- ✓ 食事がニキビに影響を与える可能性は、科学的根拠に基づき指摘されています。
- ✓ 高GI食品や乳製品の過剰摂取はニキビ悪化の要因となる可能性があり、注意が必要です。
- ✓ バランスの取れた食生活と適切なスキンケアが、ニキビ治療の基本となります。
ニキビと食事の関係は長年議論されてきましたが、近年では食事がニキビの発生や悪化に影響を与えるという科学的根拠が蓄積されています[1]。特に、特定の食品がニキビを悪化させる可能性や、逆に改善に寄与する可能性が指摘されています。ここでは、ニキビと食事に関するよくある疑問について、最新の知見に基づいて詳しく解説します。
ニキビができるメカニズムとは?

ニキビは、毛穴の詰まり、皮脂の過剰分泌、アクネ菌の増殖、炎症の4つの主要な要因が複雑に絡み合って発生する皮膚疾患です[5]。これらの要因は、ホルモンバランス、遺伝、ストレス、そして食生活など、さまざまな要素によって影響を受けます。
- アクネ菌(Cutibacterium acnes)
- 皮膚の常在菌の一つで、酸素の少ない毛穴の中を好みます。皮脂を分解して脂肪酸を生成し、これが炎症を引き起こすことでニキビを悪化させます。
特に思春期には性ホルモンの分泌が活発になり、皮脂腺が刺激されて皮脂の分泌量が増加します。これにより毛穴が詰まりやすくなり、アクネ菌が増殖しやすい環境が整います。成人ニキビでは、ストレスや生活習慣の乱れ、そして食事がこれらのメカニズムに影響を与えることが考えられています。
ニキビを悪化させる可能性のある食事とは?
特定の食品グループがニキビの発生や悪化に関連している可能性が指摘されています。当院では、ニキビで悩む患者さまから「甘いものを食べるとニキビが増える気がする」「乳製品を摂りすぎると肌荒れする」といった声をよく伺います。問診の際に患者さまの食事内容を詳しく伺うようにしており、食生活とニキビの関連性を実感しています。
高GI食品はニキビに影響する?
グリセミック指数(GI)が高い食品は、食後の血糖値を急激に上昇させます。血糖値の急上昇は、インスリン様成長因子-1(IGF-1)の分泌を促進し、これが皮脂腺を刺激して皮脂の過剰分泌を引き起こすと考えられています[2]。また、IGF-1は角質細胞の増殖を促し、毛穴の詰まりを悪化させる可能性もあります[5]。
高GI食品の例:
- 白米、食パン、うどんなどの精製された穀物
- 砂糖を多く含む菓子、清涼飲料水
- フライドポテトなどの加工食品
これらの食品を過剰に摂取すると、ニキビが悪化するリスクが高まる可能性があるため、摂取量を意識することが推奨されます[3]。
乳製品はニキビの原因になる?
牛乳やチーズなどの乳製品も、ニキビとの関連が指摘されています。乳製品には、IGF-1やアンドロゲン(男性ホルモン)様の作用を持つ成分が含まれており、これらが皮脂腺を刺激し、ニキビを悪化させる可能性が示唆されています[4]。特にスキムミルク(脱脂乳)がニキビと関連が深いという報告もありますが、そのメカニズムはまだ完全に解明されていません[2]。
ただし、乳製品の摂取を完全に避けることがニキビ治療に必須であるという強いエビデンスは現時点では不足しており、個人差が大きいと考えられます。当院では、乳製品の摂取とニキビの関連を疑う患者さまには、一時的に摂取を控えてみて、ニキビの状態に変化があるか観察することをお勧めしています。
チョコレートや脂っこい食事はニキビに悪い?
「チョコレートを食べるとニキビができる」という話はよく聞かれますが、チョコレート自体がニキビの直接的な原因となるという明確な科学的根拠はまだ確立されていません[1]。しかし、チョコレートに含まれる砂糖や乳製品が高GI食品や乳製品のカテゴリーに含まれるため、間接的にニキビに影響を与える可能性は考えられます。
同様に、脂っこい食事についても、直接ニキビの原因となるという強いエビデンスはありません。ただし、加工された高脂肪食品には、炎症を促進する可能性のあるトランス脂肪酸や飽和脂肪酸が多く含まれていることがあり、これが間接的にニキビの炎症を悪化させる可能性は否定できません[5]。バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
特定の食品がニキビに与える影響には個人差が大きいため、一概に「この食品は避けるべき」とは言えません。ご自身の体質やニキビの状態をよく観察し、必要に応じて医師や管理栄養士に相談することが重要です。
ニキビ改善に役立つ可能性のある食事とは?

