桃核承気湯

【桃核承気湯とは?皮膚科医が効果と副作用を解説】

最終更新日: 2026-04-25
📋 この記事のポイント
  • ✓ 桃核承気湯は、主に月経不順や便秘、のぼせなどの症状に用いられる漢方薬です。
  • ✓ 比較的体力があり、下腹部痛や肩こり、精神神経症状を伴う方に適しています。
  • ✓ 添付文書に記載された用法用量を守り、副作用に注意しながら服用することが重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)とは?

桃核承気湯の生薬構成と効能、漢方薬としての特徴を解説
桃核承気湯の生薬と効能
桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)は、漢方医学における「駆瘀血剤(くおけつざい)」の一つで、体内の「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血行不良を改善することを目的とした漢方薬です。当院の皮膚科外来では、特に月経に関連する皮膚症状や、便秘に伴う肌荒れなどで相談を受けることが多い漢方薬です。比較的体力があり、下腹部に圧痛や抵抗があり、便秘がちで、のぼせや頭痛、肩こりなどを伴う方に適応があるとされています[1]
瘀血(おけつ)
漢方医学の概念で、血流が滞り、体の一部に血液が鬱滞した状態を指します。これにより、痛み、しびれ、皮膚の異常(シミ、くすみ、乾燥など)、月経異常など様々な症状が引き起こされると考えられています。
この処方は、桃仁(トウニン)、桂皮(ケイヒ)、大黄(ダイオウ)、甘草(カンゾウ)、芒硝(ボウショウ)の5つの生薬から構成されています[1]。これらの生薬が協調して作用することで、血行を促進し、便通を改善し、炎症を鎮める効果が期待されます。特に、大黄や芒硝は瀉下作用(便を出す作用)が強く、便秘の改善に寄与します。実際の診察では、患者さまから「便秘がひどくて肌荒れが治らない」と質問されることがよくありますが、桃核承気湯はそうした血行不良と便秘が複合した状態に有効な選択肢の一つとなります。

桃核承気湯の構成生薬とその働きとは?

桃核承気湯は、以下の5種類の生薬から構成されており、それぞれが特定の薬理作用を持っています。
  • 桃仁(トウニン): 瘀血を改善し、血行を促進する作用があります。月経痛や月経不順の改善に寄与するとされます。
  • 桂皮(ケイヒ): 体を温め、血行を促進する作用があります。のぼせや冷えの改善に用いられます。
  • 大黄(ダイオウ): 強い瀉下作用を持ち、便秘を改善します。また、炎症を抑える作用も期待されます。
  • 甘草(カンゾウ): 他の生薬の作用を調和させ、胃腸の不調を和らげる作用があります。
  • 芒硝(ボウショウ): 大黄と同様に瀉下作用が強く、便を軟化させて排便を促します。
これらの生薬が組み合わさることで、単独では得られない複合的な効果を発揮し、特に下腹部の血行不良や炎症、便秘といった症状にアプローチします。皮膚科の日常診療では、月経前症候群(PMS)によるニキビや肌荒れ、更年期障害に伴う皮膚トラブルの患者さまに処方することがあります。当院では、患者さまの体質や症状の程度を詳しく問診し、桃核承気湯が適切かどうかを判断しています。

桃核承気湯はどのような症状に効果がある?

