渋谷 やけど治療薬と処置|医師が解説
最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
- ✓ やけどの重症度は深さと広さで分類され、適切な初期処置が重要です。
- ✓ アズノール軟膏は炎症を抑え、ステロイド軟膏は特定の状況下で炎症や痒みを軽減する目的で使用されます。
- ✓ 感染予防と湿潤環境の維持が治癒を促進し、医療機関での適切な診断と治療が不可欠です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
やけど(熱傷)とは?その重症度分類と初期処置

やけどの深達度による分類とは?
やけどの重症度は、主に皮膚のどの深さまで損傷が及んでいるかを示す「深達度」と、損傷部位の「広さ」によって分類されます。深達度による分類は以下の通りです[3]。- I度熱傷
- 皮膚の最も表面にある表皮のみが損傷した状態です。赤みや軽度の痛みが生じますが、水ぶくれはできず、数日で自然に治癒することがほとんどです。
- II度熱傷
- 表皮の下にある真皮まで損傷が及んだ状態です。水ぶくれ(水疱)ができ、強い痛みを感じます。II度熱傷はさらに「浅達性II度熱傷」と「深達性II度熱傷」に分けられます。
- 浅達性II度熱傷: 真皮の比較的浅い部分までの損傷で、赤みを帯びた水ぶくれが特徴です。適切な治療により、通常2〜3週間で治癒し、跡が残りにくい傾向があります。
- 深達性II度熱傷: 真皮の深い部分まで損傷が及んだ状態です。水ぶくれの底が白っぽく、痛みを感じにくいこともあります。治癒には3週間以上かかり、瘢痕(きずあと)が残る可能性が高まります。
- III度熱傷
- 皮膚の全層(表皮、真皮、皮下組織)が破壊された状態です。皮膚は白っぽく、または黒焦げになり、神経も破壊されるため痛みを感じません。自然治癒は期待できず、植皮などの外科的処置が必要となることがほとんどです。
やけどの初期処置で最も重要なことは何ですか?
やけどを負った際の最も重要な初期処置は、直ちに流水で患部を冷却することです。これは熱源から皮膚を遠ざけ、熱による損傷の進行を止める目的があります。当院の診察でも、初診時に「すぐに冷やしたのですが、これで合っていましたか?」と相談される患者さまも少なくありません。冷却は、痛みの軽減にもつながります。- 冷却方法: 清潔な流水(水道水など)で、15分から30分程度、患部を冷やし続けます。氷や保冷剤を直接当てるのは、凍傷のリスクがあるため避けてください。清潔なタオルで包んでから当てるか、流水で冷やすのが安全です。
- 衣服の除去: やけどを負った部位に衣服がある場合は、無理に剥がさず、冷やしながらハサミなどで切り取りましょう。衣服が皮膚に張り付いている場合は、医療機関で処置を受けるまでそのままにしておくのが賢明です。
- 水ぶくれの処置: 水ぶくれは破らないように注意してください。破れてしまうと感染のリスクが高まります[2]。
- 医療機関の受診: 広範囲のやけど、顔や関節などの重要な部位のやけど、II度以上のやけど、乳幼児や高齢者のやけど、痛みが強い場合などは、速やかに医療機関を受診してください。
⚠️ 注意点
民間療法(味噌、醤油、アロエなどを塗る)は、感染のリスクを高めるだけでなく、正確な診断を妨げる可能性があるため、絶対に行わないでください。必ず清潔な処置を心がけましょう。
やけど治療薬の種類と効果:アズノール軟膏はどのような時に使われますか?
やけどの治療薬は、その重症度や症状に応じて様々な種類が用いられます。炎症を抑えるもの、感染を防ぐもの、皮膚の再生を促すものなどがあり、医師の診断に基づいて適切に選択されます。当院では、患者さまのやけどの状態を詳細に診察し、治癒を最大限に促す薬剤を選定しています。アズノール軟膏とは?その主な効果
アズノール軟膏は、有効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムを配合した外用薬です。アズレンスルホン酸ナトリウムは、カミツレ由来の成分で、抗炎症作用や組織修復作用を持つことが知られています[5]。- 抗炎症作用: やけどによる赤みや腫れといった炎症症状を和らげます。
- 組織修復作用: 損傷した皮膚組織の再生を助け、治癒を促進する効果が期待されます。
- 適用範囲: 主にI度や浅達性II度熱傷など、比較的軽度のやけどや、炎症が主体となる皮膚炎に用いられることが多いです。
ステロイド軟膏はやけどに効果がありますか?
