排膿散及湯

【排膿散及湯の効果と副作用】|皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-04-24
📋 この記事のポイント
  • ✓ 排膿散及湯は、化膿性皮膚疾患や扁桃炎などに用いられる漢方薬です。
  • ✓ 炎症を抑え、排膿を促す作用があり、特に赤みや腫れ、痛みを伴う症状に有効です。
  • ✓ 比較的副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては注意が必要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)とは?その特徴と作用

排膿散及湯の生薬構成と効能を示す図解、化膿性皮膚疾患や扁桃炎に効果
排膿散及湯の生薬と効能

排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)は、化膿性皮膚疾患や扁桃炎、歯肉炎など、炎症や化膿を伴う様々な症状に用いられる漢方薬です。当院の皮膚科外来では、特にニキビの炎症や毛嚢炎、蜂窩織炎の初期段階など、皮膚の赤みや腫れ、痛みが顕著な患者さまに処方することが多いです。この漢方薬は、炎症を鎮め、膿の排出を助ける作用を持つ生薬が複数配合されているのが特徴です。

排膿散及湯の構成生薬と薬理作用

排膿散及湯は、以下の7種類の生薬から構成されています[1]

  • 桔梗(キキョウ):去痰、排膿作用があるとされ、特に呼吸器系の炎症や化膿に用いられます。
  • 芍薬(シャクヤク):鎮痛、鎮痙作用があり、炎症による痛みを和らげる効果が期待されます。
  • 大棗(タイソウ):滋養強壮作用があり、他の生薬の働きを調和させるとともに、体の回復を助けます。
  • 甘草(カンゾウ):鎮痛、抗炎症、解毒作用があり、多くの漢方薬に配合され、薬全体の効果を調整します。
  • 生姜(ショウキョウ):体を温め、消化吸収を助けるとともに、他の生薬の吸収を高める作用があります。
  • 枳実(キジツ):気の巡りを良くし、腹部の膨満感や消化不良を改善する作用が期待されます。
  • 厚朴(コウボク):気の巡りを良くし、消化器系の不調や精神的な緊張を和らげる作用があります。

これらの生薬が組み合わさることで、排膿散及湯は炎症部位の熱を取り除き、血行を改善し、膿の排出を促進すると考えられています。特に、桔梗の排膿作用と芍薬の鎮痛作用が、化膿性疾患の症状緩和に重要な役割を果たすとされています。実際の診察では、患者さまから「ズキズキする痛みが和らいだ」「赤みが引いてきた」といったフィードバックをいただくことが多く、その効果を実感しています。

漢方薬の証(しょう)とは
漢方医学における「証」とは、患者さまの体質、病状、体力、抵抗力などを総合的に判断した病態像のことです。同じ病名でも、患者さまの証によって処方される漢方薬は異なります。排膿散及湯は、比較的体力があり、炎症や化膿がはっきりしている「実証」の患者さまに用いられることが多いですが、当院では患者さまの全体像をみて、最適な処方を検討しています。

どのような症状に効果が期待できる?

排膿散及湯は、その名の通り「排膿」と「散(散らす、炎症を鎮める)」の作用を併せ持ち、様々な炎症性・化膿性疾患に適用されます。皮膚科の日常診療では、特に以下のような症状に対して処方する機会が多いです。

皮膚科領域での主な適応症

  • 化膿性皮膚疾患:ニキビ(尋常性ざ瘡)の炎症が強いもの、毛嚢炎、おでき(癤)、せつ、蜂窩織炎の初期段階など。赤み、腫れ、熱感、痛みを伴う場合に有効です。
  • 外傷の化膿:切り傷や擦り傷などが化膿し、膿が溜まっている状態。
  • その他:慢性的な化膿傾向のある皮膚疾患の補助治療としても考慮されます。

当院では、抗生剤の内服が必要なほどの強い炎症ではないが、炎症を早く鎮めたい、膿の排出を促したいという場合に、排膿散及湯を処方することがよくあります。特に、炎症性のニキビで悩む患者さまや、繰り返し毛嚢炎を起こす患者さまに、体質改善の一環として提案することもあります。臨床経験上、炎症が強い時期に服用を開始すると、効果を実感しやすい傾向にあります。