桃核承気湯は、主に血行不良(瘀血)や便秘に関連する様々な症状に効果が期待される漢方薬です。添付文書では、比較的体力があり、下腹部痛、便秘、のぼせ、頭痛、肩こり、めまい、月経不順、月経困難、更年期障害、痔疾、打撲症に適応があると記載されています[1]。これらの症状は、血の巡りが滞ることで生じると漢方医学では考えられています。
症状カテゴリ具体的な症状桃核承気湯が適応する理由(漢方的な見方)
婦人科系症状月経不順、月経困難症、更年期障害、PMS(月経前症候群)瘀血による下腹部痛や血行不良を改善し、ホルモンバランスの乱れに伴う症状を和らげる
消化器系症状便秘(特にコロコロ便、硬い便)、腹部膨満感大黄・芒硝の瀉下作用により便通を改善し、腸内環境を整える
精神神経症状のぼせ、イライラ、不眠、頭痛、めまい瘀血による気の滞りや熱感を鎮め、精神的な安定を促す
その他肩こり、痔疾、打撲症、皮膚のくすみやシミ血行促進作用により、これらの症状の改善をサポートする
皮膚科の臨床経験上、桃核承気湯は特に月経周期に伴って悪化するニキビや、便秘が慢性化して肌のターンオーバーが乱れている患者さまに有効なケースが多いと感じています。当院では、問診で患者さまの便通の状態、月経周期、精神的な状態を詳細に確認し、桃核承気湯が適しているかを判断します。例えば、「生理前になると必ず顔に大きなニキビができる」「便秘がひどくて肌がくすむ」といった訴えのある方には、この漢方薬の処方を検討することがあります。外来で桃核承気湯を処方した患者さまから、「便通が改善されて肌の調子が良くなった」「生理前のイライラが軽減された」というフィードバックをいただくことが多い印象です。 重要なのは、桃核承気湯が「比較的体力がある方」向けの処方であるという点です。体力がなく、胃腸が弱い方には不向きな場合がありますので、自己判断せずに必ず医師や薬剤師に相談してください。

桃核承気湯の正しい飲み方と注意点とは?

桃核承気湯を服用する際の適切な飲み方と注意すべき副作用
桃核承気湯の服用方法と注意
桃核承気湯の正しい服用方法は、効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。添付文書に記載されている用法・用量を厳守することが基本となります[1]

用法・用量

通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口服用します。ツムラ漢方桃核承気湯エキス顆粒(医療用)の場合、1日2.5gを3回に分けて服用することが一般的です[2]。ただし、年齢や体重、症状によって適宜増減されることがありますので、必ず医師の指示に従ってください。食前または食間とは、食事の約30分前、または食後2時間程度を指します。
⚠️ 注意点

桃核承気湯には大黄が含まれており、特に初めて服用する方や胃腸が敏感な方は、下痢を起こしやすいことがあります。少量から開始したり、医師の指示で減量したりすることもあります。また、妊娠中または妊娠している可能性のある女性への投与は、子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血を促す可能性があるため、原則として避けるべきとされています[1]。必ず医師に相談してください。

服用上の注意

  • 空腹時服用: 漢方薬は一般的に空腹時に服用することで吸収が良くなるとされていますが、胃腸の弱い方は食後に服用するなど、医師の指示に従ってください。
  • 水またはぬるま湯で服用: 顆粒をそのまま口に含んで水で流し込むか、少量のお湯に溶かして温かい状態で服用します。
  • 飲み忘れ: 飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飛ばして次の時間から服用し、2回分を一度に服用することは避けてください。
  • 他の薬との併用: 他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、相互作用の可能性があるため、必ず医師や薬剤師に伝えてください。特に、他の瀉下作用のある薬や、甘草を含む他の漢方薬との併用には注意が必要です。
皮膚科の臨床経験では、桃核承気湯の服用を開始して数日以内に便通が改善される方が多い印象です。しかし、効果の実感には個人差があり、数週間から数ヶ月かかる場合もあります。当院では、処方する際は、患者さまに便通の変化や体調の変化を細かく観察してもらうようアドバイスしています。特に、下痢が続く場合は、服用を一時中止し、速やかに受診するよう指導しています。

桃核承気湯の副作用にはどのようなものがある?