ステロイド軟膏は、強力な抗炎症作用を持つ薬剤であり、やけどの治療において使用される場合がありますが、その使用には慎重な判断が必要です。ステロイドは、炎症を強力に抑える効果がある一方で、皮膚の免疫機能を抑制し、感染のリスクを高める可能性や、皮膚を薄くするなどの副作用も報告されています[6]。- 使用されるケース: やけどの急性期において、過剰な炎症反応を抑える目的や、やけどが治癒した後の色素沈着や痒み、肥厚性瘢痕(盛り上がったきずあと)の予防・治療に、医師の判断で短期間、または限定的に使用されることがあります。
- 使用が推奨されないケース: 感染が疑われるやけどや、水ぶくれが破れてジュクジュクしている状態のやけどには、原則としてステロイド軟膏は使用されません。これは、ステロイドが免疫を抑制し、感染を悪化させる可能性があるためです。
その他のやけど治療薬
やけどの状態に応じて、以下のような治療薬も用いられます。- 抗菌薬含有軟膏: やけどは皮膚のバリア機能が損なわれるため、細菌感染のリスクが高まります[2]。感染予防や治療のために、スルファジアジン銀などの抗菌薬を含む軟膏が使用されることがあります。
- 湿潤療法用ドレッシング材: 傷を乾燥させずに潤った状態に保つことで、治癒を促進し、痛みを軽減する効果があります。ハイドロコロイドやポリウレタンフィルムなどの様々な種類があります。最近では、薬物送達システムとしてハイドロゲルがやけど治療に応用され、研究が進められています[1]。
- 鎮痛剤: 痛みが強い場合には、内服の鎮痛剤が処方されることもあります。
やけどの処置方法:湿潤療法とは何ですか?

湿潤療法のメカニズムとメリット
従来のやけど治療では、傷口を乾燥させ、かさぶたを作って治すという考え方が主流でした。しかし、湿潤療法では、傷口から滲み出る浸出液(体液)には、傷を治すための成長因子や細胞が含まれていることに着目します。この浸出液を傷口に閉じ込めることで、以下のようなメリットが得られます。- 治癒の促進: 傷口の細胞が活発に働き、皮膚の再生が早まります。
- 痛みの軽減: 傷口が乾燥しないため、神経が刺激されにくく、痛みが和らぎます。また、湿潤環境は外部からの刺激も遮断します。
- 瘢痕形成の抑制: きれいな治癒が期待でき、きずあとが残りにくいとされています。
- 交換頻度の減少: ドレッシング材の種類によっては、交換頻度が少なく済むため、患者さまの負担が軽減されます。
湿潤療法における具体的な処置方法
湿潤療法では、傷口を洗浄した後、専用のドレッシング材(被覆材)を用いて傷口を覆います。ドレッシング材は、傷口からの浸出液を適度に吸収し、外部からの細菌の侵入を防ぎながら、傷口を湿潤状態に保つ役割を果たします。当院では、患者さまのやけどの深さや浸出液の量、部位などに応じて、最適なドレッシング材を選定しています。例えば、浅いII度熱傷の患者さまには、ハイドロコロイドドレッシング材を用いることで、治癒を早め、痛みも軽減されるケースをよく経験します。治療を始めて1週間ほどで「痛みがほとんどなくなって、日常生活が楽になりました」とおっしゃる方が多いです。- 洗浄: 傷口を清潔な生理食塩水や水道水で優しく洗浄し、異物や壊死組織を除去します。
- ドレッシング材の選択: 浸出液の量や傷の深さに応じて、ハイドロコロイド、ポリウレタンフォーム、アルギン酸塩などのドレッシング材を選びます。
- 交換頻度: ドレッシング材の種類や浸出液の量によって異なりますが、数日に一度交換することが多いです。
⚠️ 注意点
湿潤療法は、適切なドレッシング材の選択と交換、そして感染管理が非常に重要です。自己判断で行うと、かえって感染を悪化させるリスクがあるため、必ず医療機関で指導を受けましょう。特に、III度熱傷や広範囲のII度熱傷では、専門的な治療が必要です。
やけどの感染予防と合併症対策は?
