五苓散とむくみ|効果・副作用を皮膚科医が解説
最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
- ✓ 五苓散は体内の水分バランスを調整し、むくみやめまい、頭痛などの症状に効果が期待される漢方薬です。
- ✓ 添付文書に記載された用法・用量を守り、副作用に注意しながら服用することが重要です。
- ✓ 臨床経験上、効果を実感するまでには個人差があり、継続的な服用と医師との相談が推奨されます。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
五苓散(ゴレイサン)とは?その定義とメカニズム

五苓散の構成生薬とは?
五苓散は、以下の5種類の生薬から構成されています[5]。- タクシャ(沢瀉):利尿作用があり、体内の余分な水分を排出するのを助けます。
- チョレイ(猪苓):タクシャと同様に利尿作用を持ち、水分代謝を促進します。
- ブクリョウ(茯苓):利尿作用に加え、精神安定作用や消化器系の働きを整える作用も持ちます。
- ビャクジュツ(白朮):消化吸収を助け、体内の水分代謝を改善する作用があります。
- ケイヒ(桂皮):体を温め、血行を促進する作用があり、水分の停滞による冷えや頭痛の改善に寄与します。
五苓散の作用メカニズムとは?
五苓散の作用メカニズムは、主に体内の水分代謝調節にあります。現代医学的な研究では、五苓散がアクアポリン(AQP)という水チャネルの働きを調整することで、細胞内外の水分移動をコントロールしている可能性が示唆されています[1]。- アクアポリン(Aquaporin: AQP)
- 細胞膜に存在するタンパク質の一種で、水分子のみを選択的に透過させるチャネルです。体内の様々な組織に存在し、水分バランスの維持に重要な役割を果たしています。
五苓散はどのような症状に効果がある?
五苓散は、体内の水分バランスの乱れによって引き起こされる様々な症状に対して効果が期待されます。添付文書に記載されている効能・効果は以下の通りです[5]。- 口渇、尿量減少を伴う方の次の諸症:浮腫、ネフローゼ、暑気あたり、吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛、めまい、下痢
- 急性胃腸炎、二日酔い
むくみ(浮腫)への効果
五苓散は、体内の余分な水分を排出し、むくみを改善する効果が期待されます。特に、口渇があるにもかかわらず尿量が少ない、あるいは尿の出が悪いといった「水滞」の症状を伴うむくみに適しています。腎臓病によるむくみや、ネフローゼ症候群に伴うむくみに対しても、症例報告でその有効性が示唆されています[4]。頭痛・めまいへの効果
体内の水分バランスの乱れは、頭痛やめまいを引き起こすことがあります。特に、気圧の変化によって体調を崩しやすい方や、二日酔いによる頭痛・めまいにも五苓散が用いられることがあります。これは、脳内の水分バランスの調整作用が関与している可能性も考えられます[1]。吐き気・嘔吐・下痢への効果
急性胃腸炎や二日酔いによる吐き気、嘔吐、下痢といった消化器症状にも五苓散は効果を発揮することがあります。これらの症状も、体内の水分代謝異常が関与していると考えられています。特に、水様性の下痢や、水分を摂ってもすぐに吐いてしまうような状態に用いられることがあります。その他の応用例
近年では、脳外科領域において、くも膜下出血後の血管攣縮治療薬であるクラゾセンタンによる粘膜浮腫の副作用に対して、五苓散が有効である可能性が示唆されています[2]。これは、五苓散が全身の水分バランスだけでなく、特定の組織における浮腫にも作用する可能性を示唆するものです。| 症状 | 五苓散の主な期待効果 | 特徴的な所見 |
|---|---|---|
| むくみ(浮腫) | 体内の余分な水分排出、水分代謝改善 | 口渇、尿量減少、手足や顔の腫れ |
| 頭痛・めまい | 脳内・全身の水分バランス調整 | 気圧変化による不調、二日酔い、フワフワしためまい |
| 吐き気・嘔吐・下痢 | 消化器系の水分代謝改善 | 急性胃腸炎、二日酔い、水様性下痢 |
| 暑気あたり | 体内の熱と水分のバランス調整 | 夏バテ、倦怠感、頭重感 |
五苓散の正しい飲み方と注意点

用法・用量
ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)の場合、通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減されます[5]。食前とは食事の約30分前、食間とは食後約2時間後を指します。お湯に溶かして温かい状態で服用すると、生薬の成分が吸収されやすくなると言われています。 実際の診察では、患者さまから「食前・食間に飲むのが難しい」と質問されることがよくあります。その場合、食後すぐの服用でも問題ないことをお伝えし、無理なく継続できる方法を一緒に検討します。大切なのは、毎日忘れずに服用を続けることです。飲み忘れが多いと、期待される効果が得られにくくなる可能性があります。服用上の注意点
