- ✓ 疎経活血湯は、関節痛や神経痛、腰痛、筋肉痛などの痛みを和らげる漢方薬です。
- ✓ 血行改善作用や抗炎症作用により、特に冷えやしびれを伴う痛みに効果が期待されます。
- ✓ 比較的副作用は少ないですが、胃腸症状や皮膚症状に注意し、医師の指示に従いましょう。
疎経活血湯(ツムラ53)とは?その定義とメカニズム

疎経活血湯(そけいかっけつとう)は、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛などの痛みに用いられる漢方薬です。特に、冷えやしびれを伴う痛みに効果を発揮するとされています。この漢方薬は、17種類の生薬から構成されており、血行を促進し、炎症を抑えることで痛みを和らげることを目的としています[1]。
- 疎経活血湯
- 中国・宋代に著された『和剤局方』に収載されている処方を基にした漢方薬です。血の巡りを改善する「活血(かっけつ)」、痛みを和らげる「止痛(しつう)」、体を温める「温経(おんけい)」などの作用により、特に慢性的な痛みやしびれ、冷えを伴う関節痛や神経痛に用いられます。
疎経活血湯の作用メカニズムは、配合されている複数の生薬の相乗効果によると考えられています。例えば、当帰(トウキ)や芍薬(シャクヤク)は血行を改善し、痛みやしびれの原因となる「瘀血(おけつ)」を取り除く作用があります。また、防風(ボウフウ)や羌活(キョウカツ)などは抗炎症作用や鎮痛作用を持つとされ、痛みの緩和に寄与します。さらに、桂皮(ケイヒ)や細辛(サイシン)は体を温める作用があり、冷えを伴う症状に有効です。これらの生薬が複合的に作用することで、痛みの根本原因にアプローチし、症状の改善を目指します。
当院の皮膚科外来では、特に帯状疱疹後神経痛や、冷えを伴う関節炎などで、西洋薬だけでは効果が不十分な患者さまに対し、補助的に疎経活血湯を処方することがあります。特に、高齢の患者さまから「手足の冷えと同時に痛みやしびれが強くなる」という相談を受けることが多く、そのような場合にこの漢方薬が選択肢の一つとなります。
疎経活血湯の具体的な効果と効能は?
疎経活血湯は、主に以下のような症状に対して効果を発揮するとされています[1]。
- 関節痛
- 神経痛
- 腰痛
- 筋肉痛
- しびれ
- 冷えを伴う痛み
これらの症状の中でも、特に「血行不良」や「冷え」が原因となっている場合に有効性が期待されます。漢方医学では、これらの状態を「瘀血(おけつ)」や「寒邪(かんじゃ)」と捉え、疎経活血湯はこれらを改善する作用を持つと考えられています。
血行促進作用による痛みの緩和
疎経活血湯に含まれる当帰、芍薬、川芎(センキュウ)などの生薬は、血行を改善する作用があります。血行が滞ると、痛み物質が蓄積しやすくなったり、組織への栄養供給が不足したりして、痛みが悪化することがあります。血行を促進することで、これらの痛み物質の排出を助け、組織の回復を促し、痛みを和らげる効果が期待できます。
抗炎症・鎮痛作用
防風、羌活、独活(ドッカツ)などの生薬は、炎症を抑え、痛みを鎮める作用を持つとされています。これにより、関節の炎症や神経の炎症による痛みを軽減する効果が期待されます。特に、慢性的な炎症が関与する関節痛や神経痛において、西洋薬の鎮痛剤とは異なるアプローチで痛みをコントロールできる可能性があります。
冷えの改善
桂皮、細辛、附子(ブシ)などの生薬は、体を温める作用があります。冷えは血行不良を招き、痛みを悪化させる要因となるため、体を温めることで血行が改善され、痛みの軽減につながります。特に、冬場や冷房の効いた場所で症状が悪化する患者さまには、この作用が有効に働くことがあります。
実際の診察では、患者さまから「冷えると腰の痛みがひどくなる」「手足がしびれて感覚が鈍い」と訴えられることがよくあります。このような場合、疎経活血湯は、単に痛みを抑えるだけでなく、体の根本的な状態を改善することで、症状の緩和を目指すことができます。当院では、患者さまの体質や症状の経過を詳しく問診し、西洋薬との併用も含めて最適な治療法を提案しています。
疎経活血湯の正しい用法・用量と服用上の注意点

疎経活血湯の用法・用量は、製品によって異なる場合がありますが、ツムラ疎経活血湯エキス顆粒(医療用)の場合、以下の通りです[1]。
用法・用量
通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 食前:食事の約30分前
- 食間:食事と食事の間(食後約2時間)
漢方薬は、空腹時に服用することで吸収が良くなり、効果が発揮されやすいとされています。水またはぬるま湯で服用してください。お湯に溶かして飲むことも可能です。
服用上の注意点