耳鼻咽喉科・歯科領域での適応症

  • 扁桃炎:喉の痛みや腫れ、発熱を伴う扁桃炎に。
  • 歯肉炎・歯槽膿漏:歯茎の腫れや痛み、出血、膿の排出が見られる場合に。

これらの症状においても、排膿散及湯は炎症を鎮め、膿の排出を助けることで症状の改善に寄与します。特に、西洋薬の抗生剤に抵抗がある方や、体質改善を目指したい方にとって、選択肢の一つとなり得ます。ただし、重度の感染症や急性期の症状には、西洋薬との併用や西洋薬が優先される場合もありますので、医師の判断が重要です。

⚠️ 注意点

排膿散及湯は、あくまで炎症や化膿を伴う症状の改善を目的とした漢方薬であり、全ての原因菌に直接作用する抗生剤とは作用機序が異なります。症状が重い場合や改善が見られない場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

用法・用量と服用時の注意点

排膿散及湯の適切な服用量と服用タイミング、副作用の注意点を解説
排膿散及湯の服用方法と注意

排膿散及湯は、効果を最大限に引き出し、かつ安全に服用するために、添付文書に記載された用法・用量を守ることが非常に重要です。当院で処方する際は、患者さまの体質や症状の程度、他の服用薬などを考慮し、最適な服用方法を丁寧に説明しています。

一般的な用法・用量

ツムラ排膿散及湯エキス顆粒(医療用)の場合、通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口服用します[1]。年齢や体重、症状によって適宜増減されることがあります。小児への適用については、医師の判断が必要です。

  • 食前:食事の30分〜1時間前
  • 食間:食事と食事の間(食後2時間程度)

漢方薬は、胃の中に食べ物がない状態で服用することで、生薬の成分がより効率的に吸収されると考えられています。しかし、胃腸が弱い方や、食前・食間の服用が難しい場合は、食後に服用することも可能ですので、医師や薬剤師にご相談ください。実際の臨床経験では、飲み忘れを防ぐために、ご自身の生活リズムに合わせた服用タイミングを見つけることが大切だとアドバイスしています。

服用上の注意点

  • 飲み合わせ:他の漢方薬や西洋薬との併用は、相互作用を引き起こす可能性があります。特に、甘草を含む他の漢方薬との併用は、偽アルドステロン症のリスクを高めることがあるため注意が必要です。必ず医師や薬剤師に相談してください。
  • アレルギー歴:過去に漢方薬や特定の生薬でアレルギー反応を起こしたことがある場合は、必ず医師に伝えてください。
  • 持病・既往歴:高血圧、心臓病、腎臓病、むくみやすい体質の方などは、服用前に医師に相談が必要です[1]
  • 妊娠・授乳中の方:妊娠中または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性は、服用前に必ず医師に相談してください。

当院では、患者さまが安心して治療を受けられるよう、これらの注意点を丁寧に説明し、疑問点があればいつでも質問できるような環境を整えています。特に、複数の医療機関を受診している場合は、服用している全ての薬を把握しておくことが重要です。

排膿散及湯の副作用と注意すべき症状

排膿散及湯は一般的に安全性の高い漢方薬とされていますが、体質や体調によっては副作用が現れることがあります。皮膚科の臨床経験上、重篤な副作用は稀ですが、患者さまには服用開始後に体調の変化がないか注意深く観察していただくようお願いしています。

重大な副作用

非常に稀ではありますが、以下のような重大な副作用が報告されています[1]。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。

  • 偽アルドステロン症:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛が現れ、徐々に進行する。むくみ、血圧上昇が見られることもあります。甘草の過剰摂取や体質によって引き起こされることがあります。
  • ミオパチー:偽アルドステロン症の症状が進行し、筋肉の障害が起こる状態です。

