当帰芍薬散(ツムラ23)冷えに効果?副作用を解説
最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
- ✓ 当帰芍薬散は「水」の巡りを改善し、冷えやむくみ、生理不順などに用いられる漢方薬です。
- ✓ 比較的体力がない方、冷え性で貧血傾向のある方に適応します。
- ✓ 副作用は比較的少ないですが、胃部不快感や発疹などに注意が必要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
当帰芍薬散(ツムラ23)とは?その特徴と適応

当帰芍薬散は、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)、沢瀉(タクシャ)の6種類の生薬から構成されています。これらの生薬は、それぞれ異なる働きを持ち、相互に作用し合うことで、総合的な効果を発揮します。例えば、当帰、芍薬、川芎は血行を促進し、体を温める作用がある一方、茯苓、蒼朮(白朮)、沢瀉は体内の余分な水分を排出する利水作用を持ちます。この組み合わせにより、血行不良による冷えや、水分の滞りによるむくみを改善するのです。
当院の皮膚科外来では、特に冷えに伴う皮膚症状、例えばしもやけや乾燥肌、血行不良による肌荒れなどで相談を受けることが多いです。患者さまの中には、冷え性だけでなく、同時にむくみや生理不順を訴える方も少なくありません。このような場合、当帰芍薬散は全身的なアプローチとして非常に有効な選択肢となります。実際の診察では、患者さまから「手足の冷えがひどくて夜眠れない」「夕方になると足がパンパンになる」といった具体的な訴えを聞き、その体質や症状に合わせて処方を検討しています。
- 当帰芍薬散の構成生薬と主な作用
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- 当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ): 補血作用、血行促進作用により、体を温め、貧血症状や月経不順を改善します。
- 茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)、沢瀉(タクシャ): 利水作用により、体内の余分な水分を排出し、むくみやめまい、頭重を軽減します。
当帰芍薬散は冷えにどう作用する?メカニズムを解説
当帰芍薬散が冷え性に対して効果を発揮するメカニズムは、主に「血」と「水」のバランスを整えることにあります。漢方医学では、冷えは血行不良や体内の水分代謝異常が原因で起こると考えられています。まず、当帰、芍薬、川芎の3つの生薬は、血行を促進し、血の巡りを改善する作用があります。これにより、体の末端まで温かい血液が供給され、冷えの症状が緩和されます。特に、当帰は「血を補う」生薬として知られ、貧血傾向のある女性の冷えに有効です。血流が改善されることで、皮膚への栄養供給も向上し、肌の乾燥や荒れが改善されることも期待できます。
次に、茯苓、蒼朮(白朮)、沢瀉の3つの生薬は、体内の余分な水分(「水毒」と呼ばれることもあります)を排出し、水分代謝を正常化する働きがあります。体内に余分な水分が滞ると、体が冷えやすくなったり、むくみが生じたりします。これらの生薬は、利尿作用や発汗作用を通じて、体内の水分のバランスを整え、冷えの改善に寄与します。例えば、むくみが原因で体が冷たく感じる方には、この利水作用が特に重要です。
これらの生薬の組み合わせにより、当帰芍薬散は、単に体を温めるだけでなく、冷えの根本原因である血行不良と水分代謝異常の両方にアプローチします。このため、冷え性だけでなく、それに伴うむくみ、頭重、めまい、肩こり、生理不順といった様々な症状にも効果を発揮するのです。皮膚科の日常診療では、冷えが原因で血行不良となり、皮膚のターンオーバーが乱れて肌荒れを起こしている患者さまに対して、内側からのアプローチとして当帰芍薬散を処方することがあります。外用薬と併用することで、より効果的な治療が期待できるケースも多いです。
当帰芍薬散の正しい用法・用量とは?