- 飲み忘れに注意:毎日決まった時間に服用することで、効果が安定しやすくなります。飲み忘れた場合は、気がついた時点で服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばし、次の服用時間から再開してください。2回分を一度に服用することは避けてください。
- 他の薬剤との併用:他の漢方薬や西洋薬との併用は、相互作用を引き起こす可能性があるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。特に、甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬との併用には注意が必要です。
- 妊娠・授乳中の服用:妊娠中または授乳中の女性は、服用前に必ず医師に相談してください。生薬の中には、妊娠に影響を与える可能性のあるものも含まれています。
- 小児への投与:小児への投与は、医師の指示に従ってください。
- 長期服用:長期にわたって服用する場合は、定期的に医師の診察を受け、効果や副作用の有無を確認することが重要です。
自己判断で服用を中止したり、用量を変更したりすることは避けてください。症状の悪化や予期せぬ副作用につながる可能性があります。
皮膚科の臨床経験上、漢方薬は即効性があるというよりは、体質改善を促しながら徐々に効果を発揮する傾向にあります。そのため、患者さまには「すぐに効果が出なくても、まずは1ヶ月程度は継続してみましょう」とお伝えすることが多いです。特に、冷えやしびれを伴う慢性的な痛みの場合、2〜3ヶ月で症状の改善を実感される方が多い印象です。
疎経活血湯の副作用と注意すべき症状とは?
疎経活血湯は比較的安全性の高い漢方薬ですが、全く副作用がないわけではありません。添付文書に記載されている副作用情報に基づき、主なものを以下に示します[1]。
重大な副作用
頻度は不明ですが、以下のような重大な副作用が報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
- 偽アルドステロン症:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛が現れ、徐々に進行する。カリウム値の低下、血圧上昇、むくみ、体重増加などの症状が見られることがあります。
- ミオパチー:偽アルドステロン症の症状と類似しており、脱力感、筋肉痛、筋力低下などが現れることがあります。
- 肝機能障害、黄疸:全身のだるさ、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色になるなどの症状が現れることがあります。
その他の副作用
以下のような副作用が報告されています。これらの症状が現れた場合も、医師や薬剤師に相談してください。
| 部位 | 症状 |
|---|---|
| 消化器 | 食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢、腹痛 |
| 皮膚 | 発疹、蕁麻疹、かゆみ |
| その他 | 動悸、のぼせ、ほてり |
特に、胃腸の弱い方や、アレルギー体質の方は、これらの副作用が出やすい傾向があります。当院では、処方する際は、患者さまの既往歴や体質を詳細に問診し、胃腸症状が出やすい方には食後の服用を検討したり、少量から開始したりするなど、個々の患者さまに合った用法を選択しています。また、服用中に何か気になる症状が現れた場合は、すぐに相談していただくよう指導しています。
服用を避けるべき人・慎重に服用すべき人
- 妊娠中の女性:流産や早産のリスクがあるため、服用は避けるべきです。
- 高齢者:生理機能が低下しているため、副作用が出やすいことがあります。少量から開始するなど慎重に投与されます。
- 心臓病、腎臓病、高血圧の患者:偽アルドステロン症のリスクが高まるため、慎重な服用が必要です。
- 胃腸が弱い患者:胃部不快感や下痢などの消化器症状が出やすいことがあります。
皮膚科の日常診療では、特に高齢の患者さまや、複数の薬剤を服用されている患者さまに対しては、副作用のリスクを十分に説明し、定期的な血液検査などで状態をモニタリングすることが治療のポイントになります。患者さまから「胃の調子が悪くなった」「むくみが出てきた」というフィードバックをいただくこともあり、その際はすぐに服用中止や減量を検討します。
ジェネリック医薬品の有無と費用について

疎経活血湯は、ツムラから「ツムラ疎経活血湯エキス顆粒(医療用)」として販売されていますが、他の製薬会社からも同成分の漢方エキス製剤が製造・販売されています。これらは一般的に「ジェネリック医薬品」とは呼ばれず、「後発医薬品」や「同等品」として扱われることが多いです。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは?
