通導散(ツムラ105)とは?効果と副作用を医師が解説
最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
- ✓ 通導散は、月経不順や便秘、腰痛などに用いられる漢方薬です。
- ✓ 血行促進と便通改善の作用により、様々な症状の緩和が期待されます。
- ✓ 添付文書に記載された用法・用量を守り、副作用に注意しながら服用することが重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
通導散(ツムラ105)とは?その定義とメカニズム

通導散の構成生薬と作用
通導散は、以下の8種類の生薬から構成されています[1]。- 大黄(ダイオウ):瀉下作用(便通を促す作用)があり、瘀血を排出する重要な生薬です。
- 芒硝(ボウショウ):大黄の瀉下作用を増強し、硬い便を軟化させる作用があります。
- 当帰(トウキ):血行を促進し、体を温め、月経不順や冷え症の改善に寄与します。
- 木通(モクツウ):利尿作用があり、体内の余分な水分を排出するのを助けます。
- 紅花(コウカ):血行を促進し、瘀血を改善する作用があります。
- 厚朴(コウボク):消化器系の働きを整え、気の巡りを改善する作用があります。
- 陳皮(チンピ):気の巡りを整え、消化を助ける作用があります。
- 甘草(カンゾウ):他の生薬の作用を調和させ、炎症を抑える作用があります。
- 血行促進作用: 当帰、紅花などが血流を改善し、滞った血液(瘀血)を取り除くことで、痛みや凝り、月経不順などの症状を緩和します。
- 瀉下作用・便通改善作用: 大黄、芒硝が腸の動きを活発にし、便を軟化させることで、頑固な便秘を改善します。便秘の解消は、体内の老廃物排出を促し、全身の調子を整えることにも繋がります。
- 利尿作用: 木通が余分な水分を排出し、むくみの改善にも寄与することがあります。
- 気血の巡り調整作用: 厚朴、陳皮、甘草などが消化器系の働きや気の巡りを整え、全身のバランスを改善します。
- 瘀血(おけつ)とは
- 漢方医学における概念で、体内の血液循環が滞り、ドロドロになった状態を指します。瘀血は、痛み、しびれ、月経不順、肌荒れ、シミ、冷えなど、様々な不調の原因となると考えられています。通導散は、この瘀血を改善することで、これらの症状にアプローチします。
通導散の適応症状と臨床での効果
通導散は、血行促進と便通改善の作用により、幅広い症状に用いられます。添付文書に記載されている効能・効果は、「月経不順、月経困難症、更年期障害、便秘、腰痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、足腰の冷え、痔」など多岐にわたります[1]。具体的な症状と効果
- 月経不順・月経困難症: 瘀血が原因で月経周期が乱れたり、生理痛がひどい場合に、血行を改善することで症状の緩和が期待されます。当院の皮膚科外来では、特に生理前にニキビが悪化する患者さまに、ホルモンバランスの調整と合わせて通導散を処方することがあります。血流が改善されることで、肌のターンオーバーが正常化し、ニキビの炎症が落ち着くケースも少なくありません。
- 便秘: 大黄や芒硝の作用により、頑固な便秘に効果を発揮します。特に、便が硬く、排便が困難な方に有効です。実際の診察では、患者さまから「市販の便秘薬ではお腹が痛くなるが、通導散は自然な排便を促してくれる」とフィードバックをいただくことがよくあります。ただし、効果の現れ方には個人差があり、下痢を起こしやすい体質の方には慎重に処方します。
- 腰痛・肩こり・頭痛: 血行不良による筋肉の緊張や炎症が原因で起こるこれらの症状に対して、血行促進作用が有効に働くことがあります。特に慢性的な肩こりや、冷えを伴う腰痛の患者さまに処方し、症状の軽減を認めることがあります。
- 更年期障害: のぼせ、めまい、足腰の冷えなど、更年期に現れる血行不良による症状の緩和に用いられることがあります。
- 痔: 便秘の改善と血行促進により、痔の症状(特にうっ血性のもの)の緩和に寄与することがあります。
臨床経験から見る効果の実感
通導散の効果は、比較的緩やかに現れることが多いですが、便秘に対しては比較的早期に効果を実感される方が多い印象です。月経不順や慢性的な痛みに対しては、数週間から数ヶ月の継続服用で徐々に改善が見られることが一般的です。当院では通導散を処方した患者さまから、「生理前のイライラが減った」「肌の調子が良くなった気がする」といった、主訴以外の良い変化のフィードバックをいただくことも少なくありません。これは、全身の血行が改善され、体全体のバランスが整うことによるものと考えられます。| 症状 | 期待される効果 | 効果実感までの目安(臨床経験より) |