桃核承気湯の服用にあたっては、その効果だけでなく、副作用についても十分に理解しておくことが重要です。漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、医薬品である以上、副作用のリスクはゼロではありません。添付文書には、重大な副作用とその他の副作用が記載されています[1]

重大な副作用

頻度は不明とされていますが、以下の重大な副作用が報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
  • 間質性肺炎: 発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)などが現れることがあります。
  • 偽アルドステロン症: 尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛などの症状が現れることがあります。これは甘草の長期連用や大量服用によって起こる可能性があります。
  • ミオパチー: 偽アルドステロン症の結果として、脱力感、筋肉痛、四肢痙攣、麻痺などの症状が現れることがあります。
  • 肝機能障害、黄疸: 全身倦怠感、食欲不振、発熱、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)などの症状が現れることがあります。

その他の副作用

比較的頻度が高い、または注意が必要な副作用としては、以下のようなものが挙げられます[1]
  • 消化器系: 下痢、腹痛、悪心、嘔吐、食欲不振。特に大黄や芒硝の作用により、下痢や軟便になりやすい傾向があります。
  • 皮膚: 発疹、発赤、かゆみ。
これらの副作用は、体質や体調によって現れる可能性があります。特に、大黄の瀉下作用により、服用開始時に下痢や腹痛を訴える患者さまは少なくありません。当院では、初めて桃核承気湯を処方する患者さまには、これらの副作用について丁寧に説明し、特に便通の変化に注意するよう指導しています。「お腹が緩くなりすぎる」と感じた場合は、自己判断で服用を中止せず、まずは当院にご連絡いただくようお願いしています。皮膚科の臨床経験上、漢方薬は西洋薬に比べて副作用が少ないと思われがちですが、決してそうではありません。特に、他の漢方薬と併用している場合は、生薬の重複による副作用のリスクも考慮する必要があります。
⚠️ 服用中止の目安

もし服用中に上記のような症状や、その他気になる症状が現れた場合は、自己判断で服用を続けずに、速やかに医師または薬剤師に相談してください。特に、下痢が続く、腹痛がひどい、発熱や咳が出るなどの症状は、重大な副作用の兆候である可能性もあります。

桃核承気湯に関する患者さまからのご質問

桃核承気湯について患者さまからよくある質問とその回答
桃核承気湯のQ&A
🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 桃核承気湯はどれくらいで効果が出ますか?
A. 実際の処方では、便秘の改善であれば数日〜1週間程度で効果を実感される方が多い印象です。月経不順やPMS、更年期障害に伴う症状の改善には、体のバランスが整うまでに2週間〜1ヶ月以上かかることもあります。当院では、患者さまの体質や症状の重症度によって個人差が大きいことを説明し、焦らず継続していただくようお伝えしています。
Q. 桃核承気湯は長期的に服用しても大丈夫ですか?
A. 桃核承気湯には甘草という生薬が含まれており、長期連用や大量服用により偽アルドステロン症などの副作用のリスクがあります。診察の現場では、症状が改善したら服用量を減らしたり、一時的に休薬したりすることも検討します。当院では、定期的にフォローアップを行い、患者さまの体調や血液検査の結果を確認しながら、継続の可否を判断しています。
Q. 桃核承気湯と他の漢方薬やサプリメントを併用しても良いですか?
A. 他の漢方薬やサプリメントとの併用は、成分の重複や相互作用のリスクがあるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。特に、甘草や大黄を含む他の漢方薬との併用は、副作用のリスクを高める可能性があります。当院の問診では、現在服用中のすべての薬やサプリメントについて詳しくお伺いし、安全性を確認した上で処方を決定しています。
Q. 桃核承気湯は生理中でも服用できますか?
A. はい、生理中でも服用可能です。むしろ、月経困難症や月経不順の改善を目的として処方されることも多い漢方薬です。ただし、生理中の出血量が増えたり、腹痛がひどくなったりする場合は、一時的に服用を中止し、当院にご相談ください。
Q. 桃核承気湯はニキビや肌荒れにも効果がありますか?
A. 桃核承気湯は、直接的にニキビや肌荒れを治療する薬ではありませんが、便秘の改善や血行促進、ホルモンバランスの調整を通じて、間接的に肌の状態を改善する効果が期待できます。特に、月経周期に伴うニキビや、慢性的な便秘による肌荒れには有効なケースがあります。当院では、肌トラブルの原因が血行不良や便秘にあると判断した場合に、他の治療と併用して処方を検討することがあります。
Q. 桃核承気湯を飲み始めてから、お腹が緩くなったのですが、どうすれば良いですか?
A. 桃核承気湯に含まれる大黄や芒硝には瀉下作用があるため、お腹が緩くなることは比較的よく見られます。軽度であれば問題ないこともありますが、下痢が続く場合や腹痛を伴う場合は、服用量を調整する必要があるかもしれません。自己判断で中止せず、まずは当院にご連絡ください。診察の現場では、患者さまの便通の状態を確認し、必要であれば減量や一時休薬を指示することがあります。

