ニキビ跡の種類と原因

【ニキビ跡の種類と原因】|医師が解説する症状と対策

ニキビ跡の種類と原因|医師が解説する症状と対策
最終更新日: 2026-05-19
📋 この記事のポイント
  • ✓ ニキビ跡は「赤み」「茶色い色素沈着」「凹み(クレーター)」「盛り上がり」の4つの主要なタイプに分類されます。
  • ✓ 各ニキビ跡は炎症の程度や皮膚組織への影響が異なり、それぞれ異なる原因と治療アプローチが必要です。
  • ✓ 早期の適切なニキビ治療と、ニキビ跡の種類に応じた専門的なアプローチが、跡を残さないための鍵となります。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

ニキビ跡は、ニキビの炎症が治まった後に皮膚に残る変化の総称です。その見た目や発生機序によっていくつかの種類に分けられ、それぞれに異なる原因と適切な治療法が存在します。ニキビ跡を効果的に改善するためには、まずご自身のニキビ跡がどのタイプに属するのかを正確に理解することが重要です[1]。この記事では、主要なニキビ跡の種類とその原因について、専門的な視点から詳しく解説します。

ニキビ跡(Acne Scars)
ニキビの炎症が治癒した後に皮膚に残る、色調の変化(赤み、色素沈着)や組織の凹凸(クレーター、盛り上がり)を指します。これらは真皮層へのダメージの程度によって多様な形態をとります。

赤みのあるニキビ跡(炎症後紅斑:PIE)の原因とは?

炎症により毛細血管が拡張し赤みが残るニキビ跡の状態
赤みのあるニキビ跡のメカニズム

赤みのあるニキビ跡、専門的には炎症後紅斑(Post-inflammatory Erythema: PIE)と呼ばれます。これは、ニキビの炎症が治まった後に、皮膚に赤みが残る状態を指します。このタイプのニキビ跡は、特に色白の方や敏感肌の方に多く見られる傾向があります。

炎症後紅斑(PIE)のメカニズム

炎症後紅斑の主な原因は、ニキビの炎症によって真皮上層の毛細血管が損傷を受け、拡張した状態が続くこと、あるいは新しい毛細血管が過剰に形成されることにあると考えられています[1]。ニキビの炎症が強いほど、また炎症が長引くほど、血管へのダメージが大きくなり、赤みが残りやすくなります。炎症が治まっても、血管の拡張や新生がすぐに元に戻らないため、皮膚表面に赤みが透けて見えるのです。

当院では、初診時に「ニキビは治ったのに、顔がまだら模様に赤いのが気になる」と相談される患者さまも少なくありません。特に頬や顎に広範囲に赤みが残っているケースをよく経験します。このような患者さまには、炎症の程度や期間、スキンケア習慣などを詳しく問診し、PIEの発生要因を特定するようにしています。

PIEを悪化させる要因

  • 強い炎症: 膿疱(のうほう)や嚢腫(のうしゅ)を伴うような重度のニキビは、周囲の組織に大きなダメージを与え、PIEのリスクを高めます。
  • 不適切なスキンケア: 刺激の強い洗顔料の使用や、過度な摩擦は皮膚のバリア機能を損ない、炎症を悪化させる可能性があります。
  • 紫外線曝露: 紫外線は炎症を悪化させ、赤みを長引かせる要因となることがあります。
  • 自己処理: ニキビを無理に潰す行為は、炎症を深部まで広げ、PIEだけでなく他のニキビ跡のリスクも高めます。

PIEは時間とともに自然に薄れていくこともありますが、数ヶ月から数年かかる場合もあります。早期に適切な治療を開始することで、改善を促進し、他のニキビ跡への進行を防ぐことが期待できます。当院では、赤みがなかなか引かないという患者さまに対して、Vビームレーザーなどの血管病変に特化した治療を提案することがあります。治療を始めて2〜3ヶ月ほどで「赤みが目立たなくなってきた」とおっしゃる方が多いです。

茶色いニキビ跡(炎症後色素沈着:PIH)の原因とは?

メラニン色素が過剰生成され茶色く変化したニキビ跡
茶色いニキビ跡の発生過程

茶色いニキビ跡は、炎症後色素沈着(Post-inflammatory Hyperpigmentation: PIH)と呼ばれ、ニキビの炎症が治まった後に皮膚に褐色のシミが残る状態を指します。特に、肌の色が濃い方や、紫外線に当たりやすい方に多く見られる傾向があります。

炎症後色素沈着(PIH)のメカニズム

PIHの主な原因は、ニキビの炎症によって皮膚のメラノサイト(色素細胞)が活性化し、過剰にメラニン色素を生成・沈着させることにあります[1]。炎症が起きると、皮膚は自己防衛反応としてメラニン色素の生成を促します。このメラニンが炎症が治まった後も皮膚の表皮や真皮に残存することで、茶色いシミとして認識されるのです。炎症の程度が強いほど、また炎症が長引くほど、メラノサイトの活性化が促進され、PIHが残りやすくなります。