- 服用方法: 通常、顆粒やエキス剤として提供されます。水またはぬるま湯で服用します。食前(食事の30分~1時間前)または食間(食事と食事の間で、食後2時間程度)に服用することが推奨されます。これは、生薬の成分が胃酸の影響を受けにくく、吸収されやすいと考えられているためです。
- 服用期間: 漢方薬は、即効性よりも体質改善を目指すものが多いため、効果を実感するまでに時間がかかることがあります。数週間から数ヶ月間、継続して服用することで、徐々に症状の改善が期待されます。当院では当帰芍薬散を処方した患者さまから、「2〜3ヶ月ほどで冷えが和らいできた」「むくみが気にならなくなった」というフィードバックをいただくことが多いです。
- 増減: 症状の程度や体質に合わせて、医師が用量を調整することがあります。自己判断で用量を変更せず、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。
⚠️ 注意点
添付文書に記載された用法・用量を守り、自己判断での増量や中止は避けてください。特に、他の薬を服用している場合や、持病がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。
当帰芍薬散の副作用はある?
当帰芍薬散は比較的副作用が少ない漢方薬とされていますが、全くないわけではありません。体質や体調によっては、いくつかの副作用が現れる可能性があります[1]。重大な副作用
頻度は不明ですが、以下のような重大な副作用が報告されています。- 偽アルドステロン症: 手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛が現れ、徐々に強くなる。血圧上昇、むくみ、体重増加などの症状が見られることがあります。
- ミオパチー: 偽アルドステロン症の進行により、脱力感、筋肉痛、筋力低下などの症状が現れることがあります。
その他の副作用
比較的頻度は低いものの、以下のような症状が現れることがあります。- 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢など。
- 皮膚症状: 発疹、じんましんなど。
🩺 当帰芍薬散に関する患者さまからのご質問
Q. どのくらいで効果を実感できますか?
A. 漢方薬は体質改善を目的とするため、効果を実感するまでに個人差があります。当院の経験では、冷えやむくみといった症状に対しては、早い方で2〜4週間、多くの方が1〜3ヶ月程度の服用で何らかの変化を感じ始めることが多いです。特に、月経周期の改善を目指す場合は、数ヶ月単位での継続が必要になることもあります。効果の実感には継続が重要ですが、もし数ヶ月服用しても全く変化がない場合は、別の漢方薬や治療法を検討することもありますので、遠慮なくご相談ください。
Q. 飲み合わせで注意すべき薬はありますか?
A. 当帰芍薬散は比較的他の薬との相互作用が少ないとされていますが、注意が必要なケースもあります。特に、甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬との併用には注意が必要です。甘草の過剰摂取は、偽アルドステロン症のリスクを高める可能性があります。また、利尿剤や高血圧の薬を服用されている方も、血圧や電解質バランスに影響を及ぼす可能性があるので、必ず医師や薬剤師に伝えてください。当院では、問診時に現在服用中のすべての薬(市販薬やサプリメント含む)を確認し、安全性を確認した上で処方しています。
Q. 妊娠中や授乳中に服用しても大丈夫ですか?
A. 妊娠中や授乳中の服用については、必ず医師に相談してください。当帰芍薬散は、妊娠中の冷えやむくみ、貧血に対して処方されることもありますが、個々の状態や妊娠週数によって判断が異なります。特に妊娠初期は慎重な判断が必要です。当院では、妊娠を希望されている方や妊娠が判明した方には、その旨を詳しく伺い、リスクとベネフィットを考慮した上で、服用継続の可否を判断しています。自己判断での服用は避けてください。
Q. 胃腸が弱いのですが、服用できますか?
A. 胃腸が弱い方は、服用によって胃部不快感や下痢などの消化器症状が現れる可能性があります。当帰芍薬散に含まれる生薬の中には、胃腸に負担をかける可能性のあるものも含まれています。実際の処方では、胃腸が弱い患者さまに対しては、少量から開始したり、食後に服用を指示したりするなど、工夫をすることがあります。もし服用中に胃の調子が悪くなった場合は、すぐに医師にご相談ください。
