疥癬の症状と治療法専門医が解説する対策
夜間に強まるかゆみ、疥癬トンネル、通常疥癬と角化型疥癬の違い、検査、治療、家族・施設での対策を診察前に確認できます。

- 疥癬はヒトヒゼンダニが皮膚の角質層へ寄生して起こる感染症で、夜間に強まりやすいかゆみ、赤い丘疹、疥癬トンネルが手掛かりになります。
- 通常疥癬と、厚い鱗屑・痂皮を伴い感染力が非常に高い角化型疥癬では、診療と周囲への対策が異なります。
- 診断では皮疹の分布、同居者や施設内の発症状況を確認し、疑わしい部位からヒゼンダニ、虫卵、糞を検出します。検査が陰性でも疥癬を完全には否定できません。
- 治療は医師の診断に基づく外用薬・内服薬と接触者への対応を組み合わせます。治療後もしばらくかゆみが残ることがあるため、自己判断で薬を追加し続けないことが大切です。
通常疥癬と角化型疥癬を見分け、症状、感染経路、検査、治療、接触者・環境対策へ進みます。
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種類通常疥癬か、厚い痂皮を伴う感染力の高い角化型疥癬かを確認します。
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症状夜間のかゆみ、指の間・手首の丘疹、疥癬トンネル、皮疹の分布を確認します。
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緊急性厚い痂皮、集団発生、細菌感染、乳幼児・高齢者の広範囲な皮疹を確認します。
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感染同居、同じ寝具、介助、施設内接触など過去数週間の接触状況を整理します。
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診断視診・ダーモスコピーと顕微鏡検査でダニ・虫卵・糞の検出を試みます。
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治療年齢、体重、通常・角化型に応じて外用薬・内服薬を選択します。
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接触者濃厚接触者の症状と接触の程度を確認し、同時治療の必要性を判断します。
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環境寝具・衣類の洗濯と乾燥、共有回避を行い、過度な消毒は避けます。
強いかゆみが続くと、湿疹、じんましん、虫刺されと思って様子を見てよいのか、家族へうつるのか迷うことがあります。疥癬では、いつからかゆいか、夜間に強くなるか、指の間・手首・脇・腹部・陰部などに小さな発疹があるか、同居者や同じ施設で似た症状がないかを順に確認します。高齢者施設や病院で厚い鱗屑を伴う人がいる場合は、個人だけでなく集団として早めの評価が必要です。
疥癬とは|ヒトヒゼンダニによる皮膚感染症
疥癬は、ヒトヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)が皮膚の角質層にトンネルを掘って寄生し、産卵することで発症する感染症です[1]。このダニは体長0.2〜0.4mmと非常に小さく、肉眼で確認することは困難です。主に皮膚と皮膚の直接的な接触によって人から人へ感染しますが、寝具や衣類を介して間接的に感染することもあります。特に、高齢者施設や病院などの集団生活の場で感染が広がりやすい傾向があります。当院の問診では、患者さまの家族構成や同居者の有無、最近の旅行歴や集団生活の場での活動について詳しく伺うようにしています。これは、感染源の特定や周囲への感染拡大リスクを評価するために不可欠な情報だからです。