|---|---|---|
| 月経不順・月経困難症 | 血行促進、瘀血改善、生理痛緩和 | 1〜3ヶ月 |
| 便秘 | 瀉下作用、便軟化、排便促進 | 数日〜2週間 |
| 腰痛・肩こり・頭痛 | 血行促進、筋肉緊張緩和 | 2週間〜2ヶ月 |
| 更年期障害 | 血行改善、のぼせ・冷え緩和 | 1〜3ヶ月 |
通導散の正しい服用方法と注意点

用法・用量
通常、成人には1日7.5g(ツムラ通導散エキス顆粒の場合)を2〜3回に分割し、食前または食間に経口服用します。年齢、体重、症状により適宜増減されます[1]。食前とは食事の約30分前、食間とは食後2〜3時間を指します。漢方薬は空腹時に服用することで吸収が良くなるとされていますが、胃腸が弱い方や、服用で気分が悪くなる場合は、食後に服用することも検討されます。服用上の注意点
- 体質・症状の確認: 通導散は、比較的体力があり、腹部に充実感(実証)がある方に適しているとされます。虚弱な方や下痢をしやすい方には不向きな場合があります。処方する際は、問診で患者さまの体質や既往歴、現在の症状を詳しく確認し、適切かどうかを判断します。
- 妊娠・授乳中の服用: 妊娠中または妊娠している可能性のある女性には、流早産の危険性があるため、原則として服用を避けるべきとされています。授乳中の女性も、医師と相談の上、慎重に服用を検討する必要があります[1]。
- 他の薬剤との併用: 他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。特に、大黄を含む他の漢方薬との併用は、瀉下作用が過剰になる可能性があるため注意が必要です。
- 長期服用時の注意: 長期にわたって服用する場合は、定期的に医師の診察を受け、効果や副作用の有無を確認することが大切です。皮膚科の日常診療では、便秘改善目的で通導散を処方する際、患者さまに「便の回数や性状に変化がないか」「お腹の張りや痛みがないか」をフォローアップで確認することが治療のポイントになります。
⚠️ 注意点
通導散に含まれる大黄には瀉下作用があるため、下痢や腹痛を起こしやすい方は慎重に服用してください。また、妊娠中の服用は流早産の危険性があるため禁忌とされています。必ず医師の指示に従いましょう。
通導散の副作用と対処法
どのような薬にも副作用のリスクは存在します。通導散も例外ではなく、服用によって様々な副作用が現れる可能性があります。副作用の症状を理解し、適切に対処することが重要です。重大な副作用
頻度は不明ですが、以下の重大な副作用が報告されています[1]。- 偽アルドステロン症: 尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛などの症状が現れることがあります。甘草の過剰摂取や体質によって引き起こされることがあります。
- ミオパチー: 手足のしびれ、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります。偽アルドステロン症の進行により、横紋筋融解症に至ることもあります。
その他の副作用
比較的頻度が高い、または注意すべきその他の副作用には以下のようなものがあります[1]。- 消化器症状: 下痢、軟便、腹痛、悪心、嘔吐、食欲不振などが起こることがあります。特に大黄の瀉下作用によるものです。服用開始時に便が緩くなりすぎたり、腹痛が強すぎる場合は、服用量を調整するか、一時的に中止を検討します。
- 皮膚症状: 発疹、蕁麻疹などが現れることがあります。アレルギー反応の可能性もありますので、症状が現れた場合は服用を中止し、医師に相談してください。
副作用への対処法
- 症状の観察: 服用中は、体調の変化に注意し、気になる症状があれば記録しておきましょう。
- 医師・薬剤師への相談: 副作用と思われる症状が現れた場合は、自己判断で服用を中止せず、速やかに医師または薬剤師に相談してください。特に、便通改善目的で通導散を処方した患者さまから、「下痢がひどくて困る」という相談を受けることが多いです。その際は、服用回数を減らしたり、他の漢方薬への切り替えを検討するなど、個々の患者さまに合わせた対応をしています。
- 服用量の調整: 消化器症状が強い場合は、医師の指示のもと、服用量を減らすことで症状が軽減されることがあります。
通導散に関する患者さまからのご質問

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 通導散はいつ頃から効果を実感できますか?
