クマ(目の下のくま)の原因と治療|医師が解説
- ✓ 目の下のクマは複数の原因が絡み合って生じ、主な種類は青クマ、茶クマ、黒クマに分けられます。
- ✓ それぞれのクマの種類に応じた適切な治療法を選択することが重要で、セルフケアから医療機関での施術まで多岐にわたります。
- ✓ 治療法には、レーザー治療、ヒアルロン酸注入、炭酸ガス療法などがあり、専門医との相談が効果的な治療への第一歩です。
クマの基礎知識と治療

目の下のクマとは、目の周りの皮膚が暗く見える状態を指し、疲れた印象や老けた印象を与えることがあります。これは単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生することが特徴です。
目の下のクマとは?その種類と原因
目の下のクマは、主に以下の3つのタイプに分類され、それぞれ原因が異なります。適切な治療法を選択するためには、まず自身のクマがどのタイプに該当するかを正確に理解することが重要です[2]。
- 青クマ(血管性クマ)
- 目の下の皮膚が薄く、毛細血管が透けて見えることで青っぽく見えるクマです。寝不足、疲労、ストレス、冷え性、目の酷使などによる血行不良が主な原因とされます。
- 茶クマ(色素沈着性クマ)
- 目の周りの皮膚にメラニン色素が沈着することで茶色っぽく見えるクマです。摩擦による刺激(目をこする癖)、紫外線、アトピー性皮膚炎などの炎症が原因となることがあります。
- 黒クマ(影クマ・構造性クマ)
- 目の下のたるみや凹凸によって影ができ、黒っぽく見えるクマです。加齢による皮膚のたるみ、眼窩脂肪の突出、頬のボリューム減少などが主な原因です。
当院では、初診時に「目の下のクマが気になって、いつも疲れているように見られるんです」と相談される患者さまが少なくありません。問診の際に、生活習慣、目のこすり癖、家族歴などを詳しく伺い、どのタイプのクマであるかを慎重に診断するようにしています。特に、青クマと茶クマが混在しているケースや、黒クマに色素沈着が加わっているケースも多く、複合的なアプローチが必要になることが多いです。
クマのセルフケアにはどのような方法がある?
医療機関での治療を検討する前に、ご自宅でできるセルフケアも重要です。特に軽度のクマや、医療機関での治療効果を維持するために推奨されます。
- 十分な睡眠と休息: 寝不足は血行不良を招き、青クマを悪化させる一因となります。質の良い睡眠を確保しましょう。
- 目のマッサージと温冷ケア: 優しく目の周りをマッサージしたり、温かいタオルと冷たいタオルを交互に当てることで血行促進が期待できます。ただし、摩擦は茶クマの原因となるため、強くこすらないよう注意が必要です。
- 保湿と紫外線対策: 目の周りの皮膚は薄くデリケートです。保湿をしっかり行い、日焼け止めやサングラスで紫外線から保護することで、茶クマの予防や悪化を防ぐことができます。
- バランスの取れた食事: ビタミンCや鉄分など、血行促進やメラニン生成抑制に関わる栄養素を積極的に摂取することも大切です。
当院の診察の中で、セルフケアを継続することで「以前よりクマが目立たなくなった気がします」とおっしゃる患者さまもいらっしゃいます。特に青クマや軽度の茶クマには、生活習慣の改善が大きく影響することが実感としてあります。
医療機関でのクマ治療にはどのような選択肢がある?
セルフケアで改善が見られない場合や、より効果的な改善を求める場合は、医療機関での専門的な治療が有効です。クマの種類や原因に応じて、様々な治療法が選択されます。
青クマの治療法
青クマは血行不良が主な原因であるため、血行促進や皮膚の厚み改善を目指す治療が中心となります。
- 炭酸ガス療法(カーボキシーセラピー): 皮膚の下に医療用炭酸ガスを注入することで、一時的な酸欠状態を作り出し、血行を促進し、コラーゲン生成を促す治療法です。複数の研究で青クマへの有効性が報告されています[3][4]。
- 低出力レーザー治療: 特定の波長のレーザーを照射することで、血行促進や皮膚の再生を促す効果が期待できます。
- ヒアルロン酸注入: 皮膚が薄い部分に少量注入することで、血管の透け感を軽減し、皮膚の厚みを補う効果が期待できます。
茶クマの治療法
茶クマは色素沈着が原因であるため、メラニン色素の排出促進や生成抑制を目指す治療が中心です。
- レーザートーニング・QスイッチYAGレーザー: 低出力のレーザーを複数回照射することで、メラニン色素を徐々に破壊し、排出を促します。QスイッチYAGレーザーは茶クマ治療に有効であることが示されています[4]。
- ケミカルピーリング: 古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促進することで、蓄積されたメラニン色素の排出を助けます。
- 外用薬(ハイドロキノン、トレチノインなど): メラニン生成を抑制したり、ターンオーバーを促進したりする成分を含む外用薬を医師の指導のもと使用します。
- IPL(光治療): 幅広い波長の光を照射することで、メラニン色素に反応し、シミやくすみを改善する効果が期待できます。
黒クマの治療法
黒クマは構造的な問題が原因であるため、たるみや凹凸を改善する治療が中心です。
- ヒアルロン酸注入: 目の下の凹みや、頬のボリューム減少によって生じる影を埋めることで、クマを目立たなくします。非常に一般的な治療法です[2]。
- 脂肪注入: ご自身の脂肪を採取し、目の下の凹んだ部分に注入することで、より自然で長期的な改善が期待できます。
- 下眼瞼脱脂術(目の下のたるみ取り手術): 目の下の眼窩脂肪の突出が原因で黒クマが生じている場合、余分な脂肪を除去することで、たるみを改善し、影を解消します。
- 高周波(RF)や超音波(HIFU)治療: 皮膚の深層に熱エネルギーを与えることで、コラーゲン生成を促進し、皮膚の引き締めやたるみ改善効果が期待できます。