やけどは皮膚のバリア機能が損なわれるため、細菌感染のリスクが非常に高い状態です。感染が起こると、治癒が遅れるだけでなく、重症化して全身性の感染症(敗血症)を引き起こす可能性もあります[2]。そのため、感染予防と合併症対策は、やけど治療において極めて重要な要素です。当院では、感染の兆候を早期に発見し、迅速に対応できるよう、患者さまへの指導と定期的な診察を徹底しています。やけどの感染兆候と予防策
やけどの感染兆候には、以下のようなものがあります。- 発熱: 全身的な発熱が見られることがあります。
- 痛みの増強: 治癒過程で痛みが軽減するはずが、再び強くなることがあります。
- 赤みや腫れの拡大: やけどの周囲が赤く腫れ上がったり、範囲が広がったりします。
- 膿の排出: 傷口から黄色や緑色の膿が出ることがあります。
- 悪臭: 傷口から不快な臭いがすることがあります。
- 清潔な処置: 傷口の洗浄やドレッシング材の交換は、清潔な環境で行い、手をよく洗うなど衛生管理を徹底します。
- 適切な薬剤の使用: 医師の指示に基づき、抗菌薬含有軟膏などを適切に使用します。
- ドレッシング材の適切な管理: ドレッシング材が剥がれたり汚れたりした場合は、速やかに交換します。
やけどの主な合併症とその対策
やけどは、治癒後も様々な合併症を引き起こす可能性があります。特に、深いやけどや広範囲のやけどでは、以下の合併症に注意が必要です。- 瘢痕(きずあと): 深いやけどでは、肥厚性瘢痕(盛り上がったきずあと)やケロイド(きずあとがさらに大きく広がる)が形成されることがあります。これらは見た目の問題だけでなく、痒みや引きつれ(拘縮)による機能障害を引き起こすこともあります。
- 色素沈着・色素脱失: やけどが治った後、その部位が周囲の皮膚より黒ずんだり(色素沈着)、白くなったり(色素脱失)することがあります。
- 拘縮: 関節部分のやけどでは、きずあとが硬く引きつれて関節の動きが制限されることがあります。
| 合併症の種類 | 主な症状 | 一般的な対策 |
|---|---|---|
| 肥厚性瘢痕・ケロイド | 赤み、盛り上がり、痒み、痛み | シリコンシート、圧迫療法、ステロイド注射、内服薬 |
| 色素沈着・脱失 | 皮膚の色素変化(黒ずみ、白斑) | 美白剤、レーザー治療(色素沈着)、経過観察 |
| 拘縮 | 関節の動きの制限、引きつれ | リハビリテーション、ストレッチ、手術(瘢痕切除、植皮など) |
渋谷でやけど治療を受けるなら?医療機関での受診フロー

当院でのやけど診療の流れ
当院では、やけどで来院された患者さまに対し、以下のような診療フローで対応しています。- 受付・問診: 受付後、問診票にご記入いただきます。いつ、どこで、どのようにやけどを負ったか、初期処置の内容、既往歴、アレルギーの有無などを詳しくお伺いします。特に、熱源の種類や接触時間、冷却処置の有無は、やけどの深さや治療方針を決定する上で重要な情報となります。
- 医師による診察: 医師がやけどの部位、深さ、広さを詳細に診察します。水ぶくれの状態、皮膚の色、痛みの程度などを確認し、I度、II度(浅達性・深達性)、III度のいずれに該当するかを診断します。感染の兆候がないかも注意深く観察します。
- 治療方針の説明: 診断結果に基づき、患者さまのやけどの状態に合わせた最適な治療方針をご提案します。アズノール軟膏などの外用薬、湿潤療法用のドレッシング材、必要に応じて内服薬(抗菌薬や鎮痛剤)の処方など、具体的な治療内容と期待される効果、治療期間、注意点などを分かりやすく説明します。
- 処置・薬剤処方: 医師または看護師が、傷口の洗浄、壊死組織の除去、ドレッシング材の貼付などを行います。その後、処方箋を発行し、薬剤の使用方法や自宅でのケアについて詳しくご説明します。
- 今後の通院・経過観察: やけどの深さや広さによって、通院頻度は異なります。浅いII度熱傷であれば数回の通院で治癒することが多いですが、深達性II度熱傷やIII度熱傷では、より長期的な治療と経過観察が必要です。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。
オンライン診療は可能ですか?
