防風通聖散 肥満

【防風通聖散 肥満】|防風通聖散と肥満|医師が解説する効果と副作用

防風通聖散と肥満|医師が解説する効果と副作用

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • ✓ 防風通聖散は、お腹周りの脂肪が多い肥満症の方に処方される漢方薬です。
  • ✓ 脂肪燃焼促進、便通改善、むくみ改善など複数の作用機序で肥満にアプローチします。
  • ✓ 重大な副作用は稀ですが、偽アルドステロン症や肝機能障害などに注意が必要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

防風通聖散(ツムラ62)とは?肥満症への作用機序

防風通聖散が体脂肪燃焼を促進し肥満症を改善する作用機序
防風通聖散の肥満症改善メカニズム

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)とは、肥満症や便秘、むくみなどに用いられる漢方薬であり、ツムラ62番として広く処方されています[6]。特に、お腹周りに脂肪が多く、便秘がちな方に適応があるとされています[5]。この漢方薬は18種類の生薬から構成されており、それぞれの生薬が複合的に作用することで、体質改善を促します。

防風通聖散の構成生薬と期待される効果

防風通聖散は、麻黄、大黄、芒硝、石膏、黄芩、山梔子、連翹、薄荷、荊芥、防風、当帰、芍薬、川芎、白朮、桔梗、甘草、生姜、滑石という多岐にわたる生薬の組み合わせにより、複数の薬理作用を発揮します。これらの生薬は、体内の余分な熱を取り除き(清熱作用)、血行を促進し(活血作用)、水分代謝を改善し(利水作用)、便通を整える(瀉下作用)といった働きを持つと考えられています。当院の皮膚科外来では、肥満が原因でアトピー性皮膚炎尋常性乾癬などの皮膚症状が悪化している患者さまに対して、生活習慣指導と合わせて防風通聖散を処方することがあります。

肥満症に対する作用機序の詳細

防風通聖散が肥満症に作用するメカニズムは多岐にわたります。主な作用機序としては、以下のような点が挙げられます[1][2][3][4]

  • 脂肪分解・燃焼促進作用: 麻黄などに含まれるエフェドリン類が交感神経を刺激し、脂肪細胞からの脂肪分解を促進し、熱産生を高めることでエネルギー消費を増加させると考えられています。
  • 便通改善作用: 大黄や芒硝が腸の蠕動運動を活発にし、便秘を改善します。これにより、体内の老廃物排出が促進され、代謝機能の改善に寄与すると考えられます。
  • 利水作用(むくみ改善): 白朮や滑石などが体内の余分な水分を排出し、むくみを軽減します。水分代謝の改善は、体重減少にもつながる可能性があります。
  • 抗炎症作用: 黄芩や山梔子などが持つ抗炎症作用により、肥満に伴う慢性炎症の軽減が期待されます。
  • 腸内環境改善作用: 近年の研究では、防風通聖散が腸内細菌叢に影響を与え、肥満を改善する可能性も示唆されています[1][4]。特に、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)という腸内細菌の増加が報告されており、これが腸管バリア機能の改善や糖代謝の改善に寄与すると考えられています[4]

これらの複合的な作用により、防風通聖散は肥満症の改善に貢献すると期待されています。実際の診察では、患者さまから「お腹の張りが楽になった」「便通が改善された」といったフィードバックをいただくことがよくあります。

防風通聖散の用法・用量と服用上の注意点

防風通聖散は、その効果を最大限に引き出すために、適切な用法・用量を守ることが重要です。また、服用にあたってはいくつかの注意点があります[5][6]

標準的な用法・用量

添付文書に記載されている標準的な用法・用量は以下の通りです[5][6]

成人(15歳以上)
1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に水またはぬるま湯で服用します。ツムラ62番顆粒の場合、1包2.5gなので、1日3包を服用するのが一般的です。
小児
年齢、体重、症状に応じて適宜減量されます。医師の指示に従ってください。

食前とは食事の約30分前、食間とは食事と食事の間(食後約2時間後)を指します。漢方薬は空腹時に服用することで、生薬の成分が吸収されやすいとされています。ただし、胃腸が弱い方や、食前服用で気分が悪くなる場合は、食後に服用することも可能ですので、医師や薬剤師に相談してください。

服用上の重要な注意点

防風通聖散を服用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 体質・症状の確認: 防風通聖散は「実証」と呼ばれる体質、つまり体力があり、お腹周りに脂肪が多く、便秘がちな方に適しています。虚弱体質の方や下痢しやすい方には不向きな場合があります。
  • 併用薬の確認: 他の漢方薬や西洋薬との併用により、相互作用や副作用のリスクが高まることがあります。特に、麻黄を含む他の漢方薬や、下剤、高血圧治療薬などとの併用には注意が必要です。必ず医師や薬剤師に相談し、現在服用しているすべての薬を伝えてください。
  • 妊娠・授乳中の方: 妊娠中または授乳中の方は、服用前に必ず医師に相談してください。特に妊娠中は、子宮収縮作用や流早産の可能性のある生薬(大黄など)が含まれているため、慎重な判断が必要です。
  • 基礎疾患のある方: 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能亢進症、緑内障などの持病がある方は、病状が悪化する可能性があるため、服用前に必ず医師に相談してください。
⚠️ 注意点

