EVIDENCE-BASED GUIDE
ボトックス注射の
効果・部位・副作用
ボツリヌストキシン注射は、筋肉や汗腺へ伝わる神経信号を一時的に弱める治療です。表情じわ、エラ、ガミースマイル、人中など、部位ごとの適応・限界・機能への影響を、研究結果と診察で確認する順番に整理します。
医師監修|PubMed・公的資料参照|最終確認日:2026年8月23日
ANSWER FIRST
効果が期待しやすいのは、筋肉の動きが主因の悩みです
顔面の表情じわに対するA型ボツリヌス毒素製剤は、日本の美容医療診療指針でも治療を希望する患者に強く推奨されています。一方、部位・製剤・投与量で結果と副作用が異なり、エラや口元など表情じわ以外の目的は、原因と機能をより慎重に確認する必要があります。
候補になりやすい
表情を動かしたときの眉間・額・目尻のしわ、咬筋の発達が関係する輪郭、上唇挙上筋の活動が関係するガミースマイルなど。
単独では変わりにくい
動かしていない時にも深く残るしわ、皮膚のたるみ、脂肪・骨格による輪郭、歯や歯肉の形態が主因のガミースマイルなど。
機能への影響を確認
眉・まぶたの位置、笑い方、発音、飲水、咀嚼、肩や腕の動きなど、注入部位に近い筋肉の機能が変わる可能性があります。

MECHANISM & ASSESSMENT
筋肉の収縮を一時的に弱める仕組み
ボツリヌストキシンA製剤は、神経終末からのアセチルコリン放出を抑え、注射した周辺の筋肉の収縮や汗腺の働きを一時的に弱めます。皮膚を直接ふくらませる注入剤ではなく、作用は永久でもありません。
「ボトックス」はアラガン社製品の商標ですが、日常的にはボツリヌストキシン注射全体を指して使われることがあります。製剤ごとに単位を単純換算できず、別製剤の研究用量や結果を当院使用製剤へそのまま当てはめることはできません。
- 診断
- 悩みの主因が筋肉・皮膚・脂肪・骨格・歯科的要因のどこにあるか
- 計画
- 残したい動き、左右差、過去の注入歴、予定、必要な部位数
- 安全確認
- 妊娠・授乳、神経筋疾患、呼吸・嚥下障害、感染、薬剤、アレルギー
- 経過確認
- 作用が現れた後の表情・機能・左右差を確認し、早すぎる追加注入を避ける
CHOOSE BY AREA
部位によって目的と注意点が変わります
同じ製剤でも、注射する筋肉が違えば期待する変化と困り得る機能は異なります。施術名ではなく、部位ごとの判断材料を確認してください。
眉間・額・目尻
目的:表情で目立つ眉間、額、目尻のしわを和らげる。
確認:眉・まぶたの位置、前頭筋でまぶたを上げる癖、左右差。
主な注意:眉・眼瞼下垂、表情の違和感、左右差、頭痛など。
エラ・咬筋
目的:咬筋の発達が関係する下顔面の張りを和らげる。
確認:噛みしめ時の筋肉量、骨格・脂肪・たるみ、歯科症状。
主な注意:噛みにくさ、左右差、頬こけ、輪郭変化など。
ガミースマイル
目的:上唇を引き上げる筋肉の活動が関係する歯肉露出を一時的に抑える。
確認:唇の動きだけでなく、歯・歯肉・上顎骨など別の原因。
主な注意:笑顔の左右差、口元の違和感、口唇機能への影響。
人中・上口唇
目的:口輪筋の動きを弱め、上唇を外側へめくれやすくする、いわゆるリップフリップを検討する。
確認:人中そのものを物理的に短くする手術ではなく、変化は一時的で限定的。
主な注意:ストロー、飲水、発音、口笛、口を閉じる動作への影響。
顎・口角など
目的:オトガイ筋や口角を下げる筋肉の過剰な活動が関係する見え方を調整する。
確認:発音、食事、笑顔、左右差、歯科・骨格要因。
主な注意:笑いにくさ、口元の左右差、飲食時の違和感など。
脇・肩
目的:脇では発汗抑制、肩では僧帽筋の活動や輪郭を診察して検討。
確認:多汗症の重症度、肩症状の原因、必要量、生活・仕事への影響。
主な注意:注射痛、代償性発汗、肩・腕の筋力低下、左右差など。
院内の提供範囲:ガミースマイルや人中を含む口元も相談できます。これらは基本部位の料金区分ですが、診察で適応・部位数・投与量を確認し、施術前に総額をご案内します。
