栄養不足が原因の肌荒れ、顔色のくすみなどに対し、血を補い、巡りを良くすることで改善を図ります。
  • 爪のトラブル: 爪が割れやすい、薄いなどの症状も、血虚が関与している場合があり、四物湯が選択肢となることがあります。

実際の診察では、患者さまから「冬になると手足が冷えて、指先が赤紫色になってかゆくなる」「肌がカサカサして、保湿しても追いつかない」といった相談を受けることが多いです。このような症状で、特に冷えや月経関連の不調を併せ持つ方には、四物湯が有効な場合があります。外来で四物湯を処方した経験では、数週間から1ヶ月程度で冷えが和らぎ、皮膚の乾燥感が軽減されるといったフィードバックをいただくことが多い印象です。ただし、効果の発現には個人差があるため、継続的な服用と経過観察が重要です。

症状四物湯が期待される作用関連する漢方医学的所見
乾燥性皮膚炎血を補い、皮膚に潤いを与える血虚、陰虚
しもやけ血行促進、体を温める血虚、瘀血、寒邪
肌荒れ・くすみ血行改善、栄養供給血虚、気滞
月経不順・月経痛補血、活血、調経血虚、瘀血、気滞

四物湯の用法・用量と服用上の注意点

四物湯(ツムラ71)の正しい服用方法と注意すべき副作用のポイント
四物湯の服用方法と注意点

四物湯(ツムラ71)の用法・用量は、添付文書に準拠します。通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口服用します[2]。年齢や体重、症状によって適宜増減されることがありますので、必ず医師または薬剤師の指示に従ってください。

服用方法のポイント

  • 食前・食間服用: 漢方薬は一般的に、胃の中に食べ物がない状態で服用することで吸収が良くなるとされています。食前(食事の約30分前)または食間(食事と食事の間で、食後約2時間後)に服用することが推奨されます。
  • お湯に溶かして服用: 顆粒やエキス剤の場合、少量のお湯に溶かして温かい状態で服用すると、生薬の香りや味が感じやすくなり、効果が高まると言われることもあります。
  • 継続的な服用: 漢方薬は即効性よりも、体質改善を目指して継続的に服用することで効果が期待されます。自己判断で服用を中止せず、医師の指示に従いましょう。

服用上の注意点

⚠️ 注意点

体質や症状によっては、四物湯が適さない場合もあります。特に、胃腸が弱い方、下痢しやすい方、出血傾向のある方などは、服用前に必ず医師に相談してください。また、他の薬剤との併用により相互作用が生じる可能性もあるため、現在服用中のすべての薬を医師に伝えることが重要です。

当院では、四物湯を処方する際は、患者さまの体質(証)を問診や舌診、脈診などから総合的に判断し、適切な用法・用量を決定しています。特に、長期にわたる服用が必要なケースでは、定期的なフォローアップで効果の実感や副作用の有無を確認し、必要に応じて処方内容を見直すこともあります。患者さまには「飲み始めてから何か変わったことや気になることはありませんか?」と積極的に尋ね、細やかな調整を心がけています。

四物湯の副作用と注意すべき点はある?

四物湯は比較的副作用が少ない漢方薬とされていますが、全くないわけではありません。体質や体調によっては、いくつかの副作用が現れる可能性があります[1]

重大な副作用

添付文書上、四物湯に特段の重大な副作用は記載されていません[1]。しかし、他の漢方薬と同様に、稀に重篤なアレルギー反応や肝機能障害などが報告される可能性はゼロではありません。体に異変を感じた場合は、すぐに服用を中止し、医療機関を受診してください。

その他の副作用

比較的頻度が高い、または注意すべき副作用としては、以下のようなものが挙げられます[1]

  • 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、下痢、軟便など。特に胃腸が弱い方は注意が必要です。地黄の作用により、胃もたれや下痢を起こすことがあります。
  • 皮膚症状: 発疹、かゆみなど。アレルギー体質の方や、特定の生薬に過敏な反応を示す方に現れることがあります。

