Sol Medicine Guide / 01
当帰飲子は乾燥肌に効く?効果・いつから・アトピーとの関係・副作用を皮膚科医が解説
当帰飲子は、冷え症のある方の「分泌物が少ない慢性湿疹」と「かゆみ」に承認された漢方製剤です。乾燥肌なら誰でも自己判断で飲む薬ではなく、アトピー性皮膚炎の保湿剤や抗炎症外用薬の代わりでもありません。皮疹の原因、冷え、胃腸の状態、併用薬を確認し、効果が不十分なら処方を見直します。
- 当帰飲子
- 乾燥肌・かゆみ
- 効果はいつから
- アトピー・副作用

先に知りたいこと
- 医療用のツムラ当帰飲子エキス顆粒の承認効能は、冷え症のある方の慢性湿疹(分泌物の少ないもの)とかゆみです。「乾燥肌」だけで適否は決まりません。
- 効果が出るまでの全員共通の日数は電子添文にありません。処方どおりに服用して経過を確認し、改善がなければ漫然と続けず医師へ相談します。
- カンゾウを含むため、むくみ、体重増加、血圧上昇、手足のだるさ・脱力・こむら返りなどは、偽アルドステロン症や低カリウム血症に伴うミオパチーの可能性があり、早めの連絡が必要です。
- 医療用の承認効能冷え症のある方の慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、かゆみです。
- 通常の成人用量1日7.5gを2〜3回に分け、食前または食間に服用します。
- 構成生薬トウキ、ジオウ、シツリシ、シャクヤク、センキュウ、ボウフウ、カシュウ、オウギ、ケイガイ、カンゾウです。
- 標準治療との関係保湿剤や抗炎症外用薬を置き換える薬ではなく、必要に応じて役割を分けて使います。
- 重要な副作用偽アルドステロン症と、低カリウム血症に伴うミオパチーです。
- 画像公式/本文画像を出典付きで確認します。
当帰飲子は乾燥肌に効く?先に結論
当帰飲子は、乾燥肌という言葉だけで選ぶ薬ではありません。医療用のツムラ当帰飲子エキス顆粒の承認効能は、「冷え症のもの」の慢性湿疹(分泌物の少ないもの)とかゆみです。乾燥、赤み、じゅくじゅく、掻き傷、感染の有無、冷え、体力、胃腸の状態を診察し、処方が合うか判断します。
検索で見かける「当帰飲子が効いた」という体験は、別の方にも同じ結果や期間を保証するものではありません。乾燥の原因には、乾皮症、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬疹、感染症、内科疾患などがあり、必要な治療が異なります。診断前に市販薬を重ねたり、以前の残薬を飲んだりしないでください。
| 確認すること | 当帰飲子を検討する前の意味 |
|---|---|
| 皮疹の状態 | 分泌物が少ない慢性湿疹・かゆみという承認効能に合うか、感染や別の皮膚疾患がないか確認 |
| 冷え・体質・胃腸 | 漢方医学上の「証」と、胃腸症状など安全面を確認 |
| 標準治療 | 保湿剤の量・回数、抗炎症外用薬の強さ・塗り方、悪化因子を再評価 |
| 併用薬 | カンゾウやグリチルリチン酸、ほかの漢方に含まれる生薬の重複を確認 |
当帰飲子とは?漢方医学上の位置づけ
当帰飲子(とうきいんし)は、10種類の生薬から作る漢方製剤です。漢方医学では、皮膚の乾燥や冷えなどを「血虚(けっきょ)」という伝統的な枠組みで捉え、体質と症状の組み合わせで処方を考えます。血虚は西洋医学の貧血と同じ診断名ではなく、血液検査だけで当帰飲子の適否が決まるわけでもありません。
医療用製剤について説明するときは、伝統的な考え方と、電子添文に記載された効能・用法・安全性を分けて理解することが重要です。生薬ごとの働きを足し算して「血流を上げれば皮膚が必ず潤う」などと効果を断定することはできません。
ツムラ医療用製剤の構成生薬
PMDAの現行電子添文では、成人1日量7.5g中に、次の割合の混合生薬から得た乾燥エキス5.0gを含むと記載されています。製品が違えばエキス量や用量が異なるため、手元の製品情報を確認してください。
| 生薬 | 7.5g中の原生薬量 | 生薬 | 7.5g中の原生薬量 |
|---|---|---|---|
| トウキ | 5.0g | ジオウ | 4.0g |
| シツリシ | 3.0g | シャクヤク | 3.0g |