この段落は元記事で医師が記載した当院の問診項目と診療フローです。一般に通常疥癬では、短時間触れただけで感染するとは限らず、長時間の皮膚接触が主な感染機会です。寝具や衣類を介する感染は、ダニ数の多い角化型疥癬で特に重視されます。接触歴だけで診断せず、皮疹と検査結果を合わせて判断します[5][6]。
初めて感染した場合、症状が出るまで数週間かかることがあります。その間もダニが皮膚にいる可能性があるため、症状が出た日だけで感染源を推定することはできません。一方、過去に感染したことがある場合は、より短期間で症状が現れることがあります。受診時には直近数日だけでなく、過去1〜2か月の生活環境や接触機会も振り返ります。
通常疥癬と角化型疥癬の違い
疥癬は、一般的な「通常疥癬」と、非常に多数のヒゼンダニが寄生する「角化型疥癬」に大きく分けられます。角化型疥癬はノルウェー疥癬とも呼ばれてきましたが、現在は病態を表す角化型疥癬という名称が用いられます。免疫機能が低下している方、高齢者、神経疾患などでかゆみを感じにくい方、自分で掻くことが難しい方などに起こりやすいものの、背景だけで決めつけることはできません。
| 確認項目 | 通常疥癬 | 角化型疥癬 |
|---|---|---|
| ダニの数 | 比較的少ない | 非常に多い |
| 主な皮疹 | 丘疹、結節、疥癬トンネル | 厚い鱗屑・痂皮、紅斑、角化 |
| かゆみ | 夜間に強くなりやすい | 強いことも、目立たないこともある |
| 感染力 | 主に長時間の皮膚接触で広がる | 非常に高く、短い接触や環境を介した拡大にも注意 |
| 対応 | 本人の治療と濃厚接触者の評価 | 早急な治療、接触者・施設全体の対策 |
角化型疥癬では、手足、爪、頭部、耳の周囲を含めて厚い鱗屑が付着し、乾癬や湿疹のように見える場合があります。かゆみが弱くても感染力が低いとは限りません。施設内で原因不明のかゆみが複数人に広がる、厚い痂皮のある人と接触した場合は、通常の予約を待たず施設の感染対策担当者と医療機関へ相談します。
疥癬の症状|夜間のかゆみと特徴的な皮疹
疥癬の主な症状は、激しいかゆみと特徴的な皮疹です。かゆみは特に夜間、体が温まった時に強くなる傾向があります。これは、ヒゼンダニが夜間に活動を活発化させるためと考えられています。初診時に「夜中に体が温まると、かゆくて眠れない」と相談される患者さまも少なくありません。皮疹は主に以下の部位に現れやすいです。

最後の患者表現は元記事で医師が記載した匿名化された相談内容です。夜間にかゆみが強まることは疥癬の手掛かりですが、乾燥性湿疹やアトピー性皮膚炎などでも夜に強く感じることがあります。夜間のかゆみだけで疥癬と断定せず、皮疹の形・分布、接触歴、検査を合わせて確認します。
| 皮疹・部位 | 見え方 | 診察での意味 |
|---|---|---|
| 疥癬トンネル | 数mm程度の白っぽい、または褐色の細い曲線 | ヒゼンダニが角質層内を進んだ跡で、診断に有用 |
| 赤い丘疹 | 小さな赤いぶつぶつ、掻き壊し | 腹部、胸、脇、太もも、上腕などに広がる |
| 結節 | 赤褐色のしこり状の発疹 | 陰部、脇、臀部などに残りやすい |
| 手・手首 | 指の間、手首の屈側、手のひら | トンネルを探しやすい代表的部位 |
| 乳幼児・高齢者 | 頭部、顔、手のひら、足の裏にも出ることがある | 成人の典型分布だけで除外しない |
成人の通常疥癬では、首から上に皮疹が少ないことが一般的ですが、乳幼児、高齢者、免疫機能が低下した方では頭部や顔にも症状が出ることがあります。強く掻くと湿疹化し、細菌感染を合併して膿、痛み、発熱を生じる場合があります。
疥癬で早めに受診する状態
疥癬そのものが直ちに命に関わることは多くありませんが、角化型疥癬、集団発生、細菌感染の合併では迅速な対応が必要です。厚い鱗屑や痂皮が広範囲にある、爪が厚く崩れる、施設内で複数人がかゆい、免疫抑制治療中、乳幼児、妊娠中、寝たきりで症状を訴えにくい場合は早めに皮膚科へ相談してください。
- 厚い鱗屑・痂皮が手足や体へ広がり、角化型疥癬が疑われる
- 同居者、介護施設、病棟などで同様のかゆみや発疹が複数人に出ている