A. 実際の処方では、便秘の改善に関しては数日〜1週間程度で効果を実感される方が多いです。月経不順や慢性的な痛み、肌荒れなどに対しては、血行改善に時間がかかるため、2週間〜1ヶ月、場合によっては数ヶ月の継続服用で徐々に効果が現れることが多いです。当院では、最低でも1ヶ月は服用を続けていただき、効果の有無を判断しています。
Q. 便秘薬として使いたいのですが、毎日飲んでも大丈夫ですか?
A. 通導散に含まれる大黄には瀉下作用があり、連用することで腸の機能が低下する可能性も指摘されています。当院では、毎日服用していただくこともありますが、便の性状や排便回数を細かく確認し、必要に応じて服用量の調整や、一時的な休薬を指導することがあります。漫然とした長期連用は避け、定期的に医師の診察を受けてください。
Q. 飲み忘れてしまった場合、どうすれば良いですか?
A. 飲み忘れに気づいた時点で、次の服用まで時間があれば1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飲まずに、次の服用時間から通常通り服用してください。2回分を一度に服用することは避けてください。当院では、患者さまに「無理に帳尻を合わせようとせず、焦らず継続することが大切です」とお伝えしています。
Q. 漢方薬は苦くて飲みにくいのですが、何か工夫はありますか?
A. 漢方薬特有の風味はありますが、飲みやすくするための工夫はいくつかあります。少量の水で練って団子状にしてから一気に飲み込んだり、オブラートに包んで服用する方法があります。また、温かいお湯に溶かしてゆっくり飲むと、香りが和らぎ飲みやすくなることもあります。当院の患者さまの中には、少量のハチミツを混ぜて飲んでいる方もいらっしゃいます。
Q. 通導散と他の漢方薬を併用しても大丈夫ですか?
A. 漢方薬同士でも飲み合わせに注意が必要な場合があります。特に通導散に含まれる大黄や甘草は、他の漢方薬にも含まれることが多く、重複して摂取することで副作用が強く現れる可能性があります。必ず医師や薬剤師に、現在服用中のすべての薬(市販薬やサプリメントを含む)を伝え、併用の可否を確認してください。
Q. 通導散を服用中に、食事で気をつけることはありますか?
A. 特定の食品との相互作用は報告されていませんが、一般的に漢方薬の効果を妨げないよう、刺激物や脂質の多い食事は控えめにし、バランスの取れた食生活を心がけることが推奨されます。特に便秘改善目的で服用している場合は、食物繊維や水分を積極的に摂取することで、より効果が期待できるでしょう。
ジェネリック医薬品について
通導散には、先発医薬品であるツムラ通導散エキス顆粒(医療用)の他に、複数のメーカーからジェネリック医薬品(後発医薬品)が販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含み、同等の効能・効果、安全性を持つと国によって認められた医薬品です。ジェネリック医薬品のメリット
- 薬価が安い: 開発コストがかからないため、先発医薬品よりも安価で提供されます。これにより、患者さまの医療費負担を軽減することができます。
- 選択肢の増加: 複数のメーカーから販売されている場合、剤形(顆粒、錠剤など)や味、包装などが異なることがあり、患者さまにとってより服用しやすい選択肢が見つかる可能性があります。
ジェネリック医薬品の選択
当院では、患者さまの希望に応じてジェネリック医薬品を処方することが可能です。ジェネリック医薬品への変更を希望される場合は、診察時や薬局で医師や薬剤師にご相談ください。ただし、漢方薬の場合、メーカーによって生薬の配合比率や抽出方法がわずかに異なることがあり、味や香り、効果の感じ方に個人差が生じる可能性もゼロではありません。皮膚科の臨床経験上、特に漢方薬では「このメーカーのものが合っている気がする」とおっしゃる患者さまも少なくありませんので、患者さまの感覚を尊重し、相談しながら処方を決定しています。| 項目 | 先発医薬品(ツムラ通導散) | ジェネリック医薬品 |
|---|---|---|
| 有効成分 | 通導散エキス | 通導散エキス(同等) |
| 効能・効果 | 同上 | 同上 |
| 安全性 | 同上 | 同上 |
| 薬価 | 比較的高価 | 比較的安価 |
| 剤形・風味 | メーカーによる | メーカーにより異なる可能性あり |
まとめ
通導散(ツムラ105)は、血行促進と便通改善の作用を持つ漢方薬で、月経不順、便秘、腰痛、肩こりなど、瘀血や便通異常が原因と考えられる幅広い症状に用いられます。大黄、芒硝、当帰、紅花などの生薬が複合的に作用し、体内の巡りを整えることで症状の緩和を目指します。服用に際しては、添付文書に記載された用法・用量を守り、特に妊娠中の女性や体質によっては注意が必要です。偽アルドステロン症やミオパチーといった重大な副作用のリスクもゼロではないため、体調の変化には十分注意し、気になる症状が現れた場合は速やかに医師や薬剤師に相談することが大切です。ジェネリック医薬品も存在し、医療費負担の軽減に貢献しますが、漢方薬においては個々の患者さまの感覚も考慮しながら、最適な選択をすることが望ましいでしょう。医師の指導のもと、適切に服用することで、症状の改善が期待できます。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
