- ✓ ジスロマックは幅広い細菌感染症に有効なマクロライド系抗生物質です。
- ✓ 1日1回の服用で効果が持続し、短期間の服用で治療が完結する特徴があります。
- ✓ 消化器症状やQT延長などの副作用に注意し、医師の指示に従って正しく服用することが重要です。
ジスロマック(アジスロマイシン)とは?その特徴と作用機序

ジスロマックは、有効成分アジスロマイシンを主成分とするマクロライド系の抗生物質です。幅広い細菌感染症の治療に用いられ、特に呼吸器感染症、耳鼻咽喉科領域の感染症、皮膚感染症、性感染症などに効果を発揮します[4]。この薬の最大の特徴は、体内でゆっくりと排泄されるため、1日1回の服用で効果が持続し、短期間の服用で治療が完結する点にあります。
当院の皮膚科外来では、細菌性皮膚感染症や一部の性感染症の患者さまにジスロマックを処方することが多く、特に服用回数が少ないため、患者さまの服薬アドヒアランス(指示通りに薬を服用すること)の向上に役立っていると感じています。
ジスロマックの作用機序
ジスロマックの有効成分であるアジスロマイシンは、細菌のタンパク質合成を阻害することで抗菌作用を発揮します。具体的には、細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、タンパク質の伸長を妨げることで、細菌の増殖を抑制したり、死滅させたりします。この作用機序により、多くのグラム陽性菌やグラム陰性菌、非定型病原体(マイコプラズマ、クラミジアなど)に対して有効性を示します[4]。
- マクロライド系抗生物質
- 細菌のリボソームに作用し、タンパク質合成を阻害することで抗菌作用を示す抗生物質の総称です。アジスロマイシンの他、クラリスロマイシンやエリスロマイシンなどがあります。
アジスロマイシンは、組織移行性が高く、特に肺や扁桃、皮膚などの組織に高濃度で移行し、長時間滞留するという特性があります。これにより、短期間の服用でも効果が持続し、治療効果が期待できるのです。例えば、肺炎の治療においては、ドキシサイクリンと比較して同等の効果を示すことが報告されています[1]。
どのような症状に処方される?ジスロマックの適用疾患
ジスロマックは、その幅広い抗菌スペクトルと優れた組織移行性から、多岐にわたる感染症の治療に用いられます。主な適用疾患は以下の通りです[4]。
- 呼吸器感染症:肺炎、気管支炎など
- 耳鼻咽喉科領域感染症:中耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎など
- 皮膚感染症:伝染性膿痂疹(とびひ)、蜂窩織炎、丹毒など
- 尿路感染症:尿道炎など
- 性感染症:クラミジア感染症、淋菌感染症など
- その他:マイコプラズマ肺炎、百日咳など
皮膚科の日常診療では、伝染性膿痂疹(とびひ)や蜂窩織炎といった細菌性皮膚感染症に処方する機会が多いです。特に、小児のとびひでは、内服薬の服用が難しい場合もありますが、ジスロマックは比較的短期間の服用で済むため、保護者の方からも「飲みやすい」という声をいただくことがあります。
また、性感染症の治療においても重要な役割を担っています。クラミジア感染症では、単回投与で治療が完結することも多く、患者さまの負担軽減に繋がっています。ただし、淋菌感染症に対しては耐性菌の出現が問題となっており、単独での使用は推奨されない場合もあります。診察の現場では、患者さまの症状や検査結果に応じて、他の抗生物質との併用や代替薬の検討も行います。
非結核性抗酸菌症(MAC症)の治療においても、クラリスロマイシンで副作用が出た患者さまに対して、アジスロマイシンを含むレジメンが有効である可能性も示唆されています[2]。
ジスロマックの用法・用量と服用上の注意点は?