ジェネリック医薬品は、先発医薬品(新薬)の特許期間が終了した後に、同じ有効成分、同じ効能・効果で製造される医薬品のことです。開発費用が抑えられるため、先発医薬品よりも安価で提供されます。漢方薬の場合、生薬の配合割合や抽出方法が異なる場合があるため、厳密にはジェネリック医薬品という概念が当てはまらないこともありますが、同様の目的で他社から同名の漢方製剤が販売されています。
疎経活血湯の後発品
ツムラ以外のメーカーからも、疎経活血湯のエキス顆粒が販売されています。例えば、クラシエやコタロー、オースギなどが製造しています。これらの後発品も、ツムラ製品と同様に保険適用となります。基本的な効能・効果や用法・用量は同じですが、添加物や風味などが異なる場合があります。
| 項目 | ツムラ疎経活血湯 | 後発品(例: クラシエ疎経活血湯) |
|---|---|---|
| 製造元 | 株式会社ツムラ | クラシエ薬品株式会社など |
| 保険適用 | あり | あり |
| 価格 | 先発品価格 | 先発品より安価な場合が多い |
| 風味・添加物 | メーカーにより異なる | メーカーにより異なる |
費用について
疎経活血湯は医療用医薬品であり、医師の処方箋に基づいて調剤されます。健康保険が適用されるため、患者さまの自己負担割合(1割、2割、3割など)に応じて費用が決まります。後発品を選択することで、薬代を抑えることができる場合がありますが、処方医や薬剤師と相談して決定することが重要です。
当院では、患者さまの希望に応じて後発品の処方も可能です。実際の診察では、患者さまから「薬代を少しでも抑えたい」というご要望をいただくことが少なくありません。その際は、後発品の有無や、先発品との違い(風味など)を説明し、患者さまご自身に選択していただいています。ただし、漢方薬はメーカーによってエキス抽出方法や生薬の品質管理に違いがある場合もあるため、効果や体感に個人差が生じる可能性も考慮して説明しています。
まとめ
疎経活血湯は、冷えやしびれを伴う関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛などに効果が期待される漢方薬です。血行促進、抗炎症、鎮痛、温経作用により、痛みの根本的な改善を目指します。
用法・用量は、通常成人で1日7.5gを2〜3回に分割して食前または食間に服用します。効果を実感するまでには個人差があり、数週間から数ヶ月の継続服用が必要となることが多いです。
副作用としては、胃腸症状や皮膚症状が比較的多く報告されていますが、まれに偽アルドステロン症や肝機能障害などの重大な副作用も起こり得ます。服用中は体調の変化に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかに医師に相談してください。妊娠中の女性や心臓病・腎臓病の患者さまは服用に注意が必要です。
疎経活血湯には、ツムラ以外のメーカーからも同等品が販売されており、保険適用となります。費用を抑えたい場合は、医師や薬剤師に相談して後発品を選択することも可能です。
漢方薬は、患者さま一人ひとりの体質や症状に合わせて処方されるオーダーメイド医療の側面が強いため、必ず専門医の診察を受け、適切な診断と処方のもとで服用することが重要です。
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