温経湯

【温経湯の効果と副作用】|婦人科疾患に専門医が解説

最終更新日: 2026-04-25
📋 この記事のポイント
  • ✓ 温経湯は、月経不順、不妊症、更年期障害など、女性特有の症状に用いられる漢方薬です。
  • ✓ 血行改善、ホルモンバランス調整、精神安定作用などが期待され、冷えや乾燥を伴う方に特に適応します。
  • ✓ 副作用は比較的少ないですが、胃腸症状や皮膚症状に注意し、医師の指示に従い服用することが重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

温経湯とは?その定義と歴史

温経湯の生薬構成を示す漢方薬の原料と配合比率
温経湯の生薬原料と配合
温経湯(ウンケイトウ)とは、月経不順、不妊症、更年期障害など、主に女性の生殖器系に関連する症状や冷え、乾燥を伴う皮膚症状に用いられる漢方薬です。当院の皮膚科外来では、特に手足の荒れや乾燥、しもやけといった症状で、冷えを訴える患者さまに温経湯を処方する機会が多くあります。
温経湯(ウンケイトウ)
気・血・水のうち、特に「血」の不足と「冷え」によって生じる諸症状を改善する漢方薬。血行を促進し、体を温めることで、女性ホルモンのバランスを整え、皮膚の乾燥や荒れを改善する効果が期待されます。
温経湯は、中国の古典医学書『金匱要略(きんきようりゃく)』に収載されている処方であり、その歴史は紀元後200年頃にまで遡ります。日本では江戸時代から広く用いられ、現代においてもその有効性が認められ、多くの医療機関で処方されています。ツムラ106番の温経湯は、この伝統的な処方に基づき、12種類の生薬を配合して作られています[5]。具体的な生薬としては、半夏、麦門冬、当帰、芍薬、川芎、人参、桂皮、牡丹皮、甘草、生姜、呉茱萸、阿膠が挙げられます。これらの生薬が複合的に作用し、血行改善、体を温める作用、ホルモンバランスの調整、精神安定作用などが期待されます。

温経湯はどのような効果が期待できる?

温経湯は、主に冷えや血行不良、ホルモンバランスの乱れから生じる様々な症状に対して効果が期待されます。実際の診察では、患者さまから「手足がいつも冷たい」「生理不順で悩んでいる」「肌が乾燥して荒れやすい」といった訴えを聞くことがよくあります。このような症状に対して、温経湯は多角的にアプローチします。

女性特有の症状への効果

温経湯は、特に婦人科領域で広く用いられています。その主な効果は以下の通りです。
  • 月経不順・生理痛の改善: 血行を促進し、体を温めることで、子宮や卵巣の機能をサポートし、月経周期の安定化や生理痛の緩和に寄与すると考えられています。特に、生理周期が不規則な方や、生理痛が重い方に処方されることが多いです[4]
  • 不妊症へのアプローチ: 排卵障害を伴う不妊症の治療において、温経湯が有効である可能性が複数の研究で示唆されています。ホルモンバランスの調整作用や子宮内膜環境の改善に寄与することで、妊娠しやすい体づくりをサポートすると考えられています[1]。当院でも、婦人科と連携して温経湯を処方し、治療効果を実感される患者さまもいらっしゃいます。
  • 更年期障害の症状緩和: のぼせ、ほてり、冷え、精神的な不安定さなど、更年期に現れる様々な症状に対して、温経湯は体のバランスを整えることで症状の緩和に役立つとされています。

皮膚症状への効果

皮膚科の臨床経験上、温経湯は冷えや血行不良が原因で起こる皮膚症状にも有効な場合があります。特に以下のような症状に処方することがあります。
  • 手足の荒れ・乾燥: 冷えによって血行が悪くなると、皮膚の栄養状態が悪化し、乾燥や荒れが生じやすくなります。温経湯は血行を改善することで、皮膚の新陳代謝を促し、乾燥肌や手足の荒れを緩和する効果が期待されます。
  • しもやけ: 寒さによる血行障害が原因で起こるしもやけにも、体を温め血流を改善する温経湯が有効な場合があります。
  • 皮膚のくすみ: 血行不良による皮膚のくすみや、肌のトーンの改善にも寄与する可能性があります。

