テラコートリル

【テラコートリルとは?効果と副作用を医師が解説】

最終更新日: 2026-04-22
📋 この記事のポイント
  • ✓ テラコートリルはステロイドと抗生物質を配合した外用薬で、皮膚の炎症と細菌感染の両方に作用します。
  • ✓ 湿疹、皮膚炎、あせも、虫刺されなど幅広い皮膚疾患に効果が期待されますが、使用には注意が必要です。
  • ✓ 長期使用や広範囲への使用は副作用のリスクを高めるため、医師や薬剤師の指示に従うことが重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

テラコートリルとは?その成分と特徴

テラコートリルの軟膏チューブと箱、有効成分ヒドロコルチゾンとオキシテトラサイクリンの表示
テラコートリル軟膏のパッケージ
テラコートリルは、皮膚の炎症と細菌感染の両方に対応する配合外用薬です。当院では、患者さまが市販薬として購入されるケースも多く、その適切な使用法についてよくご質問をいただきます。
テラコートリル
ヒドロコルチゾン(ステロイド)とオキシテトラサイクリン(抗生物質)の2つの有効成分を配合した外用薬です。炎症を抑えつつ、細菌の増殖を抑制することで、様々な皮膚疾患の症状緩和に用いられます。
この薬剤は、主に軟膏とクリームの形態で提供されており、症状や塗布部位に応じて使い分けが可能です。有効成分は以下の通りです。
  • ヒドロコルチゾン(Hydrocortisone): ステロイドの一種で、炎症を抑える作用があります。皮膚の赤み、腫れ、かゆみなどの症状を緩和します。ステロイドの強さとしては、比較的弱い「マイルド」に分類されます[5]
  • オキシテトラサイクリン(Oxytetracycline): テトラサイクリン系の抗生物質で、細菌のタンパク質合成を阻害することで細菌の増殖を抑えます。これにより、炎症を伴う細菌感染の治療に寄与します[5]
これらの成分の組み合わせにより、テラコートリルは炎症性皮膚疾患に合併する細菌感染症、またはそのリスクがある場合に特に有効性が期待されます。例えば、湿疹や皮膚炎で皮膚のバリア機能が低下し、細菌が侵入しやすくなっている状態などです。臨床の現場では、湿疹が悪化してジュクジュクしているようなケースで、感染の合併を疑う際に選択肢の一つとして検討することがあります。 テラコートリルに配合されているヒドロコルチゾンは、ステロイドの中でも作用が比較的穏やかであるため、顔などのデリケートな部位にも比較的使いやすいとされています。しかし、ステロイドである以上、長期連用や不適切な使用は副作用のリスクを伴うため、注意が必要です。
成分分類主な作用
ヒドロコルチゾンステロイド(副腎皮質ホルモン)抗炎症作用、免疫抑制作用
オキシテトラサイクリンテトラサイクリン系抗生物質細菌の増殖抑制(静菌作用)

テラコートリルはどのような皮膚疾患に効果がある?

テラコートリルは、炎症と細菌感染が関与する様々な皮膚疾患に対して効果が期待されます。実際の診療では、患者さまの症状を詳しく診察し、テラコートリルが最も適した治療薬であるかを判断します。

湿疹・皮膚炎

湿疹や皮膚炎は、皮膚の炎症によって赤み、かゆみ、腫れ、ブツブツなどが生じる状態です。テラコートリルに含まれるヒドロコルチゾンは、これらの炎症症状を効果的に抑える作用があります。特に、掻き壊しなどによって皮膚のバリア機能が損なわれ、細菌感染を合併している、またはそのリスクがある場合に、抗生物質であるオキシテトラサイクリンが細菌の増殖を抑制し、症状の悪化を防ぐことが期待されます[1]

あせも(汗疹)

あせもは、汗腺が詰まることで汗が皮膚内にたまり、炎症を起こす疾患です。特に乳幼児や多汗症の方に多く見られます。あせもがひどくなると、かゆみや赤みが強くなり、掻き壊しによって細菌感染を併発することがあります。テラコートリルは、炎症を抑えるとともに、感染の予防や治療に役立つ可能性があります。小児の皮膚疾患においても、オキシテトラサイクリン-ヒドロコルチゾン軟膏が有効であるという報告もあります[4]