ジスロマックの用法・用量は、疾患の種類や患者さまの状態によって異なります。必ず医師の指示に従って服用してください。ここでは、主な疾患における一般的な用法・用量をご紹介します[4]。
| 疾患名 | 用法・用量(成人) | 服用期間 |
|---|---|---|
| 呼吸器感染症、皮膚感染症など | アジスロマイシンとして500mgを1日1回 | 3日間 |
| 尿道炎、子宮頸管炎など | アジスロマイシンとして1000mgを単回経口投与 | 1日(単回) |
| マイコプラズマ肺炎、百日咳など | アジスロマイシンとして500mgを1日1回 | 3日間 |
服用上の注意点
- 食後服用:ジスロマックは、食後に服用することが推奨されています。これは、空腹時に服用すると消化器症状(特に吐き気や腹痛)が出やすくなるためです。
- 飲み忘れに注意:1日1回の服用ですが、飲み忘れないように決まった時間に服用することが大切です。飲み忘れた場合は、気がついた時点で服用し、次の服用まで十分な間隔を空けてください。
- 自己判断での中止は避ける:症状が改善したと感じても、医師の指示された期間は服用を続けることが重要です。自己判断で中止すると、菌が完全に死滅せず、再発したり、耐性菌が出現したりする可能性があります。
- 小児への投与:小児には体重に応じた用量が設定されています。小児用ドライシロップなど、服用しやすい剤形もあります。
処方する際は、患者さまのライフスタイルや食事のタイミングを考慮して、最も服薬しやすい用法を選択しています。特に、小児の患者さまには、保護者の方に丁寧な説明を心がけています。
ジスロマックは、一部の薬剤(ワルファリン、シクロスポリンなど)や食品(グレープフルーツジュースなど)との相互作用が報告されています。他の薬を服用している場合や、持病がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。
ジスロマックの副作用にはどのようなものがある?
ジスロマックは比較的安全性の高い薬剤ですが、他の薬と同様に副作用が起こる可能性があります。主な副作用は消化器症状ですが、まれに重篤な副作用が発生することもあります。患者さまには、どのような症状に注意すべきかを常に説明しています。
重大な副作用
頻度は不明ですが、以下のような重大な副作用が報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください[4]。
- ショック、アナフィラキシー:呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹など
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):発熱、紅斑、水疱、びらん、眼症状、口内炎など
- 急性腎障害:尿量減少、むくみ、倦怠感など
- 肝機能障害、黄疸:全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなるなど
- 心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、QT延長:動悸、めまい、失神など。特に心疾患のある方や他のQT延長作用のある薬剤との併用でリスクが高まります[3]。
- 偽膜性大腸炎、出血性大腸炎:激しい腹痛、頻回の水様便、血便など
その他の副作用
比較的頻度が高いのは消化器症状です。当院ではジスロマックを処方した患者さまから、「少し胃がムカムカする」「お腹が緩くなった」というフィードバックをいただくことが多い印象です。これらの症状は、服用を続けるうちに軽減することも多いですが、症状が強い場合は医師に相談してください[4]。
- 消化器系:下痢(5%以上)、腹痛、吐き気、嘔吐、腹部不快感(0.1〜5%未満)など
- 精神神経系:頭痛、めまい、不眠(0.1〜5%未満)など
- 皮膚:発疹、蕁麻疹、かゆみ(0.1〜5%未満)など
- 肝臓:AST、ALT、γ-GTP上昇(0.1〜5%未満)など
- その他:倦怠感、浮腫、味覚異常など(0.1〜5%未満)
副作用の発現には個人差が大きく、同じ薬を服用しても症状の出方は様々です。気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに必ず医師や薬剤師に相談してください。
ジスロマックは、特に肝機能障害のある患者さまや、QT延長を起こしやすい基礎疾患(不整脈など)を持つ患者さまには慎重な投与が必要です。これらの既往歴がある場合は、必ず医師に申し出てください。
ジェネリック医薬品について:アジスロマイシン

ジスロマックの有効成分はアジスロマイシンであり、この成分名で多くのジェネリック医薬品が製造・販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品(新薬)の特許期間が満了した後に、同じ有効成分、同じ効能・効果、同じ用法・用量で製造される医薬品です。
ジェネリック医薬品の大きなメリットは、開発費用が抑えられるため、先発医薬品よりも安価に提供される点です。これにより、患者さまの医療費負担を軽減することができます。当院の皮膚科外来でも、患者さまの経済的負担を考慮し、ジェネリック医薬品の選択肢を積極的に提示しています。
ジェネリック医薬品の品質と安全性
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の品質、有効性、安全性が国によって厳しく審査され、承認されています。具体的には、生物学的同等性試験によって、体内で有効成分が吸収され、血中濃度が先発医薬品とほぼ同じになることが確認されています[5]。そのため、先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えても、治療効果に大きな違いはないと考えられます。
実際の処方では、患者さまから「ジェネリックでも本当に同じ効果があるのか?」と質問されることがよくあります。その際には、国の厳しい基準をクリアしていること、そして多くの臨床現場で問題なく使用されていることを説明し、安心して服用いただけるよう努めています。
ただし、添加物などの違いにより、味や形状、崩壊性などがわずかに異なる場合があります。ごくまれに、添加物に対するアレルギー反応を示す患者さまもいらっしゃいますが、これは先発医薬品でも起こりうることであり、気になる症状があればすぐに医師や薬剤師に相談することが重要です。
まとめ
ジスロマック(アジスロマイシン)は、幅広い細菌感染症に有効なマクロライド系抗生物質です。1日1回の服用で効果が持続し、短期間で治療が完結するという利点があり、患者さまの服薬負担軽減に貢献しています。呼吸器感染症、皮膚感染症、性感染症など多岐にわたる疾患に適用されます。
主な副作用は消化器症状ですが、まれに重篤な副作用も報告されているため、服用中は体調の変化に注意し、気になる症状があれば速やかに医師に相談することが重要です。また、食後服用や他の薬剤との相互作用にも注意が必要です。
ジスロマックにはジェネリック医薬品も存在し、先発医薬品と同等の効果と安全性が確認されています。患者さまの状況に応じて、医師と相談しながら適切な薬剤選択を行うことが、効果的かつ安全な治療に繋がります。
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よくある質問(FAQ)
- George M Varghese, Divya Dayanand, Karthik Gunasekaran et al.. Intravenous Doxycycline, Azithromycin, or Both for Severe Scrub Typhus.. The New England journal of medicine. 2023. PMID: 36856615. DOI: 10.1056/NEJMoa2208449
- Takehiko Kobayashi, Kazunari Tsuyuguchi, Shiomi Yoshida et al.. Resumption/efficacy and safety of an azithromycin-containing regimen against Mycobacterium avium complex lung disease in patients who experienced adverse effects with a clarithromycin-containing regimen.. Respiratory investigation. 2021. PMID: 33436352. DOI: 10.1016/j.resinv.2020.09.010
- Andy On-Tik Wong, Bimal Gurung, Wing Sum Wong et al.. Adverse effects of hydroxychloroquine and azithromycin on contractility and arrhythmogenicity revealed by human engineered cardiac tissues.. Journal of molecular and cellular cardiology. 2021. PMID: 33373642. DOI: 10.1016/j.yjmcc.2020.12.014
- アジマイシン(ジスロマック)添付文書(JAPIC)
- アジマイシン(アジスロマイシン)添付文書(JAPIC)