当院では、患者さまのクマの種類と程度、そしてご希望に応じて最適な治療プランを提案しています。ヒアルロン酸注入の治療を始めて2ヶ月ほどで「鏡を見るのが楽しくなりました」とおっしゃる方が多いです。特に黒クマの患者さまの場合、劇的な変化を実感されるケースをよく経験します。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。
クマの治療は、その原因と種類によって大きく異なります。自己判断で治療法を選択せず、必ず専門の医師に相談し、適切な診断と治療プランを立てることが重要です。特に注入治療や手術にはリスクも伴うため、十分な説明を受け、納得した上で治療に臨みましょう。
治療法の比較と選び方
クマの治療法は多岐にわたるため、それぞれの特徴を理解し、自身のクマのタイプやライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。以下に主要な治療法の比較を示します。
| 治療法 | 主な対象クマ | 効果のメカニズム | 持続期間(目安) |
|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸注入 | 黒クマ、青クマ | 凹凸の改善、皮膚の厚み補強 | 6ヶ月〜1年程度 |
| レーザー治療(QスイッチYAGなど) | 茶クマ、青クマ | メラニン破壊、血行促進 | 複数回の施術で改善、持続は個人差あり |
| 炭酸ガス療法 | 青クマ | 血行促進、コラーゲン生成 | 数週間〜数ヶ月(複数回必要) |
| 外用薬(ハイドロキノンなど) | 茶クマ | メラニン生成抑制、ターンオーバー促進 | 継続的な使用が必要 |
| 下眼瞼脱脂術 | 黒クマ | 眼窩脂肪の除去によるたるみ改善 | 半永久的 |
当院では、患者さまの目の状態を詳細に診察し、それぞれの治療法のメリット・デメリット、ダウンタイム、費用などを丁寧に説明した上で、最適な治療プランを一緒に検討します。例えば、黒クマと茶クマが混在している方には、下眼瞼脱脂術とレーザー治療を組み合わせるなど、複合的な治療を提案することもあります。
最近の研究では、目の下のクマに対する新しい外用薬の臨床的有効性も報告されており、今後の治療選択肢の広がりにも期待が寄せられています[5]。常に最新の知見を取り入れ、患者さまにとって最善の治療を提供できるよう努めています。
まとめ

目の下のクマは、見た目の印象に大きく影響を与える悩みの一つです。青クマ、茶クマ、黒クマという3つの主要なタイプがあり、それぞれ原因が異なるため、適切な診断と治療法の選択が重要となります。セルフケアによる生活習慣の改善も大切ですが、医療機関では、レーザー治療、ヒアルロン酸注入、炭酸ガス療法、手術など、多様な専門的治療が提供されています。ご自身のクマのタイプを理解し、専門医と相談しながら最適な治療プランを見つけることが、明るく健康的な目元を取り戻すための第一歩となるでしょう。
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- Lauren Michelle, Delila Pouldar Foulad, Chloe Ekelem et al.. Treatments of Periorbital Hyperpigmentation: A Systematic Review.. Dermatologic surgery : official publication for American Society for Dermatologic Surgery [et al.]. 2021. PMID: 32740208. DOI: 10.1097/DSS.0000000000002484
- Daniel P Friedmann, Mitchel P Goldman. Dark circles: etiology and management options.. Clinics in plastic surgery. 2015. PMID: 25440739. DOI: 10.1016/j.cps.2014.08.007
- Hooman Zaheri, Amir Mohammad Beyzaee, Ghasem Rahmatpour Rokni et al.. Comparison of the efficacy of carboxytherapy versus fractional CO2 laser therapy for the treatment of periorbital dark circles: A randomized clinical trial.. Journal of cosmetic dermatology. 2023. PMID: 36065678. DOI: 10.1111/jocd.15337
- Mohammad Ali Nilforoushzadeh, Maryam Heidari-Kharaji, Shiva Alavi et al.. Comparison of carboxy therapy and fractional Q-switched ND:YAG laser on periorbital dark circles treatment: a clinical trial.. Lasers in medical science. 2021. PMID: 33638096. DOI: 10.1007/s10103-021-03274-5
- Robert Thomas Brady, Sabrina Shah-Desai. Clinical Efficacy of a Novel Topical Formulation on Periorbital Dark Circles: An Objective Analysis.. Journal of cosmetic dermatology. 2025. PMID: 40626342. DOI: 10.1111/jocd.70326
