排膿散及湯の効果と副作用|皮膚科医が解説
最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
- ✓ 排膿散及湯は、化膿性皮膚疾患や急性皮膚疾患の腫れ・痛みを和らげる漢方薬です。
- ✓ 症状や体質に合わせて用法・用量が調整され、効果発現には個人差があります。
- ✓ 副作用は比較的少ないですが、胃腸症状やアレルギー反応に注意が必要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
排膿散及湯(ツムラ122)とは?その特徴と効果

排膿散及湯の構成生薬と作用機序
排膿散及湯は、以下の3種類の生薬から構成されています[1]。- キキョウ(桔梗):サポニンを主成分とし、鎮咳、去痰、排膿作用があるとされています。炎症を鎮め、膿の排出を促す効果が期待されます。
- シャクヤク(芍薬):ペオニフロリンなどを主成分とし、鎮痛、鎮痙、抗炎症作用があるとされています。炎症による痛みや腫れを和らげる働きがあります。
- タイソウ(大棗):サポニン、フラボノイドなどを含み、滋養強壮作用や緩和作用があるとされています。他の生薬の働きを調和させ、胃腸への負担を軽減する役割も持ちます。
どのような症状に効果が期待できる?
排膿散及湯は、主に以下のような症状や疾患に対して効果が期待されます[1]。- 化膿性皮膚疾患:ニキビ(尋常性痤瘡)、毛嚢炎、おでき(癤)、せつ、よう、蜂窩織炎の初期段階など。
- 急性皮膚疾患の腫れや痛み:炎症を伴う皮膚疾患で、局所の腫脹や疼痛が顕著な場合。
- 歯肉炎、扁桃炎:口腔内の炎症性疾患にも応用されることがあります。
排膿散及湯の正しい飲み方は?用法・用量を解説
排膿散及湯の適切な飲み方は、効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑える上で非常に重要です。添付文書に記載された用法・用量を守り、医師や薬剤師の指示に従って服用することが基本となります[1]。基本的な用法・用量
通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与します。ただし、年齢、体重、症状により適宜増減されます[1]。- 食前・食間とは?
- 食前:食事の約30分前。食間:食事と食事の間で、食後約2時間後を指します。胃の中に食べ物が残っていない状態で服用することで、生薬の吸収が良くなると考えられています。
服用時の注意点
- お湯に溶かして服用:漢方薬は、お湯に溶かして温かい状態で服用すると、生薬の成分が吸収されやすくなり、効果が高まると言われています。独特の風味があるため、苦手な方は少量の水で服用しても問題ありません。
- 飲み忘れに注意:効果を安定させるためには、毎日決まった時間に服用することが重要です。飲み忘れた場合は、気がついた時点で服用し、次の服用時間まで十分な間隔を空けてください。2回分を一度に服用することは避けてください。
- 他の薬との飲み合わせ:他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。特に、甘草を含む他の漢方薬との併用は、偽アルドステロン症のリスクを高める可能性があります。
効果を実感するまでの期間は?
排膿散及湯の効果発現には個人差がありますが、一般的には数日から数週間で症状の改善がみられることが多いです。急性期の炎症であれば比較的早く効果を感じられることもありますが、慢性的な症状の場合は、継続的な服用が必要となることがあります。 皮膚科の日常診療では、排膿散及湯を処方した患者さまから、早ければ1週間程度で「赤みが引いてきた」「痛みが和らいだ」という声をいただくことがあります。しかし、効果が感じられないからといって自己判断で服用を中止せず、必ず医師に相談してください。症状の経過を見ながら、必要に応じて他の治療法への切り替えや併用療法を検討します。排膿散及湯の副作用はある?頻度と対処法

重大な副作用
排膿散及湯で報告されている重大な副作用は、極めて稀ですが、以下のものが挙げられます[1]。- 偽アルドステロン症:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に進行する。カリウム値の低下、血圧上昇、むくみなどの症状がみられることがあります。
- ミオパチー:偽アルドステロン症の進行により、横紋筋融解症を伴うミオパチー(筋肉の障害)が起こることがあります。
その他の副作用
比較的頻度が高い、あるいは注意すべきその他の副作用としては、以下のようなものが報告されています[1]。- 消化器症状:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢など。漢方薬特有の風味や体質によっては、胃腸に負担を感じることがあります。
- 過敏症:発疹、かゆみなど。アレルギー体質の方や、特定の生薬にアレルギーがある場合に起こることがあります。
⚠️ 注意点
副作用は個人差が大きく、ここに挙げられたもの以外にも症状が現れる可能性があります。少しでも異変を感じたら、自己判断で服用を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
排膿散及湯に関する患者さまからのご質問
🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 妊娠中や授乳中に服用しても大丈夫ですか?