Q. ジェネリック医薬品はありますか?
A. はい、当帰芍薬散は様々なメーカーからジェネリック医薬品(後発医薬品)が販売されています。漢方薬の場合、メーカーによって生薬の配合割合や抽出方法が異なることがありますが、主要な生薬とその効果は基本的に同じです。当院では、患者さまのご希望や経済的な負担も考慮し、ジェネリック医薬品の選択肢も提示しています。ご不明な点があれば、お気軽にお尋ねください。
Q. 体力がある人でも服用できますか?
A. 当帰芍薬散は、添付文書にも「比較的体力の乏しい者の冷え症」と記載されているように、比較的体力がなく、冷え性で貧血傾向のある方に適しているとされています[1]。体力があり、がっしりした体格の方や、のぼせやすい方には、当帰芍薬散が合わない場合があります。そのような体質の方には、別の漢方薬が適していることが多いです。当院では、問診や診察で患者さまの体質(虚実)を判断し、最適な漢方薬を選定しています。
当帰芍薬散と他の冷え性改善薬との違いは?

| 項目 | 当帰芍薬散 | 加味逍遙散 | 桂枝茯苓丸 |
|---|---|---|---|
| 主な適応体質 | 比較的体力に乏しく、冷え性で貧血傾向、むくみやすい方 | 比較的体力が中等度で、精神的なストレスやイライラ、肩こり、のぼせがある方 | 比較的体力があり、のぼせ気味で下腹部に抵抗・圧痛がある方 |
| 主な症状 | 冷え、むくみ、めまい、頭重、生理不順、貧血傾向 | 精神不安、不眠、イライラ、肩こり、疲れやすい、冷え、のぼせ | 冷えのぼせ、下腹部痛、肩こり、めまい、生理痛、子宮筋腫、ニキビ |
| 作用機序 | 補血、利水、血行促進 | 気血の巡りを改善、精神安定 | 瘀血(おけつ)の改善、血行促進 |
当帰芍薬散のジェネリック医薬品について
当帰芍薬散には、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が存在します。ジェネリック医薬品とは、先発医薬品(新薬)の特許期間が満了した後に、同じ有効成分、同じ効能・効果で製造・販売される医薬品のことです。先発医薬品と同等の品質、有効性、安全性が国によって保証されており、一般的に先発医薬品よりも安価に提供されます[2]。当帰芍薬散の場合も、ツムラから販売されている「ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(医療用)」が先発品にあたり、他にも複数の製薬会社から当帰芍薬散エキス顆粒のジェネリック医薬品が製造・販売されています。これらのジェネリック医薬品は、基本的な効能・効果、用法・用量は先発品と同じです。
ただし、漢方薬のジェネリック医薬品においては、生薬の産地、品質、抽出方法、添加物などがメーカーによって異なる場合があります。これにより、味や香り、服用感がわずかに異なることがありますが、薬効に大きな差はないとされています。実際の臨床現場では、患者さまから「以前飲んでいたものと味が違う」といった声を聞くこともありますが、その都度、薬効は同等であることを説明しています。
当院では、患者さまの経済的な負担を軽減するため、ジェネリック医薬品の選択肢も積極的にご提案しています。ジェネリック医薬品を希望される場合は、診察時や薬局で薬剤師にご相談ください。ご自身の判断で薬を変更せず、必ず医師や薬剤師と相談の上で選択することが大切です。
まとめ
当帰芍薬散(ツムラ23)は、冷え性、むくみ、生理不順、貧血傾向など、特に女性に多い不調に対して広く用いられる漢方薬です。血行を促進し、体内の水分代謝を整えることで、これらの症状の改善を目指します。比較的体力に乏しい方に適しており、継続的な服用によって体質改善が期待されます。副作用は比較的少ないものの、胃部不快感や発疹、稀に重大な副作用として偽アルドステロン症などが報告されています。服用中に気になる症状が現れた場合は、速やかに医師や薬剤師に相談することが重要です。また、当帰芍薬散にはジェネリック医薬品も存在し、先発品と同等の効果が期待できます。
冷え性やそれに伴う様々な症状でお悩みの方は、当帰芍薬散が有効な選択肢となる可能性があります。ご自身の体質や症状に合った治療法を見つけるためにも、まずは皮膚科専門医にご相談ください。
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よくある質問(FAQ)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
