当帰飲子 乾燥肌

【当帰飲子 乾燥肌に効果?皮膚科医が解説】

当帰飲子 乾燥肌に効果?皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • ✓ 当帰飲子は乾燥によるかゆみや湿疹に用いられる漢方薬です。
  • ✓ 体力が低下し、冷えやすく、皮膚が乾燥しやすい方に適しています。
  • ✓ 比較的副作用は少ないですが、胃腸症状や皮膚症状に注意が必要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

当帰飲子(トウキインシ)とは?その定義とメカニズム

当帰飲子に含まれる生薬が乾燥肌の痒みを和らげる作用機序
当帰飲子の作用メカニズム
当帰飲子(トウキインシ)は、皮膚の乾燥やかゆみを伴う湿疹、あるいは冷えを伴う皮膚症状に用いられる漢方薬です。特に、体力が低下し、比較的冷えやすく、皮膚が乾燥しやすい高齢者や女性に処方されることが多いです。この漢方薬は、10種類の生薬から構成されており、それぞれの生薬が持つ薬理作用の組み合わせによって、皮膚の炎症を抑え、かゆみを軽減し、乾燥肌を改善する効果が期待されます。

当帰飲子の構成生薬と主な作用

当帰飲子には、以下のような主要な生薬が含まれており、これらが複合的に作用することで、皮膚の症状を緩和します。
  • 当帰(トウキ):血行を促進し、体を温める作用があり、皮膚の栄養状態を改善します。
  • 芍薬(シャクヤク):鎮痛、鎮痙作用があり、筋肉の緊張を和らげ、かゆみを軽減する効果が期待されます。
  • 地黄(ジオウ):滋養強壮作用があり、体の潤いを補い、乾燥肌の改善に寄与します。
  • 川芎(センキュウ):血行促進作用があり、当帰とともに血流を改善し、皮膚の新陳代謝を助けます。
  • 防風(ボウフウ):発汗、解熱、鎮痛作用があり、皮膚のかゆみや炎症を抑えるのに役立ちます。
  • 荊芥(ケイガイ):発汗、解熱、鎮痛作用があり、防風と同様に皮膚の症状緩和に寄与します。
  • 蒺藜子(シツリシ):かゆみ止め、湿疹の改善に用いられます。
  • 何首烏(カシュウ):滋養強壮作用があり、地黄とともに体の潤いを補います。
  • 甘草(カンゾウ):炎症を抑え、他の生薬の作用を調和させる働きがあります。
  • 生姜(ショウキョウ):体を温め、消化吸収を助けるとともに、他の生薬の作用をサポートします。
これらの生薬が協力し合うことで、当帰飲子は「血(けつ)」の不足を補い、血行を改善し、皮膚の乾燥や炎症、かゆみを和らげることを目指します。東洋医学では、皮膚の乾燥やかゆみは「血虚(けっきょ)」や「風(ふう)」といった状態と関連付けられることが多く、当帰飲子はそのような体質や症状に対してアプローチする漢方薬と言えます。
血虚(けっきょ)とは
東洋医学の概念で、体内の「血(けつ)」が不足している状態を指します。血は全身に栄養を運び、体を潤す働きがあるため、血虚になると皮膚の乾燥、かゆみ、髪の毛のパサつき、貧血症状などが現れることがあります。

当帰飲子(トウキインシ)の適応疾患と期待される効果とは?

当帰飲子は、添付文書において「体力中等度以下で、冷え症で、皮膚が乾燥するものの次の諸症:湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、かゆみ」と記載されています[1]。これは、特に乾燥肌に伴うかゆみや湿疹に効果が期待できることを示しています。 当院の皮膚科外来では、特に冬場に皮膚の乾燥がひどくなり、全身にかゆみが生じる「老人性乾皮症」や、アトピー性皮膚炎で皮膚の乾燥が顕著な患者さまから「かゆみがなかなか治まらない」「かきむしってしまう」という相談を受けることが多いです。このような症状に対して、当帰飲子を処方することで、内側から皮膚の潤いを補い、かゆみを軽減する効果を期待します。

乾燥肌に伴うかゆみ・湿疹への効果

当帰飲子は、血行促進作用や滋養強壮作用を持つ生薬を多く含むため、皮膚の血流を改善し、栄養を供給することで、皮膚のバリア機能の回復をサポートします。これにより、乾燥によって失われた皮膚の潤いを補い、かゆみの原因となる炎症を鎮める効果が期待されます。
症状当帰飲子の期待される作用関連する生薬
皮膚の乾燥血行促進、滋養強壮、潤い補給当帰、地黄、何首烏
かゆみ炎症抑制、鎮痛、かゆみ止め芍薬、防風、荊芥、蒺藜子、甘草
冷え症体を温める当帰、川芎、生姜
湿疹・皮膚炎抗炎症、皮膚修復促進甘草、防風、荊芥
実際の診察では、患者さまから「保湿剤を塗ってもかゆみが収まらない」と質問されることがよくあります。そのような場合、外用薬と併用して当帰飲子を処方することで、皮膚の内側からの改善を促すことが可能です。特に、皮膚科の臨床経験上、冷えを訴える患者さまや、体力が低下している高齢の患者さまにおいては、当帰飲子が症状の改善に寄与するケースが多いと感じています。

当帰飲子(トウキインシ)の用法・用量と服用上の注意点

当帰飲子の服用方法と注意すべき副作用、正しい用法用量
当帰飲子の服用方法と注意点
当帰飲子は、効果を最大限に引き出し、かつ安全に服用するために、正しい用法・用量を守ることが重要です。また、漢方薬は体質や症状によって効果の出方が異なるため、医師や薬剤師の指示に従うことが不可欠です。

標準的な用法・用量

ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用)の添付文書によると、通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減されます[1]
  • 食前:食事の約30分前
  • 食間:食事と食事の間(食後約2時間)
顆粒剤は、水またはぬるま湯で服用するのが一般的です。お湯に溶かして温かい状態で服用すると、漢方薬の風味を感じやすくなり、吸収も良くなると言われることもあります。

服用上の注意点

よくある質問(FAQ)

Q. 当帰飲子は保険適用になりますか?
A. はい、当帰飲子エキス顆粒は、医師の処方箋があれば保険適用となります。医療機関で処方される場合は、保険診療の範囲内で費用が計算されます。
Q. 市販の当帰飲子と医療用の違いは何ですか?
A. 市販薬の中にも当帰飲子を含む製品はありますが、医療用医薬品とは成分量や配合割合、品質管理基準が異なる場合があります。医療用は医師の診断に基づき、患者さまの症状や体質に合わせて処方されるため、より適切な治療が期待できます。自己判断で市販薬を使用する前に、一度医療機関を受診して相談することをおすすめします。
Q. 当帰飲子以外の漢方薬で乾燥肌に効果的なものはありますか?
A. 乾燥肌の症状や体質は個人差が大きいため、当帰飲子以外にも様々な漢方薬が用いられます。例えば、温清飲十味敗毒湯桂枝茯苓丸などが、患者さまの体質や症状に合わせて検討されることがあります。どの漢方薬が適しているかは、専門医による診断が必要です。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長