| センキュウ | 3.0g | ボウフウ | 3.0g |
| カシュウ | 2.0g | オウギ | 1.5g |
| ケイガイ | 1.5g | カンゾウ | 1.0g |
旧来の解説では構成生薬を誤って説明していることがあります。処方名だけを頼りにせず、現在使用する製品の電子添文を基準にします。

医療用当帰飲子の承認効能・用法
ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用)の効能・効果は、冷え症のものの慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、かゆみです。「乾燥肌」「老人性乾皮症」「アトピー性皮膚炎」という病名そのものは、この製品の効能欄には記載されていません。乾燥やかゆみを伴う場合でも、個々の皮疹と体質を診察して判断します。
通常、成人は1日7.5gを2〜3回に分け、食前または食間に服用します。年齢、体重、症状により医師が増減します。患者さんが自分で回数や量を増やす用法ではありません。
医療用と市販薬で効能表現が違うことがある
一般用の当帰飲子製品では、「体力中等度以下で、冷え症で、皮膚が乾燥するもの」など、医療用とは異なる効能表現や用量が使われる製品があります。医療用の説明へ市販薬の文言をそのまま流用せず、実際に服用する製品の添付文書を確認します。
乾燥・かゆみ・湿疹・アトピーとの関係
乾燥肌では角層の水分保持が低下し、刺激でかゆみが起きやすくなります。アトピー性皮膚炎では、皮膚バリア機能の低下に加えて炎症があるため、保湿だけでなく、皮疹の強さに合った抗炎症外用薬で炎症を抑えることが治療の基本です。
当帰飲子は、アトピー性皮膚炎の標準治療を置き換える薬ではありません。診察で承認効能と体質に合うと判断した場合に、保湿剤や外用薬などと役割を分けて使うことがあります。赤みや掻き壊しが強いのに漢方だけで様子を見ると、必要な抗炎症治療や感染への対応が遅れることがあります。
当院で確認している実際の相談と診療項目
当院では、冬に老人性乾皮症で全身の乾燥とかゆみが強くなる方や、アトピー性皮膚炎で乾燥が目立つ方の相談を受けます。診察では、かゆみが続いて掻き壊してしまうこと、保湿剤を使ってもかゆみが残ることを確認します。
当帰飲子を検討するときは、皮疹の分泌物、冷え、体力、食欲や胃腸症状、年齢、併用薬を確認し、保湿剤や抗炎症外用薬を含む標準治療との役割分担を判断します。これらは診療で確認する実際の訴えと観察項目ですが、当帰飲子の効果や治療期間を保証するものではなく、適否と経過には個人差があります。
「効いた」「効果はいつから?」への安全な答え
医療用当帰飲子の電子添文には、何日で効くという一律の期間は書かれていません。皮疹の原因、重症度、外用治療、服用状況、体質により評価時期は変わります。「すぐ効いた人がいる」という情報を根拠に、効かないからと追加服用するのは危険です。
電子添文は、患者の証を考慮して投与し、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には継続投与を避けるよう求めています。開始時に「何を改善目標にするか」「いつ再診するか」を決め、かゆみ、掻破、睡眠、皮疹、外用薬の使用状況を再評価します。
市販薬の「1か月」と医療用の評価を混同しない
一部の一般用製品には、1か月程度服用しても改善しなければ中止して相談する旨があります。これはその市販製品の使用者向け注意であり、医療用製剤が1か月で必ず効くという意味ではありません。処方薬は医師が示した再診時期を優先します。
向く可能性がある状態と受診すべき状態
冷えがあり、分泌物の少ない慢性湿疹やかゆみという承認効能に合い、胃腸の状態や併用薬を含めて安全に使える場合は、医師が処方を検討します。ただし、見た目が乾いているだけで当帰飲子が適すると決めることはできません。
- 早めに皮膚科へ:保湿をしてもかゆみや赤みが続く、眠れないほどかゆい、広範囲を掻き壊す、同じ場所で繰り返す。
- 当日中の受診を考える:急に広がる発疹、強い痛み、熱感、膿、黄色いかさぶた、発熱を伴う。
- 救急相談を考える:息苦しさ、顔・唇・舌・喉の腫れ、意識状態の変化がある。
