桂枝茯苓丸加薏苡仁

【桂枝茯苓丸加薏苡仁の効果と副作用】|皮膚科医が解説

桂枝茯苓丸加薏苡仁の効果と副作用|皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • 桂枝茯苓丸加薏苡仁は、血の滞りを改善し、皮膚症状の緩和に用いられる漢方薬です。
  • ✓ にきび、しみ、手足のあれ、皮膚炎などに効果が期待され、比較的副作用が少ないとされています。
  • ✓ 症状や体質に合わせた適切な服用が重要であり、医師や薬剤師の指導のもとで服用することが推奨されます。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

桂枝茯苓丸加薏苡仁(ツムラ125)とは?

ツムラ125桂枝茯苓丸加薏苡仁のパッケージと生薬成分の図解
ツムラ125のパッケージと成分
桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)は、漢方医学における「駆瘀血剤(くおけつざい)」と呼ばれる一群に属する漢方薬の一つです。特に、血の滞り(瘀血:おけつ)によって引き起こされる様々な症状、特に皮膚症状の改善に用いられます。ツムラからは「ツムラ桂枝茯苓丸加薏苡仁エキス顆粒(医療用)」として提供されており、医療現場で広く処方されています[1]
瘀血(おけつ)
漢方医学における概念で、体内の血液循環が滞り、鬱滞した状態を指します。瘀血は、様々な身体の不調や疾患の原因となると考えられており、特に皮膚の色調異常、月経不順、肩こり、頭痛などと関連が深いとされています。
この漢方薬は、桂枝茯苓丸という基本的な処方に、薏苡仁(ヨクイニン)という生薬が加わったものです。桂枝茯苓丸は、桂皮(ケイヒ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桃仁(トウニン)、芍薬(シャクヤク)の5種類の生薬から構成され、血行を促進し、炎症を鎮める作用があるとされています。そこに薏苡仁が加わることで、皮膚の代謝を促進し、肌荒れや炎症を改善する効果が期待されます[2]。 当院の皮膚科外来では、特に慢性的なにきびや、なかなか治らない皮膚炎、あるいはしみの改善を希望される患者さまに、西洋薬と併用して桂枝茯苓丸加薏苡仁を処方することがよくあります。患者さまの中には、「肌の調子が良くなった」「にきび跡が目立たなくなった気がする」といった声も聞かれ、西洋薬だけではカバーしきれない部分を補完する役割を担っていると感じています。

どのような症状に効果が期待できる?

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、主に「瘀血」を伴う皮膚症状や女性特有の症状に効果が期待されます。添付文書に記載されている効能・効果は以下の通りです[1]
  • 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:にきび、しみ、手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症
皮膚科領域では、特に以下の症状に対して処方を検討することが多いです。

にきび(尋常性ざ瘡)

にきびは、毛穴の詰まりや皮脂の過剰分泌、アクネ菌の増殖などが複合的に絡み合って発生します。桂枝茯苓丸加薏苡仁は、血行促進作用により皮膚の代謝を改善し、炎症を抑えることで、にきびの発生を抑制したり、既存のにきびの治癒を促進する効果が期待されます。特に、赤く炎症を起こしやすいにきびや、繰り返しできるにきびに対して有効な場合があります。実際の診察では、患者さまから「抗生剤だけではなかなか良くならなかったニキビが、漢方を併用したら落ち着いてきた」と質問されることがよくあります。

しみ(色素沈着)

しみは、紫外線や炎症などによってメラニン色素が過剰に生成・蓄積されることで生じます。この漢方薬に含まれる薏苡仁は、皮膚のターンオーバーを促進し、メラニン色素の排出を助ける作用があるとされています。また、桂枝茯苓丸の血行促進作用も、皮膚の新陳代謝を活性化し、しみの改善に寄与すると考えられています。ただし、即効性があるわけではなく、数ヶ月単位での継続的な服用が必要となることが多いです。

手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)

手足の湿疹や皮膚炎は、乾燥、刺激、アレルギーなど様々な原因で生じます。血行不良が皮膚の栄養状態を悪化させ、症状を慢性化させる一因となることもあります。桂枝茯苓丸加薏苡仁は、血行を改善し、皮膚の炎症を鎮めることで、手足のあれの症状緩和に役立つ可能性があります。特に、皮膚が乾燥してカサカサしたり、ひび割れやすいタイプの湿疹に用いられることがあります。

女性特有の症状

桂枝茯苓丸は、もともと婦人科領域で広く用いられてきた漢方薬です。月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症(月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンバランスが大きく変化する時期に現れる精神神経症状や身体症状の総称)など、女性ホルモンの変動に伴う症状にも効果が期待されます。これらの症状が皮膚症状と併発している場合に、桂枝茯苓丸加薏苡仁が選択されることがあります。
⚠️ 注意点

漢方薬の効果には個人差があり、体質や症状によって適切な処方が異なります。自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。

桂枝茯苓丸加薏苡仁の用法・用量は?

