水虫(白癬)・爪水虫の原因と治療

【水虫(白癬)・爪水虫の原因と治療】|医師が解説

水虫(白癬)・爪水虫の原因と治療|医師が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • ✓ 水虫(白癬)は皮膚糸状菌というカビの一種が原因で、足や爪だけでなく全身に発生します。
  • ✓ 症状に応じた適切な外用薬や内服薬での治療が重要であり、自己判断での中断は再発のリスクを高めます。
  • ✓ 治療と並行して、足や靴の清潔を保つなど、日常生活での予防策も非常に大切です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

水虫(白癬)は、皮膚に発生する真菌感染症の一種であり、特に足に多く見られますが、爪やその他の部位にも感染する可能性があります。適切な診断と治療が重要であり、放置すると症状が悪化したり、他者へ感染を広げたりするリスクがあります。

水虫の種類と症状とは?

足指の間に白い皮膚の剥がれと赤みがある水虫の症状例
足指に現れた水虫の症状

水虫(白癬)とは、皮膚糸状菌(Dermatophytes)と呼ばれるカビの一種が、皮膚の角質層や爪、毛髪に感染して発症する病気です[1]。この菌はケラチンというタンパク質を栄養源とするため、ケラチンが豊富な部位に寄生します。水虫は感染部位によって様々な種類に分類され、それぞれ異なる症状を示します。

足白癬(足水虫)の主な症状は?

足白癬は、最も一般的に見られる水虫で、足の指の間や足の裏、かかとなどに発生します。当院では、特に夏場に「足の指の間がジュクジュクする」「皮がむけてかゆい」といった症状で来院される患者さまが多くいらっしゃいます。主な症状は以下の通りです。

  • 趾間型(しかんがた):足の指の間に多く見られ、皮が白くふやけて剥けたり、赤みや亀裂が生じたりします。強いかゆみを伴うことが多いです。
  • 小水疱型(しょうすいほうがた):足の裏や側面に小さな水ぶくれ(水疱)が多発します。水疱が破れると皮膚がむけ、かゆみが強くなることがあります。
  • 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた):かかとを中心に皮膚が厚く硬くなり、ひび割れが生じることがあります。かゆみは少ないことが多いですが、乾燥による痛みを感じることもあります。治療に時間がかかる傾向があります。

足白癬は、高温多湿な環境を好む皮膚糸状菌が増殖しやすいため、特に夏場や密閉された靴を長時間履く人に多く見られます。公衆浴場やプールサイド、ジムのロッカールームなどで感染するケースも少なくありません[2]

爪白癬(爪水虫)の症状と進行は?

爪白癬は、爪に皮膚糸状菌が感染した状態を指します。足白癬に比べて自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行していることが多いです。初診時に「爪が白く濁ってきた」「分厚くなってきて靴に当たる」と相談される患者さまも少なくありません。爪白癬の主な症状は以下の通りです。

  • 爪の変色:爪が白、黄、茶色などに変色します。
  • 爪の肥厚:爪が厚くなり、もろく、ボロボロと崩れやすくなります。
  • 爪の変形:爪の表面が凸凹になったり、湾曲したりすることがあります。
  • 爪の下の角質増殖:爪の下に白い粉状の角質が溜まることがあります。

爪白癬は、足白癬を放置することで爪に菌が侵入し、発症することが多いです。また、糖尿病や免疫機能の低下がある方は、感染しやすく重症化しやすい傾向があります。進行すると、歩行時の痛みや靴を履く際の不快感が生じることもあります。当院では、問診の際に患者さまの家族歴や生活習慣を詳しく伺うようにしており、家族内に水虫の方がいると感染リスクが高まることをお伝えしています。

その他の白癬の種類には何がある?

水虫の原因菌である皮膚糸状菌は、足や爪以外にも様々な部位に感染することがあります。これらの白癬も、足白癬や爪白癬と同様に適切な治療が必要です。

  • 体部白癬(ぜにたむし):体幹や四肢に発生し、円形や楕円形の赤い斑点が特徴です。辺縁が盛り上がり、中心部が治癒していくため、リング状に見えることがあります。強いかゆみを伴います。
  • 股部白癬(いんきんたむし):股の付け根や陰部に発生し、赤みやかゆみが強いのが特徴です。特に男性に多く見られます。
  • 頭部白癬(しらくも):頭皮や毛髪に感染し、フケやかさぶた、脱毛などを引き起こします。小児に多く見られます。

これらの白癬も、早期に診断し治療を開始することが重要です。自己判断で市販薬を使用すると、かえって症状を悪化させたり、診断を困難にしたりする可能性があるため、皮膚の異常を感じたら医療機関を受診することをお勧めします。

⚠️ 注意点

水虫と似た症状を示す皮膚疾患(湿疹、接触皮膚炎、掌蹠膿疱症など)も多く存在します。正確な診断のためには、皮膚科での顕微鏡検査(KOH直接鏡検)が不可欠です。自己判断で水虫薬を塗布すると、症状が悪化したり、適切な治療が遅れたりする可能性があります。

水虫の治療法とは?