これらの症状は、特に他の甘草含有製剤を併用している場合や、長期にわたって服用している場合に注意が必要です。当院では、患者さまの既往歴や併用薬を詳細に確認し、リスクを最小限に抑えるよう配慮しています。

その他の副作用

比較的頻度は低いですが、以下のような症状が現れることがあります。気になる症状があれば、医師や薬剤師にご相談ください[1]

  • 消化器系:食欲不振、胃部不快感、吐き気、嘔吐、下痢など。
  • 皮膚:発疹、じんましんなど。

これらの症状は、服用を中止したり、服用量を調整することで改善することが多いです。皮膚科の臨床経験上、漢方薬は体質に合わないと胃腸症状が出やすい傾向があるため、服用開始後はお腹の調子に変化がないか注意していただくようお伝えしています。もし症状が続くようであれば、他の漢方薬への切り替えや、西洋薬での治療を検討することもあります。

副作用の種類具体的な症状対応
重大な副作用偽アルドステロン症、ミオパチー(手足のだるさ、しびれ、筋肉痛、脱力感、むくみ、血圧上昇)直ちに服用中止し、医師の診察を受ける
その他の副作用食欲不振、胃部不快感、吐き気、嘔吐、下痢、発疹、じんましん症状が続く場合は医師・薬剤師に相談

排膿散及湯に関する患者さまからのご質問

排膿散及湯に関する患者からのよくある質問と医師による回答の例
排膿散及湯のよくある質問
🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 排膿散及湯はどのくらいで効果が出ますか?
A. 症状の程度や体質によりますが、当院の経験では、炎症が強い急性期の症状であれば数日〜1週間程度で赤みや痛みが和らぐのを実感される方が多い印象です。慢性的な症状の場合や体質改善を目的とする場合は、数週間から数ヶ月の服用が必要になることもあります。効果の感じ方には個人差が大きいので、焦らず継続していただくことが大切です。
Q. 飲み忘れてしまった場合はどうすれば良いですか?
A. 飲み忘れに気づいた時点で、できるだけ早く服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばして次の時間に1回分だけ服用し、2回分を一度に服用することは避けてください。当院では、飲み忘れが多い患者さまには、アラームを設定したり、服用タイミングを食事や歯磨きなど日常の行動と結びつけたりする工夫をおすすめしています。
Q. 他の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 基本的には、服用中のすべての薬を医師や薬剤師に伝えていただければ、飲み合わせを確認し、安全性を考慮して処方します。特に、甘草を含む他の漢方薬や、高血圧治療薬などとの併用には注意が必要です。診察の現場では、お薬手帳のご持参をお願いし、詳細な確認を心がけています。自己判断での併用は避けてください。
Q. 妊娠中や授乳中でも服用できますか?
A. 妊娠中または妊娠している可能性のある方、授乳中の方は、服用前に必ず医師に相談してください。漢方薬であっても、胎児や乳児への影響が全くないとは言い切れません。当院では、患者さまの状況を慎重に判断し、必要に応じて他の治療法を提案することもあります。
Q. 長期間服用しても問題ありませんか?
A. 排膿散及湯の長期服用については、医師の定期的な診察と判断が必要です。特に、副作用の項目で述べた偽アルドステロン症などのリスクを考慮し、症状の改善状況や体調の変化を定期的に確認しながら、継続の要否を判断します。当院では、漫然とした長期服用は避け、症状が安定したら減量や中止を検討するよう指導しています。
Q. ジェネリック医薬品はありますか?
A. はい、排膿散及湯にはジェネリック医薬品(後発医薬品)があります。複数の製薬会社から「排膿散及湯エキス顆粒」として販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分、同じ効能・効果、同じ品質、安全性が国によって認められています。当院では、患者さまのご希望に応じてジェネリック医薬品の処方も可能です。

