- ✓ デルマクリンクリームは、ジフェンヒドラミン塩酸塩を主成分とする抗ヒスタミン作用を持つ外用薬です。
- ✓ 湿疹、皮膚炎、かゆみ、虫刺されなどに効果が期待されますが、眠気や光線過敏症などの副作用に注意が必要です。
- ✓ 使用上の注意を守り、症状が改善しない場合は医師や薬剤師に相談することが重要です。
デルマクリンクリームは、かゆみや炎症を伴う皮膚症状の緩和に用いられる外用薬です。主成分であるジフェンヒドラミン塩酸塩が、アレルギー反応によって引き起こされるかゆみを抑える効果が期待されます。当院の患者様からも、虫刺されや軽い湿疹で処方されるケースが多く、その効果についてご質問いただくことが少なくありません。
デルマクリンクリームとは?その基本的な作用と成分

デルマクリンクリームは、皮膚のかゆみや炎症を和らげることを目的とした外用薬です。その主要な有効成分は「ジフェンヒドラミン塩酸塩」であり、この成分がアレルギー反応を抑制することで、かゆみなどの症状を軽減します。
ジフェンヒドラミン塩酸塩の作用機序とは?
ジフェンヒドラミン塩酸塩は、第一世代の抗ヒスタミン薬に分類されます[5]。アレルギー反応は、体内でヒスタミンという物質が放出されることによって引き起こされます。ヒスタミンが皮膚のH1受容体と結合すると、かゆみや発赤、腫れなどの症状が現れます。ジフェンヒドラミン塩酸塩は、このH1受容体へのヒスタミンの結合を競合的に阻害することで、ヒスタミンの作用をブロックし、かゆみなどのアレルギー症状を抑える効果が期待されます[6]。臨床の現場では、急なかゆみで来院された患者さまに対し、この抗ヒスタミン作用を期待してデルマクリンクリームを処方することがよくあります。
デルマクリンクリームの剤形と特徴
デルマクリンクリームは、その名の通りクリーム剤として提供されます。クリームは一般的に伸びが良く、べたつきが少ないため、広範囲に塗布しやすいという特徴があります。また、皮膚への刺激が比較的少ないため、敏感肌の方にも使用しやすい剤形と言えます。添付文書によると、1g中にジフェンヒドラミン塩酸塩20mgを含有しています[5]。
- 抗ヒスタミン薬
- アレルギー反応の原因物質であるヒスタミンの働きを抑えることで、かゆみ、くしゃみ、鼻水などのアレルギー症状を和らげる薬の総称です。第一世代と第二世代に分類され、第一世代は眠気などの副作用が出やすい傾向があります。
デルマクリンクリームはどのような症状に効果が期待できるのか?
デルマクリンクリームは、その抗ヒスタミン作用により、様々な皮膚のかゆみや炎症症状に適用されます。特に、ヒスタミンが関与するアレルギー性の皮膚疾患に対して効果が期待されます。
主な適応症と期待される効果
添付文書に記載されている主な適応症は以下の通りです[5]。
- 湿疹・皮膚炎
- かゆみ
- 虫さされ
- じん麻疹
- あせも
これらの症状に対して、ジフェンヒドラミン塩酸塩がヒスタミンの作用をブロックすることで、かゆみの軽減や炎症の抑制が期待されます。特に、急性の虫刺されによるかゆみや、軽度の湿疹・皮膚炎におけるかゆみに対しては、比較的速やかに効果を感じられる場合があります。初診時に「とにかくかゆくて眠れない」と相談される患者さまも少なくなく、そのような場合にデルマクリンクリームが選択肢の一つとなることがあります。
外用薬としてのジフェンヒドラミンの応用例はあるのか?
ジフェンヒドラミンは、外用薬として皮膚に直接塗布するだけでなく、他の剤形や組み合わせで様々な症状への応用が研究されています。例えば、アレルギー性鼻炎や喘息患者の鼻粘膜への経皮適用が試みられ、鼻の症状改善に寄与する可能性が報告されています[1]。また、がん患者の悪心(吐き気)に対する局所適用ゲルとして、ロラゼパム、ハロペリドールとの組み合わせで効果が検討された研究もあります[2][4]。さらに、放射線治療による口腔粘膜炎の痛みに対して、ドキシサイクリンやリドカイン、制酸剤との組み合わせでうがい薬として使用され、その効果が評価された臨床試験も存在します[3]。これらの研究は、ジフェンヒドラミンの局所作用が、皮膚のかゆみ以外にも応用できる可能性を示唆しています。
デルマクリンクリームの副作用と注意点とは?