ニキビの改善には、炎症を抑えたり、皮脂の分泌を調整したりする効果が期待できる栄養素を積極的に摂ることが有効である可能性があります。当院の診察の中で、食生活の改善に取り組んだ患者さまが「肌の調子が良くなった」「ニキビができにくくなった」と話されるケースをよく経験します。特に、抗炎症作用のある食品や低GI食品への切り替えは、治療効果を高める上で重要なポイントになります。
低GI食品を摂るメリットとは?
高GI食品とは対照的に、低GI食品は血糖値の急激な上昇を抑え、インスリンやIGF-1の分泌を穏やかにします。これにより、皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まりが抑制され、ニキビの改善につながる可能性があります[3]。
低GI食品の例:
- 玄米、全粒粉パン、そばなどの未精製穀物
- 野菜、果物(一部を除く)
- 豆類、ナッツ類
- 肉、魚
食事全体を低GIにすることは難しい場合もありますが、主食を白米から玄米に変える、間食を菓子からナッツ類にするなど、できる範囲で取り入れることが推奨されます。
抗炎症作用のある栄養素とは?
ニキビは炎症を伴う皮膚疾患であるため、抗炎症作用を持つ栄養素を積極的に摂ることは、ニキビの改善に役立つ可能性があります。特に以下の栄養素が注目されています。
オメガ-3脂肪酸
オメガ-3脂肪酸は、炎症を抑える効果が期待できる不飽和脂肪酸です。魚油に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が代表的です。これらの脂肪酸は、体内で炎症を引き起こす物質の生成を抑制し、ニキビの赤みや腫れを軽減する可能性があります[2]。
多く含む食品:
- サバ、イワシ、サンマなどの青魚
- アマニ油、チアシード
亜鉛
亜鉛は、免疫機能の維持や細胞の再生に関わる重要なミネラルであり、抗炎症作用や抗菌作用も持っています。ニキビ患者では亜鉛が不足しているケースがあることが報告されており、亜鉛を補給することでニキビの改善が見られたという研究もあります[5]。
多く含む食品:
- 牡蠣、牛肉、豚レバー
- ナッツ類、豆類
ビタミンA、C、E
これらのビタミンは強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素による細胞の損傷を防ぎ、炎症を抑える効果が期待できます。特にビタミンAは皮膚のターンオーバーを正常に保つ役割も果たします。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、ビタミンEは血行促進にも寄与します。
多く含む食品:
- ビタミンA: レバー、うなぎ、緑黄色野菜
- ビタミンC: 果物(柑橘類、イチゴ)、野菜(パプリカ、ブロッコリー)
- ビタミンE: ナッツ類、植物油、アボカド
ニキビと食事の関係に関する誤解はありませんか?
ニキビと食事に関する情報は多岐にわたり、中には誤解を招くものもあります。科学的根拠に基づかない情報に惑わされず、正しい知識を持つことが大切です。
特定の食品を完全に避けるべき?
「ニキビを治すために、〇〇を完全に断つべき」といった極端な食事制限は、栄養バランスを崩し、かえって体調を悪化させる可能性があります。食事とニキビの関係は個人差が大きく、ある人には影響が大きくても、別の人にはほとんど影響がないということも珍しくありません[4]。
当院では、患者さまの食生活をヒアリングし、特にニキビとの関連が疑われる食品群について、一時的に摂取量を減らしたり、代替食品に置き換えたりする「除去食試験」を提案することがあります。これにより、ご自身のニキビに影響を与えている可能性のある食品を特定しやすくなります。ただし、これはあくまで一時的なものであり、長期的な極端な制限は推奨していません。
サプリメントだけでニキビは治る?
亜鉛やビタミンなどのサプリメントは、不足している栄養素を補う目的で利用されることがありますが、サプリメントだけでニキビが「治る」と考えるのは適切ではありません。サプリメントはあくまで食事の補助であり、バランスの取れた食事を基本とすることが重要です[2]。
また、過剰な摂取は健康被害を引き起こす可能性もあります。サプリメントの利用を検討する際は、必ず医師や薬剤師に相談し、適切な種類と量を守るようにしてください。
ニキビ治療における食事指導の役割とは?

