最終更新日: 2026-04-22
📋 この記事のポイント
- ✓ 塗り薬の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、局所的な痛みや炎症の緩和に有効です。
- ✓ スタデルムとベシカムは、それぞれフェルビナクとインドメタシンを主成分とし、異なる特性を持ちます。
- ✓ 全身性の副作用は経口薬に比べて少ないものの、皮膚症状などの局所的な副作用には注意が必要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)塗り薬とは?その作用機序

NSAIDsは、体内で炎症や痛みを引き起こすプロスタグランジンという物質の生成を抑えることで効果を発揮します。プロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素によって作られますが、NSAIDsはこのCOX酵素の働きを阻害します[5]。これにより、炎症反応が抑制され、痛みや腫れが軽減されるのです。
塗り薬の場合、有効成分が皮膚から吸収され、直接患部に到達するため、全身への影響を比較的少なく抑えながら、局所的な効果が期待できます。例えば、変形性関節症の患者さまを対象とした複数の研究では、外用NSAIDsが痛みの軽減に有効であることが示されています[1]。
- プロスタグランジン
- 体内で生成される生理活性物質の一種で、炎症、痛み、発熱などの生体反応に関与しています。
- シクロオキシゲナーゼ(COX)
- プロスタグランジンの生成を触媒する酵素で、COX-1とCOX-2の2種類があります。NSAIDsは主にこれらの酵素を阻害します。
塗り薬のNSAIDsが選ばれるのはどのような場合?
塗り薬のNSAIDsは、以下のような状況で特に推奨されることがあります。- 局所的な痛みや炎症: 関節、筋肉、腱など、特定の部位に痛みや腫れがある場合に効果的です。
- 経口NSAIDsの副作用が懸念される場合: 胃腸障害や腎機能障害など、飲み薬による全身性の副作用のリスクを避けたい場合に選択されます。
- 高齢者や多剤併用中の患者さま: 他の薬剤との相互作用や全身への負担を考慮し、塗り薬が優先されることがあります。
実際、慢性的な筋骨格系の痛みに対して、外用NSAIDsはプラセボと比較して有意な痛みの軽減効果が報告されており、その効果は経口NSAIDsに匹敵するケースもあるとされています[3]。特に、急性筋骨格系疼痛においては、外用NSAIDsが効果的な治療選択肢の一つであるとされています[4]。
スタデルムとベシカム:それぞれの特徴と効果の違いは?
渋谷の当院でも処方機会の多い「スタデルム」と「ベシカム」は、いずれも非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の塗り薬ですが、それぞれ異なる有効成分と特徴を持っています。臨床の現場では、患者さまの症状や皮膚の状態、薬剤への感受性などを考慮して、どちらの薬剤がより適しているかを判断します。スタデルム(フェルビナク)の特徴
スタデルムの有効成分は「フェルビナク」です。フェルビナクは、プロスタグランジンの生成を阻害することで、痛みや炎症を抑える作用があります。スタデルムは、ゲル剤やクリーム剤として提供されており、塗布後のべたつきが少ないといった使用感の良さも特徴です[5]。- 適応疾患: 変形性関節症、肩関節周囲炎、腱鞘炎、テニス肘、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛など[5]。
- 特徴: 比較的浸透性が高く、患部に深く浸透して効果を発揮するとされています。また、光線過敏症のリスクが比較的低いとされていますが、全くないわけではありません。
ベシカム(インドメタシン)の特徴
ベシカムの有効成分は「インドメタシン」です。インドメタシンも強力な抗炎症作用と鎮痛作用を持つNSAIDsの一つです。ベシカムは、クリーム剤として提供されており、患部に塗布することで局所的に作用します[6]。- 適応疾患: 変形性関節症、肩関節周囲炎、腱鞘炎、テニス肘、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛など[6]。
- 特徴: インドメタシンは強力な抗炎症作用が期待できる一方で、フェルビナクと比較して皮膚刺激性や光線過敏症のリスクがやや高い傾向にあるとされています。
スタデルムとベシカムの比較
両薬剤の主な違いを以下の表にまとめました。| 項目 | スタデルム(フェルビナク) | ベシカム(インドメタシン) |
|---|---|---|
| 有効成分 | フェルビナク | インドメタシン |
| 作用の強さ | 中程度 | 比較的強力 |
| 剤形 | ゲル、クリーム | クリーム |
| 光線過敏症リスク | 比較的低い | やや高い |
| 皮膚刺激性 | 比較的少ない | やや多い |
どちらの薬剤も、変形性関節症の疼痛緩和において、経口NSAIDsと同等の効果を示す可能性があることが示唆されています[2]。実際の診療では、患者さまの痛みの程度、皮膚の状態、過去の薬剤使用経験などを総合的に判断し、最適な薬剤を選択することが重要です。
塗り薬のNSAIDsに副作用はある?注意すべき点は?

