桂枝加朮附湯

【桂枝加朮附湯の効果と副作用】|皮膚科医が解説

桂枝加朮附湯の効果と副作用|皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • 桂枝加朮附湯は、関節痛や神経痛、しびれなど、冷えを伴う痛みに用いられる漢方薬です。
  • ✓ 添付文書の用法・用量を守り、副作用に注意しながら服用することが重要です。
  • ✓ 臨床では、冷え性や関節の痛みを訴える患者さまに処方し、症状の改善を期待します。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

桂枝加朮附湯(ツムラ18)とは?

ツムラ18桂枝加朮附湯の効能や成分を示す漢方薬の解説図
桂枝加朮附湯の基本情報

桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)は、漢方の古典である『金匱要略』に収載されている処方で、冷えを伴う関節痛や神経痛、しびれなどに用いられる漢方薬です。ツムラ18番として知られ、医療現場で広く処方されています。

この漢方薬は、体を温め、痛みを和らげる作用が期待されており、特に「冷え」が症状の悪化因子となっている場合に適応されます。当院の皮膚科外来では、冷えによって悪化する関節の痛みや、神経痛様のしびれを訴える患者さまに、西洋薬と併用して処方するケースも少なくありません。

桂枝加朮附湯の構成生薬
桂枝(ケイシ)、芍薬(シャクヤク)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、朮(ジュツ)、附子(ブシ)の7種類の生薬から構成されています。これらの生薬が協調して作用し、体を温め、血行を促進し、痛みを鎮める効果を発揮します。

桂枝加朮附湯の適応症と期待される効果は?

桂枝加朮附湯は、冷えによって悪化する様々な症状に効果が期待されます。添付文書に記載されている効能・効果は「体力虚弱で、汗が出て、手足の冷えと痛みがあるものの次の諸症:関節痛、神経痛」です。

具体的な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 関節痛:特に冷えによって悪化する膝や肩などの関節の痛み。変形性膝関節症の患者を対象とした臨床試験では、膝の痛みの改善に有効性が示唆されています[1]
  • 神経痛:冷えや気候の変化で痛みが増す神経痛。帯状疱疹後神経痛で冷感により増悪する症例への有効性も報告されています[2]
  • しびれ:手足の冷えに伴うしびれ。抗がん剤による神経障害の軽減にも応用されることがあります[3]
  • 冷え性:全身の冷えや手足の冷え。

当院では、特に冬場に「体が冷えると膝が痛む」「手足が冷えてしびれる」といった訴えの患者さまに処方することが多いです。実際の診察では、患者さまから「冷えが和らいで、痛みが少し楽になった」というフィードバックをいただくこともあり、冷えに対する効果を実感される方が多い印象です。

桂枝加朮附湯の用法・用量と服用上の注意点は?

桂枝加朮附湯の正しい服用方法と注意点を説明するピクトグラム
服用方法と注意点

桂枝加朮附湯の用法・用量は、添付文書の記載に準拠することが基本です。

標準的な用法・用量

通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口服用します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。小児への投与は、医師の判断のもと、体重や症状に応じて減量して処方されます。

⚠️ 注意点

食前または食間とは、食事の約30分〜1時間前、または食後2〜3時間後を指します。胃に内容物がない状態で服用することで、生薬の吸収が良くなると考えられています。ただし、胃腸が弱い方や、食前・食間の服用が難しい場合は、食後に服用することも可能です。必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。

服用上の注意点

  • 体質・症状の確認:漢方薬は個人の体質や症状によって効果が異なります。服用前に必ず医師の診察を受け、自身の状態を正確に伝えることが重要です。
  • 他の薬剤との併用:他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。特に、甘草を含む他の漢方薬との併用は、偽アルドステロン症のリスクを高める可能性があります。
  • アレルギー歴:過去に薬でアレルギー症状を起こしたことがある場合は、必ず申告してください。
  • 妊娠・授乳中の方:妊娠中または授乳中の方は、服用前に必ず医師に相談してください。附子(ブシ)は少量ですが、妊娠中の服用には注意が必要です。

皮膚科の日常診療では、患者さまの生活習慣や他の疾患の有無を詳細に問診し、桂枝加朮附湯が最適であるかを判断します。特に、冷えの程度や痛みの性質、消化器症状の有無などを確認し、患者さまに合った用法を選択しています。

桂枝加朮附湯の副作用と対処法は?

