最終更新日: 2026-04-22
📋 この記事のポイント
- ✓ スキリージはIL-23を選択的に阻害し、乾癬や炎症性腸疾患に効果を発揮する生物学的製剤です。
- ✓ 主な副作用として感染症のリスクがあり、投与前のスクリーニングと定期的な観察が重要です。
- ✓ 投与間隔が長く、自己注射も可能なため、患者さまの負担軽減に貢献する治療選択肢です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
スキリージ(リサンキズマブ)とは?どのような薬ですか?

スキリージの作用機序:IL-23阻害のメカニズム
スキリージの有効性は、その特異的な作用機序にあります。IL-23は、T細胞の分化や活性化を促進し、炎症性サイトカイン(IL-17A、IL-17F、IL-22など)の産生を誘導することで、乾癬や炎症性腸疾患の病態形成に重要な役割を果たしています[5]。スキリージは、このIL-23に直接結合し、その受容体への結合を阻害することで、下流の炎症カスケードを遮断します。これにより、皮膚の炎症や腸管の炎症が抑制され、病変の改善に繋がります。- 生物学的製剤
- 生物が産生するタンパク質を有効成分とする医薬品で、特定の分子を標的として病気の原因に作用します。従来の合成医薬品と比較して、より特異的に作用するため、高い効果と副作用の軽減が期待されます。
どのような疾患に処方される?
スキリージは、以下の疾患に対して承認されています。- 尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症(既存治療で効果不十分な場合に限る)
- 中等症から重症の活動期クローン病(既存治療で効果不十分な場合に限る)
- 中等症から重症の潰瘍性大腸炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)
スキリージの用法・用量:投与スケジュールと注意点
スキリージは皮下注射によって投与される薬剤であり、疾患によって投与スケジュールが異なります。正確な用法・用量を守ることが、効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを管理するために非常に重要です。乾癬の場合
尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の場合、通常、成人にはリサンキズマブとして初回、4週後、12週後に150mgを皮下投与し、以降12週間隔で150mgを皮下投与します。当院では乾癬の患者さまにスキリージを処方する際、導入期は医療機関での投与を推奨し、状態が安定した患者さまには自己注射の指導も行っています。自己注射は患者さまの通院負担を軽減し、日常生活の質向上に繋がるため、多くの患者さまに選択されています。⚠️ 注意点
乾癬治療において、効果が不十分な場合には増量や投与間隔の短縮が検討されることもありますが、これは医師の判断に基づいて行われるべきです。自己判断で用量や間隔を変更することは避けてください。
クローン病の場合
中等症から重症の活動期クローン病の場合、通常、成人には導入療法として、リサンキズマブとして600mgを静脈内点滴注射します。その後、導入療法を完了した患者には、維持療法として12週後から360mgを皮下投与し、以降8週間隔で360mgを皮下投与します。クローン病の患者さまは、全身状態が不安定なことも多いため、導入期の静脈内投与は入院下で行われることもあります。維持期の皮下投与も、患者さまの状態によっては自己注射が可能です。臨床経験上、炎症性腸疾患の患者さまは、症状の再燃を恐れる気持ちが強い方が多いため、定期的な投与を継続することの重要性を丁寧に説明しています。潰瘍性大腸炎の場合
中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の場合、通常、成人には導入療法として、リサンキズマブとして600mgを静脈内点滴注射します。その後、導入療法を完了した患者には、維持療法として12週後から180mgを皮下投与し、以降8週間隔で180mgを皮下投与します。潰瘍性大腸炎においても、クローン病と同様に、導入期は静脈内投与、維持期は皮下投与が基本となります。潰瘍性大腸炎の治療では、長期的な寛解維持が目標となるため、継続的な治療アドヒアランスが非常に重要です。当院では、維持療法に移行した患者さまから、投与間隔が8週と長いため、日常生活への影響が少ないというフィードバックをいただくことが多いです[1]。スキリージの副作用:注意すべき症状と対策

重大な副作用
- **重篤な感染症(頻度不明)**:細菌、真菌、ウイルスなどによる重篤な感染症(敗血症、肺炎、蜂巣炎、帯状疱疹、結核など)が報告されています。スキリージは免疫系を抑制するため、感染症にかかりやすくなったり、既存の感染症が悪化したりする可能性があります。特に、結核やB型肝炎ウイルス感染症の既往がある患者さまは、投与前に適切な検査と治療が必要です。
- **重篤な過敏症(頻度不明)**:アナフィラキシーなどの重篤な過敏症が現れることがあります。発疹、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下などの症状が現れた場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置が必要です。