診察の中で、ニキビができやすい体質だけでなく、日焼け止めを塗る習慣がない患者さまにPIHが多く見られることを実感しています。特に夏場にニキビが悪化し、その後に茶色い跡が残ってしまったというケースは少なくありません。

PIHを悪化させる要因

  • 強い炎症: 膿疱や嚢腫、結節性のニキビなど、炎症が強いニキビはメラノサイトを強く刺激し、PIHのリスクを高めます。
  • 紫外線曝露: 紫外線はメラニン生成を促進する最大の要因です。ニキビの炎症がある時期や、PIHが残っている時期に紫外線を浴びると、色素沈着が濃くなったり、長引いたりする可能性があります。
  • 自己処理: ニキビを無理に触ったり潰したりすると、炎症が深くなり、メラノサイトへの刺激が増大し、PIHを悪化させる原因となります。
  • 摩擦や刺激: 洗顔時のゴシゴシ洗い、スクラブ洗顔のしすぎなど、皮膚への物理的な刺激も炎症を引き起こし、PIHの原因となることがあります。

PIHもPIEと同様に、時間とともに自然に薄れていくことがありますが、完全に消えるまでに数ヶ月から数年かかることがあります。特に紫外線対策を怠ると、色素沈着が定着しやすくなります。当院では、茶色いニキビ跡で悩む患者さまには、ハイドロキノンやトレチノインといった外用薬、あるいはレーザートーニングなどの治療を組み合わせることを提案しています。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。

クレーター(凹み・萎縮性瘢痕)の種類と原因は?

クレーター状のニキビ跡は、医学的には「萎縮性瘢痕(atrophic scars)」と呼ばれ、ニキビの炎症によって皮膚組織が破壊され、凹みとして残る状態を指します。これは、ニキビ跡の中でも特に改善が難しいとされるタイプの一つです[2]

萎縮性瘢痕の発生メカニズム

萎縮性瘢痕は、主に真皮層のコラーゲンやエラスチンといった組織が、ニキビの強い炎症によって破壊されることで発生します。炎症が深部に及ぶと、皮膚の修復プロセスが正常に機能せず、十分な組織が再生されないまま治癒が進んでしまいます。その結果、皮膚表面が陥没し、クレーターとして残るのです[3]。特に、炎症が強く、長引くニキビや、嚢腫、結節といった重症ニキビが原因となることが多いです。

初診時に「昔からニキビがひどくて、顔中がボコボコしている」と相談される患者さまも少なくありません。特に思春期に適切な治療を受けられなかった方に多く見られます。問診の際に患者さまのニキビの経過や自己処理の有無を詳しく伺うようにしています。

クレーターの種類とその特徴

クレーターは、その形状によって主に以下の3つのタイプに分類されます[4]

タイプ特徴深さ・形状
アイスピック型 (Icepick Scars)毛穴の開口部から真皮深層に向かって、V字型に深く狭く陥没した跡。まるでアイスピックで刺したような形状。深く狭い
ボックスカー型 (Boxcar Scars)底が平らで、側面が垂直に落ち込んでいる四角い形状の凹み。水痘(水ぼうそう)の跡に似ていることが多い。中程度〜深い、底が平ら
ローリング型 (Rolling Scars)皮膚表面が波打つように広くなだらかに凹んでいる跡。真皮深層の線維組織が不均一に引っ張られることで生じる。浅い〜中程度、なだらか

これらのクレーターは単独で存在するよりも、複数のタイプが混在していることが一般的です。治療法もそれぞれのタイプや深さに応じて異なり、フラクショナルレーザー、ダーマペン、サブシジョン、TCAピーリングなど、多様なアプローチが検討されます[2]。実際の診療では、患者さまの肌質やクレーターの状態を詳細に診察し、最適な治療計画を立てることが重要なポイントになります。治療効果を最大限に引き出すためには、複数回の治療が必要となることが多いです。

⚠️ 注意点

クレーターは一度できてしまうと、自然治癒は非常に困難です。早期のニキビ治療と、重症化させないための適切なスキンケアが予防の鍵となります。自己判断での治療や不適切なスキンケアは、かえって悪化を招く可能性があるため、専門医への相談が推奨されます。

盛り上がったニキビ跡(肥厚性瘢痕・ケロイド)の原因は?