皮膚科医が患者の足に水虫治療薬を塗布している様子
水虫治療薬を塗布する医師

水虫(白癬)の治療は、感染部位や症状の程度によって異なりますが、主に抗真菌薬を用いた治療が中心となります。治療の基本は、原因菌である皮膚糸状菌を完全に除去することであり、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って根気強く続けることが重要です[2]

足水虫の治療法と注意点は?

足水虫の治療では、主に外用薬(塗り薬)が用いられます。症状に応じて、クリーム、軟膏、液剤など様々な剤形があります。当院では、患者さまのライフスタイルや症状の部位に合わせて、使いやすい剤形を提案するようにしています。例えば、趾間型でジュクジュクしている場合には液剤、角質増殖型で乾燥している場合には軟膏やクリームが適していることが多いです。

代表的な外用抗真菌薬には、テルビナフィン、イトラコナゾール、ルリコナゾール、エフィナコナゾールなどがあります。これらの薬剤は、真菌の細胞膜合成を阻害することで、真菌の増殖を抑えたり、殺菌したりする効果が期待できます[5]。外用薬は、症状が改善した後も、再発を防ぐために医師の指示に従って数週間から数ヶ月間は継続して塗布することが推奨されます。

実際の診療では、「かゆみがなくなったから」といって途中で薬を塗るのをやめてしまう患者さまもいらっしゃいますが、菌がまだ残っているとすぐに再発してしまいます。菌が完全にいなくなるまで、根気強く治療を続けることが大切です。また、足全体に広めに塗布すること、入浴後に清潔な状態で塗布することなども指導しています。

症状が広範囲に及ぶ場合や、外用薬で効果が見られない難治性のケースでは、内服薬の併用を検討することもあります。内服薬は全身に作用するため、外用薬では届きにくい部位の菌にも効果が期待できます。

爪水虫の治療法と効果的なアプローチは?

爪水虫の治療は、足水虫に比べて難しく、治療期間も長くなる傾向があります。これは、爪が硬く厚いため、外用薬の有効成分が浸透しにくいことや、爪の成長が遅いためです。治療の選択肢としては、外用薬と内服薬があります。

外用薬による治療

近年では、爪への浸透性を高めた新しいタイプの外用抗真菌薬が開発されています。エフィナコナゾールやルリコナゾールなどが代表的です。これらの外用薬は、毎日継続して塗布することで、徐々に爪の奥に浸透し、真菌を殺菌する効果が期待できます。治療期間は数ヶ月から1年程度と長期にわたることが多いです。当院では、処方後のフォローアップで、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。治療を始めて数ヶ月ほどで「爪の根元からきれいな爪が生えてきた」とおっしゃる方が多いです。

内服薬による治療

内服薬は、全身から作用するため、爪の奥深くにいる真菌にも効果的に到達します。主にテルビナフィンやイトラコナゾールなどが用いられます[3]。内服薬は効果が高い一方で、肝機能障害などの副作用のリスクがあるため、定期的な血液検査で肝機能を確認しながら治療を進める必要があります[5][6]。治療期間は通常3ヶ月から6ヶ月程度ですが、爪の伸び方や症状の改善度合いによって調整されます。当院では、内服治療を始める前に、患者さまの既往歴や服用中の薬剤を詳細に確認し、安全に治療を進められるかを慎重に判断しています。

テルビナフィン
アリルアミン系の抗真菌薬。真菌の細胞膜を構成するエルゴステロールの生合成を阻害することで、真菌を殺菌する作用があります。足白癬や爪白癬の治療に広く用いられます[5]
イトラコナゾール
トリアゾール系の抗真菌薬。真菌の細胞膜の主要構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害することで、真菌の増殖を抑える作用があります。パルス療法(短期間服用し、休薬を繰り返す方法)が可能な場合もあります[6]

治療期間はどれくらいかかる?

水虫の治療期間は、種類や重症度、使用する薬剤によって大きく異なります。

  • 足白癬(足水虫):外用薬治療の場合、症状が改善しても菌が残っていることがあるため、通常1〜2ヶ月程度の継続が必要です。角質増殖型など難治性の場合は、さらに長期間の治療や内服薬の併用が必要になることもあります。
  • 爪白癬(爪水虫):爪は成長が遅いため、新しい健康な爪が生え変わるまで治療を続ける必要があります。外用薬では6ヶ月〜1年、内服薬では3ヶ月〜6ヶ月が目安となりますが、完治までにはさらに時間がかかることもあります。

治療を途中でやめてしまうと、症状が再燃したり、薬剤耐性菌が生じたりするリスクもあります。医師の指示に従い、完治するまで根気強く治療を続けることが最も重要です。

日常生活でできる予防策は何がある?

