帯状疱疹の原因・症状・治療

【帯状疱疹の原因・症状・治療】|医師が解説

帯状疱疹の原因・症状・治療|医師が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • ✓ 帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症し、皮膚症状と神経痛を伴います。
  • ✓ 早期の抗ウイルス薬治療が重要であり、発症から72時間以内の開始が推奨されます。
  • ✓ 帯状疱疹ワクチンは発症予防と重症化予防に有効であり、50歳以上の方に接種が推奨されています。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

帯状疱疹の基礎知識:原因、症状、合併症とは?

帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏し、免疫低下で再活性化するメカニズム
帯状疱疹の発症メカニズム

帯状疱疹は、過去に水ぼうそう(水痘)にかかったことのある人に発症するウイルス性の病気です。このセクションでは、帯状疱疹の基本的な情報について解説します。

帯状疱疹とは?そのメカニズムを理解する

帯状疱疹(Herpes Zoster)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus: VZV)の再活性化によって引き起こされる病気です。VZVは、一度水ぼうそうとして感染した後、体の神経節(神経細胞の集まり)に潜伏し続けます[1]。免疫力が低下すると、この潜伏ウイルスが再び活動を始め、神経に沿って皮膚へと移動し、特徴的な発疹や痛みを引き起こします[2]

水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
水ぼうそう(水痘)と帯状疱疹の原因となるヘルペスウイルスの一種。一度感染すると体内の神経節に潜伏し、免疫力低下時に再活性化して帯状疱疹を引き起こします。

一般的に、日本人の90%以上が小児期に水ぼうそうを経験しているため、誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。特に50歳以上で発症率が高まり、80歳までに約3人に1人が経験すると言われています[1]

帯状疱疹の主な原因は何ですか?

帯状疱疹の直接的な原因は、前述の通り、体内に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化です。この再活性化を促す主な要因は、免疫力の低下です。

  • 加齢: 免疫機能は加齢とともに自然に低下するため、50歳以上で発症リスクが高まります[2]
  • 疲労・ストレス: 過度な肉体的・精神的ストレスは免疫力を一時的に低下させます。
  • 病気・治療: がん、糖尿病、HIV感染症などの病気や、免疫抑制剤、ステロイド治療、化学療法などは免疫力を著しく低下させ、帯状疱疹のリスクを高めます。
  • 手術・外傷: 大きな手術や外傷も一時的に免疫系に負担をかけることがあります。

当院の診察では、帯状疱疹の患者さまに「最近、仕事が忙しくて寝不足が続いていました」「家族の介護で心身ともに疲弊していました」といった、ストレスや疲労を訴える方が多くいらっしゃいます。問診の際には、発症前の生活状況や既往歴を詳しく伺うようにしています。

帯状疱疹の典型的な症状と経過は?

帯状疱疹の症状は、通常、体の片側の神経支配領域に沿って現れるのが特徴です。初期症状から治癒までの一般的な経過は以下の通りです。

  1. 初期症状(数日前〜1週間前): ピリピリ、チクチク、ズキズキとした神経痛や違和感が、体の片側の特定の部位に現れます。痛みは軽度から非常に強いものまで様々です。発熱や倦怠感を伴うこともあります。
  2. 発疹期(数日後): 痛みのあった部位に、赤い斑点(紅斑)が現れ、数日以内に小さな水ぶくれ(水疱)が多発します。水疱は通常、帯状に集まって出現し、体の片側のみに分布します。
  3. かさぶた期(1〜2週間後): 水疱は次第に膿を持ち、破れてかさぶた(痂皮)となります。この時期も痛みは続くことがあります。
  4. 治癒期(2〜4週間後): かさぶたが剥がれ落ち、皮膚症状は治癒に向かいます。色素沈着や瘢痕が残ることもあります。しかし、皮膚症状が治まっても、痛みが続くことがあります。

発疹は胸から背中、お腹、顔面、腕、脚など、全身のどこにでも現れる可能性があります。特に顔面にできた場合は、眼や耳に影響を及ぼすことがあるため注意が必要です[5]

帯状疱疹の合併症にはどのようなものがありますか?

