ヒアルロン酸注入の効果と適応|医師が解説
- ✓ ヒアルロン酸は体内に存在する成分で、注入により肌のボリュームアップやシワ改善が期待できます。
- ✓ 顔の様々な部位に適用可能で、自然な仕上がりを目指すことが重要です。
- ✓ 治療にはリスクも伴うため、事前の十分な情報収集と医師との相談が不可欠です。
ヒアルロン酸注入は、顔のしわやたるみの改善、ボリュームアップなどを目的として広く行われている美容医療の一つです。この治療法は、体内に元々存在するヒアルロン酸を注入することで、自然な若返り効果や顔の印象の変化を目指します。本記事では、ヒアルロン酸注入の基礎知識から、具体的な効果、適応部位、そして治療を受ける上での注意点までを詳しく解説します。
ヒアルロン酸の基礎知識

ヒアルロン酸の基礎知識として、その成分やメカニズム、種類について解説します。
ヒアルロン酸とはどのような成分ですか?
ヒアルロン酸は、私たちの体内、特に皮膚や関節、眼などに存在する天然の多糖類(ムコ多糖類)の一種です。非常に高い保水能力を持つことで知られており、わずか1gのヒアルロン酸が約6リットルの水分を保持できると言われています。この特性により、皮膚のハリや弾力、潤いを保つ上で重要な役割を担っています。
- ヒアルロン酸
- N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が交互に結合した高分子多糖類。生体内で細胞外マトリックスの主要成分として存在し、水分保持、組織の潤滑、細胞の移動・増殖に関与します。
ヒアルロン酸注入のメカニズムと効果
ヒアルロン酸注入は、皮膚の真皮層や皮下組織にヒアルロン酸製剤を直接注入することで、失われたボリュームを補い、しわやたるみを改善する治療法です。注入されたヒアルロン酸は、その保水力によって組織内で水分を抱え込み、内側から肌を持ち上げることで、しわを目立たなくしたり、顔の輪郭を整えたりする効果が期待できます。また、ヒアルロン酸はコラーゲンやエラスチンの生成を促進する可能性も示唆されており、肌質の改善にも寄与すると考えられています[1]。
当院では、患者さまの肌の状態や希望される仕上がりを丁寧にカウンセリングし、最適なヒアルロン酸製剤と注入量を提案しています。特に、初めての患者さまには「自然な変化を希望しているが、どこまで変われるのか不安」と相談されることが多く、シミュレーションを交えながら具体的なイメージを共有することを重視しています。
ヒアルロン酸製剤の種類と選び方
ヒアルロン酸製剤には様々な種類があり、それぞれ硬さや持続期間、架橋の度合いなどが異なります。架橋とは、ヒアルロン酸分子同士を結合させることで、体内で分解されにくくし、持続性を高める技術です[4]。一般的に、架橋度が高いほど硬く、ボリュームアップに適しており、架橋度が低いほど柔らかく、細かいしわの改善や肌の潤い改善に適しています。
| 製剤のタイプ | 特徴 | 主な適応部位 | 持続期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 高架橋(硬め) | 高い粘弾性、ボリュームアップ効果大 | 顎、鼻、頬、こめかみ、深いしわ | 12〜24ヶ月 |
| 中架橋(中間) | 適度な粘弾性、自然な仕上がり | ほうれい線、マリオネットライン、唇 | 6〜12ヶ月 |
| 低架橋(軟らかめ) | 低い粘弾性、肌質改善、小じわ | 目の周りの小じわ、首のしわ、肌のハリ | 3〜6ヶ月 |
製剤の選択は、注入部位の皮膚の厚さ、求める効果、持続期間、そして患者さまの予算などを総合的に考慮して行われます。当院では、複数の種類のヒアルロン酸製剤を取り扱っており、それぞれの特性を熟知した医師が患者さま一人ひとりに最適なものを提案しています。例えば、顎の形成には硬めの製剤、唇のボリュームアップには柔らかめの製剤といった具合に使い分けています[3]。
ヒアルロン酸の部位別解説

