水虫(足白癬)・爪水虫の原因と治療医師が解説
足指の皮むけ、足裏の角化、爪の白濁について、見分け方、真菌検査、治療、安全確認、受診の目安を判断順に確認できます。

- 水虫は白癬菌が角層に感染する病気で、足白癬には趾間型、小水疱型、角質増殖型があります。爪へ感染すると爪白癬になります。
- 湿疹や接触皮膚炎なども水虫に似るため、見た目だけで決めず、皮膚や爪を採取する直接鏡検などで真菌を確認します。
- 足白癬は外用抗真菌薬が基本です。爪白癬では病型、範囲、持病、服薬に応じて爪外用薬または内服薬を選びます。
皮膚・爪の変化を確認し、真菌検査と治療選択へ進みます。
足の指の間が白くふやける、足裏の皮がむける、かかとが硬くひび割れるといった症状は足白癬でみられますが、汗疱、湿疹、接触皮膚炎、乾燥などでも似た変化が起こります。反対に、足白癬でもかゆみがほとんどないことがあります。治療を始める前に白癬菌の存在を確認し、皮膚だけか、爪にも感染しているかを整理することが大切です[1]。
水虫(白癬)とは
白癬は、皮膚糸状菌(白癬菌)という真菌が皮膚の角層、毛、爪などのケラチンを含む組織へ感染して起こります。足に生じるものが足白癬、爪に生じるものが爪白癬です。体幹や手足に輪状の発疹をつくる体部白癬、股に生じる股部白癬、頭皮と毛に感染する頭部白癬など、感染部位によって呼び方と治療が異なります。
日本皮膚科学会・日本医真菌学会の2025年ガイドラインでは、国内調査に基づき足白癬は約13.7%、爪白癬は約7.9%と推計されています[1]。珍しい病気ではありませんが、足の皮むけや爪の変形がすべて白癬とは限りません。抗真菌薬が効かない病気へ長く塗ることや、ステロイドだけを塗って白癬を広げることを避けるためにも、検査での確認が重要です。
- 足白癬
- 足指の間、足裏、足の縁、かかとなどに白癬菌が感染した状態です。部位と見た目から主に3型に分けます。
- 爪白癬
- 爪へ白癬菌が感染し、白濁、黄変、肥厚、もろさなどを生じる状態です。足白癬を併発することがあります。
- 白癬菌
- 角層、毛、爪のケラチンを栄養源とする皮膚糸状菌です。足白癬ではTrichophyton rubrumなどが主な原因菌です。
足白癬の種類と症状
足白癬は一つの見た目ではありません。趾間型、小水疱型、角質増殖型が代表的で、複数が同時にみられることもあります。強いかゆみがあっても白癬とは限らず、かゆみがなくても菌が検出されることがあります。

足白癬は、最も一般的に見られる水虫で、足の指の間や足の裏、かかとなどに発生します。当院では、特に夏場に「足の指の間がジュクジュクする」「皮がむけてかゆい」といった症状で来院される患者さまが多くいらっしゃいます。主な症状は以下の通りです。
これは当院の診療経験に基づく表現で、季節ごとの患者割合を集計したデータではありません。冬でも角質増殖型や爪白癬はみられ、季節だけで診断することはできません。
| 病型 | 主な見た目 | 注意点 |
|---|---|---|
| 趾間型 | 足指の間が白くふやける、皮がむける、赤み、亀裂 | 浸軟や亀裂から細菌感染を併発することがあります |
| 小水疱型 | 土踏まずや足の縁に小さな水疱、皮むけ、かゆみ | 汗疱などとの鑑別が必要です |
| 角質増殖型 | 足裏全体やかかとが厚く硬い、粉をふく、ひび割れる | かゆみが乏しく、乾燥だけと思われやすい病型です |
赤みが急に広がる、腫れて熱をもつ、強く痛む、膿が出る、発熱する場合は、白癬に加えて蜂窩織炎などの細菌感染を起こしている可能性があります。糖尿病、末梢循環障害、免疫機能の低下がある方では足の傷が重症化しやすいため、早めに医療機関へ相談してください。
爪白癬(爪水虫)の症状と進行
爪白癬では、爪の先端や側縁から白色・黄色に濁り、厚くなって、爪の下に粉状の角質がたまることがあります。進むともろく崩れたり、靴に当たって痛んだり、爪を切りにくくなったりします。ただし、外傷、乾癬、扁平苔癬、慢性湿疹、加齢性変化、爪周囲炎でも似た爪変形が起こります。
爪白癬は、爪に皮膚糸状菌が感染した状態を指します。足白癬に比べて自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行していることが多いです。初診時に「爪が白く濁ってきた」「分厚くなってきて靴に当たる」と相談される患者さまも少なくありません。爪白癬の主な症状は以下の通りです。