桂枝茯苓丸加薏苡仁を服用する患者と医師の対話風景
服用のタイミングと注意点
桂枝茯苓丸加薏苡仁の用法・用量は、添付文書に準拠します。一般的に、成人には以下の量が指示されます[1]
  • 通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。
  • なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
「食前」とは食事の約30分前、「食間」とは食後2時間程度を指します。これは、胃の中に食べ物がない状態で服用することで、生薬の成分が吸収されやすくなると考えられているためです。飲み忘れを防ぐために、毎日のルーティンに組み込むことが大切です。当院では、朝食前と夕食前の2回服用を推奨することが多いですが、患者さまの生活スタイルに合わせて、朝食後と夕食後の服用を提案することもあります。重要なのは、毎日継続して服用することです。 小児への投与に関しては、添付文書には「小児等への投与」の項で、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児に対する安全性は確立していないと記載されています[1]。そのため、小児への処方は慎重に行う必要があります。皮膚科の臨床経験上、小児のにきびや皮膚炎に対しては、まずは西洋薬での治療を優先し、漢方薬を検討する場合は専門医と相談の上、慎重に判断します。
⚠️ 服用時の注意点

漢方薬は独特の風味があるため、飲みにくいと感じる方もいらっしゃいます。お湯に溶かして冷ましてから飲む、少量の水で練ってから飲むなどの工夫も有効です。また、飲み忘れても一度に2回分を服用することは避け、次の服用時間まで待つようにしてください。

桂枝茯苓丸加薏苡仁の副作用はある?

どのような医薬品にも副作用のリスクは存在します。桂枝茯苓丸加薏苡仁も例外ではありませんが、比較的副作用が少ない漢方薬とされています。添付文書に記載されている副作用情報は以下の通りです[1]

重大な副作用

  • 肝機能障害、黄疸:頻度不明。AST、ALT、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
これらの重大な副作用は非常に稀ですが、万が一、全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)などの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。

その他の副作用

部位 症状 頻度
消化器 食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢 頻度不明
皮膚 発疹、蕁麻疹 頻度不明
これらの症状は、体質や体調によって現れることがあります。特に胃腸が弱い方は、食欲不振や胃部不快感を感じやすいかもしれません。当院では、処方する際は、患者さまの既往歴や現在の体調を詳しく問診し、胃腸が弱い方には少量から開始したり、食後に服用するようアドバイスするなど、個別の状況を考慮して患者さまに合った用法を選択しています。もし、服用中に気になる症状が現れた場合は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。

桂枝茯苓丸加薏苡仁に関する患者さまからのご質問

桂枝茯苓丸加薏苡仁について質問する患者と回答する薬剤師
患者さまからのよくある質問
🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. どのくらいで効果を実感できますか?
A. 桂枝茯苓丸加薏苡仁は漢方薬であり、西洋薬のように即効性があるわけではありません。皮膚科の日常診療では、効果を実感するまでに通常1〜3ヶ月程度の継続的な服用が必要となることが多いです。特ににきびやしみに対しては、皮膚のターンオーバーの周期を考慮すると、最低でも1ヶ月、できれば2〜3ヶ月は続けていただくようお伝えしています。当院で桂枝茯苓丸加薏苡仁を処方した患者さまからは、「2ヶ月くらいで肌の赤みが引いてきた」「生理前の肌荒れが軽くなった」というフィードバックをいただくことが多い印象です。
Q. 他の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 基本的に、多くの西洋薬との併用は問題ないとされていますが、飲み合わせによっては注意が必要な場合もあります。特に、他の漢方薬との併用は、生薬の重複による副作用のリスクがあるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。当院では、問診時に現在服用している全ての薬(市販薬やサプリメント含む)を確認し、相互作用がないか慎重に判断しています。
Q. 妊娠中や授乳中に服用できますか?
A. 妊娠中や授乳中の服用については、安全性が確立されていないため、原則として推奨されません。添付文書にも「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されています[1]。当院では、妊娠を希望されている方や妊娠中の患者さまには、リスクとベネフィットを十分に説明し、より安全な治療法を検討します。授乳中の場合も、念のため服用を避けるか、医師とよく相談してください。
Q. 飲み忘れてしまった場合はどうすれば良いですか?
A. 飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は飛ばして、次の服用時間から通常通り服用してください。決して2回分を一度に服用することは避けてください。当院では、服薬カレンダーやスマートフォンのリマインダー機能などを活用して、飲み忘れを防ぐ工夫をおすすめしています。
Q. 長期間服用しても大丈夫ですか?
A. 桂枝茯苓丸加薏苡仁は、比較的安全性が高い漢方薬であり、医師の指示のもとで長期間服用されることもあります。しかし、定期的な診察で効果や副作用の有無を確認することが重要です。当院では、数ヶ月に一度は血液検査を行い、肝機能などの異常がないかチェックすることもあります。特に、症状が改善したからといって自己判断で服用を中止せず、医師と相談しながら治療計画を立てるようにしてください。
Q. 桂枝茯苓丸と桂枝茯苓丸加薏苡仁の違いは何ですか?
A. 桂枝茯苓丸は、桂皮、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬の5種類の生薬からなる駆瘀血剤で、主に月経不順や更年期障害など、女性特有の血の滞りによる症状に用いられます。一方、桂枝茯苓丸加薏苡仁は、この桂枝茯苓丸に薏苡仁(ヨクイニン)が加わったものです。薏苡仁には皮膚の代謝を促進し、肌荒れや炎症を改善する作用があるため、にきびやしみ、手足のあれといった皮膚症状への効果がより期待されます。当院では、皮膚症状が主訴の患者さまには、薏苡仁が加わった桂枝茯苓丸加薏苡仁を処方することが多いです。