ヒアルロン酸注入は顔の様々な部位に適用でき、それぞれの部位で異なる効果が期待できます。ここでは、主な適応部位とその効果について詳しく見ていきましょう。
顔のしわ・たるみの改善にはどのような効果が期待できますか?
ヒアルロン酸注入は、顔のしわやたるみの改善に広く用いられています。特に、ほうれい線(鼻唇溝)やマリオネットライン(口角から顎にかけてのしわ)といった、加齢によって深く刻まれがちな表情じわや、頬のボリュームロスによるたるみに効果が期待できます。ヒアルロン酸を注入することで、皮膚の内側からボリュームを補い、しわを浅くしたり、たるみを持ち上げたりすることが可能です。
- ほうれい線・マリオネットライン: 深い溝を埋めることで、顔全体を若々しい印象に導きます。
- 目の下のくま・たるみ: 目の下のくぼみに注入することで、影を薄くし、疲れた印象を改善します。
- 額のしわ・眉間のしわ: 表情筋の動きによるしわだけでなく、加齢による皮膚のボリュームロスにも対応可能です。
当院では、ほうれい線が気になるという患者さまが多くいらっしゃいます。注入後1ヶ月ほどで「鏡を見るのが楽しくなった」「ファンデーションがしわに溜まらなくなった」とおっしゃる方が多いです。ただし、しわの種類によってはボツリヌス毒素製剤との併用がより効果的な場合もありますので、診察時に詳しくご説明しています。
顔の輪郭形成・ボリュームアップの適応部位は?
ヒアルロン酸は、顔の輪郭を整えたり、特定の部位にボリュームを加えたりする目的でも使用されます。これにより、顔全体のバランスを改善し、より魅力的な印象を作り出すことが期待できます。
- 頬: 加齢によってこけてしまった頬にボリュームを出すことで、ふっくらとした若々しい印象を取り戻します。
- 顎(あご): 顎のラインをシャープにしたり、後退した顎を前に出したりすることで、Eライン(エステティックライン)を整え、顔全体のバランスを改善します[3]。
- 鼻: 鼻筋を高くしたり、鼻の形を整えたりすることが可能です。メスを使わないため、手軽に試せるのが特徴です。
- 唇: 唇のボリュームを増やしたり、形を整えたりすることで、ふっくらとした魅力的な唇に導きます。
- こめかみ: こめかみのへこみを改善することで、顔全体の凹凸をなくし、滑らかな輪郭を作り出します。
実際の診療では、患者さまの顔全体のバランスを考慮し、どの部位にどの程度のボリュームが必要かを見極めることが重要です。例えば、「顎を少し出すだけで顔が引き締まって見える」といったケースをよく経験します。当院では、注入前に患者さまの顔の骨格や筋肉の付き方を詳細に分析し、過度な注入を避け、自然で美しい仕上がりを目指しています。
ヒアルロン酸注入の持続期間と再注入のタイミングは?
ヒアルロン酸注入の効果の持続期間は、使用する製剤の種類、注入部位、個人の代謝速度によって異なりますが、一般的には6ヶ月から24ヶ月程度とされています。硬い製剤ほど長く、柔らかい製剤ほど短い傾向にあります。注入されたヒアルロン酸は、徐々に体内の酵素によって分解・吸収されていきます。効果が薄れてきたと感じた時点で、再注入を検討することが可能です。
持続期間はあくまで目安であり、個人差が大きいことを理解しておく必要があります。効果を長持ちさせるためには、適切な製剤選びと正確な注入技術が重要です。
当院では、患者さまのライフスタイルや希望に応じて、再注入の最適なタイミングをご提案しています。定期的なメンテナンスを行うことで、常に若々しい印象を保つことが期待できます。また、注入後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。
まとめ

ヒアルロン酸注入は、しわやたるみの改善、顔の輪郭形成、ボリュームアップなど、多岐にわたる美容効果が期待できる治療法です。体内に存在する成分であるヒアルロン酸を注入することで、自然な仕上がりを目指すことが可能です。製剤の種類や注入部位によって期待できる効果や持続期間が異なり、個々の患者さまのニーズに合わせた適切な選択が重要となります。治療を検討する際は、経験豊富な医師と十分に相談し、リスクやダウンタイムについても理解した上で、ご自身の希望に合った治療計画を立てることが大切です。
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- Moin Khan, Ajaykumar Shanmugaraj, Carlos Prada et al.. The Role of Hyaluronic Acid for Soft Tissue Indications: A Systematic Review and Meta-Analysis.. Sports health. 2023. PMID: 35114853. DOI: 10.1177/19417381211073316
- Nabil Fakih-Gomez, Jonathan Kadouch. Combining Calcium Hydroxylapatite and Hyaluronic Acid Fillers for Aesthetic Indications: Efficacy of an Innovative Hybrid Filler.. Aesthetic plastic surgery. 2022. PMID: 34341855. DOI: 10.1007/s00266-021-02479-x
- Beatrice C Go, Ariel S Frost, Oren Friedman. Using injectable fillers for chin and jawline rejuvenation.. World journal of otorhinolaryngology – head and neck surgery. 2024. PMID: 37383337. DOI: 10.1002/wjo2.93
- Jimmy Faivre, Amos I Pigweh, Julien Iehl et al.. Crosslinking hyaluronic acid soft-tissue fillers: current status and perspectives from an industrial point of view.. Expert review of medical devices. 2022. PMID: 34882503. DOI: 10.1080/17434440.2021.2014320
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- ボトックス(ボツリヌス毒素)添付文書(JAPIC)