帯状疱疹は、皮膚症状が治癒した後も様々な合併症を引き起こすことがあります。最も頻繁に見られる合併症は、帯状疱疹後神経痛(PHN)です[2]

  • 帯状疱疹後神経痛(PHN): 皮膚症状が治癒した後も、数ヶ月から数年にわたって痛みが続く状態です。焼けるような痛み、電気が走るような痛み、締め付けられるような痛みなど、痛みの種類は様々で、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。高齢者や、急性期の痛みが強かった患者さんで発症リスクが高いとされています[3]。当院では、PHNに移行するリスクを減らすため、急性期の治療をいかに早く開始するかが重要だと実感しています。
  • 眼合併症: 顔面に帯状疱疹ができた場合、特に三叉神経の眼枝領域に発症すると、角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎などを引き起こし、視力低下や失明に至る可能性もあります[5]
  • 耳合併症(ラムゼイ・ハント症候群): 顔面神経や聴神経にウイルスが再活性化すると、顔面麻痺、味覚障害、耳鳴り、難聴、めまいなどを引き起こすことがあります。
  • 運動麻痺: 稀に、発疹と同じ部位の筋肉に麻痺が生じることがあります。
  • 細菌による二次感染: 水疱を掻き壊すことで細菌感染を起こし、蜂窩織炎などの皮膚感染症を併発することがあります。
⚠️ 注意点

帯状疱疹は、特に免疫力が低下している方や高齢者では重症化しやすく、合併症のリスクも高まります。発疹だけでなく、強い痛みを伴う場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

帯状疱疹の治療と予防:早期介入とワクチン接種の重要性

帯状疱疹の治療薬として使用される抗ウイルス薬とワクチン接種の様子
帯状疱疹の治療と予防接種

帯状疱疹は早期に適切な治療を開始することで、症状の軽減や合併症のリスクを低減できます。このセクションでは、帯状疱疹の治療法と予防策について詳しく解説します。

帯状疱疹の治療法にはどのようなものがありますか?

帯状疱疹の治療の基本は、抗ウイルス薬の内服です。発症早期に治療を開始することが、症状の軽減と合併症の予防に極めて重要とされています[3]

  • 抗ウイルス薬: ウイルスの増殖を抑える目的で、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの内服薬が処方されます。発疹出現後72時間以内に服用を開始することが、最も効果的であるとされています[4]。当院では、患者さまが「痛みが強くて眠れない」「水ぶくれがどんどん広がっている」と訴えられた場合、発症からの期間を詳細に確認し、可能な限り早く抗ウイルス薬の処方を行うようにしています。
  • 痛み止め(鎮痛薬): 帯状疱疹に伴う神経痛に対しては、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されます。痛みが強い場合には、プレガバリンやガバペンチンなどの神経障害性疼痛治療薬、あるいは弱オピオイド鎮痛薬が検討されることもあります。
  • 外用薬: 水疱やただれの部位には、細菌の二次感染を防ぐための抗菌薬軟膏や、炎症を抑えるステロイド軟膏が処方されることがあります。
  • その他: 特殊なケースでは、神経ブロック注射やステロイドの内服が検討されることもあります。

治療期間は通常1週間から10日間程度ですが、症状や合併症の有無によって異なります。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。

帯状疱疹の予防策としてワクチンは有効ですか?