桃核承気湯のジェネリック医薬品について

桃核承気湯は、医療用漢方製剤として多くのメーカーから製造・販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分、同じ効能・効果を持つ後発医薬品のことですが、漢方薬においては「ジェネリック」という概念が西洋薬とは少し異なります。 漢方薬の場合、特定の生薬の組み合わせと配合比率が「処方」として確立されており、その処方に基づいて複数のメーカーが製造しています。例えば、ツムラが製造する「ツムラ漢方桃核承気湯エキス顆粒(医療用)」[2]の他にも、コタローやクラシエなど、他の製薬会社からも同じ桃核承気湯という名称で製品が販売されています。 これらの製品は、基本的に同じ生薬構成と配合比率に基づいていますが、製造方法や賦形剤(添加物)の違い、エキス抽出方法の違いなどにより、味や溶けやすさ、わずかな効き目の違いを感じる方もいらっしゃいます。しかし、医学的な効果・効能は同等であるとされています。 患者さまが薬局で桃核承気湯を受け取る際、医師がツムラの製品を処方していても、薬局の在庫状況や患者さまの希望に応じて、他のメーカーの桃核承気湯が提供されることがあります。これは、西洋薬のジェネリック医薬品と同様に、医療費の抑制にもつながるため、積極的に推奨されています。 当院では、患者さまに特定のメーカーへのこだわりがあるか、過去に他のメーカーの漢方薬で不調を感じたことがあるかなどを問診で確認することがあります。特にこだわりがなければ、薬局で入手しやすい製品を選んでいただくようお伝えしています。皮膚科の日常診療では、メーカーによる効果の大きな違いを訴える患者さまは稀ですが、もし気になる点があれば、いつでも医師や薬剤師にご相談ください。

まとめ

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)は、血行不良(瘀血)や便秘に起因する様々な症状、特に月経不順、月経困難症、更年期障害、便秘、のぼせ、頭痛、肩こりなどに用いられる漢方薬です。桃仁、桂皮、大黄、甘草、芒硝の5つの生薬が配合され、血行促進、便通改善、炎症抑制などの効果が期待されます。比較的体力があり、下腹部痛や便秘を伴う方に適応があるとされています。服用にあたっては、添付文書に記載された用法・用量を守り、特に大黄による下痢や、甘草による偽アルドステロン症などの副作用に注意が必要です。妊娠中の方や胃腸が弱い方は、必ず医師に相談してください。ジェネリック医薬品も存在し、複数のメーカーから同じ処方の製品が提供されています。効果の実感には個人差があるため、焦らず継続し、気になる症状があれば速やかに医療機関を受診することが大切です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 桃核承気湯は保険適用になりますか?
A. はい、桃核承気湯は医師の処方箋に基づき、医療機関で処方された場合は保険適用となります。市販されている製品は保険適用外です。
Q. 桃核承気湯は市販されていますか?
A. はい、桃核承気湯は医療用医薬品としてだけでなく、一般用医薬品(OTC医薬品)としても市販されています。ただし、市販薬は医療用と成分量や添加物が異なる場合があるため、購入の際は薬剤師に相談し、ご自身の症状や体質に合ったものを選ぶようにしてください。
Q. 桃核承気湯は男性でも服用できますか?
A. はい、桃核承気湯は男性でも服用可能です。月経不順や更年期障害といった女性特有の症状だけでなく、便秘、痔疾、打撲症、肩こり、頭痛、のぼせなど、男性にも起こりうる症状にも適応があります。ただし、体質や症状が適応と合致しているか、必ず医師に相談して処方を受けてください。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長