その他の効果

温経湯には、精神的な安定を促す作用も報告されています。ストレスによって引き起こされる自律神経の乱れや、それに伴う不眠、イライラといった症状にも、間接的に良い影響を与える可能性があります[2]。当院では、患者さまの全体的な症状や体質を考慮し、温経湯が適していると判断した場合に処方しています。

温経湯の用法・用量と服用上の注意点

温経湯を正しく服用するための用法・用量と服用時の注意点
温経湯の正しい服用方法と注意
温経湯は、適切な用法・用量を守って服用することが重要です。当院では、患者さまの体質や症状、他の薬剤との飲み合わせなどを考慮して、個別に用法・用量を指示しています。添付文書に記載されている標準的な用法・用量は以下の通りです[5]

標準的な用法・用量

対象用法・用量(ツムラ温経湯エキス顆粒)
成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与する。
小児年齢、体重、症状により適宜減量する。
  • 食前または食間: 漢方薬は一般的に、胃の中に食べ物がない状態で服用する方が吸収が良いとされています。食前(食事の約30分前)または食間(食事と食事の間、食後約2時間)に服用することが推奨されます。
  • お湯に溶かして: 顆粒タイプの場合は、少量のお湯に溶かして温かい状態で服用すると、生薬の香りや成分がより体に吸収されやすくなると言われています。

服用上の注意点

⚠️ 注意点

自己判断で服用を中止したり、量を変更したりせず、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。特に妊娠中や授乳中の方、他の薬剤を服用中の方、基礎疾患をお持ちの方は、事前に医師に相談が必要です。

当院では、新規で温経湯を処方する患者さまには、初回時に必ず服用方法、期待される効果、および注意すべき副作用について詳しく説明しています。特に、効果を実感するまでには時間がかかる場合があるため、根気強く継続することの重要性をお伝えしています。

温経湯の副作用はある?

温経湯は比較的副作用が少ない漢方薬ですが、全くないわけではありません。体質や体調によっては、いくつかの副作用が現れることがあります。当院の診察では、副作用の有無や程度について定期的に確認し、患者さまが安心して治療を続けられるようサポートしています。

重大な副作用

温経湯で報告されている重大な副作用は極めて稀ですが、注意が必要です[5]
  • 肝機能障害、黄疸: 頻度不明で、倦怠感、食欲不振、発熱、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状が現れることがあります。
  • 間質性肺炎: 頻度不明で、空咳、息切れ、発熱などの症状が現れることがあります。
これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。

その他の副作用

比較的頻度が高い、または注意すべきその他の副作用は以下の通りです[5]
  • 消化器症状: 食欲不振、胃部不快感、吐き気、下痢、腹痛などが報告されています。特に胃腸が弱い方で起こりやすい傾向があります。
  • 皮膚症状: 発疹、かゆみなどが現れることがあります。アレルギー体質の方や、他の薬剤で皮膚症状が出た経験のある方は注意が必要です。
皮膚科の日常診療では、漢方薬による皮膚症状の相談を受けることもあります。温経湯に限らず、漢方薬は体質に合わない場合に皮膚に発疹やかゆみを引き起こすことがあります。もし服用中にこれらの症状が出た場合は、すぐに当院にご相談ください。症状に応じて、服用の中止や他の漢方薬への切り替えを検討します。また、当院では、患者さまが安心して治療を継続できるよう、定期的なフォローアップを通じて副作用の早期発見に努めています。