デルマクリンクリームは比較的安全性の高い外用薬ですが、使用にあたってはいくつかの副作用や注意点があります。適切な使用方法を理解し、異常を感じた場合は速やかに医療機関に相談することが重要です。
報告されている主な副作用
デルマクリンクリームの主な副作用は、塗布部位に現れる皮膚症状です。添付文書によると、以下のような症状が報告されています[5]。
- 発疹・発赤
- かゆみ(悪化)
- 刺激感
- 接触皮膚炎
- 乾燥
これらの症状は、薬に対するアレルギー反応や皮膚への刺激によって引き起こされることがあります。特に、塗布後に症状が悪化したり、新たな発疹が現れたりした場合は、使用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。また、ごく稀に全身性の副作用として眠気や光線過敏症(日光に当たると皮膚が過敏に反応する症状)が報告されることもあります[6]。これは、ジフェンヒドラミンが皮膚から吸収され、全身に作用するためと考えられます。実際の診療では、広範囲に塗布する患者さまや、長期にわたって使用する患者さまには、これらの可能性について説明し、注意を促しています。
使用上の注意点と禁忌事項
デルマクリンクリームを使用する際には、以下の点に注意が必要です[5]。
- 目の周囲や粘膜への使用を避ける: 刺激が強く、思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。
- 傷のある部位への使用を避ける: 薬の吸収が高まり、全身性の副作用が出やすくなる可能性があります。
- 広範囲・長期の使用を避ける: 全身への吸収量が増え、眠気などの副作用のリスクが高まります。
- 小児への使用: 小児は大人に比べて皮膚が薄く、薬の吸収が高いため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。
- 妊婦・授乳婦への使用: 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用が検討されます。必ず医師に相談してください。
- 車の運転や機械の操作: 稀に眠気を催すことがあるため、注意が必要です。
また、過去にジフェンヒドラミン塩酸塩や他の抗ヒスタミン薬でアレルギー反応を起こしたことがある方は、使用を避けるべきです。当院では、患者さまの既往歴や現在の症状を詳しく伺い、適切な使用法を指導することを心がけています。
デルマクリンクリームは外用薬であり、内服薬ではありません。誤って口に入れたり、飲み込んだりしないよう注意してください。特に小さなお子様の手の届かない場所に保管することが重要です。
デルマクリンクリームと他の外用薬との比較
皮膚のかゆみや炎症を抑える外用薬には、デルマクリンクリーム以外にも様々な種類があります。それぞれの薬には特徴があり、症状や部位、患者さまの体質によって適切な選択が異なります。ここでは、代表的な外用薬との比較を通じて、デルマクリンクリームの位置づけを解説します。
ステロイド外用薬との違いとは?
ステロイド外用薬は、強力な抗炎症作用を持つ薬剤であり、湿疹や皮膚炎の治療に広く用いられます。デルマクリンクリームが主にヒスタミンの作用を抑えることでかゆみを軽減するのに対し、ステロイド外用薬は炎症そのものを強力に抑える作用があります。炎症が強く、赤みや腫れが顕著な場合には、ステロイド外用薬が優先的に選択されることが多いです。しかし、ステロイド外用薬には長期連用による皮膚萎縮や毛細血管拡張などの副作用があるため、使用期間や強度が厳しく管理されます。デルマクリンクリームはステロイドを含まないため、ステロイドの副作用が懸念される場合や、軽度のかゆみに対して選択されることがあります。実際の診療では、炎症が強い時期にはステロイドを短期間使用し、炎症が落ち着いてきたらデルマクリンクリームなどの非ステロイド薬に切り替えるケースもよく経験します。
| 項目 | デルマクリンクリーム | ステロイド外用薬 |
|---|---|---|
| 主な作用 | 抗ヒスタミン作用(かゆみ抑制) | 抗炎症作用(炎症抑制) |
| 主成分 | ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 合成副腎皮質ホルモン |
| 適応症状 | 軽度の湿疹、かゆみ、虫刺されなど | 中等度〜重度の湿疹、皮膚炎、アトピー性皮膚炎など |
| 長期使用の注意点 | 稀に眠気、光線過敏症など | 皮膚萎縮、毛細血管拡張、感染症誘発など |
| 市販薬の有無 | 市販薬(レスタミンコーワクリームなど)あり | 市販薬(強さにより)あり |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)外用薬との使い分けは?
