- ✓ ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は、ドライアイの症状緩和に広く用いられる有効な治療薬です。
- ✓ 角膜・結膜上皮の保護、涙液安定化、炎症抑制など複数の作用機序でドライアイを改善します。
- ✓ 副作用は比較的少ないですが、点眼時の刺激感やアレルギー反応に注意が必要です。
ドライアイは、目の不快感や視機能の低下を引き起こす一般的な眼疾患であり、多くの患者さまがその症状に悩まされています。渋谷エリアでも、スマートフォンやPCの長時間使用により、ドライアイを訴える方が増加傾向にあります。その治療の中心となるのが、目薬による対症療法です。特に、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は、その高い保湿力と角膜保護作用から、ドライアイ治療において広く用いられています。
この記事では、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液がドライアイにどのように作用するのか、その効果や安全性、そして使用上の注意点について詳しく解説します。
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液とは?その特徴と作用機序

ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は、涙液の安定化と角膜・結膜上皮の保護を目的として、ドライアイ治療に広く処方される目薬です。
ヒアルロン酸は、もともと人間の体内、特に眼球内の硝子体や関節液、皮膚などに存在する生体高分子であり、高い保水能力を持つことが特徴です。そのヒアルロン酸をナトリウム塩として点眼液に配合したものが、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液です。当院では、初診時に「目が乾いてゴロゴロする」「夕方になると霞んで見えにくい」と相談される患者さまも少なくありませんが、この点眼液は多くの患者さまの症状緩和に貢献しています。
ヒアルロン酸ナトリウムの多角的な効果
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は、単に目を潤すだけでなく、複数のメカニズムでドライアイ症状の改善に寄与します。
- 涙液の安定化と保湿作用: ヒアルロン酸ナトリウムは、その分子構造により大量の水分を保持する能力があります。点眼することで涙液層の水分を保持し、蒸発を抑制することで、目の表面を長時間潤す効果が期待できます。これにより、涙液層の安定性が向上し、目の乾燥感を軽減します。
- 角膜・結膜上皮の保護と修復促進: ドライアイでは、目の表面、特に角膜や結膜の上皮細胞がダメージを受けやすい状態にあります。ヒアルロン酸ナトリウムは、これらの細胞表面に付着し、物理的な保護膜を形成することで、摩擦や乾燥による損傷から目を守ります。また、上皮細胞の移動や増殖を促進する作用も報告されており、傷ついた角膜上皮の修復を助ける可能性も指摘されています[2]。
- 抗炎症作用: ドライアイは、目の表面の炎症を伴うことが少なくありません。ヒアルロン酸ナトリウムには、炎症性サイトカインの産生を抑制するなどの抗炎症作用も示唆されており、目の不快感や充血の軽減に寄与する可能性があります。
これらの多角的な作用により、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は、ドライアイによる目の乾燥感、異物感、目の疲れ、かすみ目といった症状の緩和に有効であると考えられています。
- ドライアイ(乾燥性角結膜炎)
- 涙液の量や質が低下することにより、目の表面(角膜・結膜)が乾燥し、様々な不快な症状を引き起こす疾患です。目の異物感、乾燥感、目の疲れ、充血、かすみ目などが主な症状で、重症化すると角膜に傷がつくこともあります。
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の具体的な効果とは?臨床データに基づく検証
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は、ドライアイの症状改善に有効であることが多くの臨床研究で示されています。
特に、白内障手術後のドライアイ症状に対して、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液が有効であるというメタアナリシス(複数の研究結果を統合して解析する手法)が報告されています。この研究では、白内障手術後のドライアイ患者において、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液を使用することで、目の乾燥感や異物感といった症状が有意に改善されることが示されました[1]。また、別の研究では、白内障手術後のドライアイに対するヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、デキストラン-70点眼液の臨床効果が比較され、ヒアルロン酸点眼液が症状緩和に寄与することが示唆されています[4]。
他の成分との併用効果
ヒアルロン酸ナトリウムは、単独での使用だけでなく、他の成分と併用することで、さらに効果を高める可能性も研究されています。例えば、ヒト上皮成長因子(rhEGF)点眼液とヒアルロン酸ナトリウム点眼液を併用することで、ドライアイ患者の症状が改善されたという報告があります[2]。また、牛血液抽出物(Calf Blood-Deproteinized Extract)とヒアルロン酸ナトリウム点眼液の併用が、結膜充血スコアと涙液膜安定性の改善に寄与することも示されています[3]。これらの研究は、ヒアルロン酸ナトリウムが他の治療薬と組み合わせることで、より幅広いドライアイ症状に対応できる可能性を示唆しています。
臨床の現場では、患者さまのドライアイのタイプや重症度に応じて、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の濃度(0.1%や0.3%など)や、他の成分が配合された点眼液(ジクアホソル点眼液やレバミピド点眼液など)との併用を検討することがよくあります。これにより、個々の患者さまに最適な治療を提供できるよう努めています。
| 項目 | ヒアルロン酸ナトリウム点眼液 | 一般的な人工涙液 |
|---|---|---|
| 主な作用 | 保湿、涙液安定化、角膜保護・修復促進、抗炎症作用 | 一時的な潤い、涙液補充 |
| 持続性 | 比較的高い(粘性による) | 比較的短い |
| 角膜への影響 | 保護・修復促進効果が期待される | 保護効果は限定的 |
| 処方 | 医療用医薬品として処方されることが多い | 市販薬として広く入手可能 |
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の副作用と注意点とは?

ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は、一般的に安全性が高いとされていますが、いくつかの副作用や使用上の注意点があります。
最も一般的な副作用としては、点眼直後の一時的な刺激感やかすみ目が挙げられます。これは、点眼液の粘性によるもので、通常はすぐに解消します。また、ごく稀にアレルギー反応として、まぶたの腫れ、かゆみ、目の充血などが生じることがあります。このような症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、眼科医にご相談ください。臨床の現場では、刺激感を訴える患者さまには、防腐剤フリーの製剤を検討したり、点眼方法を再確認したりすることが重要なポイントになります。
防腐剤の有無と選択
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液には、防腐剤が添加されているものと、防腐剤フリーのものがあります。防腐剤は、点眼液の汚染を防ぎ、品質を保つために重要ですが、一部の患者さまでは防腐剤が目の表面に刺激を与え、ドライアイ症状を悪化させる可能性があります。特に、長期にわたって頻繁に点眼する必要がある場合や、コンタクトレンズを使用している場合は、防腐剤フリーの点眼液が推奨されることがあります。防腐剤フリーの点眼液は、通常1回使い切りタイプや、特殊な容器に入った多回使用タイプがあります。
点眼液の容器の先端が目に触れないように注意してください。細菌汚染の原因となり、目の感染症を引き起こす可能性があります。また、他の人と点眼液を共有しないでください。
コンタクトレンズとの併用
コンタクトレンズ装用中のドライアイは非常に多く、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液はコンタクトレンズとの相性も比較的良好とされています。しかし、防腐剤入りの点眼液は、コンタクトレンズに吸着してレンズの変性や目の刺激を引き起こす可能性があるため、コンタクトレンズを装着している場合は、防腐剤フリーの点眼液を使用するか、レンズを外してから点眼することが推奨されます。詳細は眼科医や薬剤師にご相談ください。
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の適切な使用方法は?
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるためには、適切な使用方法を守ることが重要です。
- 点眼回数と量: 一般的には、1回1滴を1日数回点眼します。症状の程度によって回数は異なりますが、医師の指示に従ってください。点眼しすぎても効果が増強されるわけではなく、かえって涙液が流出しやすくなることもあります。
- 清潔な手で: 点眼前には必ず石鹸で手を洗い、清潔に保ってください。
- 正しく点眼: 下まぶたを軽く引き、点眼液が直接目に落ちるようにします。容器の先端が目に触れないように注意してください。点眼後は、まばたきを数回して液をなじませ、目頭を軽く押さえて点眼液が鼻の奥に流れるのを防ぐと、全身への吸収を抑え、目の表面での滞留時間を長くすることができます。
- 他の目薬との併用: 複数の目薬を使用する場合は、5分以上の間隔を空けて点眼してください。これにより、それぞれの薬が十分に効果を発揮し、相互作用による影響を避けることができます。
- 保管方法: 直射日光を避け、室温で保管してください。開封後は、防腐剤の有無にかかわらず、一定期間(通常は1ヶ月以内)で使い切るようにしましょう。防腐剤フリーの1回使い切りタイプは、開封後すぐに使用し、残った液は廃棄してください。
診察の中で、点眼が苦手な患者さまも多くいらっしゃいます。特にご高齢の方や小さなお子さまの場合、点眼補助具の使用や、ご家族による点眼サポートも有効な手段です。正しい点眼方法を身につけることは、治療効果を高める上で非常に重要です。
渋谷でドライアイの目薬を処方してもらうには?