A. 妊娠中や授乳中の服用については、安全性が確立されていないため、原則として推奨されません。当院では、患者さまの状況とリスクを慎重に評価し、治療の必要性がリスクを上回ると判断した場合にのみ、最小限の期間で処方を検討します。必ず事前に医師にご相談ください。
Q. 他の漢方薬や西洋薬と一緒に飲んでも良いですか?
A. 飲み合わせによっては、効果が強まったり、副作用のリスクが高まったりすることがあります。特に、甘草を含む他の漢方薬との併用は、偽アルドステロン症のリスクがあるため注意が必要です。当院では、問診時に現在服用中のすべての薬を確認し、相互作用がないか慎重に判断しています。市販薬やサプリメントも含め、必ず医師や薬剤師に伝えてください。
Q. どのくらいの期間飲み続ける必要がありますか?
A. 服用期間は、症状の種類や重症度、体質によって大きく異なります。急性期の炎症であれば数日から数週間で改善が見られることが多いですが、慢性的な炎症や再発を繰り返す場合は、数ヶ月間の継続服用が必要となることもあります。当院では、定期的な診察で症状の改善度合いや副作用の有無を確認し、患者さま一人ひとりに合わせた最適な服用期間を提案しています。自己判断での中止は避け、必ず医師の指示に従ってください。
Q. 飲み忘れた場合、どうすればいいですか?
A. 飲み忘れても、気がついた時点で服用していただいて構いません。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばして次の服用時間から再開してください。2回分を一度に服用することは、副作用のリスクを高める可能性があるため、絶対に避けてください。当院では、飲み忘れを減らすために、服用タイミングを工夫したり、服薬カレンダーの利用を勧めたりすることもあります。
Q. 効果がないと感じたら、どうすればいいですか?
A. 排膿散及湯は、体質や症状によって効果の出方に個人差があります。数週間服用しても効果が感じられない場合は、他の漢方薬への変更や、西洋薬との併用、あるいは他の治療法を検討する必要があります。当院では、効果が不十分な場合でも、患者さまの体質や症状を再度詳しく評価し、最適な治療方針を一緒に考えていきますので、遠慮なくご相談ください。