虫刺され

蚊やブユなどの虫に刺されると、かゆみや赤み、腫れといった炎症反応が生じます。掻きむしることで皮膚が傷つき、細菌が侵入して二次感染を起こすことがあります。テラコートリルは、ステロイド成分で炎症を鎮め、抗生物質成分で二次感染を予防・治療する効果が期待されます。ただし、虫刺されの症状が軽度であれば、ステロイド単剤や非ステロイド性抗炎症薬で十分な場合もあります。

その他

添付文書には、湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、虫さされ、じんましん、しもやけ、あかぎれ、切り傷、すり傷、とびひ、めんちょう、毛のう炎といった適応症が記載されています[5]。切り傷や擦り傷は、細菌感染のリスクが高いため、抗生物質配合のテラコートリルが選択肢となることがあります。また、歯科領域では、親知らず抜歯後のドライソケット(抜歯窩治癒不全)や抜歯後疼痛の発生を減少させる効果が報告されており、その抗炎症作用と抗菌作用が寄与していると考えられています[3]。臨床の現場では、患者さまが「市販薬で治らなかった」と来院される際に、症状が複雑化しているケースが多く、そのような場合にテラコートリルのような配合剤が有効なことがあります。
⚠️ 注意点

テラコートリルは、真菌(カビ)やウイルスによる感染症には効果がありません。むしろ、ステロイド成分が免疫を抑制するため、症状を悪化させる可能性があります。自己判断せずに、医師の診断を受けることが重要です。

テラコートリルの使い方と注意すべき副作用

テラコートリルを塗布する指先のクローズアップ、使用方法と副作用の注意喚起
テラコートリル塗布時の注意点
テラコートリルを安全かつ効果的に使用するためには、正しい使い方を理解し、副作用のリスクを把握しておくことが重要です。実際の診療では、患者さまに塗布量や塗布期間について具体的に説明し、不明な点があればすぐに相談していただくようお伝えしています。

正しい使い方

テラコートリルは、通常、1日数回、患部に適量を塗布します[5]。塗布する際は、清潔な指や綿棒を使用し、薄く均一に伸ばすように心がけましょう。厚く塗れば効果が高まるというわけではなく、かえって副作用のリスクを高める可能性があります。塗布後は、手をよく洗い、目に入らないように注意してください。
  • 塗布量: 患部が薄く覆われる程度が目安です。指の第一関節分(約0.5g)で、手のひら2枚分の広さに塗れるとされています。
  • 塗布期間: 症状が改善したら、漫然と使用を続けないようにしましょう。特に市販薬の場合、5~6日使用しても症状が改善しない場合は、使用を中止して医師の診察を受けることが推奨されます[5]
  • 塗布部位: 顔や首、陰部などのデリケートな部位への長期的な使用は、副作用のリスクが高まるため、医師の指示なしには避けるべきです。

注意すべき副作用とは?

テラコートリルは、ステロイドと抗生物質を配合しているため、それぞれの成分に起因する副作用が考えられます。

ステロイド成分(ヒドロコルチゾン)による副作用

ヒドロコルチゾンは比較的弱いステロイドですが、長期連用や広範囲への使用、密封療法(患部を覆う方法)などにより、以下のような副作用が生じる可能性があります。
  • 皮膚の萎縮: 皮膚が薄くなる、毛細血管が拡張して赤く見える。
  • ざ瘡(ニキビ): ステロイドざ瘡と呼ばれるニキビのような発疹。
  • 多毛: 塗布部位の毛が濃くなる。
  • 色素沈着・色素脱失: 皮膚の色が濃くなったり、白くなったりする。
  • 感染症の誘発・悪化: ステロイドによる免疫抑制作用で、真菌(カビ)やウイルス感染症が悪化することがあります。
  • 眼圧亢進・緑内障: まぶたの周りに使用した場合、眼圧が上昇するリスクがあります。

