竜胆瀉肝湯

【竜胆瀉肝湯の効果と副作用】|皮膚科医が解説

竜胆瀉肝湯の効果と副作用|皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • 竜胆瀉肝湯は、下腹部や生殖器周辺の炎症性疾患に用いられる漢方薬です。
  • ✓ 添付文書に準拠した用法・用量を守り、体質や症状に合わせた適切な服用が重要です。
  • ✓ 副作用として、間質性肺炎や肝機能障害などの重大なものから、胃部不快感などの一般的なものまで報告されています。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

竜胆瀉肝湯(ツムラ76)とは?その特徴と適応疾患

竜胆瀉肝湯の生薬構成成分と効能を表す漢方薬の解説図
竜胆瀉肝湯の生薬と効能
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)とは、漢方医学において「湿熱(しつねつ)」と呼ばれる病態を改善するために用いられる漢方薬です。特に、下腹部や生殖器周辺の炎症、排尿困難、頻尿、帯下(おりもの)などの症状に対して効果が期待されます[1]。当院の皮膚科外来では、特に陰部の湿疹や痒み、あるいは繰り返す外陰炎や亀頭炎など、西洋医学的な治療に加えて漢方薬の併用を検討する際に処方することがあります。
湿熱(しつねつ)とは
漢方医学における病態の一つで、体内に余分な水分(湿)と炎症(熱)が同時に存在し、停滞している状態を指します。これにより、むくみ、だるさ、排泄異常、皮膚のただれや痒みなどの症状が現れると考えられています。
この処方は、竜胆(りゅうたん)、黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)、沢瀉(たくしゃ)、木通(もくつう)、車前子(しゃぜんし)、当帰(とうき)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)の9種類の生薬から構成されています[1]。それぞれの生薬が持つ作用により、体内の湿熱を取り除き、炎症を鎮め、排尿を促すことで症状の改善を図ります。例えば、竜胆、黄芩、山梔子は「清熱燥湿(せいねつそうしつ)」といって、体内の熱や湿を取り除く作用が強く、沢瀉、木通、車前子は「利水滲湿(りすいしんしつ)」といって、余分な水分を排出する作用があるとされています[2]。また、当帰は血行を改善し、柴胡は気の流れを整えることで、全体のバランスを調整する役割を担います。 ツムラ76「竜胆瀉肝湯」は、医療用漢方製剤として広く用いられており、主に以下の疾患に適用されます[1]
  • 比較的体力があり、下腹部筋肉が緊張する傾向のあるものの次の諸症:排尿痛、残尿感、頻尿、帯下、陰部湿疹、陰部痒み
実際の診察では、患者さまから「西洋薬だけではなかなか改善しない陰部の痒みが気になる」といった相談を受けることが多いです。そのような場合、竜胆瀉肝湯は、炎症を抑えつつ、体質改善を促す目的で処方されることがあります。特に、湿潤性の皮膚病変に対しては、その利水作用が期待できるため、選択肢の一つとして考慮されます。ただし、漢方薬は個人の体質や症状によって効果が異なるため、医師や薬剤師と相談し、ご自身に合った処方を見つけることが重要です。

竜胆瀉肝湯の作用メカニズムと期待される効果

竜胆瀉肝湯の作用メカニズムは、配合されている複数の生薬の複合的な働きによって、体内の「湿熱」を取り除き、症状を改善することにあります。この漢方薬は、主に泌尿生殖器系や下腹部の炎症性疾患に対して効果を発揮すると考えられています。

湿熱を清し、利水する作用

竜胆瀉肝湯の中心となる作用は、体内に停滞している湿熱を清し、余分な水分を排出することです。具体的には、竜胆、黄芩、山梔子といった生薬が、炎症を鎮め、熱を取り除く「清熱作用」を発揮します。これらの生薬は、特に肝臓や胆嚢、泌尿生殖器系の炎症に効果的とされています[2]。一方、沢瀉、木通、車前子などの生薬は、腎臓の働きを助け、尿の排出を促す「利水作用」を持ち、体内の余分な水分や老廃物を体外へ排出することで、むくみや排尿困難、帯下などの症状を改善します[2]