桂枝加朮附湯は一般的に安全性の高い漢方薬ですが、副作用が全くないわけではありません。特に、配合されている生薬の特性上、注意すべき副作用があります。

重大な副作用

  • 偽アルドステロン症:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に進行する。尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、血圧が高くなる、頭痛などの症状が現れることがあります。これは甘草の大量摂取により起こる可能性があり、特に他の漢方薬との併用でリスクが高まります。
  • ミオパチー:偽アルドステロン症の症状の一つとして、脱力感、筋肉痛、筋力低下などが現れることがあります。

これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。

その他の副作用

  • 消化器症状:食欲不振、胃部不快感、吐き気、嘔吐、下痢など。
  • 過敏症:発疹、かゆみなど。

これらの症状が現れた場合も、服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。特に附子(ブシ)は、加工が不十分な場合や過量摂取でしびれや動悸などを引き起こす可能性がありますが、医療用漢方製剤では適切な加工と量が管理されています。

当院では、桂枝加朮附湯を処方した患者さまには、初回時に副作用について丁寧に説明し、特に偽アルドステロン症の初期症状(むくみ、だるさなど)に注意するようお伝えしています。フォローアップの際には、これらの症状の有無や、消化器症状が出ていないかを確認しています。

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 桂枝加朮附湯はどれくらいで効果が出ますか?
A. 漢方薬の効果発現には個人差が大きいですが、当院の外来で桂枝加朮附湯を使用した経験では、冷えや痛みの症状が比較的軽度な方であれば、2週間から1ヶ月程度で何らかの変化を実感される方が多い印象です。慢性的な症状の場合は、数ヶ月の継続服用で徐々に効果が現れることもあります。効果を感じ始めるまでの期間は、患者さまの体質や症状の程度によって大きく異なります。
Q. 桂枝加朮附湯と他の痛み止めは一緒に飲めますか?
A. はい、多くの場合は併用可能です。特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの西洋薬の痛み止めと併用することで、より効果的に痛みをコントロールできることがあります。ただし、他の漢方薬や、甘草を含む市販薬を服用している場合は、偽アルドステロン症のリスクがあるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。当院では、患者さまが服用しているすべての薬剤を確認した上で、併用の可否を判断しています。
Q. 桂枝加朮附湯は胃に負担がかかりますか?
A. 桂枝加朮附湯は比較的胃腸に優しい漢方薬とされていますが、体質によっては胃部不快感や食欲不振などの消化器症状が出ることがあります。もし胃の調子が悪くなった場合は、食後に服用してみるか、服用を一時中止して医師に相談してください。当院では、胃腸が弱い患者さまには、少量から開始したり、食後の服用を指導したりすることがあります。
Q. 桂枝加朮附湯を飲み忘れてしまったらどうすればいいですか?
A. 飲み忘れた場合は、気づいた時点で服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばして次の時間から服用してください。2回分を一度に服用することは避けてください。規則正しい服用が効果を最大限に引き出す上で重要ですが、飲み忘れに気づいたら焦らず対応することが大切です。
Q. 桂枝加朮附湯はどのような体質の人に向いていますか?
A. 桂枝加朮附湯は、漢方でいう「虚証(体力虚弱)」で、特に「冷え」が顕著な方に向いています。具体的には、手足が冷えやすく、汗をかきやすい、顔色が青白い、脈が弱々しい、といった特徴を持つ方に適応されることが多いです。当院では、問診時にこれらの体質的な特徴を詳しく確認し、患者さまに合った漢方薬を選定しています。
Q. 桂枝加朮附湯を長期服用しても大丈夫ですか?
A. 桂枝加朮附湯は、慢性的な症状に対して長期的に服用されることも多い漢方薬です。しかし、長期服用の場合でも、定期的に医師の診察を受け、効果や副作用の有無を確認することが重要です。特に、偽アルドステロン症などの重大な副作用は、長期服用中に発現する可能性もあります。当院では、長期処方を行う際には、定期的な血液検査で電解質バランスなどを確認し、安全性を確保しています。