- 変色: 爪が白、黄、褐色に濁ることがあります。
- 肥厚: 爪が厚くなり、靴との圧迫や歩行で痛むことがあります。
- 脆弱化: 爪の先がもろく、ぼろぼろと崩れます。
- 爪甲下角質増殖: 爪の下に角質がたまり、爪が持ち上がることがあります。
爪白癬は、足白癬を放置することで爪に菌が侵入し、発症することが多いです。また、糖尿病や免疫機能の低下がある方は、感染しやすく重症化しやすい傾向があります。進行すると、歩行時の痛みや靴を履く際の不快感が生じることもあります。当院では、問診の際に患者さまの家族歴や生活習慣を詳しく伺うようにしており、家族内に水虫の方がいると感染リスクが高まることをお伝えしています。
水虫の原因と感染経路
白癬菌を含む皮膚の細かな角屑が床、バスマット、スリッパなどへ落ち、それが別の人の足に付着して感染につながります。ただし、付着しただけで必ず発症するわけではありません。長時間蒸れる靴、汗、足指間の湿潤、小さな傷など、菌が角層へ侵入しやすい条件が重なると発症しやすくなります。
公衆浴場、プール、ジム、更衣室など裸足になる場所は接触機会がありますが、家庭内で足白癬・爪白癬の人がいる場合もバスマットや床を介して角屑へ接触します。責任を一人に求めるのではなく、患者本人の治療と、共用部分の通常の清掃、タオル類の洗濯、同居家族の症状確認を組み合わせます。靴や靴下を処分すれば治るという病気ではなく、感染している皮膚・爪を適切に治療することが中心です。
足白癬を掻いた手を介して体部白癬や手白癬が生じることもあります。体幹や股に輪状の赤みが広がる、頭皮に脱毛や強い鱗屑がある場合は、足へ使っている薬を自己判断で流用せず診察を受けてください。部位によって必要な薬と治療期間が異なります。
水虫と似た病気の見分け方
足の皮むけを写真や見た目だけで水虫と断定することはできません。湿疹、汗疱、接触皮膚炎、乾癬、掌蹠膿疱症、紅色陰癬、細菌感染、乾燥などが似ます。市販の抗真菌薬を塗ったあとでは菌が見つかりにくくなる場合があるため、受診時に商品名、使用部位、期間、最終使用日を伝えてください。
| 状態 | 手掛かり | 主な確認 |
|---|---|---|
| 足白癬 | 趾間の浸軟・鱗屑、足縁の小水疱、足裏の角化 | KOH直接鏡検、必要に応じ培養 |
| 汗疱・異汗性湿疹 | 手足に小水疱、左右対称のことがある | 皮疹の分布、真菌検査 |
| 接触皮膚炎 | 靴・接着剤・外用薬が触れる範囲に一致 | 使用製品、左右差、必要時パッチテスト |
| 乾癬・掌蹠膿疱症 | 厚い鱗屑、膿疱、手や他部位の病変、爪変形 | 全身の皮膚・爪所見 |
| 爪外傷・爪乾癬 | 圧迫歴、点状陥凹、ほかの乾癬病変 | 爪検体の真菌検査 |
湿疹だと思ってステロイドだけを使うと、炎症が一時的に目立たなくなっても白癬菌が増え、分布や見た目が変わることがあります。一方、湿疹なのに抗真菌薬を続けると刺激が加わる場合があります。治りにくいときは診断から見直します。
水虫・爪水虫の診断と真菌検査
診察では、症状が始まった時期、かゆみや痛み、季節変化、靴を履く時間、スポーツ・入浴施設の利用、同居家族の症状、過去の水虫、糖尿病や免疫抑制治療、使用した薬を確認します。足指間だけでなく、足裏、足の縁、かかと、爪、手、体幹、股なども必要に応じて観察します。
検査では、病変の鱗屑や爪の一部を採取し、水酸化カリウム(KOH)で角質を溶かして顕微鏡で菌糸を探す直接鏡検を行います。採取する場所や採取量で結果が変わるため、陰性でも臨床的に疑わしい場合は採取部位を変えて再検査したり、真菌培養、病理検査、爪白癬抗原検査などを検討したりします[1][2]。
爪白癬は治療が長く、内服薬では重い副作用や薬物相互作用への注意が必要なため、治療前に真菌を確認することが特に重要です。内服を検討する場合は、肝機能・血液検査、併用薬、肝疾患、妊娠・授乳などを確認します。検査で白癬菌が確認できないときは、爪乾癬や外傷性爪変形など別の原因を再評価します。
足白癬の治療と塗り方
限局した足白癬では外用抗真菌薬が基本です。クリーム、軟膏、液剤などがあり、病変の状態、塗りやすさ、刺激性を考えて選びます。薬剤ごとに塗布回数や期間が異なるため、処方時の指示と電子添文に従います。見える病変の周囲にも菌が存在することがあるため、通常は足指間だけでなく足裏・足の縁を含めて範囲を確認して塗ります。
当院では、患者さまのライフスタイルや症状の部位に合わせて、使いやすい剤形を提案するようにしています。