- 掻き壊した部分に強い痛み、熱感、膿、急速に広がる赤み、発熱がある
- 乳幼児、高齢者、免疫機能が低下している人に広範囲の皮疹がある
- 処方薬の使用後に呼吸苦、顔や喉の腫れ、全身のじんましんなどが出た
角化型疥癬が疑われる場合は、一般待合での長い滞在を避けるなど、医療機関側にも準備が必要です。予約時に「疥癬が疑われる」「施設内で複数人が発症している」「厚い痂皮がある」と伝えると受診動線を調整しやすくなります。
疥癬の感染経路と潜伏期間
通常疥癬は、同じ寝具で長時間過ごす、介助や看護で密接に接触する、性的接触など、比較的長い皮膚接触で広がります。握手や短時間の接触だけで必ず感染するわけではありません。症状が出るまで時間がかかるため、本人に発疹が現れた時点で同居者や介助者がすでに曝露していることがあります[5][6]。
角化型疥癬では皮膚表面に非常に多くのダニがいるため、短時間の接触、落ちた鱗屑、寝具、衣類、家具などを介して広がる可能性が高くなります。そのため通常疥癬より広い範囲で接触者を把握し、施設の感染対策担当者や保健所と連携する場合があります。
ペットに寄生するダニで一時的な皮疹が出ることはありますが、ヒト疥癬の原因となるヒトヒゼンダニが犬や猫で生活環を維持するわけではありません。家族の発症源をペットと決めつけず、人同士の接触歴と皮膚所見を確認します。
疥癬の診断と顕微鏡検査
疥癬の診断は、症状の問診と皮膚の視診、そして皮膚検査によって行われます。問診では、かゆみの特徴(夜間の増悪など)や、家族・周囲の感染状況を確認します。視診では、前述の疥癬トンネルや丘疹、結節などの特徴的な皮疹を探します。特に疥癬トンネルは診断に非常に有用な所見です。
診察では、手指の間、手首、肘、脇、腹部、臀部、陰部、足などを確認します。ダーモスコピーでトンネル先端のダニを疑う所見を探し、採取部位を選ぶことがあります。すでにステロイド外用薬を使っていると、皮疹が典型的でなくなる場合があるため、使った薬の名前と部位を伝えてください。
確定診断のためには、皮膚の一部を採取して顕微鏡でヒゼンダニやその卵、糞便を確認する皮膚検査が不可欠です。当院では、疑わしい病変部からメスなどで角質を少量採取し、顕微鏡で観察する検査を積極的に行っています。この検査は痛みも少なく、その場でダニを確認できれば、患者さまも納得して治療に取り組んでいただけます。ただし、ダニの数が少ない場合や、すでに治療を開始している場合は検出が難しいこともあります。国際的なガイドラインでも、皮膚病変からのダニの検出が診断のゴールドスタンダードとされています[1]。
これは元記事に記載された当院の検査手順です。顕微鏡でダニ・虫卵・糞を確認できれば確定診断になりますが、通常疥癬はダニ数が少なく、1回の検査が陰性でも完全には否定できません。特徴的な皮疹、接触歴、同居者の症状、ダーモスコピー所見を組み合わせ、必要に応じて別の部位を再検査します[5]。
疥癬と似た病気の見分け方
疥癬は湿疹、アトピー性皮膚炎、虫刺され、じんましん、薬疹、痒疹、シラミ症などと似ることがあります。高齢者では水疱性類天疱瘡なども強いかゆみの原因になります。ステロイド外用薬で赤みが一時的に軽くなっても、疥癬のダニは駆除されないため、原因が残って広がることがあります。
| 病気 | 見分けの手掛かり | 注意点 |
|---|---|---|
| 湿疹・アトピー性皮膚炎 | 乾燥、左右対称の湿疹、既往歴 | 疥癬を合併することもあり、治療反応だけで決めない |
| 虫刺され | 露出部中心、発症時期や屋外活動との関係 | 家族全員に同じ分布が出るとは限らない |
| じんましん | 個々の膨疹が通常24時間以内に消える | 疥癬の丘疹やトンネルは同じ場所に残る |
| 痒疹 | 硬いかゆい丘疹が長く残る | 原因の一つとして疥癬を除外することがある |
| シラミ症 | 頭髪、衣類、陰毛に虫体・卵を確認 | 寄生部位と対策が疥癬とは異なる |