水虫の治療と並行して、再発予防や感染拡大防止のための日常生活での対策も非常に重要です。当院では、治療を始める際に必ずこれらの予防策についても詳しく説明しています。

  • 足を清潔に保つ:毎日石鹸で丁寧に洗い、特に指の間はよく洗い流し、乾燥させることが大切です。
  • 足を乾燥させる:入浴後はもちろん、汗をかいた後も足の指の間までしっかりと水分を拭き取ります。ドライヤーの冷風で乾かすのも効果的です。
  • 通気性の良い靴を選ぶ:革靴やブーツなど、通気性の悪い靴は避け、サンダルやメッシュ素材の靴を履く時間を増やすと良いでしょう。
  • 靴下を毎日交換する:吸湿性の良い綿や麻の靴下を選び、毎日交換して清潔に保ちます。
  • 靴を乾燥させる:同じ靴を毎日履かず、複数足を用意して交互に履き、履かない日はしっかりと乾燥させます。靴の中に乾燥剤を入れるのも効果的です。
  • 家族内感染を防ぐ:バスマットやスリッパ、タオルなどを共有しないように注意し、こまめに洗濯・消毒します。
  • 公共の場所での注意:公衆浴場やプールサイドなどでは、素足で歩かないようにサンダルなどを着用しましょう。

これらの対策を継続することで、水虫の再発リスクを大幅に減らすことができます。特に、家族に水虫の方がいる場合は、感染予防のために全員で意識的に対策を行うことが重要です。

治療法メリットデメリット主な適用
外用薬副作用が少ない、手軽に始められる効果発現まで時間がかかる、塗布の手間足白癬、軽度〜中等度の爪白癬
内服薬効果が高い、広範囲や難治性にも対応肝機能障害などの副作用リスク、定期的な検査が必要重度の足白癬、爪白癬、その他の白癬

まとめ

清潔な足に白い靴下を履き、水虫予防を意識する人の足元
清潔な足と水虫予防対策

水虫(白癬)および爪水虫は、皮膚糸状菌による感染症であり、足だけでなく全身に発生する可能性があります。症状は感染部位によって異なり、足白癬には趾間型、小水疱型、角質増殖型があり、爪白癬では爪の変色や肥厚が見られます。正確な診断には医療機関での顕微鏡検査が不可欠であり、自己判断での市販薬使用は症状悪化や診断遅延のリスクがあります。

治療は主に抗真菌薬を用い、足水虫には外用薬が中心ですが、難治性の場合には内服薬も検討されます。爪水虫の治療は長期にわたり、浸透性の高い外用薬や、肝機能検査をしながら内服薬を使用します。治療期間は足水虫で数ヶ月、爪水虫で半年から1年以上かかることもあり、菌を完全に除去するために医師の指示に従い、根気強く継続することが重要です。再発予防のためには、足を清潔に保ち、乾燥させること、通気性の良い靴や靴下を選ぶこと、家族内感染を防ぐための対策が不可欠です。

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よくある質問(FAQ)

水虫は自然に治ることはありますか?
水虫は自然治癒することはほとんどありません。皮膚糸状菌は一度感染すると、適切な治療を行わない限り、皮膚の角質層に留まり続けます。放置すると症状が悪化したり、爪や他の部位に感染が広がったり、家族にうつしてしまう可能性もあります。そのため、症状に気づいたら早めに医療機関を受診し、適切な治療を開始することが重要です。
市販薬で水虫は治せますか?
市販薬の中にも抗真菌成分を含むものがあり、軽度の水虫であれば効果が期待できる場合もあります。しかし、水虫と似た症状を示す他の皮膚疾患も多く、自己判断で市販薬を使用すると、かえって症状を悪化させたり、適切な診断が遅れたりするリスクがあります。特に爪水虫は市販薬では治りにくいことが多いです。正確な診断と効果的な治療のためには、皮膚科を受診し、顕微鏡検査で水虫であることを確認した上で、適切な処方薬を使用することが最も確実です。
爪水虫の治療はなぜ時間がかかるのですか?
爪水虫の治療に時間がかかる主な理由は、爪の構造と成長の遅さにあります。爪は硬く厚いため、外用薬の有効成分が内部まで浸透しにくい特性があります。また、爪は1日に約0.1mm程度しか伸びず、新しい健康な爪が完全に生え変わるまでには足の爪で約6ヶ月から1年、手の爪でも数ヶ月かかります。このため、感染した爪が完全に生え変わるまで治療を継続する必要があり、結果として治療期間が長くなります。内服薬を使用する場合でも、爪の成長を待つ必要があるため、ある程度の期間が必要です。
この記事の監修医
👨‍⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長