じゅくじゅくした亀裂へ刺激の強い液剤を使うとしみることがあり、角質が厚い部位では塗り方の工夫や別の治療が必要な場合があります。剤形は見た目だけで固定せず、痛み、浸軟、二次感染、接触皮膚炎の有無を診察して選びます。
実際の診療では、「かゆみがなくなったから」といって途中で薬を塗るのをやめてしまう患者さまもいらっしゃいますが、菌がまだ残っているとすぐに再発してしまいます。菌が完全にいなくなるまで、根気強く治療を続けることが大切です。また、足全体に広めに塗布すること、入浴後に清潔な状態で塗布することなども指導しています。
これは診療で繰り返し説明している内容です。再発までの時期や必要な塗布範囲・期間には個人差があり、すべての薬を同じ期間使うという意味ではありません。皮膚刺激や赤みが増えた場合も、自己中断だけで終わらせず、処方元へ相談して薬剤性の接触皮膚炎や診断の違いを確認します。
角質増殖が強い、範囲が広い、外用が困難、適切に外用しても改善しない、爪白癬を合併する、免疫機能が低下している場合などは内服治療を検討することがあります。足白癬に内服薬を用いるかは、外用で治療できるか、重症度、安全性を医師が判断します[1]。
爪白癬の治療と安全確認
爪白癬では、感染した爪の範囲・厚み、爪の本数、爪母への広がり、足白癬の併存、年齢、持病、服薬、通院・外用継続のしやすさを踏まえ、爪外用抗真菌薬または経口抗真菌薬を選びます。国内ではエフィナコナゾール爪外用液、ルリコナゾール爪外用液、テルビナフィン、イトラコナゾール、ホスラブコナゾールなどが治療選択肢ですが、適応と注意点は薬ごとに異なります[1]。
爪外用薬
爪外用薬は感染した爪へ継続して塗ります。内服が難しい場合や病変が限られる場合などに検討されます。爪が伸びて感染部分が先端へ移動するまで時間がかかるため、見た目の変化は爪の根元から確認します。皮膚へのはみ出しによる刺激や接触皮膚炎にも注意します。
当院では、処方後のフォローアップで、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。治療を始めて数ヶ月ほどで「爪の根元からきれいな爪が生えてきた」とおっしゃる方が多いです。
これは当院の診療経験に基づく観察で、改善した割合を測定したデータではありません。爪の伸び方、感染範囲、治療法によって見た目の変化と治療期間には個人差があり、数か月での改善や治癒を保証するものではありません。外見が改善しても、真菌学的な治癒とは一致しない場合があります。
経口抗真菌薬
内服薬は爪の広い範囲に感染がある場合などに検討されます。テルビナフィンには重篤な肝障害や血液障害の報告があり、投与前と投与中の肝機能・血液検査、随伴症状の確認が必要です[4]。イトラコナゾールなどは薬物相互作用が多いため、お薬手帳、市販薬、サプリメントを含めて確認します。薬の種類と用法は自己判断で選ばず、最新の電子添文に沿って医師が判断します。
当院では、内服治療を始める前に、患者さまの既往歴や服用中の薬剤を詳細に確認し、安全に治療を進められるかを慎重に判断しています。
内服中に食欲不振、強いだるさ、吐き気、発熱、のどの痛み、皮下出血、黄疸、褐色尿などが現れた場合は、次回予約を待たず処方元へ連絡してください。妊娠中・妊娠の可能性がある方、授乳中の方、肝臓・腎臓の病気がある方は、治療前に必ず伝えます。
足白癬・爪白癬の治療選択肢を比較
| 治療 | 主な対象 | 利点 | 主な確認事項 |
|---|---|---|---|
| 皮膚用外用抗真菌薬 | 多くの足白癬 | 感染部位へ直接使える | 塗布範囲・期間、刺激、接触皮膚炎 |
| 爪外用抗真菌薬 | 適応に合う爪白癬 | 全身への影響が比較的少ない | 毎日の継続、爪の範囲、皮膚刺激 |
| 経口抗真菌薬 | 広範囲・厚い爪病変、外用困難例など | 爪の内側へ全身から作用 | 肝機能・血液検査、相互作用、妊娠・授乳 |
| 生活上の感染対策 | 全例の補助 | 再付着・家族内伝播を減らす | 治療の代わりにはならない |
レーザーなどの機器治療については、研究方法や治癒の定義にばらつきがあり、標準的な抗真菌薬と同じ位置づけとは限りません[3]。費用、承認状況、期待できることと限界を確認し、真菌検査をせず外見だけで治療を進めないことが重要です。
再発と家族内感染を減らすセルフケア