その他の副作用
臨床試験で報告された主な副作用は以下の通りです。- **感染症**:上気道感染(鼻咽頭炎など)が最も多く報告されています(10%以上)。その他、尿路感染、気管支炎、カンジダ症など。
- **注射部位反応**:注射部位の疼痛、発赤、腫脹などが報告されています(1%以上5%未満)。
- **神経系障害**:頭痛(1%以上5%未満)、めまい(1%未満)など。
- **消化器系障害**:悪心、下痢、腹痛(いずれも1%未満)など。
- **その他**:疲労、発熱、関節痛、背部痛(いずれも1%未満)など。
⚠️ 注意点
これらの副作用はあくまで報告されたものであり、全ての患者さまに現れるわけではありません。しかし、体調に異変を感じた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談してください。特に発熱、咳、倦怠感などの感染症を疑う症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
スキリージと他の生物学的製剤との比較:治療選択のポイント
スキリージはIL-23を標的とする薬剤ですが、乾癬や炎症性腸疾患の治療には、他にも様々な作用機序を持つ生物学的製剤が存在します。これらの薬剤の中から、患者さま一人ひとりに最適な治療を選択することが重要です。診察の現場では、患者さまから「どの薬が一番良いのか」と質問されることがありますが、治療薬の選択は、病気の活動性、既往歴、合併症、患者さまのライフスタイルなどを総合的に考慮して決定されます。作用機序の違い
生物学的製剤は、その標的分子によっていくつかの種類に分けられます。- **TNF-α阻害薬**:アダリムマブ(ヒュミラ)、インフリキシマブ(レミケード)など。炎症性サイトカインであるTNF-αを阻害します。
- **IL-12/23阻害薬**:ウステキヌマブ(ステラーラ)など。IL-12とIL-23の両方を阻害します。
- **IL-17A阻害薬**:セクキヌマブ(コセンティクス)、イキセキズマブ(トルツ)など。IL-17Aを阻害します。
- **IL-23阻害薬**:スキリージ、グセルクマブ(トレムフィア)など。IL-23を選択的に阻害します。
| 項目 | スキリージ(IL-23阻害薬) | ステラーラ(IL-12/23阻害薬) |
|---|---|---|
| 主な標的 | IL-23 | IL-12, IL-23 |
| 投与経路 | 皮下注射(クローン病・潰瘍性大腸炎導入期は静注) | 皮下注射(クローン病・潰瘍性大腸炎導入期は静注) |
| 乾癬の維持期投与間隔 | 12週に1回 | 12週に1回 |
| クローン病の維持期投与間隔 | 8週に1回 | 8週に1回 |
治療選択の考慮点
- **疾患の種類と重症度**:乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎それぞれで、推奨される治療薬が異なります。
- **過去の治療歴**:これまでの治療で効果がなかった薬剤や、副作用で中止した薬剤があるかどうかが重要です。
- **合併症**:結核やB型肝炎などの感染症の既往、心臓病、悪性腫瘍などの合併症の有無は、薬剤選択に大きく影響します。
- **患者さまの希望とライフスタイル**:投与間隔、自己注射の可否、通院の頻度なども、治療継続の重要な要素となります。
🩺 スキリージに関する患者さまからのご質問
Q. スキリージを始めてから、どれくらいで効果を実感できますか?
A. 乾癬の場合、外来でスキリージを使用した経験では、多くの患者さまが初回投与から数週間で皮膚症状の改善を実感され、12週後には顕著な効果が見られることが多い印象です。クローン病や潰瘍性大腸炎の場合も、導入療法後から症状の改善が期待されますが、個人差は大きいと感じています。
Q. 自己注射は難しいですか?痛みはありますか?
A. スキリージはペン型とシリンジ型の製剤があり、ペン型は操作が比較的簡単で、多くの患者さまが自己注射を習得されています。当院では、看護師による丁寧な指導を行い、安心して自己注射ができるようサポートしています。注射時の痛みは個人差がありますが、一般的には軽度で、慣れてくるとほとんど気にならなくなる方が多いです。
Q. スキリージを打っている間、風邪をひきやすくなりますか?
A. スキリージは免疫を調整する薬であるため、感染症のリスクがわずかに高まる可能性があります。特に上気道感染(風邪など)は比較的多く報告されています。しかし、日常生活で過度に心配する必要はありません。手洗いやうがいを励行し、人混みを避けるなど、一般的な感染症対策を心がけることが大切です。発熱や咳が続く場合は、早めに受診してください。
Q. 妊娠を希望していますが、スキリージは続けられますか?
A. 妊娠中のスキリージの使用に関する安全性データは限られています。一般的に、妊娠を希望される方や妊娠中の患者さまに対しては、治療の継続の可否について慎重な検討が必要です。当院では、患者さまの状況と疾患の活動性、他の治療選択肢などを総合的に評価し、産婦人科医とも連携しながら、最適な方針を決定しています。必ず事前に医師にご相談ください。