Q. 漢方薬は長く飲み続けると体に良くないですか?
A. 漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、西洋薬と同様に、長期服用による注意点もあります。特に排膿散及湯に含まれる甘草は、長期服用や過剰摂取で偽アルドステロン症のリスクがあるため、定期的な診察での経過観察が重要です。当院では、長期処方を行う際には、血液検査で電解質バランスなどを確認し、安全性を確認しながら継続の可否を判断しています。
排膿散及湯と他の治療薬との使い分け

西洋薬との併用・使い分け
化膿性皮膚疾患の治療では、抗生物質の内服や外用薬が広く用いられます。排膿散及湯は、これらの西洋薬と異なるアプローチで症状の改善を目指します。| 項目 | 排膿散及湯 | 抗生物質(内服) |
|---|---|---|
| 主な作用 | 抗炎症、排膿促進、鎮痛 | 細菌の増殖抑制・殺菌 |
| 得意な症状 | 初期の炎症、膿の排出促進、慢性炎症 | 細菌感染が明らかな重度炎症、広範囲感染 |
| 即効性 | 比較的緩やか(個人差あり) | 比較的速い |
| 副作用の傾向 | 胃腸症状、偽アルドステロン症など | 下痢、吐き気、アレルギー、薬剤耐性など |
他の漢方薬との使い分け
化膿性疾患に用いられる漢方薬は排膿散及湯以外にもいくつか存在します。例えば、十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)や清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)などがあります。- 十味敗毒湯:比較的体力が中等度で、化膿性の皮膚疾患全般に用いられます。排膿散及湯よりも、もう少し広範囲の皮膚化膿症に用いられることが多いです。
- 清上防風湯:顔面のニキビや赤ら顔など、上半身の熱を冷まし、炎症を鎮める作用が強いとされています。
排膿散及湯のジェネリック医薬品と保険適用
排膿散及湯は、医療用漢方製剤として広く用いられており、ジェネリック医薬品も存在します。保険適用についても、適切な診断のもとであれば、通常通り適用されます。ジェネリック医薬品について
ツムラ122「排膿散及湯」は、株式会社ツムラが製造販売している医療用漢方製剤です。これに対し、他の製薬会社からも同じ排膿散及湯の成分を含む漢方製剤が製造販売されており、これらがジェネリック医薬品に相当します。例えば、クラシエやコタロー、オースギなどからも排膿散及湯が販売されています。 ジェネリック医薬品は、先発医薬品(この場合はツムラ製)と有効成分、効果、安全性などが同等であると国によって認められた医薬品です。一般的に、先発医薬品よりも安価であるため、患者さまの経済的負担を軽減する目的で選択されることがあります。当院では、患者さまのご希望に応じてジェネリック医薬品の処方も可能です。ただし、漢方薬の場合、メーカーによって賦形剤や製法が若干異なることがあり、味や溶けやすさに違いを感じる方もいらっしゃいます。効果に大きな差はないとされていますが、気になる場合は医師や薬剤師にご相談ください。保険適用について
排膿散及湯は、医師の診察により病名が診断され、その病名に対して排膿散及湯の服用が適切であると判断された場合、公的医療保険が適用されます。これにより、患者さまは医療費の一部負担で処方を受けることができます。 保険適用となる主な疾患は、添付文書に記載されている「化膿性皮膚疾患、急性皮膚疾患の初期、歯肉炎、扁桃炎」などです[1]。当院では、これらの疾患に対して排膿散及湯を処方する際には、保険診療として対応しています。ただし、美容目的や、保険適用外の疾患への使用はできませんのでご注意ください。オンライン診療においても、対面診療と同様に適切な診断と判断のもとで保険適用となります。⚠️ 注意点
保険適用には医師の診断が必須です。自己判断で市販の漢方薬を購入する際は、保険適用外となりますのでご注意ください。
まとめ
排膿散及湯(ツムラ122)は、化膿性皮膚疾患や急性皮膚疾患の腫れ、痛み、排膿を改善する目的で用いられる漢方薬です。桔梗、芍薬、大棗の3つの生薬が複合的に作用し、炎症を鎮め、膿の排出を促す効果が期待されます。用法・用量は症状や体質に応じて調整され、食前または食間に服用することが一般的です。副作用は比較的少ないものの、胃腸症状や稀に重大な副作用である偽アルドステロン症などが報告されており、異常を感じた際は速やかに医師に相談することが重要です。抗生物質などの西洋薬や他の漢方薬との使い分けも考慮され、患者さまの症状や体質に合わせた個別のアプローチが求められます。ジェネリック医薬品も存在し、適切な診断のもとであれば保険適用となります。服用に際しては、必ず医師や薬剤師の指示に従い、不明な点があれば遠慮なく相談してください。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
