しわの原因と治療|種類と美容医療を医師が解説
- ✓ しわは表皮性、真皮性、表情筋性、重力性の4種類に分類され、それぞれ異なる原因と特徴を持ちます。
- ✓ 紫外線による光老化はしわの主な原因の一つであり、真皮のコラーゲンやエラスチンの変性を引き起こします[1]。
- ✓ 美容医療では、しわの種類や深さに応じてボトックス注射、ヒアルロン酸注入、レーザー治療、HIFUなど多様な選択肢があります。
しわの種類と原因とは?

しわは、皮膚の老化現象の一つであり、その種類や発生原因は多岐にわたります。しわの形成には、加齢による皮膚構造の変化、紫外線曝露、表情筋の動き、重力など、複数の要因が複合的に関与しています[1]。
しわはどのように分類される?
しわは、その深さや発生機序によって主に以下の4種類に分類されます。それぞれの種類を理解することは、適切なケアや治療法を選択する上で重要です。
- 表皮性しわ(ちりめんじわ)
- 皮膚の最も外側にある表皮の乾燥が主な原因で生じる、浅く細かいしわです。目元や口元にできやすく、保湿ケアで改善が期待できることがあります。
- 真皮性しわ
- 真皮層のコラーゲンやエラスチンといった弾性繊維の減少や変性が原因で生じる、比較的深く刻まれたしわです。紫外線による光老化が大きく関与しています。
- 表情筋性しわ
- 表情筋の繰り返しの収縮によって皮膚に折り目がつき、それが定着してできるしわです。おでこ、眉間、目尻などに多く見られます。
- 重力性しわ
- 加齢による皮膚のたるみや脂肪組織の減少、重力の影響で生じるしわです。ほうれい線やマリオネットラインなどがこれに該当します。
しわの主な原因は何ですか?
しわの発生には複数の要因が複雑に絡み合っていますが、特に重要な原因として以下の点が挙げられます。
加齢による皮膚構造の変化
年齢を重ねると、皮膚の真皮層にあるコラーゲンやエラスチンといった線維が減少し、弾力性やハリが失われます。また、ヒアルロン酸などの保湿成分も減少し、皮膚の水分保持能力が低下します。これらの変化により、皮膚はたるみやすくなり、しわが形成されやすくなります[1]。当院の診察では、特に40代以降の患者さまから「以前より肌の弾力がなくなった」「化粧ノリが悪くなった」といったお悩みを伺うことが多く、加齢による皮膚の変化を実感されている方が少なくありません。
紫外線による光老化
紫外線(UV)は、しわの最も大きな原因の一つであり、「光老化」として知られています[1]。紫外線A波(UVA)は真皮深層にまで到達し、コラーゲンやエラスチンを分解する酵素の活性を高め、線維を損傷させます[5]。これにより、皮膚の弾力性が失われ、深いしわやたるみが形成されます。長年屋外で活動されてきた患者さまの肌を拝見すると、顔や首、手の甲などに深いしわや色素沈着が多く見られ、紫外線対策の重要性を改めて実感します。
乾燥
皮膚が乾燥すると、角質層のバリア機能が低下し、肌のキメが乱れて細かいしわ(ちりめんじわ)ができやすくなります。特に目元や口元は皮膚が薄く、乾燥の影響を受けやすいため、念入りな保湿ケアが重要です。
表情筋の動き
笑ったり、怒ったり、眉をひそめたりといった日常的な表情筋の動きは、皮膚に繰り返し折り目を作ります。若い頃は皮膚の弾力があるため元に戻りますが、加齢とともに弾力性が低下すると、これらの折り目が定着し、表情じわとして深く刻まれていきます。初診時に「鏡を見るたびに眉間のしわが気になる」「笑うと目尻のしわが深く刻まれる」と相談される患者さまも少なくありません。
生活習慣
喫煙は、血行不良を引き起こし、皮膚への酸素や栄養供給を妨げることで、コラーゲンやエラスチンの生成を阻害します。また、活性酸素を増加させ、皮膚の老化を促進します。不規則な睡眠、栄養バランスの偏り、過度なストレスなども、肌のターンオーバーを乱し、しわの形成を助長する可能性があります。
しわの原因は一つではなく、複数の要因が複合的に作用していることがほとんどです。そのため、単一の対策だけでなく、多角的なアプローチがしわの改善には重要となります。
しわの美容医療とは?

