Sol Medicine Guide / 01
ニキビに使う清上防風湯効果・飲み方・副作用と治療上の位置づけを皮膚科医が解説
清上防風湯は、医療用では「にきび」を効能・効果とする漢方製剤です。炎症性ニキビでの治療上の位置づけ、服用条件、効果判定の限界、甘草・山梔子に関連する注意点、他のニキビ治療との関係を公的資料に沿って整理します。
- 医療用漢方製剤
- 炎症性ニキビ
- PMDA・皮膚科学会参照

先に知りたいこと
- 清上防風湯は、医療用では「にきび」に用いる漢方製剤ですが、すべてのニキビに一律に使う薬ではありません。
- 日本皮膚科学会のガイドラインでは、炎症性皮疹に対し、他の治療が無効または実施できない場合の選択肢として位置づけられています。
- 甘草や山梔子に関連する重い副作用があるため、併用薬と服用期間を確認し、むくみ・筋力低下・黄疸・持続する腹痛などは早めに相談します。
- 分類複数の生薬を組み合わせた医療用漢方製剤です。
- 効能電子添文の効能・効果は「にきび」です。
- 位置づけ炎症性皮疹で、他の治療が無効または実施できない場合の選択肢です。
- 用法通常成人は1日7.5gを2〜3回に分け、食前または食間に服用します。
- 注意甘草・グリチルリチンの重複、長期服用、妊娠授乳、肝機能などを確認します。
- 画像公式/本文画像を出典付きで確認します。
清上防風湯とは:ニキビに使う医療用漢方
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)は、複数の生薬を組み合わせた漢方処方です。医療用のツムラ清上防風湯エキス顆粒の電子添文では、効能・効果は「にきび」とされています。処方箋に基づいて使用し、別の症状へ手元の薬を流用しません。

漢方薬は、病名だけでなく、体格、食欲や胃腸の状態、冷え・のぼせ、発汗、便通などを含む全身の状態を確認して選びます。同じニキビでも清上防風湯が合うとは限らず、炎症の程度、これまでの治療、併用薬、副作用リスクを踏まえて判断します。
医療用と市販薬は区別する
清上防風湯には医療用と一般用医薬品がありますが、生薬量、剤形、1回量、服用回数が製品ごとに異なります。医療用の処方指示を、市販薬の説明書や別メーカーの用量に置き換えないでください。すでに市販の漢方薬を使っている場合は、箱や成分表を診察時に確認します。
対象となるニキビと診断で確認すること
ニキビは、毛穴の詰まりである面皰、赤い丘疹、膿をもつ膿疱、深いしこりなどが混在します。清上防風湯を検討するときは、炎症性皮疹がどの程度あるか、外用治療を適切に使えているか、再発を繰り返す要因がないかを確認します。
面皰と炎症性皮疹を分けて考える
白ニキビ・黒ニキビなどの面皰が中心の場合は、アダパレンや過酸化ベンゾイルなど毛穴の詰まりに作用する外用薬が治療の中心です。赤い丘疹や膿疱がある炎症性ニキビでは、皮疹数と重症度に応じて外用抗菌薬、内服抗菌薬、漢方薬などを組み合わせるか検討します。
赤みだけで自己診断しない
顔の赤いぶつぶつは、酒さ、毛包炎、口囲皮膚炎、接触皮膚炎などでもみられます。ステロイド外用薬の使用歴、かゆみ・ほてり、左右差、急な広がり、使用中の化粧品や薬を確認し、必要に応じて治療を切り替えます。見た目だけで薬を選ばず、診断を確認することが大切です。
ガイドラインと研究からみた位置づけ
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、清上防風湯は炎症性皮疹に対し、他の治療が無効または実施できない場合の選択肢として推奨されています。推奨度はC1で、標準治療を置き換える第一選択という位置づけではありません。
ガイドラインで先に検討される治療には、過酸化ベンゾイル、アダパレン、両者の配合剤、症状に応じた外用・内服抗菌薬などがあります。妊娠可能性、刺激症状、アレルギー、治療歴、希望を踏まえ、実施できる治療の中から組み立てます。
1985年の多施設研究をどう読むか
1985年に報告された157例の多施設研究では、清上防風湯による尋常性痤瘡の経過が評価されています。ただし、無作為化された比較対照試験ではなく、治療前後をみた古い研究です。現在の外用標準治療との直接比較や、すべての方に同じ効果が得られることを示す資料ではありません。
したがって、研究結果だけで効果を保証せず、電子添文と現在のガイドラインを優先し、皮疹の変化と副作用を診察で評価します。
成分・用法用量と服用時の条件
医療用のツムラ清上防風湯エキス顆粒は、通常成人では1日7.5gを2回または3回に分け、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減されるため、処方された1回量と回数を優先してください。
構成生薬には、黄ごん、桔梗、山梔子、川きゅう、浜防風、白し、連翹、黄連、甘草、枳実、荊芥、薄荷が含まれます。生薬名が異なる別の漢方薬は同じ薬ではなく、処方を自己判断で変更しません。
食前・食間と飲み忘れ
食前は一般に食事のおよそ30分前、食間は食後およそ2時間が目安ですが、生活状況や胃腸症状に応じて指示が異なることがあります。飲み忘れた場合は2回分を一度に飲まず、次の服用時刻が近いかを確認して処方元または薬剤師へ相談します。
