最終更新日: 2026-04-24
📋 この記事のポイント
- ✓ 防已黄耆湯は、特に汗かきで疲れやすい方に処方される漢方薬です。
- ✓ 多汗症や肥満に伴う関節痛、むくみなどの症状改善が期待されます。
- ✓ 副作用に注意し、体質や他の服薬状況を医師に伝えることが重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)とは?その特徴と適応

防已黄耆湯の構成生薬と作用
防已黄耆湯は、以下の6種類の生薬から構成されています[1]。- 防已(ボウイ):利尿作用や鎮痛作用があるとされ、むくみや関節痛の改善に寄与します。
- 黄耆(オウギ):体表のバリア機能を高め、発汗を調整する作用が期待されます。また、疲労回復にも用いられます。
- 白朮(ビャクジュツ)または蒼朮(ソウジュツ):消化吸収を助け、体内の余分な水分を排出する作用があります。
- 生姜(ショウキョウ):体を温め、消化器系の働きを整える作用があります。
- 大棗(タイソウ):滋養強壮作用があり、他の生薬の働きを調和させます。
- 甘草(カンゾウ):炎症を抑え、痛みを和らげる作用があります。
どのような症状に処方される?
防已黄耆湯は、主に以下のような症状や体質の方に処方されます。- 多汗症:特に全身性多汗症で、汗をかきやすく、疲れやすい方に。
- むくみ:水太り体質で、顔や手足がむくみやすい方に。
- 肥満症:特に水太りで、関節に負担がかかりやすい方に。
- 関節痛:肥満に伴う膝などの関節痛に。
- 疲労倦怠感:汗をかきやすく、体力低下や倦怠感を伴う方に。
- 表虚証(ひょうきょしょう)
- 漢方医学における体質の一つで、体表の防御機能が低下し、汗をかきやすく、風邪を引きやすい、疲れやすいなどの特徴を持つ状態を指します。
- 気虚(ききょ)
- 漢方医学における概念で、生命活動のエネルギーである「気」が不足している状態を指します。疲労感、倦怠感、息切れ、食欲不振などが主な症状です。
防已黄耆湯の多汗への効果:メカニズムと期待される改善
防已黄耆湯が多汗症に効果を示すメカニズムは、漢方医学的な観点から体内の水分代謝の調整と体表のバリア機能の強化にあります。汗と水分代謝のバランス
多汗症の患者さまの中には、体内の水分代謝が滞り、余分な水分が体表に停滞しやすい「水滞(すいたい)」の状態にある方が少なくありません。防已黄耆湯に含まれる防已や白朮(蒼朮)は、利尿作用や水分排出作用により、体内の余分な水分を適切に排出する働きが期待されます。これにより、体表に停滞しがちな水分が減少し、発汗量の調整につながると考えられています。体表のバリア機能と発汗の調整
黄耆は、漢方医学において「衛気(えき)」と呼ばれる体表のバリア機能を高める作用があるとされています。衛気は、外部からの邪気(病原体など)の侵入を防ぐとともに、体内の水分や熱の排出を適切にコントロールする役割を担っています。衛気が不足すると、体表の防御機能が低下し、汗腺の開閉がうまくいかず、過剰な発汗につながることがあります。防已黄耆湯は黄耆の働きにより、この衛気を補い、体表のバリア機能を強化することで、発汗を調整し、過剰な発汗を抑える効果が期待されます。 当院では、多汗症の患者さまに防已黄耆湯を処方した経験から、特に「汗をかきやすいのに疲れやすい」「むくみやすい」といった体質の方で、効果を実感されるケースが多い印象です。外来で防已黄耆湯を使用した経験では、効果を実感されるまでに個人差はありますが、一般的に2週間から1ヶ月程度で徐々に発汗量の変化を感じ始める方が多いです。ただし、効果の現れ方や持続期間には個人差があり、継続的な服用が重要になります。実際の診察では、患者さまの具体的な発汗状況や生活習慣を詳しく伺い、治療計画を立てています。| 項目 | 防已黄耆湯のメカニズム | 期待される多汗への効果 |
|---|---|---|
| 水分代謝 | 利尿作用、水分排出作用(防已、白朮) | 体内の余分な水分の排出、水滞の改善 |
| 体表バリア | 衛気の強化(黄耆) | 汗腺機能の調整、体表からの過剰な発汗抑制 |
| 疲労回復 | 滋養強壮作用(黄耆、大棗) | 多汗に伴う疲労感の軽減 |
防已黄耆湯の正しい服用方法と注意点

用法・用量