自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。特に、市販の防風通聖散を服用する際も、ご自身の体質や持病を考慮し、専門家への相談を強く推奨します。

皮膚科の日常診療では、患者さまの体質や生活習慣を詳細に問診し、防風通聖散が適しているかを慎重に判断しています。特に、便秘の程度やむくみの有無、お腹周りの脂肪のつき方などを確認することが、治療のポイントになります。

防風通聖散の副作用と注意すべき症状

防風通聖散服用時に注意すべき副作用、腹痛や下痢などの症状
防風通聖散の主な副作用と対処法

防風通聖散は漢方薬であり、一般的に副作用が少ないとされていますが、全くないわけではありません。体質や体調によっては、様々な副作用が現れる可能性があります。特に注意すべきは、重大な副作用と、比較的頻度の高いその他の副作用です[5][6]

重大な副作用

頻度は極めて稀ですが、以下のような重大な副作用が報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。

  • 偽アルドステロン症: 尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が上がる、頭痛などの症状が現れることがあります。これは、甘草の成分が体内の電解質バランスに影響を与えることで起こる可能性があります。
  • ミオパチー: 偽アルドステロン症の進行により、脱力感、筋肉痛、四肢のけいれん、麻痺などの症状が現れることがあります。
  • 肝機能障害、黄疸: 全身のだるさ、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)、褐色尿などの症状が現れることがあります。
  • 腸間膜静脈硬化症: 長期服用により、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などが繰り返し現れることがあります。

その他の副作用

比較的頻度が高い、または注意が必要な副作用としては、以下のようなものがあります。これらの症状が続く場合や悪化する場合は、医師や薬剤師に相談してください。

  • 消化器症状: 吐き気、嘔吐、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢、軟便などが現れることがあります。特に大黄の作用により、下痢が起こりやすい場合があります。
  • 皮膚症状: 発疹、発赤、かゆみなどが現れることがあります。
  • 精神神経系症状: 不眠、発汗過多、頻脈、動悸、精神興奮などが現れることがあります。これは麻黄の成分による交感神経刺激作用が原因となることがあります。
  • その他: 尿量減少、むくみ、全身倦怠感など。

当院では防風通聖散を処方した患者さまから、「最初は便が緩くなったが、しばらくしたら落ち着いた」「動悸が少し気になる」といったフィードバックをいただくことが多いです。これらの症状については、服用量や期間の調整、あるいは他の漢方薬への切り替えを検討することもあります。特に、動悸や不眠が続く場合は、麻黄の含有量を考慮し、他の漢方薬への変更を提案することもあります。

副作用の種類主な症状対応
重大な副作用偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症直ちに服用中止、医療機関受診
その他の副作用吐き気、下痢、発疹、動悸、不眠など症状が続く・悪化する場合は医師に相談

防風通聖散に関する患者さまからのご質問

ここでは、当院の皮膚科外来で患者さまからよく聞かれる防風通聖散に関する質問と、それに対する私の臨床経験に基づいた回答をご紹介します。

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. どれくらいの期間で効果を実感できますか?
A. 皮膚科の臨床経験上、効果の実感には個人差が大きいと感じています。便通の改善は比較的早く、数日〜1週間程度で感じられる方が多い印象です。体重減少や体脂肪の変化については、2〜3ヶ月以上の継続で徐々に現れることが多いです。当院では、最低でも1ヶ月間は継続していただき、その後の効果や副作用について評価しています。
Q. 運動や食事制限と併用した方が良いですか?
A. はい、防風通聖散はあくまで補助的な役割を果たすものです。実際の診察では、運動習慣の導入や食生活の見直しを強く推奨しています。漢方薬の効果を最大限に引き出し、リバウンドを防ぐためにも、生活習慣の改善は不可欠です。当院では、管理栄養士と連携して食事指導を行うこともあります。
Q. 飲み忘れてしまった場合はどうすれば良いですか?
A. 飲み忘れに気づいた時点で、次の服用まで時間があれば1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばして次の予定通りに服用し、2回分を一度に服用することは避けてください。当院では、服薬カレンダーやアラームの活用をお勧めしています。
Q. 市販薬と病院で処方される薬は同じですか?
A. 基本的な生薬の配合は同じですが、市販薬と医療用医薬品では、生薬の配合量や抽出方法、製剤の品質管理に違いがある場合があります。また、医療用医薬品は医師の診断に基づいて処方されるため、ご自身の体質や症状に合ったものが選ばれ、副作用への対応も迅速に行えます。当院では、患者さまの健康状態を把握した上で、最適な処方を判断しています。
Q. 他の漢方薬やサプリメントとの飲み合わせは大丈夫ですか?
A. 飲み合わせには注意が必要です。特に、麻黄や甘草を含む他の漢方薬や、下剤成分を含むサプリメントなどとの併用は、副作用のリスクを高める可能性があります。当院では、問診時に現在服用しているすべての薬やサプリメントについて詳しくお伺いし、相互作用がないかを確認しています。自己判断での併用は避けて、必ず医師や薬剤師にご相談ください。
Q. どのくらいの期間飲み続ける必要がありますか?
A. 効果や副作用の状況によって異なりますが、一般的には数ヶ月から半年程度継続して服用される方が多いです。当院では、定期的な診察で効果の評価と副作用の有無を確認し、継続の要否や減量・中止のタイミングを判断しています。漫然と長期服用するのではなく、医師と相談しながら治療計画を立てることが重要です。