コラーゲン線維が異常増殖し盛り上がったニキビ跡
盛り上がったニキビ跡の形成

盛り上がったニキビ跡は、肥厚性瘢痕(hypertrophic scars)やケロイド(keloids)と呼ばれ、ニキビの炎症が治まった後に皮膚が異常に盛り上がって硬くなる状態を指します。これらのニキビ跡は、特に体質的な要因が大きく関与するとされています。

肥厚性瘢痕とケロイドのメカニズム

肥厚性瘢痕とケロイドは、皮膚の創傷治癒過程において、コラーゲン線維が過剰に産生されることで発生します。ニキビの炎症が真皮深層にまで及ぶと、皮膚は傷を修復しようとしますが、その際に線維芽細胞が過剰に活動し、コラーゲンを必要以上に生成してしまうことがあります。この過剰なコラーゲンが皮膚表面に盛り上がりとして現れるのです。

  • 肥厚性瘢痕: 傷の範囲内に盛り上がりがとどまり、時間とともに自然に改善する傾向があります。
  • ケロイド: 傷の範囲を超えて周囲の正常な皮膚組織にまで広がり、自然治癒が非常に難しく、再発しやすい特徴があります。遺伝的要因や体質が強く関与するとされています。

当院では、胸や背中にできたニキビが盛り上がってしまい、「痒みや痛みを伴う」とおっしゃる患者さまが多くいらっしゃいます。特にケロイド体質の方は、小さなニキビでも大きく盛り上がってしまうケースをよく経験します。問診の際に患者さまの家族歴を詳しく伺うようにしています。

盛り上がったニキビ跡を悪化させる要因

  • 体質・遺伝: ケロイドは遺伝的要因が強く、特定の体質の方に発生しやすいことが知られています。
  • 強い炎症: 嚢腫や結節といった重度のニキビは、深部の組織にまで炎症が及び、肥厚性瘢痕やケロイドのリスクを高めます。
  • 物理的刺激: 摩擦、圧迫、引っ掻きなどの物理的な刺激は、創傷治癒過程を阻害し、盛り上がりを悪化させる可能性があります。
  • 部位: 胸部、肩、背中、耳たぶなどはケロイドが発生しやすい部位とされています。

盛り上がったニキビ跡の治療は、ステロイド注射、圧迫療法、レーザー治療、外科的切除など、多岐にわたります。特にケロイドの場合は再発のリスクが高いため、複数の治療法を組み合わせたり、長期的な管理が必要となることがあります。当院では、盛り上がったニキビ跡の患者さまには、まずステロイド局所注射を検討することが多いです。治療を始めて数週間で「痒みが落ち着いてきた」「盛り上がりが少し平らになってきた」とおっしゃる方が多いです。

まとめ

ニキビ跡は、その見た目や発生機序によって「赤み(炎症後紅斑:PIE)」「茶色い色素沈着(炎症後色素沈着:PIH)」「凹み(萎縮性瘢痕:クレーター)」「盛り上がり(肥厚性瘢痕・ケロイド)」の4つの主要なタイプに分類されます。それぞれのニキビ跡は、ニキビの炎症が皮膚組織に与える影響の違いによって生じ、原因や治療アプローチも異なります。

  • PIE(赤み): 炎症による毛細血管の拡張や新生が原因。
  • PIH(茶色い色素沈着): 炎症によるメラニン色素の過剰生成・沈着が原因。
  • クレーター(凹み): 炎症による真皮組織の破壊と不十分な再生が原因。アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型に分類されます。
  • 盛り上がり(肥厚性瘢痕・ケロイド): 炎症によるコラーゲン線維の過剰な産生が原因。特にケロイドは体質的要因が強く、傷の範囲を超えて広がります。

ニキビ跡の改善には、ご自身のニキビ跡の種類を正確に把握し、それぞれのタイプに合った適切な治療を早期に開始することが非常に重要です。自己判断でのケアや不適切な治療は、かえって症状を悪化させる可能性もあるため、皮膚科専門医にご相談いただくことをお勧めします。

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よくある質問(FAQ)

ニキビ跡はなぜできるのですか?
ニキビ跡は、ニキビの炎症が真皮層にまで及んだ際に、皮膚組織が損傷を受け、その修復過程が不完全であったり、過剰に反応したりすることで発生します。炎症の程度や深さ、個人の体質によって、赤み、色素沈着、凹み(クレーター)、盛り上がりといった様々な形態の跡が残ります。
ニキビ跡の種類によって治療法は異なりますか?
はい、ニキビ跡の種類によって適切な治療法は大きく異なります。例えば、赤み(PIE)には血管に作用するレーザー治療、茶色い色素沈着(PIH)には美白剤の外用やレーザートーニング、凹み(クレーター)にはフラクショナルレーザーやダーマペン、盛り上がり(肥厚性瘢痕・ケロイド)にはステロイド注射や圧迫療法などが検討されます。ご自身のニキビ跡に合った治療法を見つけるためにも、専門医への相談が重要です。
ニキビ跡を予防するためにできることはありますか?
ニキビ跡の予防には、まずニキビそのものを早期に適切に治療し、重症化させないことが最も重要です。具体的には、ニキビを潰さない、刺激の少ないスキンケアを心がける、紫外線対策を徹底する、バランスの取れた食事や十分な睡眠をとるなどがあります。また、ニキビが繰り返しできる場合は、皮膚科を受診し、適切な治療を受けることでニキビ跡のリスクを減らすことができます。
この記事の監修医
👨‍⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
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