胃腸が弱い方、食欲不振、悪心、下痢が起こりやすい方では症状が悪化することがあります。服用後に体調が変わった場合は、我慢して続けず相談してください。
効果判定の時期と治療の限界
電子添文には、全員に共通する「何日で効く」という期間は定められていません。診察では、新しくできる炎症性皮疹の数、赤みや痛み、面皰の残り方、服用状況、副作用、併用している外用薬を確認して継続可否を判断します。
十分な期間服用しても改善が認められない場合は、漫然と継続しません。診断が合っているか、外用薬の塗り方、刺激の強いスキンケア、月経周期や内分泌疾患の可能性、薬剤による皮疹などを見直します。
ニキビ跡を直接治す薬ではない
清上防風湯は、陥凹したニキビ跡や盛り上がった瘢痕を直接治す薬ではありません。まず新しい炎症を抑え、色素沈着、赤み、凹み、盛り上がりの種類に応じて、時間を置いて別の治療を検討します。
副作用と長期服用で注意する症状
発疹、発赤、かゆみ、蕁麻疹、食欲不振、胃部不快感、悪心、腹痛、下痢などが報告されています。症状が続く場合や強い場合は、服用を中止するかを自己判断せず処方元へ相談します。
甘草に関連する偽アルドステロン症・ミオパチー
清上防風湯には甘草が含まれます。低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、むくみ、体重増加などを伴う偽アルドステロン症や、脱力感、四肢のけいれん・麻痺などを伴うミオパチーが起こることがあります。血圧や血清カリウム値を確認し、異常がある場合は中止などの対応が必要です。
肝機能障害・黄疸
AST、ALT、ALP、γ-GTPの上昇などを伴う肝機能障害や黄疸が報告されています。強い倦怠感、食欲低下、皮膚や白目が黄色い、尿が濃いなどの症状がある場合は早めに受診してください。
山梔子に関連する腸間膜静脈硬化症
山梔子を含む製剤の長期投与で、腸間膜静脈硬化症が報告されています。多くは5年以上の長期服用例とされていますが、期間だけで安全とは判断できません。繰り返す腹痛、下痢、便秘、腹部膨満、悪心・嘔吐、血便などがある場合は服用を続けず受診してください。
併用薬・妊娠授乳・受診の目安
甘草・グリチルリチンの重複を確認する
甘草を含む他の漢方薬、グリチルリチン酸やその塩類を含む製剤との併用では、偽アルドステロン症、低カリウム血症、ミオパチーが起こりやすくなる可能性があります。処方薬だけでなく、市販の漢方薬、胃腸薬、のどの薬、サプリメントの商品名と成分を共有してください。
妊娠・授乳、小児、高齢者
妊娠中または妊娠の可能性がある方は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用します。授乳中は、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳継続または中止を検討します。小児を対象とした臨床試験は実施されておらず、高齢者では生理機能の低下を考慮して減量などに注意します。
早めに相談・受診する症状
- すぐ相談:顔や喉の腫れ、呼吸困難、急速に広がる発疹。
- 早めに受診:むくみ、急な体重増加、血圧上昇、強い脱力、筋けいれん。
- 服用を続けず確認:黄疸、濃い尿、持続する腹痛、腹部膨満、血便、繰り返す下痢や便秘。
他のニキビ治療との比較
過酸化ベンゾイル・アダパレン
過酸化ベンゾイルは面皰と炎症性皮疹に、アダパレンは主に毛穴の詰まりを改善する目的で使います。刺激症状、妊娠可能性、これまでの治療歴を確認し、単剤または配合剤を選びます。漢方薬を使う場合でも、外用標準治療を必要なく中止しません。
抗菌薬
炎症性皮疹が多い場合は、外用または内服抗菌薬を一定期間使用することがあります。耐性菌対策のため、内服抗菌薬を漫然と続けず、過酸化ベンゾイルなどを組み合わせ、炎症が落ち着いた後の維持治療まで計画します。
他の漢方薬
十味敗毒湯、荊芥連翹湯など、ニキビで検討される別の漢方薬がありますが、構成生薬と想定する体質が異なります。薬名だけで比較して自己変更せず、併用による甘草などの重複も確認します。
赤ニキビが続く・漢方薬の併用が心配な方へ
ニキビの種類、これまでの外用薬・内服薬、服用中の漢方薬やグリチルリチン製剤、妊娠・授乳、持病を確認して治療を選びます。お薬手帳と市販薬・サプリメントの製品名が分かるものをご持参ください。
WEB予約まとめ
清上防風湯は医療用では「にきび」に使う漢方製剤です。ガイドラインでは、炎症性皮疹に対し、他の治療が無効または実施できない場合の選択肢という位置づけです。通常成人の用法は1日7.5gを2〜3回に分けて食前または食間に服用しますが、処方指示を優先します。
甘草を含む薬との重複、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、山梔子を含む製剤の長期服用に関連する腸間膜静脈硬化症に注意が必要です。ニキビの種類と重症度を確認し、外用標準治療との関係も含めて継続可否を判断します。