皮膚科の臨床経験上、四物湯を処方した患者さまから「少し胃がもたれる感じがする」「便が柔らかくなった」というフィードバックをいただくことが稀にあります。このような場合、服用量を調整したり、食後の服用に変更したりすることで症状が改善することが多いです。また、ごく稀に発疹を訴える方もいらっしゃいますが、その際は他の漢方薬への切り替えを検討します。

服用を中止すべき症状

以下のような症状が現れた場合は、服用を中止し、速やかに医師または薬剤師に相談してください。

  • 発疹、かゆみがひどくなった場合
  • 胃の不快感、吐き気、下痢などの消化器症状が強く現れた場合
  • その他、体調に異常を感じた場合

皮膚科の日常診療では、漢方薬の服用開始後1〜2週間で効果や副作用の有無を確認することが治療のポイントになります。特に、初めて漢方薬を服用される患者さまには、これらの注意点を丁寧に説明し、安心して治療に取り組んでいただけるよう努めています。

ツムラ71「四物湯」に関する患者さまからのご質問

四物湯に関する患者からのよくある質問とその回答をまとめた資料
四物湯のよくある質問
🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 四物湯はどのくらいで効果が出ますか?
A. 漢方薬は体質改善を目指すため、西洋薬のような即効性は期待しにくいです。当院での経験では、冷えや乾燥などの症状に対しては、早い方で2週間〜1ヶ月程度で何らかの変化を実感されることが多いです。しかし、本格的な体質改善には数ヶ月単位での継続的な服用が必要となる場合もあります。効果の実感には個人差が大きいので、焦らず継続していただくことが大切です。
Q. 飲み合わせで注意すべき薬はありますか?
A. 四物湯と他の薬剤との間で、特に重大な相互作用は報告されていませんが、念のため、現在服用されているすべての薬(市販薬やサプリメント含む)を診察時に教えていただくようお願いしています。特に、血液凝固抑制作用のある薬(例: ワーファリン)を服用している場合は、川芎の作用により出血傾向が増強する可能性も考慮し、慎重に判断します。
Q. 妊娠中や授乳中に服用しても大丈夫ですか?
A. 妊娠中や授乳中の漢方薬の服用は、必ず医師に相談してください。四物湯に含まれる生薬の中には、妊娠中の服用に慎重を要するものもあります。当院では、妊娠を希望される方や妊娠中の患者さまには、リスクとベネフィットを十分に検討し、必要に応じて他の治療法を提案することもあります。
Q. 胃腸が弱いのですが、服用できますか?
A. 四物湯に含まれる地黄は、体質によっては胃もたれや下痢を引き起こすことがあります。実際の処方では、胃腸が弱いと訴える患者さまには、少量から開始したり、食後に服用するよう指導したりすることがあります。症状が続く場合は、他の胃腸に優しい漢方薬への変更も検討しますので、遠慮なくご相談ください。
Q. ジェネリック医薬品はありますか?
A. 漢方製剤は、一般的に「ジェネリック医薬品」という概念とは少し異なります。ツムラ71の四物湯は、ツムラ社が製造している医療用漢方製剤であり、他の製薬会社からも同様の四物湯エキス顆粒が販売されています。これらは同一の生薬構成ですが、製造方法や賦形剤などが異なる場合があります。当院では、患者さまの希望や薬局での取り扱い状況に応じて、同等性のある他社製品を処方することも可能です。
Q. どのくらいの期間服用を続けるべきですか?
A. 症状や体質によって異なりますが、漢方薬は体質改善を目的とするため、ある程度の期間継続して服用することが推奨されます。当院では、効果を確認しながら、数ヶ月から半年程度を目安に服用を継続していただくことが多いです。症状が改善した後も、再発予防のために量を減らして継続することもありますが、自己判断で中止せず、必ず医師と相談しながら治療計画を進めていきましょう。
Q. 冷え性だけでなく、のぼせもあるのですが、四物湯は使えますか?
A. 四物湯は血を補い体を温める作用が主ですが、のぼせがある場合は、単なる血虚だけでなく、漢方医学でいう「陰虚火旺(いんきょかおう)」という状態も考えられます。この場合、四物湯だけではのぼせが悪化する可能性もあります。当院では、問診で冷えとのぼせのバランス、汗の有無、舌の状態などを詳しく確認し、四物湯に他の生薬を組み合わせた漢方薬(例:加味逍遙散など)や、別の処方を検討することが多いです。