| 水疱性類天疱瘡 | 高齢者の強いかゆみ、水疱、紅斑 | 初期は水疱が目立たず疥癬と似ることがある |
家族もかゆいことは疥癬を疑う重要な情報ですが、同じ洗剤や乾燥環境による湿疹でも複数人に症状が出ることがあります。反対に、家族がまだかゆくなくても潜伏期間中の可能性があります。皮疹の写真だけを見て薬を共有せず、本人ごとに診察を受けます。
疥癬の治療|外用薬と内服薬
国内では、フェノトリンローションなどの外用薬と、イベルメクチンなどの内服薬が用いられます。薬剤はダニの駆除を目的とし、皮疹やかゆみに対して保湿剤、抗ヒスタミン薬、炎症を抑える外用薬を併用する場合があります。年齢、体重、妊娠・授乳、肝機能、併用薬、角化型疥癬かどうかで選択が変わるため、用法・用量は最新の電子添文と医師の指示に従います[7][8]。
フェノトリンローションなどの外用薬
外用薬は、指示された通りに全身に塗布することが非常に重要です。当院では、患者さまに塗布方法を具体的に説明し、特に見落としやすい部位(指の間、脇の下、お尻の割れ目など)を丁寧に塗るよう指導しています。治療を始めて1ヶ月ほどで「かゆみが落ち着いてきた」とおっしゃる方が多いですが、ダニの卵から孵化する期間を考慮し、指示された期間は確実に塗布を継続することが大切です。
最後の患者表現は、元記事で医師が記載した匿名化された診療上の印象で、改善率を集計したデータではなく、全員が同じ時期に改善することを保証するものではありません。薬剤ごとに塗布範囲、放置時間、使用間隔が異なります。治療後のかゆみが続いても生きたダニが残っているとは限らないため、自己判断で塗布回数を増やさず再診で確認します。
塗り残しやすいのは、指の間、爪の周囲、手首、脇、へそ、臀部、陰部、足指の間です。乳幼児、高齢者、角化型疥癬では頭部や顔を含む範囲が指示される場合がありますが、目や口など粘膜への付着を避けます。家族が代わりに塗る場合は、処置後の手洗いと接触対策も確認します。
イベルメクチンなどの内服薬
イベルメクチンは高い駆除効果が期待できますが、肝機能障害などの副作用に注意が必要です。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。特に角化型疥癬の患者さまでは、内服薬と外用薬を併用し、徹底したダニ駆除を目指します。
これは元記事で医師が記載した処方後の確認項目と角化型疥癬の治療方針です。治療効果や副作用には個人差があり、全員に内服薬が適するわけではありません。PMDAの電子添文では、確実に疥癬と診断された患者、または疥癬患者との接触歴があり、かつ疥癬の症状が認められる患者に使用することなどが示されています。体重、肝機能、妊娠・授乳、併用薬を確認して処方します[8][9]。
角化型疥癬では、多数のダニを確実に減らすため、内服薬と外用薬、角質への処置、環境整備を組み合わせることがあります。治療後も1〜2週間を目安に皮疹や検査結果を評価し、追加治療が必要かを判断します。通常疥癬でも塗り残し、接触者からの再感染、服薬状況を確認します。
治療後も続くかゆみと再診の目安
ダニが駆除された後も、ダニの虫体や糞に対するアレルギー反応が残り、数週間かゆみや丘疹が続くことがあります。治療開始直後に一時的にかゆみが強く感じられる場合もあります。かゆみだけを理由に殺虫薬を追加し続けると、刺激性皮膚炎や副作用の原因になるため、皮疹の変化と検査所見を再評価します[6][8]。
再診では、新しい疥癬トンネルや新しい丘疹が出ていないか、同居者に症状が出ていないか、塗り残しや接触者からの再感染がないかを確認します。陰部などの結節はダニがいなくなった後も長く残ることがあります。症状が残る期間には個人差があるため、治療成功・失敗を日数だけで決めません。
- 新しい疥癬トンネルや丘疹が増え続ける
- 同居者や施設内で新たに複数人が発症した
- 厚い鱗屑・痂皮が増え、角化型疥癬が疑われる
- 掻き壊しに膿、熱感、強い痛み、発熱が加わった
- 薬の使用後に全身の発疹、息苦しさ、顔の腫れ、強い体調変化が出た