水虫の治療と並行して、再発予防や感染拡大防止のための日常生活での対策も非常に重要です。当院では、治療を始める際に必ずこれらの予防策についても詳しく説明しています。
- 毎日やさしく洗う: 強くこすらず、石けんを十分に流します。洗った後は足指間まで水分を拭き取ります。
- 靴を乾かす: 同じ靴を連日履き続けず、乾燥させる時間を確保します。通気性と足に合うサイズも確認します。
- 靴下を交換する: 汗をかいたままにせず、清潔で吸湿性のある靴下へ交換します。
- 共用物を整える: タオルや爪切りを共有せず、バスマットは洗濯・乾燥し、床は通常の清掃を続けます。
- 同居家族も確認する: 足や爪に症状があれば受診を検討します。一人だけ治療しても未治療の感染源から再び接触することがあります。
- 公共施設の後に洗う: 帰宅後に足を洗い、よく乾かします。過度な消毒は皮膚炎を起こすため不要です。
水虫は不潔だから起こると決めつける病気ではありません。過剰に洗う、熱湯をかける、漂白剤や強い消毒薬を皮膚へ使うと、皮膚バリアが傷つき湿疹や亀裂が悪化します。市販薬を家族で共有せず、本人ごとに診断を受けてください。
水虫で皮膚科へ相談する目安
| 目安 | 症状・状況 | 行動 |
|---|---|---|
| 当日〜早め | 足が急に腫れる、熱をもつ、強い痛み、膿、赤みの拡大、発熱 | 細菌感染を含め早めに医療機関へ相談 |
| 早め | 糖尿病、血流障害、免疫抑制があり、亀裂・傷・水疱がある | 自己処置せず診察で確認 |
| 早め | 爪が厚く靴に当たる、歩くと痛い、複数の爪へ広がる | 爪検体の真菌検査と治療相談 |
| 計画的に | 市販薬で改善しない、繰り返す、診断を受けたことがない | 薬の名前と使用期間を持参 |
| 計画的に | 家族に水虫がいる、体や股にも輪状の発疹がある | 感染部位をまとめて確認 |
受診時は、使用中の薬や市販薬、塗った期間、症状が強いときの写真、お薬手帳を持参すると相談しやすくなります。検査前に自己判断で薬を再開・中止するのではなく、予約時に現在の使用状況を伝えてください。
一般皮膚科の受診ガイド初診時の持ち物、検査、保険診療の流れを確認する
まとめ
水虫は白癬菌による感染症で、足白癬には趾間型、小水疱型、角質増殖型があり、爪へ感染すると爪白癬になります。湿疹や外傷など似た病気が多いため、KOH直接鏡検などで真菌を確認してから治療を選びます。足白癬は外用抗真菌薬が基本で、爪白癬では病型と安全性に応じて爪外用薬または内服薬を検討します。症状が消えても治療期間が終わったとは限らないため、指示された範囲と期間を守り、刺激や副作用があれば処方元へ相談してください。足を乾かす、靴を乾燥させる、共用物を整えるといった対策は治療を支えますが、抗真菌治療の代わりにはなりません。
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初めての足・爪症状、急な悪化、強い痛み、膿、発熱、検査や薬の変更が必要な場合は対面診療をご案内します。症状が安定し、診察のうえ継続が適切と判断された対象薬に限り、オンラインでの継続処方を検討します。
よくある質問(FAQ)
- 日本皮膚科学会・日本医真菌学会 皮膚真菌症診療ガイドライン2025
- Leung AKC, et al. Tinea pedis: an updated review. Drugs Context. 2023. PMID: 37415917.
- Leung AKC, et al. Onychomycosis: an updated review. Recent Pat Inflamm Allergy Drug Discov. 2020. PMID: 32239567.
- PMDA テルビナフィン塩酸塩錠 電子添文(2025年5月改訂)
- Barac A, et al. Dermatophytes: Update on Clinical Epidemiology and Treatment. Mycopathologia. 2024. PMID: 39567411.
- Tosti A, et al. Onychomycosis: Practical Approaches to Minimize Relapse and Recurrence. Skin Appendage Disord. 2016. PMID: 27843933.
- イトラコナゾール 医療用医薬品添付文書(JAPIC)