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の外用薬は、痛みや炎症を和らげる効果がありますが、主に筋肉痛や関節痛、打撲などの炎症性の痛みに用いられることが多いです。かゆみに対しては、デルマクリンクリームのような抗ヒスタミン薬の方が直接的な効果が期待できます。NSAIDs外用薬は、プロスタグランジンという炎症物質の生成を抑えることで作用するため、かゆみのメカニズムとは異なるアプローチとなります。したがって、かゆみが主症状である場合はデルマクリンクリーム、痛みや腫れが主症状である場合はNSAIDs外用薬というように、症状に応じて使い分けることが一般的です。
デルマクリンクリームの適切な使用方法と注意すべき点

デルマクリンクリームの効果を最大限に引き出し、かつ副作用のリスクを最小限に抑えるためには、正しい使用方法を守ることが非常に重要です。医師や薬剤師の指示に従い、添付文書の内容をよく確認しましょう。
一般的な塗布方法と頻度
デルマクリンクリームは、通常、1日数回、適量を患部に塗布します[5]。適量とは、患部が薄く覆われる程度を指します。塗布する際は、清潔な指でやさしく広げるように塗ってください。強く擦り込んだり、厚く塗りすぎたりする必要はありません。塗布後は、手をよく洗うようにしましょう。特に、顔や目の周りに塗布した場合は、誤って目に入らないよう注意が必要です。実際の診療では、患者さまの皮膚の状態や症状の程度に合わせて、塗布回数や量を調整するよう指導しています。例えば、乾燥が強い場合は保湿剤との併用を推奨するなど、個別の状況に応じたアドバイスが重要なポイントになります。
使用期間と症状改善の目安
デルマクリンクリームは、通常、症状が改善するまでの短期間の使用が推奨されます。数日間使用しても症状の改善が見られない場合や、かえって悪化するような場合は、自己判断で継続せずに、速やかに医療機関を受診してください。これは、症状の原因がデルマクリンクリームでは対応できない別の疾患である可能性や、薬による接触皮膚炎を起こしている可能性も考えられるためです。治療を始めて1週間ほどで「かゆみが落ち着いてきた」とおっしゃる方が多いですが、中には改善が見られないケースもあり、その際は他の薬剤への切り替えや、原因の再検討を行います。
他の薬剤との併用に関する注意
デルマクリンクリームは外用薬であるため、内服薬との相互作用は比較的少ないと考えられます。しかし、他の外用薬、特にステロイド外用薬や別の抗ヒスタミン外用薬との併用については、医師や薬剤師に相談することが望ましいです。複数の外用薬を同時に使用する場合、塗布する順番や時間間隔が重要になることがあります。また、ジフェンヒドラミンは経皮吸収される可能性があるため、他の抗ヒスタミン作用を持つ内服薬との併用で、眠気などの全身性の副作用が強まる可能性も考慮する必要があります。市販薬を含む他の薬を使用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えるようにしてください。
まとめ
デルマクリンクリームは、ジフェンヒドラミン塩酸塩を主成分とする抗ヒスタミン作用を持つ外用薬であり、湿疹、皮膚炎、かゆみ、虫刺されなどの症状に対して効果が期待されます。比較的安全性の高い薬剤ですが、塗布部位の刺激感や、稀に眠気、光線過敏症といった副作用が報告されています。目の周囲や傷のある部位への使用は避け、広範囲や長期の使用は慎重に行う必要があります。症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。正しい知識と使用方法を理解し、安全かつ効果的にデルマクリンクリームを活用しましょう。
お近くのグループクリニック
当グループでは、患者様の通いやすさに合わせて渋谷・池袋の2院を展開しております。お近くのクリニックをお選びください。
よくある質問(FAQ)
- Mitsuhiro Kamimura, Toshiya Inui, Atsuto Mouri et al.. A Pilot Study of Transdermal Application of Diphenhydramine to the Nasal Ala in Patients with Allergic Rhinitis and Asthma.. The Tokai journal of experimental and clinical medicine. 2022. PMID: 36420548
- Devon S Fletcher, Patrick J Coyne, Patricia W Dodson et al.. A randomized trial of the effectiveness of topical “ABH Gel” (Ativan(®), Benadryl(®), Haldol(®)) vs. placebo in cancer patients with nausea.. Journal of pain and symptom management. 2015. PMID: 24793078. DOI: 10.1016/j.jpainsymman.2014.02.010
- Terence T Sio, Jennifer G Le-Rademacher, James L Leenstra et al.. Effect of Doxepin Mouthwash or Diphenhydramine-Lidocaine-Antacid Mouthwash vs Placebo on Radiotherapy-Related Oral Mucositis Pain: The Alliance A221304 Randomized Clinical Trial.. JAMA. 2019. PMID: 30990550. DOI: 10.1001/jama.2019.3504
- Jacob Bleicher, Achala Bhaskara, Tim Huyck et al.. Lorazepam, diphenhydramine, and haloperidol transdermal gel for rescue from chemotherapy-induced nausea/vomiting: results of two pilot trials.. The journal of supportive oncology. 2008. PMID: 18257398
- デルマクリンクリーム 添付文書 – PMDA(医薬品医療機器総合機構)
- レスタミン(ジフェンヒドラミン)添付文書(JAPIC)