ジェネリック医薬品と保険適用について

排膿散及湯は、医療用漢方製剤として広く使用されており、ジェネリック医薬品も存在します。患者さまが安心して治療を受けられるよう、これらの情報も重要です。

ジェネリック医薬品の選択肢

ツムラ排膿散及湯エキス顆粒(医療用)には、複数の製薬会社から「排膿散及湯エキス顆粒」という名称でジェネリック医薬品が販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含み、同等の効果と安全性が国によって認められています。当院の皮膚科では、患者さまの経済的負担を軽減するため、ジェネリック医薬品の選択肢も積極的にご提案しています。実際の処方では、患者さまから「ジェネリックでも効果は同じですか?」と質問されることがよくありますが、有効成分は同じであるため、基本的には同等の効果が期待できることを説明しています。

  • 先発医薬品:ツムラ排膿散及湯エキス顆粒(医療用)
  • ジェネリック医薬品の例:コタロー排膿散及湯エキス顆粒、クラシエ排膿散及湯エキス顆粒など

ジェネリック医薬品は、開発費用が抑えられるため、先発医薬品よりも安価に提供されることが一般的です。これにより、患者さまの医療費負担を軽減することができます。ただし、剤形や添加物が異なる場合があるため、アレルギー体質の方などは医師や薬剤師に相談することが望ましいでしょう。

保険適用について

排膿散及湯は、医師の処方箋に基づいて医療機関で処方される場合、原則として健康保険が適用されます。これにより、患者さまは医療費の一部負担で薬を受け取ることができます。保険適用となるかどうかは、医師が患者さまの症状や診断に基づき、医学的に必要と判断した場合に限られます。

当院では、保険診療の範囲内で、患者さまにとって最適な治療法を提案しています。保険適用外の自由診療となることは通常ありませんが、美容目的など、保険診療の範囲外での使用を希望される場合は、保険適用外となることがあります。ご不明な点があれば、診察時に遠慮なくご質問ください。

まとめ

排膿散及湯は、化膿性皮膚疾患や扁桃炎、歯肉炎など、炎症や化膿を伴う様々な症状に効果が期待できる漢方薬です。桔梗の排膿作用や芍薬の鎮痛作用など、複数の生薬の組み合わせにより、炎症を鎮め、膿の排出を促すことで症状の改善を目指します。当院の皮膚科外来では、特に炎症性のニキビや毛嚢炎、蜂窩織炎の初期段階など、赤みや腫れ、痛みが顕著な場合に処方し、多くの患者さまが効果を実感されています。

服用にあたっては、添付文書に記載された用法・用量を守り、医師や薬剤師の指示に従うことが重要です。稀に偽アルドステロン症などの重大な副作用や、胃部不快感などの一般的な副作用が現れることがあるため、体調の変化には注意が必要です。妊娠中や授乳中の方、他の薬を服用している方は、必ず事前に医師に相談してください。ジェネリック医薬品も利用可能であり、保険適用もされるため、安心して治療を継続できる選択肢の一つと言えるでしょう。

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よくある質問(FAQ)

Q. 排膿散及湯は市販されていますか?
A. はい、排膿散及湯は医療用医薬品としてだけでなく、一部のメーカーから一般用医薬品(OTC医薬品)としても市販されています。市販薬は、医療用医薬品よりも生薬の配合量が少ない場合や、用法・用量が異なる場合があります。自己判断での使用は避け、薬剤師に相談の上、適切な製品を選ぶようにしてください。
Q. 子供にも服用させられますか?
A. 小児への服用については、年齢や体重、症状に応じて医師が慎重に判断します。自己判断で子供に服用させることは避け、必ず小児科医や漢方医に相談してください。特に乳幼児の場合、服用量や剤形に注意が必要です。
Q. 漢方薬は苦くて飲みにくいのですが、何か工夫はありますか?
A. 漢方薬の苦味は、生薬本来の味であり、効果を期待するためには服用していただく必要があります。工夫としては、少量の水で練って団子状にしてから飲む、オブラートに包んで飲む、冷たい水で一気に流し込む、服用後にすぐに味の濃いものを口にする、などが挙げられます。ただし、牛乳やジュースなどと一緒に服用すると、成分の吸収に影響が出る可能性もあるため、基本的には水か白湯で服用するのが望ましいです。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長