ニキビ治療は、外用薬や内服薬による治療が中心となりますが、食事指導も重要な補助療法の一つです。当院では、ニキビ治療の一環として、患者さまの食生活について詳しく伺い、個別の状況に応じたアドバイスを行っています。特に、治療を始めて数ヶ月ほどで「薬だけでなく食事も意識するようになってから、ニキビの治りが早くなった気がする」とおっしゃる方が多いです。
ニキビ治療における食事指導の主な役割は以下の通りです。
- ニキビ悪化要因の特定と軽減: 高GI食品や乳製品など、ニキビを悪化させる可能性のある食品の摂取量を調整する。
- 皮膚の健康をサポートする栄養素の摂取促進: 抗炎症作用のあるオメガ-3脂肪酸、亜鉛、抗酸化ビタミンなどを積極的に摂るよう促す。
- 全体的な健康状態の改善: バランスの取れた食生活は、腸内環境の改善にもつながり、全身の健康、ひいては皮膚の健康にも良い影響を与えます。
実際の診療では、患者さまのライフスタイルや食習慣を考慮し、無理なく継続できるような具体的なアドバイスを心がけています。例えば、オンライン診療では、患者さまが普段食べている食事の写真を見せていただき、それに基づいて具体的な改善策を一緒に検討することもあります。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるか、そして食生活の改善状況も確認するようにしています。
| 項目 | ニキビを悪化させる可能性のある食事 | ニキビ改善に役立つ可能性のある食事 |
|---|---|---|
| 血糖値への影響 | 高GI食品(血糖値を急上昇させる) | 低GI食品(血糖値の上昇が緩やか) |
| 代表的な食品 | 白米、食パン、菓子、清涼飲料水、乳製品 | 玄米、全粒粉パン、野菜、果物、魚、豆類、ナッツ類 |
| 期待される効果 | 皮脂過剰分泌、毛穴詰まり、炎症の悪化 | 皮脂分泌調整、抗炎症作用、皮膚のターンオーバー正常化 |
| 注意点 | 過剰摂取を避ける、個人差が大きい | バランス良く摂取、サプリメントは補助的に |
まとめ
ニキビと食事の関係は複雑ですが、高GI食品や乳製品の過剰摂取がニキビを悪化させる可能性があり、低GI食品や抗炎症作用のある栄養素を積極的に摂ることが改善に役立つ可能性があります。しかし、食事の影響には個人差が大きく、特定の食品を完全に避けることよりも、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。ニキビ治療は、適切なスキンケアや医療機関での治療に加え、食生活の見直しも有効なアプローチとなります。ご自身のニキビの状態や食生活について不安がある場合は、専門医に相談し、個別の指導を受けることをお勧めします。
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よくある質問(FAQ)
- Claudio Conforti, Marina Agozzino, Giovanni Emendato et al.. Acne and diet: a review.. International journal of dermatology. 2022. PMID: 34423427. DOI: 10.1111/ijd.15862
- Izabella Ryguła, Wojciech Pikiewicz, Konrad Kaminiów. Impact of Diet and Nutrition in Patients with Acne Vulgaris.. Nutrients. 2024. PMID: 38794714. DOI: 10.3390/nu16101476
- James Meixiong, Cristina Ricco, Chirag Vasavda et al.. Diet and acne: A systematic review.. JAAD international. 2022. PMID: 35373155. DOI: 10.1016/j.jdin.2022.02.012
- Hilary Baldwin, Jerry Tan. Effects of Diet on Acne and Its Response to Treatment.. American journal of clinical dermatology. 2021. PMID: 32748305. DOI: 10.1007/s40257-020-00542-y
- Edgar A González-Mondragón, Luciana Del C Ganoza-Granados, Mirna Eréndira Toledo-Bahena et al.. Acne and diet: a review of pathogenic mechanisms.. Boletin medico del Hospital Infantil de Mexico. 2022. PMID: 35468121. DOI: 10.24875/BMHIM.21000088
- アルツディスポ(ヒアリン)添付文書(JAPIC)