血行改善と気の巡りの調整

当帰は血行を促進し、炎症部位への栄養供給を改善することで、組織の修復を助けるとともに、痛みを和らげる効果が期待されます。また、柴胡は「疏肝解鬱(そかんげうつ)」といって、ストレスや気の滞りによって生じる症状(イライラ、胸脇苦満など)を改善し、自律神経のバランスを整える作用があるとされています[2]。これらの生薬が、炎症による不快な症状だけでなく、それに伴う全身の不調和も改善することで、より根本的な治療を目指します。

期待される具体的な効果

竜胆瀉肝湯は、その作用メカニズムから、以下のような具体的な効果が期待されます。
  • 排尿痛・残尿感・頻尿の改善: 膀胱炎や尿道炎など、泌尿器系の炎症による症状を和らげます。
  • 帯下(おりもの)の改善: 湿熱による異常な帯下を減少させ、性器周辺の清潔を保ちます。
  • 陰部湿疹・陰部痒みの緩和: 陰部の湿潤性湿疹や強い痒みに対し、炎症を抑え、湿を取り除くことで症状を軽減します。
当院では竜胆瀉肝湯を処方した患者さまから、「排尿時の不快感が軽減された」「陰部の痒みが以前より和らいだ」というフィードバックをいただくことが多いです。特に、西洋薬で症状が一時的に改善しても再発を繰り返すようなケースで、体質改善の一助として効果を実感される方が少なくありません。ただし、効果の現れ方には個人差があり、数週間から数ヶ月の継続的な服用が必要となる場合もあります。

竜胆瀉肝湯の正しい用法・用量と服用時の注意点

竜胆瀉肝湯の正しい服用方法と注意点を説明する薬剤師の指導風景
竜胆瀉肝湯の服用方法と注意
竜胆瀉肝湯は、漢方薬であるため、西洋薬とは異なる服用方法や注意点があります。添付文書に記載された用法・用量を守り、適切に服用することが重要です。

標準的な用法・用量

ツムラ竜胆瀉肝湯エキス顆粒(医療用)の標準的な用法・用量は以下の通りです[1]
  • 通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。
  • なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
「食前」とは食事の約30分前、「食間」とは食事と食事の間、食後約2時間後を指します。漢方薬は空腹時に服用することで、生薬の成分が吸収されやすいとされていますが、胃腸が弱い方や、胃部不快感などの副作用が出やすい方は、食後に服用することも検討されます。当院では、患者さまの生活スタイルや胃腸の状態を問診で確認し、最適な服用タイミングをアドバイスしています。

服用時の注意点

⚠️ 注意点

自己判断での服用中止や用量変更は避け、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。症状が改善しない場合や悪化した場合は、速やかに医療機関を受診してください。

  • 長期服用: 長期にわたって服用する場合は、定期的に検査を行い、副作用の有無を確認することが重要です。特に、甘草が含まれているため、偽アルドステロン症のリスクに注意が必要です。
  • 併用薬: 他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。生薬成分の重複や相互作用により、思わぬ副作用が生じる可能性があります。
  • 特定の患者さま: 妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳婦、高齢者、小児、基礎疾患(心臓病、高血圧、腎臓病など)を持つ患者さまは、服用前に必ず医師に相談してください。
皮膚科の臨床経験上、漢方薬は効果が出るまでに時間がかかることもあります。外来で竜胆瀉肝湯を使用した経験では、効果を実感されるまでに2週間〜1ヶ月程度かかる方が多い印象です。効果が感じられないからといってすぐに服用を中止せず、まずは継続して様子を見ることが大切です。また、症状が改善した後も、再発予防のためにしばらく服用を続けるケースもありますが、その判断は医師と相談して行うべきです。

竜胆瀉肝湯の副作用:重大なものから一般的なものまで

竜胆瀉肝湯は自然由来の生薬から作られていますが、副作用がないわけではありません。服用中に気になる症状が現れた場合は、速やかに医師や薬剤師に相談してください。副作用は、その重篤性や発生頻度によって分類されます。