通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口服用します[1]。年齢、体重、症状により適宜増減されることがあります。顆粒剤の場合は、水またはぬるま湯で服用してください。食間とは、食事と食事の間で、食後2時間くらいを指します。当院では、患者さまのライフスタイルに合わせて、朝食前と夕食前、あるいは朝食後と夕食後の間など、無理なく続けられるタイミングを提案しています。服用時の注意点
- 体質に合わない場合:服用中に体調の変化を感じた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。
- 他の薬との併用:他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、必ず医師に伝えてください。特に、甘草を含む他の漢方薬との併用は、副作用のリスクを高める可能性があります。
- 妊娠・授乳中の方:妊娠中または授乳中の方は、服用前に必ず医師に相談してください。
- アレルギー:過去に薬でアレルギー症状を起こしたことがある方は、医師に伝えてください。
⚠️ 注意点
防已黄耆湯は、体質や症状によって効果の現れ方が異なります。自己判断で服用を開始したり、中止したりせず、必ず医師の診察を受けて適切な処方と指導を受けるようにしてください。
防已黄耆湯の副作用と注意すべき症状
防已黄耆湯は比較的安全性の高い漢方薬ですが、医薬品である以上、副作用のリスクはゼロではありません。服用中に気になる症状が現れた場合は、速やかに医師に相談することが重要です。重大な副作用
添付文書には、以下の重大な副作用が記載されています[1]。- 間質性肺炎:発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)などが現れることがあります。
- 偽アルドステロン症:尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が上がる、頭痛などの症状が現れることがあります。これは、体内の電解質バランスが崩れることで起こります。
- ミオパチー:脱力感、筋力低下、筋肉痛などが現れることがあります。偽アルドステロン症の症状と関連して起こることがあります。
- 肝機能障害、黄疸:全身倦怠感、食欲不振、発熱、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状が現れることがあります。
その他の副作用
比較的頻度の低いものとして、以下の症状が報告されています[1]。- 消化器症状:胃部不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢など。
- 皮膚症状:発疹、蕁麻疹など。
防已黄耆湯に関する患者さまからのご質問

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 防已黄耆湯はどれくらいの期間飲み続ければ効果が出ますか?
A. 漢方薬は体質改善を目指すものが多く、効果の実感には個人差があります。当院の経験では、早ければ2週間〜1ヶ月程度で何らかの変化を感じ始める方が多いですが、本格的な効果を実感するには2〜3ヶ月以上の継続が必要となることもあります。効果が出始めたからといって自己判断で中止せず、医師の指示に従って継続することが大切です。
Q. 食前と食間、どちらで飲んだ方が効果的ですか?
A. 添付文書では食前または食間とされています。漢方薬は胃に内容物がない状態で服用する方が吸収が良いとされていますが、飲み忘れを防ぐためには、ご自身の生活リズムに合ったタイミングで継続して服用することが最も重要です。当院では、患者さまのライフスタイルを伺い、無理なく続けられるタイミングを一緒に決めるようにしています。
Q. 防已黄耆湯を飲むと、体重が減ることはありますか?
A. 防已黄耆湯は、特に「水太り」と呼ばれる、体内に余分な水分が溜まりやすい体質の方のむくみや肥満症に用いられることがあります。そのため、体内の水分バランスが整うことで、むくみが解消され、結果的に体重が減少するケースはあります。しかし、直接的な脂肪燃焼効果があるわけではないため、大幅な体重減少を期待するものではありません。