主な副作用
- 皮膚症状: 発疹、かゆみ、赤み、かぶれ(接触皮膚炎)、腫れなどが最も一般的です。塗布部位にこれらの症状が現れた場合は、使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
- 光線過敏症: 薬剤を塗った部分が日光に当たると、強いかゆみや発疹、水ぶくれなどの皮膚炎を起こすことがあります。特にインドメタシンやケトプロフェンなど一部のNSAIDsで報告されています。スタデルム(フェルビナク)は比較的リスクが低いとされますが、ベシカム(インドメタシン)では注意が必要です。塗布後は、患部を衣類などで覆い、直射日光を避けるようにしてください。
- 喘息発作の誘発: ごく稀に、アスピリン喘息の既往がある患者さまでは、塗り薬のNSAIDsでも喘息発作を誘発する可能性があります。喘息の持病がある方は、必ず医師に伝えてください。
⚠️ 注意点
妊娠後期(妊娠28週以降)の女性は、塗り薬のNSAIDsであっても使用が禁忌とされています。胎児の心臓や腎臓に影響を及ぼす可能性があるためです。妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、必ず医師に相談してください[5][6]。
副作用を最小限に抑えるためのポイント
- 用法・用量を守る: 医師の指示された量や回数を守り、過度な塗布は避けてください。
- 広範囲への使用を避ける: 広範囲にわたって塗布すると、全身への吸収量が増え、副作用のリスクが高まる可能性があります。
- 皮膚の状態を確認する: 傷口や粘膜、湿疹のある部位には塗布しないでください。
- アレルギー歴を伝える: 過去に薬剤でアレルギー反応を起こしたことがある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。
実際の診療では、患者さまの皮膚の状態を丁寧に確認し、副作用のリスクを最小限に抑えるための指導を心がけています。特に、夏場は光線過敏症のリスクが高まるため、日中の外出時の注意喚起も重要なポイントになります。
塗り薬のNSAIDsの正しい使い方と効果的な活用法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の塗り薬は、正しく使用することでその効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを低減できます。渋谷の当院では、患者さまに具体的な使用方法を丁寧に説明し、効果的な活用をサポートしています。基本的な使い方
- 清潔な皮膚に塗布する: 塗布する部位は、清潔で乾燥している状態にしてください。入浴後など、皮膚が清潔な状態の時に塗布するのが効果的です。
- 適量を薄く均一に伸ばす: 薬剤の種類や患部の広さによって適量は異なりますが、一般的には指の腹で薄く均一に伸ばすように塗布します。擦り込む必要はなく、皮膚の表面に薬剤が残る程度で十分です。添付文書には、1日1~数回、適量を患部に塗擦すると記載されています[5][6]。
- 塗布後は手を洗う: 薬剤が目や口に入らないよう、塗布後は必ず石鹸で手を洗ってください。
- 密閉しない: 薬剤を塗った後、患部をラップなどで覆うと、皮膚からの吸収が過剰になり、副作用のリスクが高まる可能性があります。医師の指示がない限り、密閉は避けてください。
効果的な活用法
- 痛みの初期段階での使用: 痛みが始まったばかりの急性期に早めに使用することで、炎症の拡大を防ぎ、痛みの軽減につながることが期待できます。
- 物理療法との併用: 温熱療法や冷却療法、ストレッチなど、他の物理療法と併用することで、相乗効果が期待できる場合があります。例えば、運動後の筋肉痛に対して、冷却後にNSAIDs塗り薬を使用すると、より効果的な場合があります。
- 継続的な使用: 慢性的な痛みの場合、症状が改善しても自己判断で急に使用を中止せず、医師の指示に従って継続的に使用することが重要です。治療を始めて数ヶ月ほどで「痛みが和らいで、日常生活が楽になった」とおっしゃる方が多いです。
ただし、塗り薬の効果は個人差があり、症状の程度や原因によっても異なります。効果が感じられない場合や、症状が悪化する場合は、自己判断せずに速やかに医師に相談してください。渋谷 膝の痛みや渋谷 肩の痛みなど、特定の部位の痛みでお悩みの場合も、専門医の診断を受けることが大切です。
塗り薬のNSAIDsはどんな人に処方される?