重大な副作用

頻度は不明とされていますが、以下のような重大な副作用が報告されています[1]
  • 間質性肺炎: 発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)などが現れることがあります。
  • 偽アルドステロン症: 低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加などの症状が現れることがあります。これは、配合生薬の甘草が原因となることがあります。
  • ミオパチー: 脱力感、筋肉痛、四肢痙攣、麻痺などの症状が現れることがあります。偽アルドステロン症の結果として生じることがあります。
  • 肝機能障害、黄疸: AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの上昇を伴う肝機能障害や、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が現れることがあります。
これらの症状に気づいた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。特に、偽アルドステロン症やミオパチーは、甘草を含む他の漢方薬との併用でリスクが高まる可能性があるため、複数の漢方薬を服用している場合は注意が必要です。

その他の副作用

頻度は不明とされていますが、以下のような副作用が報告されています[1]
  • 消化器系: 食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢など。
  • 皮膚: 発疹、蕁麻疹など。
これらの症状は比較的軽度であることが多いですが、症状が続く場合や悪化する場合は、医師に相談してください。当院では、処方する際に、患者さまの体質や既往歴を詳しく確認し、副作用のリスクを最小限に抑えるよう努めています。特に、胃腸が弱い患者さまには、食後の服用を勧めたり、少量から開始したりするなど、個別の配慮を行っています。また、定期的なフォローアップで、効果の実感だけでなく、副作用の有無についても詳しく確認しています。

竜胆瀉肝湯に関する患者さまからのご質問

竜胆瀉肝湯に関するよくある質問に答える医師と患者の対話
竜胆瀉肝湯の質問と回答
🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 竜胆瀉肝湯は、どれくらいの期間服用すれば効果が出ますか?
A. 漢方薬の効果の現れ方には個人差が大きいですが、当院の臨床経験では、多くの方が2週間から1ヶ月程度で何らかの変化を実感されることが多いです。特に、排尿時の不快感や陰部の痒みといった症状は、比較的早期に改善の兆しが見られることがあります。しかし、体質改善を目的とする場合は、数ヶ月間の継続的な服用が必要となることもありますので、自己判断で中断せず、医師の指示に従ってください。
Q. 飲み忘れてしまった場合、どうすれば良いですか?
A. 飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は飛ばして、次の服用時間から通常通り服用してください。2回分を一度に服用することは避けてください。規則正しい服用が効果的ですが、あまり神経質になりすぎず、できる範囲で継続することが大切です。
Q. 他の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 漢方薬と西洋薬の併用は一般的ですが、一部の薬との飲み合わせには注意が必要です。特に、他の漢方薬を服用している場合、甘草など同じ生薬成分が重複することで、副作用のリスクが高まることがあります。当院では、患者さまが現在服用されているすべての薬(市販薬やサプリメントを含む)を問診票に記入していただき、相互作用がないかを確認した上で処方していますので、必ず正確な情報をお伝えください。
Q. 妊娠中や授乳中に服用しても問題ないですか?
A. 妊娠中や授乳中の服用については、安全性が十分に確立されていないため、原則として推奨されません。しかし、症状によっては医師の判断で慎重に処方される場合もあります。当院では、妊娠を希望されている方、妊娠中の方、授乳中の方には、必ずその旨を申告していただき、リスクとベネフィットを十分に検討した上で、最適な治療法を一緒に考えていきます。
Q. 竜胆瀉肝湯は体力がどのくらいあれば服用できますか?
A. 竜胆瀉肝湯は、添付文書上「比較的体力があり、下腹部筋肉が緊張する傾向のあるもの」に適応があるとされています。これは、漢方医学でいう「実証(じっしょう)」に近い体質を指します。当院では、問診や腹診を通して、患者さまの体力や体質を総合的に判断し、この薬が適しているかどうかを慎重に検討します。体力が著しく低下している方や、胃腸が非常に弱い方には、他の漢方薬を検討するか、より少量から開始するなどの調整を行うことがあります。
Q. ジェネリック医薬品はありますか?
A. 竜胆瀉肝湯は、ツムラの製品以外にも、複数の製薬会社からジェネリック医薬品(後発医薬品)として販売されています。これらは主成分や効果は同じですが、添加物や風味、価格などが異なる場合があります。当院では、患者さまのご希望や状況に応じて、ジェネリック医薬品の選択肢もご案内しています。ジェネリック医薬品についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