しわの美容医療は、しわの種類や深さ、患者さまの希望に応じて多様な選択肢があります。非侵襲的な治療から、より効果の高い注入療法や機器を用いた治療まで、それぞれの特性を理解し、適切な治療法を選ぶことが重要です。
しわの治療法にはどのような種類がありますか?
しわの治療法は、大きく分けてスキンケアによるアプローチ、注入療法、機器を用いた治療、そして外科的治療に分類されます。当院では、患者さまの肌の状態やライフスタイル、ダウンタイムの許容度などを丁寧にヒアリングし、最適な治療プランをご提案しています。
スキンケア・外用薬
比較的浅いしわや、しわの予防には、日々のスキンケアが非常に重要です。特に保湿と紫外線対策は基本中の基本です。レチノール(ビタミンA誘導体)やバクチオールといった成分を配合した外用薬は、コラーゲン産生を促進し、しわの改善に寄与することが報告されています[4]。当院では、患者さまの肌質やしわの状態に合わせて、適切な成分や濃度のアドバイスを行っています。
注入療法
注入療法は、しわの深さや種類に応じて、直接しわの部位に薬剤を注入することで改善を図る方法です。
- ボトックス注射: 表情筋の過剰な動きによってできる表情じわ(眉間、目尻、額など)に対して有効です。ボツリヌス菌が産生するA型ボツリヌス毒素を注入することで、表情筋の動きを一時的に抑制し、しわを目立たなくします。効果は通常3〜6ヶ月持続します。治療を始めて数週間で「眉間のしわが気にならなくなった」「表情が穏やかになったと言われる」とおっしゃる方が多いです。
- ヒアルロン酸注入: 真皮性しわや重力性しわ(ほうれい線、マリオネットラインなど)の溝を埋めたり、ボリュームロスを補ったりするのに用いられます。ヒアルロン酸は体内に存在する成分であり、アレルギー反応のリスクが低いとされています。効果は製剤の種類にもよりますが、6ヶ月〜1年半程度持続することが期待されます。
機器を用いた治療
レーザー、高周波(RF)、高密度焦点式超音波(HIFU)などの医療機器は、皮膚の深層に熱エネルギーを与え、コラーゲンの収縮や新生を促すことで、しわやたるみの改善を目指します。
- レーザー治療: フラクショナルレーザーなどは、微細な穴を皮膚に開け、創傷治癒の過程でコラーゲン生成を促進し、肌のハリやしわの改善を促します。
- 高周波(RF)治療: 皮膚の深層に熱を加え、コラーゲン線維を収縮させ、たるみやしわを改善します。ダウンタイムが少ないのが特徴です。
- HIFU(高密度焦点式超音波): 超音波エネルギーをSMAS層(筋膜)に集束させ、熱凝固点を作り、リフトアップ効果をもたらします。たるみによるしわに特に有効とされており、その効果は複数の研究で支持されています[3]。当院では、HIFU治療後のフォローアップで「フェイスラインがすっきりした」「ほうれい線が薄くなった」といったお声を多くいただいており、治療効果を実感しています。
しわ治療の選択肢を比較する
しわ治療の主な選択肢を、その特徴と期待できる効果で比較してみましょう。
| 治療法 | 主な対象しわ | 期待できる効果 | 持続期間(目安) |
|---|---|---|---|
| スキンケア・外用薬 | 表皮性しわ、予防 | 保湿、肌質改善、コラーゲン産生促進 | 継続的な使用が必要 |
| ボトックス注射 | 表情筋性しわ | 表情筋の動き抑制、しわの改善・予防 | 3〜6ヶ月 |
| ヒアルロン酸注入 | 真皮性しわ、重力性しわ | しわの溝を埋める、ボリュームアップ | 6ヶ月〜1年半 |
| HIFU | 重力性しわ、たるみ | リフトアップ、肌の引き締め、コラーゲン生成促進 | 半年〜1年 |
どの治療法が最適かは、しわの状態、患者さまの年齢、期待する効果、ダウンタイムの許容範囲などによって異なります。当院では、問診の際に患者さまのライフスタイルや美容医療に対するご希望を詳しく伺い、それぞれの治療法のメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、最適な治療計画を一緒に検討するようにしています。
美容医療には、効果が期待できる一方で、ダウンタイムや副作用のリスクも存在します。治療を受ける際は、必ず医師と十分に相談し、リスクとベネフィットを理解した上で決定するようにしてください。
まとめ

しわは、加齢、紫外線、乾燥、表情筋の動き、生活習慣など様々な要因が複合的に作用して発生する皮膚の老化現象です。表皮性、真皮性、表情筋性、重力性といった異なる種類のしわがあり、それぞれ原因や特徴が異なります。しわの治療には、保湿や紫外線対策といった日々のスキンケアから、ボトックス注射やヒアルロン酸注入などの注入療法、HIFUやレーザーなどの機器を用いた治療まで、多岐にわたる選択肢が存在します。個々のしわの種類や深さ、患者さまのニーズに合わせて、適切な治療法を選択することが重要です。美容医療を検討する際は、専門医と十分に相談し、自身の状態に最適な治療プランを見つけることが推奨されます。
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- Françoise Boismal, Kevin Serror, Gabor Dobos et al.. [Skin aging: Pathophysiology and innovative therapies].. Medecine sciences : M/S. 2021. PMID: 33296633. DOI: 10.1051/medsci/2020232
- Shoubing Zhang, Enkui Duan. Fighting against Skin Aging: The Way from Bench to Bedside.. Cell transplantation. 2019. PMID: 29692196. DOI: 10.1177/0963689717725755
- Mark Contini, Marijke H J Hollander, Arjan Vissink et al.. A Systematic Review of the Efficacy of Microfocused Ultrasound for Facial Skin Tightening.. International journal of environmental research and public health. 2023. PMID: 36674277. DOI: 10.3390/ijerph20021522
- S Dhaliwal, I Rybak, S R Ellis et al.. Prospective, randomized, double-blind assessment of topical bakuchiol and retinol for facial photoageing.. The British journal of dermatology. 2020. PMID: 29947134. DOI: 10.1111/bjd.16918
- Yao Ke, Xiao-Jing Wang. TGFβ Signaling in Photoaging and UV-Induced Skin Cancer.. The Journal of investigative dermatology. 2021. PMID: 33358021. DOI: 10.1016/j.jid.2020.11.007
- ボトックス(ボツリヌス毒素)添付文書(JAPIC)
- アルツディスポ(ヒアルロン)添付文書(JAPIC)