やけどのオンライン診療は、その性質上、対面診療が原則となります。特に、やけどの深さや広さの正確な診断、水ぶくれの処置、感染の有無の確認などは、医師が直接患部を視診・触診することが不可欠です。オンライン診療では、これらの詳細な評価が困難であるため、適切な治療が遅れるリスクがあります。 ただし、初診後に症状が安定し、軽度のやけどで経過観察のみが必要な場合や、遠方にお住まいの患者さまが再診時に薬の処方のみを希望される場合など、状況によってはオンラインでの相談や、処方箋の発行が可能なケースもあります。当院では、患者さまの安全と最適な治療を最優先に考え、オンライン診療の可否を慎重に判断しています。まずはご来院いただき、医師の診察を受けることを強くお勧めします。⚠️ 注意点
やけどは時間とともに状態が変化する可能性があるため、自己判断で治療を中断したり、市販薬で済ませたりせず、必ず医療機関の指示に従ってください。特に、感染の兆候が見られる場合は、速やかに再受診が必要です。
まとめ
やけどは、その深さや広さによって重症度が異なり、適切な初期処置と専門的な治療が重要です。I度熱傷は表皮のみの損傷で比較的軽度ですが、II度熱傷(浅達性・深達性)では水ぶくれが生じ、III度熱傷では皮膚全層が破壊され、外科的処置が必要となることがあります。初期処置としては、直ちに流水で患部を冷却することが最も重要です。治療薬としては、アズノール軟膏が抗炎症作用や組織修復作用で軽度のやけどに用いられ、ステロイド軟膏は特定の状況下で炎症や痒みを抑える目的で慎重に使用されます。近年では、傷口を湿潤環境に保つことで治癒を促進する湿潤療法が広く採用されています。やけどは感染リスクが高く、瘢痕形成や拘縮といった合併症にも注意が必要なため、医療機関での適切な診断と継続的なフォローアップが不可欠です。渋谷でやけど治療を検討される際は、専門医の診察を受け、最適な治療計画を立てることが早期回復への鍵となります。お近くのグループクリニック
当グループでは、患者様の通いやすさに合わせて渋谷・池袋の2院を展開しております。お近くのクリニックをお選びください。
よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
- MeeiChyn Goh, Meng Du, Wang Rui Peng et al.. Advancing burn wound treatment: exploring hydrogel as a transdermal drug delivery system.. Drug delivery. 2024. PMID: 38366562. DOI: 10.1080/10717544.2023.2300945
- Deirdre Church, Sameer Elsayed, Owen Reid et al.. Burn wound infections.. Clinical microbiology reviews. 2006. PMID: 16614255. DOI: 10.1128/CMR.19.2.403-434.2006
- Cornelis J Hoogewerf, M Jenda Hop, Marianne K Nieuwenhuis et al.. Topical treatment for facial burns.. The Cochrane database of systematic reviews. 2020. PMID: 32725896. DOI: 10.1002/14651858.CD008058.pub3
- Adenilson de Souza da Fonseca, Flavia de Paoli, Andre Luiz Mencalha. Photodynamic therapy for treatment of infected burns.. Photodiagnosis and photodynamic therapy. 2022. PMID: 35341978. DOI: 10.1016/j.pdpdt.2022.102831
- アズノール(アズノール)添付文書(JAPIC)
- ステロイド 添付文書 – PMDA(医薬品医療機器総合機構)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