竜胆瀉肝湯のジェネリック医薬品と選び方

竜胆瀉肝湯は、ツムラから「ツムラ竜胆瀉肝湯エキス顆粒(医療用)」として販売されていますが、これ以外にも複数の製薬会社からジェネリック医薬品(後発医薬品)が製造・販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含み、同等の効果と安全性が確認されている医薬品です。

ジェネリック医薬品の存在

漢方製剤においても、先発品であるツムラ以外のメーカーから、同じ処方内容のジェネリック医薬品が提供されています。例えば、クラシエ、コタロー、オースギ、三和生薬など、多くのメーカーが竜胆瀉肝湯を製造しています。これらのジェネリック医薬品は、厚生労働省の承認を受けており、先発品と同等の品質、効き目、安全性が保証されています[3]
項目先発品(ツムラ)ジェネリック医薬品
有効成分竜胆瀉肝湯エキス竜胆瀉肝湯エキス
効果・効能同等同等
安全性同等同等
価格ジェネリックより高価先発品より安価
味・匂い・溶けやすさメーカーにより異なるメーカーにより異なる

ジェネリック医薬品を選ぶメリットと注意点

ジェネリック医薬品を選ぶ最大のメリットは、薬価が安価であるため、医療費の自己負担額を抑えられる点です。長期にわたって服用が必要な場合、この差は大きくなります。しかし、漢方薬のジェネリック医薬品には、先発品と比べて以下のような違いがある場合があります。
  • 味や匂い: 賦形剤(薬の形を整える成分)や製造方法の違いにより、味や匂いが異なることがあります。
  • 溶けやすさ: 水に溶かす際に、溶けやすさや粉っぽさに違いを感じる方もいます。
これらの違いは、服用感に影響を与えることがありますが、薬効に直接的な影響はありません。当院では、患者さまがジェネリック医薬品を希望される場合、これらの違いについて説明し、納得して選択していただけるようにしています。特に、漢方薬は継続して服用することが重要であるため、服用しやすいと感じる製品を選ぶことも大切です。薬剤師とも相談し、ご自身に合ったメーカーの製品を選ぶことをお勧めします。

まとめ

竜胆瀉肝湯は、下腹部や泌尿生殖器周辺の炎症性疾患、特に湿熱が原因とされる排尿痛、残尿感、頻尿、帯下、陰部湿疹、陰部痒みなどに用いられる漢方薬です。竜胆、黄芩、山梔子などの清熱利水作用を持つ生薬を中心に、血行改善や気の巡りを整える生薬が配合されており、体内の湿熱を取り除き、症状を緩和します。服用に際しては、添付文書に記載された用法・用量を守り、食前または食間に服用することが推奨されます。重大な副作用として、間質性肺炎、偽アルドステロン症、肝機能障害などが報告されており、これらの症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。また、胃部不快感などの一般的な副作用も起こり得ます。ツムラ製品以外にもジェネリック医薬品が存在し、医療費の負担軽減に役立ちますが、味や匂い、服用感に違いがある場合があります。漢方薬は体質や症状によって効果の現れ方が異なるため、医師や薬剤師とよく相談し、ご自身に合った治療法を選択することが重要です。

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よくある質問(FAQ)

竜胆瀉肝湯は保険適用されますか?
はい、医療機関で医師が処方するツムラ竜胆瀉肝湯エキス顆粒(医療用)などの医療用漢方製剤は、保険適用となります。ただし、市販されている一般用医薬品の竜胆瀉肝湯は、保険適用外となりますのでご注意ください。
竜胆瀉肝湯はどのような体質の人に向いていますか?
竜胆瀉肝湯は、比較的体力があり、下腹部筋肉が緊張する傾向のある方、いわゆる「実証」の方に適しているとされています。具体的には、顔色が赤みがちで、のぼせやすい、イライラしやすい、尿の色が濃い、舌苔が黄色いなどの特徴を持つ方に処方されることが多いです。
服用中にアルコールを摂取しても大丈夫ですか?
漢方薬の服用中にアルコールを摂取することは、一般的に推奨されません。アルコールは体内の熱や湿を増悪させる可能性があり、竜胆瀉肝湯の作用を妨げたり、消化器系の副作用を増強させたりすることが考えられます。治療効果を最大限に引き出すためにも、服用期間中はアルコール摂取を控えることをお勧めします。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長