温経湯に関する患者さまからのご質問

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 温経湯はどのくらいで効果が出ますか?
A. 漢方薬の効果実感には個人差が大きいですが、当院の外来で温経湯を使用した経験では、月経不順や冷えの改善には1〜3ヶ月程度で何らかの変化を実感される方が多い印象です。皮膚症状の改善には、もう少し時間がかかることもあります。効果の出方には体質や症状の重さも影響しますので、焦らず継続することが大切です。
Q. 飲み忘れてしまった場合はどうすればいいですか?
A. 飲み忘れた場合は、気づいた時点で服用していただいて構いません。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばして次の時間から通常通り服用してください。2回分を一度に飲むことは避けてください。当院では、飲み忘れを防ぐために、服用時間を生活リズムに組み込む工夫をおすすめしています。
Q. 他の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 漢方薬も他の西洋薬と同様に、飲み合わせに注意が必要な場合があります。特に、他の漢方薬や、甘草を含む薬、利尿剤などを服用されている場合は、成分が重複したり、相互作用を起こしたりする可能性があります。当院では、処方前に必ず現在服用中のすべての薬について詳しくお伺いし、安全性を確認しています。市販薬やサプリメントも含め、必ず医師または薬剤師に伝えてください。
Q. 妊娠中や授乳中に服用できますか?
A. 妊娠中や授乳中の服用については、必ず医師に相談が必要です。温経湯に含まれる生薬の中には、妊娠中に慎重な投与が求められるものもあります。当院では、患者さまの状況を総合的に判断し、リスクとベネフィットを考慮した上で、慎重に処方を検討します。自己判断での服用は避けてください。
Q. 服用を中止しても良いタイミングはありますか?
A. 症状が改善し、安定している場合は、医師と相談の上で徐々に減量したり、服用を中止したりすることが可能です。しかし、自己判断で急に中止すると、症状が再燃する可能性もあります。当院では、患者さまの症状の経過を丁寧に確認し、最適な中止時期や減量方法を一緒に検討しています。
Q. 温経湯は男性にも効果がありますか?
A. 温経湯は主に女性特有の症状に用いられることが多いですが、漢方医学では「証(しょう)」と呼ばれる体質や症状のパターンに基づいて処方されます。そのため、冷えや血行不良、乾燥などの「温経湯の証」に合致する男性であれば、効果が期待できる可能性はあります。ただし、男性への処方は一般的ではないため、当院では患者さまの具体的な症状や体質を詳細に診察した上で、慎重に判断します。

温経湯とジェネリック医薬品について

温経湯のジェネリック医薬品と先発医薬品の比較
温経湯のジェネリック医薬品
温経湯には、ツムラ以外のメーカーからも同様の成分・効果を持つジェネリック医薬品が提供されています。当院では、患者さまの希望や経済的な負担を考慮し、ジェネリック医薬品の選択肢についても情報提供を行っています。

ジェネリック医薬品とは?

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品(新薬)の特許期間が満了した後に製造・販売される医薬品のことです。先発医薬品と同じ有効成分を、同じ量だけ含み、効能・効果、用法・用量も原則として同じであることが国によって承認されています。開発費用が抑えられるため、一般的に先発医薬品よりも安価で提供されます。

温経湯のジェネリック医薬品

温経湯のジェネリック医薬品も、複数の製薬会社から販売されています。例えば、クラシエやコタローなどのメーカーが温経湯のエキス顆粒を提供しています。これらのジェネリック医薬品は、ツムラ温経湯と同様に、冷え性、月経不順、不妊症、更年期障害などの症状に効果が期待できます。
⚠️ 注意点

ジェネリック医薬品は先発医薬品と有効成分は同じですが、添加物や製剤の形状、味などに違いがある場合があります。そのため、服用感やアレルギー反応の有無など、個人差が生じる可能性もゼロではありません。当院では、ジェネリック医薬品への切り替えを希望される患者さまには、これらの点も踏まえて丁寧に説明し、選択をサポートしています。

皮膚科の日常診療では、患者さまの経済的な負担も考慮し、ジェネリック医薬品の選択肢を積極的に提案しています。当院の薬剤師からも、ジェネリック医薬品に関する詳細な情報提供を受けることができますので、ご希望の方はお気軽にお申し出ください。

温経湯が処方されるのはどのような場合?