- 体質・症状に合わせた服用:五苓散は「水滞」の症状がある方に適しています。体質に合わない場合は、効果が得られなかったり、副作用が出やすくなったりすることがあります。
- 他の薬剤との併用:他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。相互作用により、効果が減弱したり、副作用が増強したりする可能性があります。
- 妊娠・授乳中の服用:妊娠中または授乳中の女性は、服用前に必ず医師に相談してください。治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ処方されます[5]。
- 小児への服用:小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
- 症状の観察:服用開始後も、症状の変化や体調の変化に注意し、異変を感じたら速やかに医師に相談してください。
⚠️ 注意点
五苓散は、体質や症状によって効果の現れ方や副作用のリスクが異なります。特に、高齢者や胃腸の弱い方は慎重な服用が必要です。また、長期にわたる服用が必要な場合でも、定期的に医師の診察を受け、効果と安全性を確認することが大切です。
五苓散の副作用と対処法
どのような薬にも副作用のリスクは存在します。五苓散も例外ではなく、服用中に体調の変化を感じた場合は、速やかに医師や薬剤師に相談することが重要です。重大な副作用
添付文書には、五苓散の重大な副作用として、以下のものが記載されています[5]。- 偽アルドステロン症:尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が上がる、頭痛などの症状が現れることがあります。これは、体内の電解質バランスが崩れることで起こる状態です。
- ミオパチー:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛などの症状が現れることがあります。これは、偽アルドステロン症の進行によって引き起こされることがあります。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下のような症状が報告されています[5]。- 消化器症状:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢など。
- 皮膚症状:発疹、かゆみなど。
五苓散に関する患者さまからのご質問

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 五苓散はどのくらいで効果が出始めますか?
A. 皮膚科の臨床経験上、効果を実感されるまでの期間には個人差が大きいです。急性胃腸炎や二日酔いによる吐き気・下痢など、急性の症状には比較的早く、数日〜1週間程度で効果を感じる方もいらっしゃいます。一方で、慢性的なむくみやめまいに対しては、2週間〜1ヶ月程度の継続的な服用で徐々に効果が現れることが多い印象です。当院では、まず2週間〜1ヶ月を目安に服用を続けていただき、その後の診察で効果の有無や体調の変化を詳しく伺っています。
Q. むくみがひどいのですが、市販の五苓散を飲んでも大丈夫ですか?
A. 市販薬の五苓散もありますが、むくみの原因は多岐にわたります。心臓病、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能低下症など、重篤な病気が隠れている可能性もあります。自己判断で服用を続けると、病気の発見が遅れるリスクがあるため、まずは一度医療機関を受診し、むくみの原因を特定することが重要です。当院では、問診や必要に応じて血液検査などを行い、適切な診断と治療方針を提案しています。
Q. 五苓散を飲むと、喉が渇きやすくなることはありますか?
A. 五苓散は体内の水分バランスを調整する薬であり、口渇を伴う症状に用いられることが多いです。しかし、服用によって一時的に喉の渇きを感じる方もいらっしゃいます。これは、体内の余分な水分が排出される過程で生じることもありますが、過度な脱水状態にならないよう、適度な水分補給を心がけることが大切です。もし、異常な口渇や尿量減少が続く場合は、副作用の可能性も考慮し、すぐに医師にご相談ください。