ジェネリック医薬品について

ジェネリック医薬品と先発薬を比較する錠剤の並び
ジェネリック医薬品の選択肢

桂枝加朮附湯には、ツムラ以外のメーカーからも同様の成分・効果を持つジェネリック医薬品(後発医薬品)が販売されています。

ジェネリック医薬品とは、先発医薬品(新薬)と同じ有効成分、同じ効能・効果で、品質、有効性、安全性が同等であると国から認められた医薬品です。開発費用が抑えられるため、先発医薬品に比べて安価に提供されることが一般的です。

項目先発医薬品(ツムラ桂枝加朮附湯)ジェネリック医薬品
有効成分桂枝加朮附湯エキス桂枝加朮附湯エキス
効能・効果関節痛、神経痛など関節痛、神経痛など(先発品と同等)
価格比較的高価比較的安価
製造販売元株式会社ツムラ複数の製薬会社

当院では、患者さまのご希望や経済的な負担を考慮し、ジェネリック医薬品の選択肢もご提案しています。ただし、メーカーによって賦形剤や味、溶けやすさなどが若干異なる場合があるため、服用感に違いを感じる方もいらっしゃいます。もしジェネリック医薬品への変更を希望される場合は、医師または薬剤師にご相談ください。

まとめ

桂枝加朮附湯(ツムラ18)は、冷えを伴う関節痛や神経痛、しびれなどに用いられる漢方薬です。体を温め、痛みを和らげる効果が期待され、特に冷えが症状の悪化因子となる場合に有効とされています。服用に際しては、添付文書に記載された用法・用量を守り、偽アルドステロン症などの重大な副作用や消化器症状などのその他の副作用に注意が必要です。他の薬剤との併用や妊娠・授乳中の服用については、必ず医師や薬剤師に相談してください。ジェネリック医薬品も選択肢として存在し、患者さまの状況に応じた選択が可能です。自身の体質や症状に合った適切な治療を受けるためにも、専門医にご相談いただくことをお勧めします。

お近くのグループクリニック

当グループでは、患者様の通いやすさに合わせて渋谷・池袋の2院を展開しております。お近くのクリニックをお選びください。

📍 渋谷エリアの方

渋谷文化村通り皮膚科

渋谷駅徒歩5分|院長: 倉田照久(医療法人理事長)

▸ 渋谷院の詳細・ご予約はこちら

📍 池袋エリアの方

池袋サンシャイン通り皮膚科

池袋駅徒歩3分|院長: 吉井恭平

▸ 池袋院の詳細・ご予約はこちら

よくある質問(FAQ)

Q. 桂枝加朮附湯は保険適用されますか?
A. はい、桂枝加朮附湯は医療用医薬品として承認されており、医師の処方箋があれば保険適用となります。そのため、患者さまは医療費の自己負担割合に応じて費用を支払うことになります。
Q. 桂枝加朮附湯は市販されていますか?
A. 医療用医薬品であるツムラ桂枝加朮附湯(ツムラ18)は医師の処方箋が必要ですが、同名の漢方処方を含む市販薬も存在します。市販薬は配合量や剤形が異なる場合があるため、自己判断せずに薬剤師に相談して選ぶようにしてください。
Q. 桂枝加朮附湯はどのような剤形がありますか?
A. 医療用としては、顆粒剤(細粒)が一般的です。水やお湯に溶かして服用します。一部のメーカーでは錠剤タイプも存在しますが、ツムラ18番は顆粒剤が主流です。
この記事の監修医
👨‍⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長