湿疹に見えても、疥癬、白癬、薬疹、接触皮膚炎など別の原因が含まれます。家族に同じかゆみがある、新しい薬や健康食品を始めた、新しい化粧品・洗剤を使った場合は診察で伝えてください。
保湿剤・外用薬など標準ケアとの役割分担
日本皮膚科学会と日本アレルギー学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024は、保湿外用薬による皮膚バリア機能の回復・維持と、皮疹に応じた抗炎症外用薬による炎症の制御を治療の柱としています。当帰飲子を使う場合も、必要な保湿と外用治療を自己判断で中止しません。
| ケア | 目的 | 確認点 |
|---|---|---|
| 保湿剤 | 角層の水分保持とバリア機能の補助 | 剤形、塗る量・回数、刺激感、塗り残し |
| 抗炎症外用薬 | 湿疹の炎症を抑える | 部位に合う強さ、塗布範囲、使用期間 |
| 生活上の調整 | 乾燥・摩擦・掻破を減らす | 入浴温度、洗浄、衣類、室内湿度、爪 |
| 当帰飲子 | 承認効能と証に合う場合の内服選択肢 | 効果判定、副作用、併用薬、生薬重複 |
保湿剤を使ってもかゆみが残る場合は、「保湿が効かない」と決める前に、塗布量や回数、炎症の有無、別の診断、掻破、感染を見直します。保湿剤の追加だけでなく抗炎症治療が必要なこともあります。
用法・食前・食間・飲み忘れ
医療用ツムラ製剤の通常成人量は、1日7.5gを2〜3回に分け、食前または食間に服用します。「食間」は食事中という意味ではなく、食事と食事の間です。具体的な時刻は処方ラベルと薬剤師の説明を優先してください。
- 飲み忘れ:気づいた時刻と次回までの時間を確認し、処方元または薬剤師の指示に従います。
- 次の服用が近い:2回分を一度に飲まず、迷う場合は薬剤師へ確認します。
- 効き目が弱い:自己判断で1回量・回数を増やしません。診断と治療全体を再評価します。
- ほかの製品へ変更:医療用と市販薬、メーカー違いで含量や用法が異なるため、同じ包数へ置き換えません。
温かい湯で飲めば吸収や効果が必ず高まるという記載は電子添文にありません。服用方法で困る場合は、味や顆粒の飲みにくさを含めて薬剤師へ相談してください。

胃腸症状・発疹などの副作用
頻度不明の副作用として、発疹、発赤、かゆみ、じんましんなどの過敏症と、食欲不振、胃部不快感、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状が記載されています。薬を飲み始めて新しい発疹が出た場合、もとの湿疹と決めつけず処方元へ連絡してください。
著しく胃腸が弱い方では食欲不振、胃部不快感、吐き気、嘔吐、下痢などが現れることがあり、すでに食欲不振・吐き気・嘔吐がある方では悪化するおそれがあります。開始前に胃腸症状を伝え、服用後の変化を確認します。
乾燥とかゆみが続き、当帰飲子が自分に合うか迷う方へ
皮疹の経過、分泌物、掻き壊し、冷え、胃腸症状、保湿剤・外用薬の使い方、処方薬・市販薬・健康食品を確認します。お薬手帳と使用中の製品が分かる箱や写真をご持参ください。
WEB予約重大な副作用:偽アルドステロン症とミオパチー
ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用)の電子添文に記載された重大な副作用は、偽アルドステロン症と、低カリウム血症の結果として起こるミオパチーです。いずれも頻度不明です。本剤にはカンゾウが含まれるため、血清カリウム値や血圧値に留意します。
- 偽アルドステロン症を疑う変化:むくみ、体重増加、血圧上昇、手足のだるさなど。
- 低カリウム血症・ミオパチーを疑う変化:力が抜ける、手足のしびれ・こわばり、こむら返り、筋肉痛、四肢のけいれん・麻痺など。
これらが現れた場合は服用を続ける前に、処方元へ速やかに連絡してください。強い脱力、歩けない、呼吸しづらい、意識状態の変化がある場合は緊急性があります。厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルでは、初期症状と早期対応が患者向けにも示されています。
製品添文にない重大副作用を混ぜない
漢方製剤の重大な副作用は、処方ごとに同じではありません。別の漢方製剤に記載された重大な副作用を当帰飲子にもあると一律に説明せず、今回確認したツムラ当帰飲子の現行電子添文を基準にしています。