四物湯と他の漢方薬との使い分け

四物湯は「血虚」に対する代表的な処方ですが、皮膚科領域で用いられる漢方薬は多岐にわたります。患者さまの症状や体質(「証」と呼びます)に合わせて、最適な漢方薬を選択することが重要です。

四物湯が特に適しているケース

  • 顔色が悪く、皮膚や粘膜が乾燥している
  • 手足の冷えが強く、しもやけになりやすい
  • 月経不順や月経痛があり、経血量が少ない、色が薄い
  • 爪がもろい、髪がパサつくなどの栄養不足症状がある

他の漢方薬が検討されるケース

  • 当帰芍薬散: 冷え性やむくみ、めまいなどがあり、比較的体力が中等度以下の女性に多く用いられます。四物湯と同様に血を補いますが、利水作用も持ち合わせます。
  • 桂枝茯苓丸: 冷えのぼせ、下腹部の痛み、肩こりなどがあり、体格が比較的しっかりしている方に用いられます。血の滞り(瘀血)を改善する作用が強いです。
  • 温経湯 手足のほてり、唇の乾燥、月経不順など、冷えと熱の混在する症状に用いられます。
  • 十全大補湯 四物湯に加えて、気を補う生薬も配合されており、全身倦怠感や食欲不振など、より全身的な虚弱症状がある場合に選択されます。

皮膚科の日常診療では、患者さまの訴えだけでなく、舌の状態、脈、お腹の触診なども含めて総合的に「証」を判断し、四物湯が最適か、あるいは他の漢方薬がより適しているかを判断します。例えば、「冷え性で乾燥もひどいけれど、むくみも気になる」という方には当帰芍薬散を検討したり、「冷えのぼせが強く、生理痛もひどい」という方には桂枝茯苓丸を検討したりと、細かく使い分けを説明する機会が多いです。

まとめ

四物湯(ツムラ71)は、当帰、芍薬、地黄、川芎の4つの生薬からなる漢方薬で、主に「血虚」と呼ばれる血液の量や質が不足した状態を改善することを目的としています。皮膚科領域では、冷え性に伴う乾燥性皮膚炎、しもやけ、肌荒れ、湿疹など、血行不良や栄養不足が関与する様々な皮膚症状に効果が期待されます。

用法・用量は添付文書に準じ、通常1日7.5gを2〜3回に分けて食前または食間に服用します。副作用は比較的少ないですが、胃腸症状や発疹などが現れることがありますので、体調に異変を感じた場合は速やかに医師に相談してください。漢方薬は体質改善を目指すため、効果の発現には個人差があり、継続的な服用と定期的な経過観察が重要です。ご自身の体質や症状に合った漢方薬を選択するためにも、専門医との相談をお勧めします。

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よくある質問(FAQ)

Q. 四物湯は保険適用になりますか?
A. はい、ツムラ71「四物湯」は医療用医薬品として承認されており、医師の処方に基づいて服用される場合は、保険適用となります。診察料や薬剤費には、通常の医療保険が適用されます。
Q. 市販の四物湯と医療用の四物湯は同じですか?
A. 配合されている生薬の種類は基本的に同じですが、医療用漢方製剤は品質管理が厳格で、生薬の配合量やエキス抽出方法、有効成分の含有量などが一定に保たれています。市販薬は、医療用と比べて生薬の配合量が少ない場合や、賦形剤が異なる場合があります。症状が重い場合や、体質に合った処方を希望する場合は、医師に相談して医療用漢方薬を処方してもらうことをお勧めします。
Q. 男性でも四物湯を服用できますか?
A. はい、男性でも四物湯を服用することは可能です。四物湯は「血虚」という体質改善を目的とするため、冷え性、乾燥肌、血行不良、疲労感などの症状が男性にも認められる場合に処方されることがあります。特に、男性不妊症の一部や、冷えによる手足の不調などに対して検討されるケースもあります。性別に関わらず、個々の体質や症状に基づいて医師が判断します。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長