WHAT THE EVIDENCE SHOWS
研究で分かっていること・まだ分からないこと
比較的根拠が多い
眉間のRCTを統合したネットワークメタ解析や、上顔面を対象としたシステマティックレビューでは、しわの重症度改善が示されています。ただし製剤・評価法の違いと研究間のばらつきがあります。
短期変化は示される
2026年のメタ解析では5件のプラセボ対照RCT、536人を統合し、咬筋の目立ちや厚さの短期改善が示されました。一方、異質性が大きく、製剤間の用量換算や最適な方法は確立していません。
短期研究が中心
システマティックレビュー・メタ解析では短期の歯肉露出減少が報告されていますが、原因が歯・歯肉・骨格にある場合は筋肉への注射だけでは対応できません。時間とともに変化は弱まります。
根拠は限定的
2025年のシステマティックレビューは7報を対象としており、上唇の外反を報告する一方、飲水や口笛などへの一時的な影響も記載しています。大規模RCTや長期比較は十分ではありません。
部位特有の副作用がある
美容目的の32件のRCT、9,669人を統合したメタ解析では、治療関連有害事象はプラセボより多く、眉・まぶたの位置異常や頭痛などが検討されています。平均だけでなく部位ごとの機能を確認します。
製剤・用量を記録する
中和抗体の発生は登録試験の統合では低頻度でしたが、ゼロではありません。効きにくさは抗体以外にも、原因・筋肉・用量・注入位置・評価時期などが関係するため、自己判断で増量しません。
ONSET & FOLLOW-UP
変化・持続・再治療を急いで決めない
施術直後
針穴、赤み、腫れ、内出血などを確認します。直後の見た目だけで作用を評価しません。
数日以降
作用が現れ始める時期は製剤・部位・量で異なります。左右差も経過中に変化することがあります。
作用後の評価
案内した時期に表情・機能・左右差を確認します。早すぎる追加注入は避けます。
数か月の経過
作用は徐々に弱まります。再治療は前回の経過、必要性、総量を確認して決めます。
RISKS & SAFETY
副作用・禁忌・受診の目安
「ダウンタイムが短い」と「副作用がない」は同じではありません。注射そのものの反応と、筋肉の働きが弱まることで起こる症状を分けて確認します。
注射に伴う反応
痛み、赤み、腫れ、内出血、出血、圧痛、頭痛、感染、アレルギー反応など。
顔の機能・見た目
効き過ぎ、表情の違和感、左右差、眉・眼瞼下垂、目の乾燥・流涙、複視、笑いにくさ、発音・飲水への影響など。
エラ・肩など
噛みにくさ、頬こけ、輪郭の変化、肩・腕のだるさや筋力低下、左右差など。
すぐに連絡・受診する症状
全身の筋力低下、声のかすれ、言葉の出にくさ、飲み込みにくさ、呼吸しにくさ、重いアレルギー症状など。
治療を避ける・慎重に判断する場合
- 妊娠中・授乳中、妊娠を希望している
- 神経筋疾患、呼吸・嚥下障害がある
- 注入部位に感染・強い炎症がある
- 製剤成分への過敏症がある
- 神経筋伝達へ影響する薬剤等を使用している
- 直近に他院を含むボツリヌストキシン注射を受けた
施術後の基本的な注意
- 注入部位を強くこする・圧迫する行為を避ける
- 運動、飲酒、入浴等は当日の個別案内に従う
- 作用が十分に現れる前に追加注入を求めない
- 症状が気になる場合は写真だけで自己判断せず連絡する
- 施術後の注意点・ダウンタイムを確認する
服用中の薬は自己判断で中止せず、処方薬、市販薬、サプリメント、過去の注射歴を診察時にお伝えください。
PRODUCT & APPROVAL
当院で使用する製剤と国内承認の違い

ボツラックス(BOTULAX)
- 有効成分
- A型ボツリヌストキシン
- 製造元
- HUGEL, Inc.(韓国)
- 国内承認
- 日本国内では未承認
- 院内での位置付け
- 自由診療として、診察・説明・同意後に使用