Q. 妊娠中に五苓散を飲んでも安全ですか?
A. 妊娠中の薬の服用は、胎児への影響を考慮し、非常に慎重に行う必要があります。五苓散の添付文書には、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されています[5]。当院では、妊娠中の患者さまには、まず非薬物療法を検討し、それでも症状が改善しない場合や、症状が重い場合に限り、産婦人科医と連携しながら慎重に処方を検討します。必ず自己判断せずに、かかりつけの医師にご相談ください。
Q. 五苓散は長期的に服用しても大丈夫ですか?
A. 五苓散は比較的安全性の高い漢方薬とされていますが、長期的な服用が必要な場合は、定期的に医師の診察を受け、体調の変化や副作用の有無を確認することが重要です。特に、偽アルドステロン症やミオパチーなどの重大な副作用は、長期服用中に現れる可能性もあります。当院では、長期処方の場合でも、数ヶ月に一度は血液検査で電解質バランスなどを確認し、患者さまの安全を最優先に考えています。
Q. 五苓散と他の漢方薬を併用しても良いですか?
A. 漢方薬同士の併用は、構成生薬の重複による副作用のリスクや、相互作用による効果の増減が生じる可能性があるため、自己判断での併用は避けるべきです。特に、甘草(カンゾウ)を含む漢方薬を複数併用すると、偽アルドステロン症のリスクが高まることがあります。五苓散にも甘草は含まれていませんが、他の漢方薬との併用を希望される場合は、必ず医師や薬剤師に相談し、適切な組み合わせかどうかを確認してください。
ジェネリック医薬品について
五苓散には、ツムラ以外のメーカーからも同様の成分・効果を持つジェネリック医薬品が販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品(新薬)と同じ有効成分を同じ量含み、同等の品質・効き目・安全性が国によって認められた医薬品です。ジェネリック医薬品のメリット
- 薬価が安い:開発費用がかからないため、先発医薬品に比べて薬価が安く設定されており、患者さまの医療費負担を軽減できます。
- 選択肢の増加:複数のメーカーから販売されている場合、味や形状(顆粒、錠剤など)が異なることがあり、患者さまの好みに合わせて選択できる場合があります。
まとめ
五苓散は、体内の水分バランスを調整することで、むくみ、頭痛、めまい、吐き気、下痢など、様々な「水滞」症状に効果が期待される漢方薬です。その作用は、アクアポリンの調節など、現代医学的な研究でもそのメカニズムが解明されつつあります。服用に際しては、添付文書に記載された用法・用量を守り、偽アルドステロン症やミオパチーなどの重大な副作用に注意が必要です。効果の現れ方には個人差があり、長期にわたる服用が必要な場合は、定期的に医師の診察を受け、安全性を確認することが大切です。むくみや体調不良でお悩みの方は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
- Takafumi Nakano, Chisa Nishigami, Keiichi Irie et al.. Goreisan Prevents Brain Edema after Cerebral Ischemic Stroke by Inhibiting Aquaporin 4 Upregulation in Mice.. Journal of stroke and cerebrovascular diseases : the official journal of National Stroke Association. 2018. PMID: 29153303. DOI: 10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2017.10.010
- Yosuke Akamatsu, Kohei Chida, Kenya Miyoshi et al.. Effects of the Japanese traditional medicine Goreisan on adverse events affecting mucosal edema in patients with subarachnoid hemorrhage treated with clazosentan.. Neurosurgical review. 2025. PMID: 40069304. DOI: 10.1007/s10143-025-03394-4
- Yoshiaki Yano, Hajime Yano, Hisaaki Takahashi et al.. Goreisan Inhibits Upregulation of Aquaporin 4 and Formation of Cerebral Edema in the Rat Model of Juvenile Hypoxic-Ischemic Encephalopathy.. Evidence-based complementary and alternative medicine : eCAM. 2020. PMID: 29234383. DOI: 10.1155/2017/3209219
- Masaki Shimizu, Norimasa Tada, Hitoshi Irabu et al.. Successful treatment of intractable edema with Goreisan in severe lupus nephritis with nephrotic syndrome: a case report.. CEN case reports. 2026. PMID: 41642389. DOI: 10.1007/s13730-025-01080-4
- 五苓散 添付文書 – PMDA(医薬品医療機器総合機構)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