塗り薬のNSAIDsが適しているケース
- 胃腸障害のリスクが高い方: 経口NSAIDsは胃粘膜を荒らす副作用がありますが、塗り薬は消化管への直接的な影響が少ないため、胃潰瘍や胃炎の既往がある方、またはそのリスクが高い方に適しています。
- 腎機能障害がある方: 経口NSAIDsは腎血流量を低下させ、腎機能に影響を与える可能性があります。塗り薬は全身への吸収が少ないため、腎機能への負担を軽減できる可能性があります。
- 高齢者: 高齢者は複数の疾患を抱え、多くの薬を服用していることが多いため、薬物相互作用のリスクを避ける目的で塗り薬が選択されることがあります。また、全身性の副作用を避ける上でも有効です。
- 局所的な痛みや炎症が主症状の方: 関節炎、腱鞘炎、筋肉痛、打撲、捻挫など、特定の部位に痛みや腫れが集中している場合に、直接患部に作用させることで効率的な治療が期待できます。
- 経口薬の服用が困難な方: 嚥下困難や味覚の問題などにより、飲み薬の服用が難しい患者さまにも有効な選択肢となります。
塗り薬のNSAIDsが適さない、または慎重な使用が必要なケース
- 広範囲の痛みや全身性の炎症: 痛みが広範囲に及ぶ場合や、発熱を伴う全身性の炎症には、塗り薬だけでは十分な効果が得られないことがあります。
- アスピリン喘息の既往がある方: 前述の通り、喘息発作を誘発するリスクがあるため、使用は避けるべきです。
- 妊娠後期(妊娠28週以降)の女性: 胎児への影響が懸念されるため、禁忌とされています[5][6]。
- 皮膚に傷や湿疹がある部位: 薬剤が過剰に吸収されたり、皮膚症状が悪化したりする可能性があるため、避けるべきです。
診察の中で、患者さまの全身状態や既往歴、現在の服用薬などを詳細に確認し、塗り薬のNSAIDsが最適な選択肢であるかを慎重に判断しています。特に、複数の薬剤を併用している患者さまの場合、薬物相互作用のリスクを避けるためにも、塗り薬の選択は重要な意味を持ちます。
まとめ
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の塗り薬は、局所的な痛みや炎症の緩和に有効な治療選択肢です。スタデルム(フェルビナク)とベシカム(インドメタシン)は、それぞれ異なる有効成分と特徴を持ち、患者さまの症状や状態に応じて使い分けられます。経口NSAIDsと比較して全身性の副作用は少ないものの、皮膚症状や光線過敏症などの局所的な副作用には注意が必要です。正しい使用法を守り、医師の指示に従うことで、その効果を安全かつ最大限に引き出すことができます。ご自身の症状や体質に合った薬剤を選ぶためにも、必ず医療機関を受診し、専門医の診断と指導を受けるようにしましょう。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
- Chao Zeng, Jie Wei, Monica S M Persson et al.. Relative efficacy and safety of topical non-steroidal anti-inflammatory drugs for osteoarthritis: a systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials and observational studies.. British journal of sports medicine. 2018. PMID: 29436380. DOI: 10.1136/bjsports-2017-098043
- C Zeng, M Doherty, M S M Persson et al.. Comparative efficacy and safety of acetaminophen, topical and oral non-steroidal anti-inflammatory drugs for knee osteoarthritis: evidence from a network meta-analysis of randomized controlled trials and real-world data.. Osteoarthritis and cartilage. 2022. PMID: 34174454. DOI: 10.1016/j.joca.2021.06.004
- Sheena Derry, Philip Conaghan, José António P Da Silva et al.. Topical NSAIDs for chronic musculoskeletal pain in adults.. The Cochrane database of systematic reviews. 2016. PMID: 27103611. DOI: 10.1002/14651858.CD007400.pub3
- Sheena Derry, R Andrew Moore, Helen Gaskell et al.. Topical NSAIDs for acute musculoskeletal pain in adults.. The Cochrane database of systematic reviews. 2016. PMID: 26068955. DOI: 10.1002/14651858.CD007402.pub3
- スタデルム 添付文書 – PMDA(医薬品医療機器総合機構)
- ベシカム 添付文書 – PMDA(医薬品医療機器総合機構)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