韓国等での承認は、日本国内での承認を意味しません。国内には眉間・目尻の表情じわなどで承認された別のA型ボツリヌス毒素製剤があります。当院使用製剤の個別の入手経路、海外の承認・安全性情報、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性を施術前に説明します。
CURRENT PRICING
ボトックス注射の現行料金
2026年8月23日時点の公式料金表に基づく税込・自由診療の料金です。料金改定時は公式料金表を優先します。
| 区分 | 内容 | 税込料金 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| 基本部位 | 1部位/2部位/3部位 | 9,800円/18,800円/25,800円 | ガミースマイル・人中なども相談可能。具体的な部位区分と投与量は診察で確認 |
| エラ・脇 | 通常/倍量 | 24,800円/45,800円 | 左右の筋肉量、目的、必要量を確認 |
| 肩 | 100単位/200単位 | 49,800円/69,800円 | 肩症状の原因、仕事・運動への影響、必要量を確認 |
診察料、麻酔、針、処方薬、追加注入等の費用が別途生じる場合は、施術前に対象部位・単位数と総額をご案内します。多い量が適しているとは限りません。
CONSULTATION FLOW
予約から経過確認まで
予約・問診
希望部位、既往歴、服薬、過去の製剤・時期、妊娠・授乳等を確認します。
静止時・動作時の診察
筋肉の動き、左右差、骨格・脂肪・皮膚など別の原因を確認します。
製剤・副作用・総額
製剤名、国内承認、期待できる範囲、機能への影響、費用を説明します。
注入
同意後、確認した注入点へ計画した量を投与します。
経過確認
案内した時期に、表情・機能・左右差を評価し次回方針を検討します。
FAQ
ボトックス注射のよくある質問
Q.ボトックスとボツリヌストキシン注射は同じですか?
「ボトックス」は特定製品の商標ですが、一般にはボツリヌストキシン注射全体を指す言葉としても使われます。製剤ごとに単位の換算、承認された目的、用法、安全性情報が異なるため、施術前に実際の製剤名を確認してください。
Q.どのようなしわに向いていますか?
眉間・額・目尻など、表情を動かしたときに筋肉の収縮で目立つしわが主な候補です。動かしていない時にも深く残るしわ、乾燥、紫外線、皮膚のたるみが主因の場合は、単独では希望する変化が得られないことがあります。
Q.効果はいつから現れますか?
一般に数日以降から変化が現れることがありますが、製剤、部位、筋肉量、投与量で異なります。直後の見た目で判断したり、作用が十分に現れる前に追加したりせず、案内された時期に評価してください。
Q.効果はどのくらい続きますか?
一般に数か月が一つの目安ですが、製剤、部位、投与量、筋肉量、代謝、過去の施術歴などで異なります。研究の平均値を個人の持続期間として保証することはできません。
Q.ガミースマイルにも相談できますか?
当院では相談できます。上唇を引き上げる筋肉の活動が主因なら候補になりますが、歯・歯肉・上顎骨など別の原因が中心の場合は、ボツリヌストキシン注射だけでは対応できないことがあります。
Q.人中を短くするボトックスは受けられますか?
人中・上口唇も相談できます。いわゆるリップフリップは口輪筋の動きを弱めて上唇を外側へめくれやすくする考え方で、人中を物理的に短くする手術ではありません。飲水、発音、ストローなど口唇機能への影響も含めて適応を判断します。
Q.エラボトックスで必ず小顔になりますか?
咬筋の発達が輪郭に関係する場合に候補になりますが、骨格、脂肪、皮膚のゆるみが主因なら期待する変化が得られないことがあります。噛みにくさ、頬こけ、左右差などの可能性も含めて診察します。
Q.痛みやダウンタイムはありますか?
針を刺す痛み、赤み、腫れ、内出血、圧痛、頭痛などが生じる場合があります。部位によって、表情の違和感、左右差、眉・まぶたの下垂、噛みにくさ、口唇や肩・腕の機能への影響も起こり得ます。
Q.施術後にしてはいけないことはありますか?