ジェネリック医薬品について

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、ツムラから「ツムラ桂枝茯苓丸加薏苡仁エキス顆粒(医療用)」として提供されていますが、他にも複数の製薬会社から同様の漢方製剤が製造・販売されています。 漢方薬のジェネリック医薬品は、一般的に「後発医薬品」と呼ばれ、先発医薬品(ツムラの製品など)と同じ有効成分、同じ効能・効果、同じ用法・用量で製造されています。そのため、先発医薬品と同等の効果が期待でき、医療費の削減にもつながります。当院では、患者さまの希望に応じてジェネリック医薬品の処方も可能です。 ただし、漢方薬の場合、生薬の産地や品質、製造方法の違いによって、製品ごとに風味や溶けやすさなどが異なる場合があります。そのため、特定のメーカーの製品を好む患者さまもいらっしゃいます。実際の処方では、患者さまから「以前飲んでいたものと味が違う」という相談を受けることも少なくありません。当院では、患者さまが安心して治療を継続できるよう、これらの違いについても説明し、ご希望に応じてメーカーの選択肢を提示することもあります。
項目先発医薬品(ツムラ)後発医薬品(ジェネリック)
有効成分同じ同じ
効能・効果同じ同じ
用法・用量同じ同じ
薬価後発医薬品より高い先発医薬品より安い
製剤の風味・溶けやすさメーカーにより一定メーカーにより異なる場合がある

まとめ

桂枝茯苓丸加薏苡仁(ツムラ125)は、血の滞り(瘀血)を改善し、皮膚の代謝を促進することで、にきび、しみ、手足のあれ、月経不順などの幅広い症状に効果が期待される漢方薬です。比較的副作用が少ないとされていますが、肝機能障害などの重大な副作用や、胃腸症状、発疹などの一般的な副作用のリスクもゼロではありません。効果を実感するまでには時間がかかることが多く、継続的な服用が重要です。妊娠中や授乳中の服用は慎重に行う必要があり、他の薬剤との併用についても医師や薬剤師への相談が不可欠です。ジェネリック医薬品も存在し、医療費の削減に貢献しますが、製品ごとの特性を理解した上で選択することが大切です。ご自身の症状や体質に合わせ、医師の指導のもとで適切に服用することで、より良い治療効果が期待できるでしょう。

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よくある質問(FAQ)

Q. 桂枝茯苓丸加薏苡仁は保険適用されますか?
A. はい、桂枝茯苓丸加薏苡仁は医療用漢方製剤として、医師の処方に基づいて服用する場合、保険適用されます。医療機関を受診し、医師が症状や体質を診断した上で必要と判断した場合に処方されます。
Q. 市販薬として購入できますか?
A. 医療用として処方される「ツムラ桂枝茯苓丸加薏苡仁エキス顆粒」は市販されていません。ただし、同じ桂枝茯苓丸加薏苡仁の処方に基づいた一般用医薬品(市販薬)が薬局などで販売されている場合があります。市販薬を購入する際は、薬剤師に相談し、ご自身の症状や体質に合ったものを選ぶようにしましょう。
Q. 服用を中止するタイミングはありますか?
A. 症状が改善した場合や、副作用が強く現れた場合は、服用の中止を検討します。ただし、自己判断で中止すると症状が再燃する可能性もあるため、必ず医師に相談し、指示に従ってください。医師は、症状の経過や体質を総合的に判断し、適切な中止時期や減量方法をアドバイスします。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長