Q. 他の漢方薬やサプリメントと併用しても大丈夫ですか?
A. 漢方薬同士やサプリメントとの併用は、成分の重複や相互作用によって予期せぬ副作用を引き起こす可能性があります。特に、甘草を含む漢方薬の多量摂取は偽アルドステロン症のリスクを高めることがあります。現在服用中の薬やサプリメントがある場合は、必ず診察時に医師に伝えてください。当院では、患者さまが服用しているすべての薬剤を確認し、安全性を考慮した上で処方を判断しています。
Q. 妊娠中・授乳中に服用しても問題ありませんか?
A. 妊娠中や授乳中の薬の服用は、胎児や乳児への影響を考慮し、慎重に行う必要があります。防已黄耆湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、必ず事前に医師に相談し、リスクとベネフィットを十分に検討した上で服用を判断してください。当院では、妊娠を希望されている方や妊娠中の方には、より慎重な判断を促しています。
Q. 飲み忘れてしまった場合、どうすればいいですか?
A. 飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は服用せず、次の服用時間から通常通り服用してください。2回分を一度に服用することは避けてください。大切なのは、継続して服用することですので、飲み忘れが続く場合は、服用回数を減らすなどの調整を医師と相談することも可能です。
Q. 防已黄耆湯は保険適用になりますか?
A. 医療機関で医師の診察を受け、防已黄耆湯が処方された場合、保険適用となります。ただし、市販されている防已黄耆湯は保険適用外です。当院では、患者さまの症状や体質を診断し、保険診療として適切に処方しています。
ジェネリック医薬品について
防已黄耆湯には、ジェネリック医薬品が存在します。ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品(新薬)と同じ有効成分、同じ効能・効果を持つ医薬品で、開発費用が抑えられるため、一般的に先発医薬品よりも安価で提供されます。ジェネリック医薬品の選択
防已黄耆湯のジェネリック医薬品も、ツムラの製品と同様に、各メーカーから販売されています。これらのジェネリック医薬品は、厚生労働省の厳しい基準をクリアしており、品質、有効性、安全性は先発医薬品と同等であることが確認されています。当院では、患者さまの希望に応じてジェネリック医薬品の処方も可能です。診察の際に「ジェネリック医薬品を希望します」とお伝えいただければ、対応いたします。 ただし、漢方薬のジェネリック医薬品は、生薬の産地や配合比率、抽出方法などがメーカーによって若干異なる場合があります。そのため、まれに先発品と服用感が異なる、あるいは効果の感じ方が違うと感じる方もいらっしゃいます。当院では、ジェネリック医薬品への切り替えを検討する患者さまには、その点も踏まえて丁寧に説明し、納得いただいた上で処方しています。もし、ジェネリック医薬品に切り替えてから体調に変化があった場合は、遠慮なくご相談ください。まとめ
防已黄耆湯(ツムラ20)は、汗かきで疲れやすい、むくみやすいといった「表虚証」や「気虚」の体質の方に用いられる漢方薬です。多汗症や肥満に伴う関節痛、むくみなどの症状改善が期待されます。黄耆による体表のバリア機能強化や、防已・白朮による水分代謝の調整が、その効果のメカニズムと考えられています。服用に際しては、添付文書に記載された用法・用量を守り、重大な副作用である間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害などに注意が必要です。また、胃部不快感や発疹などのその他の副作用も報告されています。効果の実感には個人差があり、継続的な服用が重要です。ジェネリック医薬品も存在し、患者さまの選択肢となっています。服用中は、体調の変化に注意し、気になる症状があれば速やかに医師に相談してください。当院では、患者さま一人ひとりの体質や症状を丁寧に診察し、最適な治療法をご提案しています。お近くのグループクリニック
当グループでは、患者様の通いやすさに合わせて渋谷・池袋の2院を展開しております。お近くのクリニックをお選びください。
よくある質問(FAQ)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