注入部位を強くこする・圧迫する行為は避け、運動、飲酒、入浴などは当日の案内に従ってください。生活制限は製剤・部位・体調で異なるため、画一的な時間を自己判断しないでください。
Q.妊娠中や薬の服用中でも受けられますか?
妊娠中、授乳中、妊娠を希望している方は治療を見合わせるのが一般的です。神経筋伝達に影響する薬剤などで作用が強まる可能性もあるため、薬は自己判断で中止せず、処方薬、市販薬、サプリメント、直近の注射歴をすべてお知らせください。
Q.料金はいくらですか?
当院の基本部位は1部位9,800円、2部位18,800円、3部位25,800円、エラ・脇は通常24,800円・倍量45,800円、肩は100単位49,800円・200単位69,800円です。すべて税込の自由診療で、ガミースマイル・人中も基本部位として相談できます。施術前に部位数、投与量、今回の総額を案内します。
Q.使用する製剤は何ですか?
当院ではHUGEL社(韓国)製のA型ボツリヌストキシン製剤「ボツラックス(BOTULAX)」を使用します。日本国内では未承認です。入手経路、国内承認製剤の有無、海外での承認・安全性情報、救済制度の対象外となる可能性を施術前に説明します。
REFERENCES
参考文献・公的資料
システマティックレビュー、メタ解析、診療指針、規制当局・製造元の資料を優先しています。各研究の対象製剤・用量・部位は当院の治療条件と同一とは限りません。
- 美容医療診療指針(5学会共同、令和3年度改訂版)
- 上顔面の美容目的ボツリヌストキシンA:システマティックレビュー・メタ解析(PMID: 41508559)
- 眉間じわ:RCTネットワークメタ解析(PMID: 36097079)
- 美容目的の安全性:32 RCT・9,669人のメタ解析(PMID: 35353777)
- 上顔面の安全性:登録試験5,298人のメタ解析(PMID: 38035126)
- 顔面若返りの有害事象:システマティックレビュー・メタ解析(PMID: 27495260)
- 咬筋肥大:5 RCT・536人のシステマティックレビュー・メタ解析(PMID: 42379083)
- ガミースマイル:システマティックレビュー・メタ解析(PMID: 36835971)
- ガミースマイルの持続:システマティックレビュー・メタ解析(PMID: 29742231)
- リップフリップ:システマティックレビュー(PMID: 40377719)
- 局所多汗症:RCTメタ解析(PMID: 33619611)
- 中和抗体:登録試験メタ解析(PMID: 37235376)
- ボトックスビスタ注用50単位 電子添文(PMDA)
- Botulax製品情報・公式製剤写真(HUGEL公式)
- 美容医療を受ける前にもう一度(厚生労働省等)
CLINIC & ACCESS
渋谷文化村通り皮膚科
施術名や単位数を決めていなくても相談できます。希望する変化、残したい表情・機能、避けたい副作用を診察でお伝えください。
所在地
〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂2丁目25-6
ホリウチビル3階
診療時間
11:00〜13:30 / 15:00〜19:30
最終受付 19:30
年中無休(年末年始を除く)
アクセス
JR山手線・東京メトロ各線
渋谷駅より徒歩約5分
電話
MEDICAL SUPERVISION
監修医師からのメッセージ
RESERVATION
部位と筋肉の状態を診察で相談する
予約時点で適応や単位数を確定する必要はありません。診察後に製剤・副作用・総額をご案内します。
TOC GROUP
TOCグループ
医療法人御照会を中心とした医療グループ
医療情報・自由診療・未承認医薬品等について
本ページは一般的な医療情報の提供を目的とし、個別の診断・治療に代わるものではありません。効果、必要量、持続、副作用には個人差があり、研究結果は当院使用製剤での結果を保証するものではありません。
ボトックス注射は公的医療保険が適用されない自由診療です。通常必要となる施術料は、基本部位1部位9,800円〜肩200単位69,800円(税込)です。別途費用が生じる場合は施術前に総額を説明します。
当院で使用するボツラックス(HUGEL社製)は日本国内では未承認です。個別の入手経路、国内承認製剤の有無、海外での承認・安全性情報、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性は施術前に説明します。詳しくは未承認医薬品等を用いた自由診療についてをご確認ください。
最終確認日:2026年8月23日