Q. スキリージと他の薬との飲み合わせで注意することはありますか?
A. 生物学的製剤であるスキリージは、他の免疫抑制剤や生物学的製剤との併用は推奨されない場合があります。また、生ワクチンを接種する際には注意が必要です。処方する際は、患者さまが服用している全ての薬剤(市販薬やサプリメント含む)を把握し、相互作用がないか確認しています。必ず、現在使用中の全ての薬剤を医師や薬剤師にお伝えください。
Q. スキリージはジェネリック医薬品がありますか?
A. スキリージは生物学的製剤であり、現在のところジェネリック医薬品(バイオシミラー)は発売されていません。バイオシミラーの開発には時間がかかるため、当面は先発品のみの提供となります。
スキリージのジェネリック医薬品と費用について

ジェネリック医薬品(バイオシミラー)の現状
生物学的製剤のジェネリック医薬品は「バイオシミラー」と呼ばれます。通常の化学合成された薬剤のジェネリック医薬品とは異なり、製造工程が複雑であるため、開発には時間がかかります。スキリージの有効成分であるリサンキズマブのバイオシミラーがいつ登場するかは現時点では未定です。⚠️ 注意点
バイオシミラーの導入は、医療費の負担軽減に繋がる可能性がありますが、医師の判断なしに自己判断で切り替えることは避けてください。バイオシミラーへの切り替えは、医師と十分に相談の上で決定されるべきです。
医療費助成制度の活用
スキリージを含む生物学的製剤は、その高い効果と引き換えに薬剤費が高額になる傾向があります。しかし、日本の医療制度には、患者さまの負担を軽減するための様々な助成制度が設けられています。- **高額療養費制度**:医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月で上限額を超えた場合、その超えた額が支給される制度です。所得に応じて自己負担限度額が設定されています。
- **難病医療費助成制度**:クローン病や潰瘍性大腸炎は指定難病に該当するため、認定されると医療費の助成を受けることができます。乾癬は指定難病ではありませんが、病状によっては他の助成制度が適用される可能性もあります。
まとめ
スキリージ(リサンキズマブ)は、IL-23を選択的に阻害することで、中等症から重症の乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎に対して高い治療効果を示す生物学的製剤です。投与間隔が長く、自己注射も可能なため、患者さまの利便性向上にも貢献しています。一方で、感染症などの副作用のリスクがあるため、投与前後の適切なスクリーニングと定期的な診察が不可欠です。ジェネリック医薬品はまだ発売されていませんが、高額療養費制度などの医療費助成制度を活用することで、経済的負担を軽減できる可能性があります。治療の選択にあたっては、患者さまの病状、既往歴、ライフスタイルなどを総合的に考慮し、医師と十分に相談することが重要です。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
- Edouard Louis, Stefan Schreiber, Remo Panaccione et al.. Risankizumab for Ulcerative Colitis: Two Randomized Clinical Trials.. JAMA. 2024. PMID: 39037800. DOI: 10.1001/jama.2024.12414
- Laurent Peyrin-Biroulet, J Casey Chapman, Jean-Frederic Colombel et al.. Risankizumab versus Ustekinumab for Moderate-to-Severe Crohn’s Disease.. The New England journal of medicine. 2024. PMID: 39018531. DOI: 10.1056/NEJMoa2314585
- Kenneth B Gordon, Bruce Strober, Mark Lebwohl et al.. Efficacy and safety of risankizumab in moderate-to-severe plaque psoriasis (UltIMMa-1 and UltIMMa-2): results from two double-blind, randomised, placebo-controlled and ustekinumab-controlled phase 3 trials.. Lancet (London, England). 2018. PMID: 30097359. DOI: 10.1016/S0140-6736(18)31713-6
- Marc Ferrante, Remo Panaccione, Filip Baert et al.. Risankizumab as maintenance therapy for moderately to severely active Crohn’s disease: results from the multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, withdrawal phase 3 FORTIFY maintenance trial.. Lancet (London, England). 2022. PMID: 35644155. DOI: 10.1016/S0140-6736(22)00466-4
- Yinuo Pang, Ronilda D’Cunha, Insa Winzenborg et al.. Risankizumab: Mechanism of action, clinical and translational science.. Clinical and translational science. 2024. PMID: 38266061. DOI: 10.1111/cts.13705
- スキリージ(リサンキズマブ)添付文書(JAPIC)
- ヒュミラ(アダリムマブ)添付文書(JAPIC)
- レミケード(インフリキシマブ)添付文書(JAPIC)
- ウステキヌマブBS(ウステキヌマブ)添付文書(JAPIC)
- コセンティクス(セクキヌマブ)添付文書(JAPIC)
- トルツ(イキセキズマブ)添付文書(JAPIC)
- トレムフィア(グセルクマブ)添付文書(JAPIC)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