抗生物質成分(オキシテトラサイクリン)による副作用

オキシテトラサイクリンは外用薬として使用されるため、全身性の副作用は稀ですが、局所的な反応として以下が報告されています。
  • 接触皮膚炎: 薬剤に対するアレルギー反応で、かゆみ、赤み、発疹が生じる。
  • 光線過敏症: 塗布部位が日光に当たると、過敏に反応して炎症を起こすことがあります。
  • 菌交代症: 長期使用により、薬剤に感受性のない菌が増殖し、新たな感染症を引き起こすことがあります。
これらの副作用は、全ての患者さまに起こるわけではありませんが、症状が現れた場合は速やかに使用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。特に、小児や高齢者、妊婦、授乳婦の方は、使用前に必ず医師に相談することが重要です。当院では、副作用のリスクを最小限に抑えるため、患者さま一人ひとりの皮膚の状態や既往歴を考慮し、適切な薬剤選択と使用指導を行っています。

テラコートリルと他のステロイド外用薬との違いは?

テラコートリルは、ステロイドと抗生物質を組み合わせた配合剤ですが、他の多くのステロイド外用薬はステロイド単剤です。この違いが、薬剤の選択において重要なポイントとなります。臨床経験上、患者さまから「市販のステロイド剤と何が違うのか」という質問をよく受けます。

ステロイド単剤との比較

一般的なステロイド外用薬は、炎症を抑えることを主目的としています。例えば、ヒドロコルチゾン単剤の「コートリル軟膏」などがあります[6]。これらの薬剤は、湿疹や皮膚炎、かゆみなどの炎症症状が主体で、細菌感染の兆候がない場合に適しています。 一方、テラコートリルは、炎症を抑えるヒドロコルチゾンに加えて、細菌の増殖を抑えるオキシテトラサイクリンを含んでいます。このため、以下のような場合にテラコートリルが選択されることがあります。
  • 細菌感染を合併している炎症: 掻き壊しなどで皮膚が傷つき、ジュクジュクしている、膿を持っているなどの症状がある場合。
  • 細菌感染のリスクが高い炎症: 湿潤性の湿疹や、傷口を伴う皮膚炎など。
ただし、細菌感染が認められない炎症性の皮膚疾患に対して、漫然と抗生物質配合剤を使用することは、耐性菌の出現リスクを高める可能性があり、推奨されません。ステロイド外用薬の選択は、症状の程度、部位、感染の有無などを総合的に判断して行う必要があります。

ステロイドの強さについて

ステロイド外用薬は、その作用の強さによって5段階に分類されます。テラコートリルに配合されているヒドロコルチゾンは、最も弱い「マイルド」クラスに属します[5]。これは、顔などのデリケートな部位にも比較的使いやすいという利点がある一方で、重度の炎症には効果が不十分な場合もあります。
薬剤の種類主な成分特徴適応例
テラコートリルヒドロコルチゾン+オキシテトラサイクリン弱いステロイドと抗生物質の配合剤。炎症と細菌感染の両方に対応。湿疹・皮膚炎で細菌感染を合併またはリスクがある場合、あせも、虫刺されなど。
ステロイド単剤(例:コートリル軟膏)ヒドロコルチゾンなど炎症を抑える作用のみ。細菌感染のない湿疹、皮膚炎、かゆみなど。
抗生物質単剤(例:ゲンタシン軟膏)ゲンタマイシンなど細菌感染のみに対応。炎症を抑える作用はない。細菌感染が主体のとびひ、毛のう炎など。

医療用と市販薬の違い

テラコートリルは、医療用医薬品としても市販薬としても提供されています。市販薬のテラコートリル軟膏aは、医療用と同じヒドロコルチゾンとオキシテトラサイクリンを配合していますが、濃度や添加物が異なる場合があります[5]。市販薬は、自己判断で使用できる手軽さがありますが、症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。初診時に「市販薬を数日使ったが良くならない」と相談される患者さまも少なくありません。このような場合、症状が進行していることもあり、適切な診断と処方薬への切り替えが必要となることがあります。

テラコートリル使用時の注意点と受診の目安

テラコートリル使用で肌に異常が出た際の、医師への相談を促す医療機関のマーク
テラコートリル使用時の受診目安
テラコートリルは有効な薬剤ですが、その使用にはいくつかの注意点があります。特に、市販薬として使用する際には、自己判断で症状を悪化させないよう、適切な判断が求められます。診察の中で、患者さまが誤った使い方をしているケースを実感することがあります。