温経湯は、特定の体質や症状のパターン(「証」)に合致する患者さまに処方されます。当院では、問診や診察を通じて患者さまの「証」を見極め、温経湯が適切であるかを判断しています。診察の現場では、患者さまの訴えだけでなく、舌の状態、脈の強さ、お腹の触診なども重要な情報となります。

温経湯の適応となる「証」

温経湯は、漢方医学でいう「血虚(けっきょ)」と「冷え」が顕著な方に適しているとされています。具体的には、以下のような特徴を持つ方に処方されることが多いです。
  • 冷え性: 手足が冷えやすく、特に下半身の冷えが強い方。
  • 乾燥肌・皮膚の荒れ: 皮膚がカサカサして潤いがなく、手足のひび割れやあかぎれが起こりやすい方。
  • 月経不順・不妊: 月経周期が不安定、経血量が少ない、生理痛がある、または不妊で悩んでいる方。
  • 口唇の乾燥・荒れ: 唇が乾燥しやすく、荒れやすい方。
  • 精神的な不安定さ: 不眠、イライラ、不安感などを伴う方。
  • 体力の低下: 全体的に体力がなく、疲れやすい方。
当院の問診では、これらの症状について詳しくお伺いし、患者さま一人ひとりの体質や生活習慣、既往歴などを総合的に判断して、温経湯が最適な治療選択肢であるかを検討します。特に、冷えや乾燥を伴う皮膚症状で来院される患者さまには、温経湯が有効なケースが少なくありません。冷え性改善乾燥肌対策など、他の治療法と併用することもあります。

まとめ

温経湯(ツムラ106)は、冷えや血行不良、ホルモンバランスの乱れからくる女性特有の症状や皮膚症状に効果が期待される漢方薬です。月経不順、不妊症、更年期障害、手足の荒れや乾燥、しもやけなど、多岐にわたる症状に用いられます。服用にあたっては、添付文書に記載された用法・用量を守り、医師や薬剤師の指示に従うことが重要です。副作用は比較的少ないですが、胃腸症状や皮膚症状、稀に肝機能障害などが報告されており、異常を感じた場合は速やかに医療機関を受診してください。ジェネリック医薬品も存在し、経済的な負担を軽減する選択肢として検討できます。温経湯は、特に「血虚」と「冷え」の体質を持つ方に適しており、個々の「証」に基づいた適切な処方が求められます。当院では、患者さま一人ひとりの症状や体質を詳細に診察し、最適な治療法を提案しています。

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よくある質問(FAQ)

Q. 温経湯は保険適用になりますか?
A. はい、温経湯は医療用医薬品として承認されており、医師の処方箋があれば保険適用で処方されます。自己判断で購入する市販薬とは異なり、医療費控除の対象となる場合もあります。
Q. 温経湯は市販されていますか?
A. はい、温経湯は医療用医薬品としてだけでなく、一部のメーカーから一般用医薬品(OTC医薬品)としても市販されています。ただし、市販薬は医療用医薬品と成分量や添加物が異なる場合があり、また医師の診察なしで服用するため、自己判断での長期服用は避けるべきです。症状が改善しない場合は、医療機関を受診してください。
Q. 温経湯はどのような味ですか?
A. 温経湯は、複数の生薬を配合しているため、独特の苦味や香りがします。特に、桂皮や呉茱萸などの生薬が含まれているため、ややスパイシーで温かみのある風味が特徴です。お湯に溶かして服用すると、香りが立ちやすくなります。味が苦手な場合は、オブラートに包んで飲んだり、少量の水で練ってから服用したりする方法もありますので、薬剤師にご相談ください。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長