同居家族・接触者への対応
疥癬の治療では、患者さん自身の治療だけでなく、同居する家族や周囲への感染拡大を防ぐための対策も重要です。ヒゼンダニは皮膚から離れても2〜3日は生存可能とされており、寝具や衣類を介して感染するリスクがあります。
この段落は元記事で医師が記載した接触者・環境対策の考え方です。通常疥癬は主に長時間の皮膚接触で広がり、寝具・衣類を介する感染は角化型疥癬でより重要です。接触者全員へ一律に同じ薬を使うのではなく、同居、介助、同じ寝具、性的接触などの濃厚接触歴と症状を確認し、医師・施設の感染対策担当者が同時治療の範囲を決めます[5][6]。
本人だけ治療しても、未評価の濃厚接触者から再感染する可能性があります。家族内では、症状がなくても潜伏期間中のことがあるため、誰がいつ接触したかを整理します。治療が完了するまで、同じ寝具での就寝、長時間の直接接触、タオル・衣類の共有は避けます。
学校、保育、介護、医療の現場では、通常疥癬か角化型疥癬か、どの程度の接触があったかで就業・登校や防護具の考え方が変わります。本人の判断だけで周囲へ病名を広く伝えるのではなく、プライバシーに配慮しながら必要な担当者へ相談します。
寝具・衣類・生活環境の対策
治療開始前後に使用した衣類、タオル、シーツ、枕カバーなどは、素材に応じて洗濯し、十分に乾燥させます。洗えない物は密閉できる袋へ入れ、少なくとも数日から1週間、人の皮膚へ触れないよう保管する方法があります。具体的な期間と方法は、通常疥癬か角化型疥癬か、施設の手順、素材の耐熱性に応じて確認します[6][10]。

通常疥癬で家全体へ殺虫剤を散布したり、家具や衣類をすべて廃棄したりする必要はありません。皮膚へ家庭用殺虫剤を使うことも危険です。掃除は落ちた鱗屑を除く通常の清掃を基本とし、角化型疥癬では接触した環境を施設の感染対策手順に沿って重点的に清掃します。
| 行うこと | 目的 | 避けること |
|---|---|---|
| 衣類・タオル・寝具を洗濯し十分乾燥 | 皮膚から離れたダニへの対応 | 素材を傷める高温処理を一律に行う |
| 洗えない物を袋へ密閉して一時保管 | 人の皮膚へ触れない期間を作る | 必要な物をすべて廃棄する |
| 寝具・衣類・タオルの共有を避ける | 濃厚接触と間接接触を減らす | 本人を不必要に長期間隔離する |
| 通常の掃除、角化型では重点清掃 | 鱗屑や埃を除く | 室内や皮膚へ殺虫剤を大量散布する |
介護施設・病院での集団感染対策
治療の失敗例として、薬剤の不適切な使用や、周囲への感染対策が不十分であったケースが報告されています[3]。実際の診療では、患者さまが治療を中断してしまわないよう、治療の重要性と具体的な対策を繰り返し説明し、疑問点がないか確認することが重要なポイントになります。特に介護施設などでの集団感染では、施設全体での徹底した対策が求められます。
これは元記事に記載された治療継続支援と施設対策に関する当院の診療方針です。治療失敗には塗り残し、治療間隔、再感染、角化型疥癬の見逃し、治療後のかゆみを感染継続と誤認することなど複数の要因があります。患者本人だけの責任とせず、介助方法、塗布支援、接触者リスト、治療日の調整を仕組みとして確認します[3]。
施設では、発端となる患者だけでなく、同室者、介助者、リネン担当者など接触の範囲を整理します。角化型疥癬が疑われる場合は、個室対応、防護具、リネン処理、環境清掃、職員・入所者の症状確認を同時に進めます。厚生労働省の高齢者介護施設向け感染対策資料を参照し、必要に応じて保健所へ相談します[10]。
集団発生が落ち着いた後も、潜伏期間を考慮して新しい発疹や夜間のかゆみがないか観察します。症状が出た人だけを別々の日に治療すると再感染が続くことがあるため、対象者の評価と治療時期を医療機関と施設で共有します。
疥癬の受診前に整理しておく情報