渋谷エリアでドライアイの症状にお悩みの場合、眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
自己判断で市販の目薬を使用することも可能ですが、ドライアイの原因は多岐にわたるため、専門医による診断なしに症状が改善しない場合や、悪化するケースも少なくありません。例えば、シェーグレン症候群などの全身疾患が原因でドライアイを引き起こしていることもありますし、コンタクトレンズの不適切な使用や、特定の薬剤の副作用としてドライアイが生じることもあります。当院では、患者さま一人ひとりの目の状態を詳しく検査し、ドライアイの原因を特定した上で、最適な治療プランを提案しています。
眼科での検査と診断
眼科では、以下のような検査を通じてドライアイの診断を行います。
- 問診: 目の症状、生活習慣、既往歴、服用中の薬剤などを詳しくお伺いします。
- 涙液量検査(シルマーテスト): 専用の濾紙を下まぶたに挟み、5分間で涙がどれだけ染み込むかを測定し、涙液の分泌量を評価します。
- 涙液層破壊時間(BUT)検査: 目の表面にフルオレセインという色素を点眼し、まばたきを我慢した状態で涙液層が破壊されるまでの時間を測定します。この時間が短いと、涙液の安定性が低いと判断されます。
- 角膜・結膜染色検査: 目の表面に特殊な色素を点眼し、角膜や結膜に傷がないか、上皮細胞の状態を観察します。
これらの検査結果に基づいて、ドライアイの診断を行い、ヒアルロン酸ナトリウム点眼液をはじめとする適切な目薬を処方します。症状が重い場合には、点眼治療だけでなく、涙点プラグ挿入術や生活習慣の改善指導など、複合的な治療を検討することもあります。
治療を始めて数ヶ月ほどで「以前よりも目のゴロゴロ感が減った」「パソコン作業が楽になった」とおっしゃる方が多いです。定期的な通院と適切な治療の継続が、ドライアイ症状の長期的な改善には不可欠です。
まとめ
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液は、ドライアイ治療において中心的な役割を果たす目薬です。その高い保湿力と角膜保護作用により、目の乾燥感や異物感といった症状の緩和に有効性が示されています。白内障手術後のドライアイなど、様々な原因によるドライアイに対して効果が期待でき、他の治療薬との併用も検討されます。
副作用は比較的少ないものの、点眼時の刺激感やアレルギー反応には注意が必要です。防腐剤の有無やコンタクトレンズとの併用についても、眼科医や薬剤師と相談し、適切な選択をすることが大切です。渋谷エリアでドライアイの症状にお悩みの方は、放置せずに眼科を受診し、専門医の診断のもと、ご自身に合った治療を受けることをお勧めします。
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よくある質問(FAQ)
- Yan Wen, Xiaocheng Zhang, Maosheng Chen et al.. Sodium hyaluronate in the treatment of dry eye after cataract surgery: a meta-analysis.. Annals of palliative medicine. 2021. PMID: 32434354. DOI: 10.21037/apm-20-695
- Weina Ren, Tingting Chen, Wenpeng Dong et al.. Effects of sodium hyaluronate combined with rhEGF eye drops in patients with dry eye.. Pakistan journal of pharmaceutical sciences. 2022. PMID: 35039260
- Hao Wang, Dong Zhou, Zhuo Sun et al.. Effects of Calf Blood-Deproteinized Extract Ophthalmic Gel Combined with Sodium Hyaluronate Eye Drops on Conjunctival Hyperemia Score and Tear Film Stability in Patients with Dry Eye.. Computational intelligence and neuroscience. 2022. PMID: 35694606. DOI: 10.1155/2022/6732914
- Zhi-Hui Duan, Yi-Fei Tang. The clinical effects of sodium hyaluronate, polyethylene glycol, and dextran-70 eye drops in relieving dry eye after phacoemulsification.. Medicine. 2021. PMID: 34160407. DOI: 10.1097/MD.0000000000026358
- Sandra Belalcázar-Rey, Valeria Sánchez Huerta, Juan C Ochoa-Tabares et al.. Efficacy and Safety of Sodium Hyaluronate/chondroitin Sulfate Preservative-free Ophthalmic Solution in the Treatment of Dry Eye: A Clinical Trial.. Current eye research. 2022. PMID: 33289602. DOI: 10.1080/02713683.2020.1849733