併用薬・他の漢方との生薬重複
カンゾウを含む製剤や、グリチルリチン酸・その塩類を含む薬との併用では、偽アルドステロン症が起こりやすくなり、低カリウム血症からミオパチーが起こりやすくなるため併用注意です。処方薬だけでなく、市販の漢方薬、かぜ薬、胃腸薬、健康食品も確認します。
電子添文は、ほかの漢方製剤を併用するとき、含有生薬の重複にも注意するよう求めています。カンゾウだけでなく、当帰飲子を構成する各生薬が重複する場合があります。受診時は、お薬手帳に加え、市販薬・健康食品の箱や成分表示の写真など、服用内容が分かるものを持参してください。医師・薬剤師が重複と中止の要否を確認します。必要な薬を自己中止しないでください。
妊娠授乳・小児・高齢者・基礎疾患
妊娠・授乳
妊娠中または妊娠している可能性がある方は、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断する場合にのみ投与します。授乳中は、治療の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳を続けるか中止するかを検討します。妊娠判明後に自己中止するのではなく、処方元へ連絡してください。
小児・高齢者
小児を対象とした臨床試験は実施されていません。成人の1包をそのまま子どもへ使わず、年齢と製品に合う指示を確認します。高齢者は一般に生理機能が低下しているため、減量するなど注意します。血圧、むくみ、腎機能、食事量、転倒リスク、併用薬も確認します。
胃腸が弱い方・基礎疾患がある方
食欲不振、吐き気、嘔吐がある方、胃腸が著しく弱い方は開始前に伝えてください。高血圧、心疾患、腎疾患がある方、利尿薬などを服用している方では、むくみ・血圧・カリウム値に関わる変化を見逃さないよう、処方医と薬剤師へ病歴と薬歴を共有します。
市販薬と医療用の違い・受診の考え方
当帰飲子には第2類医薬品として購入できる市販製品があります。ただし、医療用ツムラ製剤と市販製品では、1日量中のエキス量、原生薬量、対象年齢、用法、効能表現が同じとは限りません。「同じ当帰飲子だから同じ包数」と考えないでください。
市販薬を選ぶ場合も、治療中の病気、妊娠授乳、胃腸症状、併用薬、ほかの漢方やグリチルリチン酸の使用を薬剤師・登録販売者へ伝えます。湿疹が広がる、掻き壊しや感染がある、保湿をしても改善しない、アトピー性皮膚炎の治療中である場合は、自己判断で内服を追加する前に皮膚科で診断と治療を見直してください。
皮膚科での確認とフォロー
診察では、いつから・どの部位に乾燥とかゆみがあるか、分泌物、赤み、掻き傷、睡眠への影響、季節変化、冷え、食欲や便通を確認します。使用中の保湿剤と外用薬は、製品名だけでなく塗る量・回数・範囲も確認します。
- 乾皮症、湿疹、アトピー性皮膚炎、感染症などを診察で整理します。
- 標準治療の不足や使い方の問題を確認します。
- 承認効能と証に合い、安全面に問題がない場合に当帰飲子を検討します。
- 再診で皮疹、かゆみ、掻破、睡眠、副作用、併用薬を確認し、改善がなければ漫然と継続しません。
当帰飲子が適するかは、同じ乾燥肌でも異なります。受診時は、お薬手帳、市販薬・健康食品の箱や写真、使用中の保湿剤・外用薬、症状が強い時の写真があれば持参してください。
まとめ
- 医療用当帰飲子の承認効能は、冷え症のある方の慢性湿疹(分泌物の少ないもの)とかゆみです。
- 乾燥肌やアトピー性皮膚炎であっても、保湿剤や抗炎症外用薬などの標準治療を置き換えません。
- 効果が出るまでの一律の日数はなく、改善がなければ漫然と続けず処方を再評価します。
- カンゾウを含むため、偽アルドステロン症、低カリウム血症、ミオパチーと、カンゾウ・グリチルリチン酸の重複に注意します。
- 市販薬と医療用では含量・用法・対象年齢が異なることがあり、自己判断で置き換えません。
よくある質問(FAQ)
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長・渋谷文化村通り皮膚科
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