ジェネリック医薬品について

防風通聖散のジェネリック医薬品と先発薬の比較、効果と価格
防風通聖散のジェネリック医薬品

防風通聖散には、ツムラ製以外にも複数のメーカーからジェネリック医薬品が販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品(ツムラ製など)と同じ有効成分、同じ効能・効果を持つと国から認められた医薬品です。

ジェネリック医薬品のメリットと選択肢

ジェネリック医薬品の最大のメリットは、先発医薬品に比べて薬価が安価である点です。これにより、患者さまの医療費負担を軽減することができます。防風通聖散のジェネリック医薬品も、ツムラ62番と同様に、肥満症や便秘、むくみなどの症状に対して処方されます。

当院では、患者さまの希望に応じてジェネリック医薬品を選択することが可能です。ただし、漢方薬のジェネリック医薬品については、生薬の産地や品質、製造方法の違いにより、先発品と全く同じ効果や風味を感じないという方もいらっしゃいます。実際の処方では、患者さまから「以前飲んでいたものと味が違う」という声を聞くこともありますが、有効成分の同等性は保証されています。当院では、患者さまの経済的負担と治療効果のバランスを考慮し、最適な選択をサポートしています。

ジェネリック医薬品の品質と安全性

ジェネリック医薬品は、厚生労働省の厳しい基準をクリアし、先発医薬品との生物学的同等性が確認されています。つまり、体内で吸収されてから効果を発揮するまでの過程が、先発医薬品とほぼ同じであることが科学的に証明されています。そのため、品質や安全性についても先発医薬品と同等であるとされています。

ただし、漢方製剤においては、生薬という天然物を使用しているため、メーカーによってわずかな風味や色合いの違いが生じることはあります。これは品質に問題があるわけではなく、製造工程や使用する生薬のロット差によるものです。不明な点があれば、遠慮なく医師や薬剤師にご相談ください。

まとめ

防風通聖散(ツムラ62)は、お腹周りの脂肪が多く、便秘がちな肥満症の方に有効な漢方薬です。脂肪燃焼促進、便通改善、利水作用、腸内環境改善など、複数のメカニズムで肥満にアプローチします。服用にあたっては、適切な用法・用量を守り、体質や持病、併用薬について医師や薬剤師に相談することが重要です。重大な副作用は稀ですが、偽アルドステロン症や肝機能障害などには注意が必要です。ジェネリック医薬品も選択肢としてあり、経済的負担を軽減できます。防風通聖散は生活習慣の改善と併用することで、より効果的な肥満治療が期待できます。

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よくある質問(FAQ)

防風通聖散はどのような体質の人に合いますか?
防風通聖散は、漢方医学でいう「実証」と呼ばれる、体力があり、お腹周りに脂肪が多く、便秘がちな方に適しているとされています。顔色が良い、のぼせやすい、汗をかきやすいといった特徴を持つ方にも処方されることがあります。
防風通聖散で下痢が止まらない場合はどうすれば良いですか?
防風通聖散に含まれる大黄などの生薬には瀉下作用(下剤作用)があるため、下痢や軟便が起こることがあります。症状が軽い場合は様子を見ることがありますが、下痢が続く、ひどくなる場合は、服用量を減らすか、一時的に服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。体質に合わない可能性もあります。
防風通聖散は保険適用になりますか?
はい、医療機関で医師が肥満症や便秘などの疾患に対して防風通聖散を処方した場合、保険適用となります。ただし、市販薬として購入する場合は保険適用外です。医師の診断に基づいた処方であれば、医療費の負担を軽減できます。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長