診察では、かゆみが始まった時期、夜間の増悪、皮疹が最初に出た部位、家族・同居者の症状、介護・医療施設への出入り、旅行・宿泊、過去の疥癬、使った薬を確認します。施設内発生が疑われる場合は、個人名を広く共有せず、発症人数、部屋、接触した業務、角化型疥癬の有無を感染対策担当者が整理します。
皮疹の写真、使用した外用薬・内服薬の名前と使用日、同居者の症状が始まった日をメモしておくと経過を共有しやすくなります。自己判断でステロイド外用薬や市販薬を追加する前に、可能であれば未治療の疥癬トンネルや丘疹を診察できるよう受診してください。
角化型疥癬が疑われる、施設内で複数人が発症している場合は、来院前に電話で伝えます。治療後の再診では、薬をどこへどのように使用したか、接触者の評価が済んだか、寝具・衣類の対応をどこまで行ったかも確認します。
疥癬のまとめ
疥癬はヒゼンダニの寄生によって引き起こされる皮膚疾患で、夜間の強いかゆみと特徴的な皮疹が主な症状です。診断には皮膚検査が不可欠であり、治療はフェノトリンローションなどの外用薬や、イベルメクチンなどの内服薬を用いて行われます。治療の成功には、患者さまご自身の適切な薬剤使用だけでなく、同居家族の同時治療や寝具・衣類の衛生管理といった環境整備が極めて重要です。かゆみがすぐに治まらなくても、医師の指示に従い治療を継続し、再発防止に努めることが大切です。
このまとめは元記事で医師が記載した診療上の要点です。同居家族を含む接触者への治療は、接触の程度、症状、通常疥癬か角化型疥癬かを確認して医師が判断します。治療後のかゆみだけで感染継続と決めず、新しい皮疹、塗布状況、再感染の可能性を再診で評価してください。
厚い痂皮、施設内の複数発症、乳幼児・高齢者・免疫機能低下の広範囲な皮疹、掻き壊しの細菌感染が疑われる場合は早めの受診が必要です。過度な消毒より、正確な診断、適切な薬剤使用、濃厚接触者の評価、必要な範囲の洗濯・清掃を同時に行うことが重要です。
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受診方法について
疥癬が疑われる初回の症状、角化型疥癬、施設内発生、顕微鏡検査、薬の開始・変更が必要な場合は対面診療をご案内します。診断済みで症状が安定し、医師の診察で継続が適切と判断された対象薬に限り、オンラインでの継続処方を検討します。角化型疥癬や集団発生が疑われる場合は、予約時にその旨をお伝えください。
疥癬のよくある質問
- International Alliance for the Control of Scabies. 2024 European guideline for the management of scabies. PMID: 38922701.
- Motswaledi HM. Clinical diagnosis and treatment of scabies, a neglected tropical disease. PMID: 35051892.
- Mbuagbaw L, et al. Failure of scabies treatment: a systematic review and meta-analysis. PMID: 37625798.
- Mumcuoglu KY, et al. Ectoparasites in dermatology. PMID: 31310840.
- 日本皮膚科学会 疥癬診療ガイドライン(第3版)
- World Health Organization. Scabies fact sheet.
- PMDA スミスリンローション5% 電子添文
- PMDA ストロメクトール錠3mg 電子添文
- PMDA 患者向医薬品ガイド ストロメクトール錠3mg
- 厚生労働省 高齢者介護施設における感染対策マニュアル等

疥癬は、かゆみの強さだけでなく、指の間や手首の疥癬トンネル、皮疹の分布、同居者・施設内の症状を合わせて確認します。検査が陰性でも完全には否定できず、治療後のかゆみが残ることもあります。厚い痂皮や集団発生がある場合は、角化型疥癬を想定して早めに相談してください。