使用を控えるべきケース

以下のような場合は、テラコートリルの使用を控えるか、医師に相談してください。
  • 真菌(カビ)やウイルスによる感染症: 水虫、カンジダ症、ヘルペス、水痘(水ぼうそう)など。ステロイド成分が免疫を抑制し、症状を悪化させる可能性があります[5]
  • 結核、梅毒による皮膚疾患: これらの感染症は、テラコートリルでは治療できません。
  • 化膿性皮膚疾患(重度の場合): 広範囲にわたる重度の細菌感染症には、内服の抗生物質が必要になることがあります。
  • 鼓膜に穿孔がある湿疹性外耳道炎: 鼓膜を介して中耳に薬剤が入り込む可能性があるため、使用できません[5]
  • 広範囲のやけど: 専門的な治療が必要となります。
  • 過去にテラコートリルでアレルギー反応を起こしたことがある方

妊娠中や授乳中の使用は問題ない?

妊娠中または妊娠している可能性のある女性、および授乳中の女性は、使用前に必ず医師や薬剤師に相談してください。動物実験では、オキシテトラサイクリンの全身投与により胎児への影響が報告されていますが、外用薬としての影響は限定的と考えられています。しかし、安全のためにも自己判断は避け、専門家の指示に従うことが重要です[5]

受診の目安とは?

テラコートリルを使用しても症状が改善しない、または悪化する場合は、速やかに医療機関を受診してください。特に、以下のような症状が見られる場合は、専門医の診察が必要です。
  • 5~6日使用しても症状が改善しない、または悪化する[5]
  • 発熱やリンパ節の腫れなど、全身症状を伴う。
  • 塗布部位に強いかゆみ、赤み、腫れ、水ぶくれなどのアレルギー反応が生じた。
  • 皮膚が薄くなる、毛細血管が浮き出る、ニキビのような発疹など、ステロイドの副作用が疑われる症状が現れた。
実際の診療では、患者さまの症状だけでなく、生活習慣や他の疾患の有無なども考慮して、最適な治療方針を立てることが重要です。自己判断での長期使用は避け、症状に応じて適切な医療機関を受診しましょう。

まとめ

テラコートリルは、ヒドロコルチゾン(ステロイド)とオキシテトラサイクリン(抗生物質)を配合した外用薬であり、皮膚の炎症と細菌感染の両方に対応する効果が期待されます。湿疹、皮膚炎、あせも、虫刺されなどで、細菌感染を合併しているか、そのリスクがある場合に有効な選択肢となり得ます。しかし、ステロイドと抗生物質という2つの成分を含むため、長期使用や不適切な使用は副作用のリスクを高める可能性があります。特に、真菌やウイルスによる感染症には使用を避け、症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診し、医師や薬剤師の指示に従うことが重要です。

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よくある質問(FAQ)

テラコートリルはニキビにも使えますか?
テラコートリルは、ニキビ(尋常性ざ瘡)の治療薬としては推奨されません。ニキビの原因はアクネ菌などの細菌感染と皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まりですが、テラコートリルに含まれるステロイド成分は、かえってニキビを悪化させる「ステロイドざ瘡」を引き起こす可能性があります。ニキビには、ニキビ専用の治療薬を使用するか、皮膚科医にご相談ください。
テラコートリルは顔やデリケートな部位に使っても大丈夫ですか?
テラコートリルに含まれるヒドロコルチゾンは比較的弱いステロイドであるため、顔などのデリケートな部位にも比較的使いやすいとされています。しかし、長期連用や広範囲への使用は、皮膚の萎縮や毛細血管拡張などの副作用のリスクを高めます。特に、まぶたの周りに使用する場合は眼圧上昇のリスクもあるため、自己判断での使用は避け、医師や薬剤師の指示に従ってください。
子供にもテラコートリルを使用できますか?
小児の皮膚は大人よりも薄く、薬剤の吸収率が高い傾向があるため、副作用が出やすい可能性があります。小児に使用する場合は、必ず医師の診察を受け、指示された用法・用量を守って使用してください。特に乳幼児への使用は慎重に行う必要があります。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長