帯状疱疹の最も効果的な予防策は、ワクチン接種です。現在、日本で承認されている帯状疱疹ワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。

項目生ワクチン(水痘ワクチン)不活化ワクチン(シングリックス)
種類弱毒生ワクチンサブユニットワクチン(不活化)
接種対象年齢50歳以上50歳以上
接種回数1回2回(2ヶ月間隔)
発症予防効果約50〜60%[1]約90%以上[1]
PHN予防効果約60〜70%約90%以上
持続期間5年程度10年以上
費用(目安)比較的安価比較的高価
接種できない人免疫不全の方、妊婦など特になし(一般のワクチン接種禁忌に準ずる)

不活化ワクチンは、生ワクチンに比べて発症予防効果および帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症予防効果が高いことが報告されています[1]。当院では、患者さまの健康状態やライフスタイル、費用面などを考慮し、どちらのワクチンが適切かをご相談の上、接種を推奨しています。特に50歳以上の方には、帯状疱疹の発症リスクが高まるため、ワクチン接種を積極的に検討していただくようお伝えしています。多くの患者さまが「ワクチンを打ってから、帯状疱疹への不安が減った」とおっしゃるのを聞くと、予防の重要性を改めて実感します。

日常生活でできる予防策はありますか?

ワクチン接種に加えて、日々の生活習慣を見直すことも帯状疱疹の予防につながります。免疫力を維持・向上させることが重要です。

  • 十分な睡眠: 睡眠不足は免疫機能の低下を招きます。質の良い睡眠を確保しましょう。
  • バランスの取れた食事: ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を積極的に摂り、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 適度な運動: ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。
  • ストレス管理: ストレスは免疫力に悪影響を及ぼします。趣味やリラクゼーションなどでストレスを解消する工夫をしましょう。
  • 体調管理: 風邪やインフルエンザなどの感染症にかからないよう、手洗いやうがいを徹底し、人混みを避けるなどして体調を崩さないように注意しましょう。

これらの生活習慣の改善は、帯状疱疹だけでなく、様々な病気の予防にもつながります。当院では、患者さまの健康状態を総合的に評価し、必要に応じて生活習慣に関するアドバイスも行っています。

まとめ

帯状疱疹の早期発見と適切な治療、予防の重要性を示す概念図
帯状疱疹の予防と治療の要点

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって引き起こされる病気で、加齢やストレスなどによる免疫力低下が主な原因です。特徴的な神経痛と帯状の発疹を伴い、特に50歳以上で発症リスクが高まります。合併症として最も多いのは帯状疱疹後神経痛(PHN)であり、長期にわたる痛みが生活の質を著しく低下させる可能性があります。

治療の基本は、発症早期(72時間以内)の抗ウイルス薬の内服であり、これにより症状の軽減と合併症のリスク低減が期待できます。予防にはワクチン接種が非常に有効であり、特に50歳以上の方には生ワクチンまたは不活化ワクチンの接種が推奨されます。日々の生活習慣の改善による免疫力維持も、帯状疱疹予防に役立つでしょう。症状を疑う場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

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よくある質問(FAQ)

帯状疱疹は人にうつることはありますか?
帯状疱疹自体が直接人から人にうつることはありません。しかし、帯状疱疹の水疱の内容物には水痘・帯状疱疹ウイルスが含まれており、水ぼうそうにかかったことのない人や免疫のない人に接触すると、その人が水ぼうそうを発症する可能性があります。特に、乳幼児や妊婦、免疫力が低下している人との接触には注意が必要です。水疱がすべてかさぶたになるまでは、タオルなどを共有しない、患部を覆うなどの対策が推奨されます。
帯状疱疹の痛みはどのくらい続きますか?
帯状疱疹の痛みは、発疹が現れる数日前から始まり、発疹が治癒するまで続くことが一般的です。通常、皮膚症状が治まるとともに痛みも軽減しますが、一部の患者さんでは、皮膚症状が治癒した後も痛みが数ヶ月から数年続く「帯状疱疹後神経痛(PHN)」に移行することがあります。早期に抗ウイルス薬治療を開始することで、PHNへの移行リスクを低減できる可能性があります。
帯状疱疹ワクチンはどのくらいの費用がかかりますか?
帯状疱疹ワクチンは、現在、定期接種ではなく任意接種であるため、全額自己負担となります。費用は医療機関やワクチンの種類によって異なりますが、生ワクチン(水痘ワクチン)は1回接種で数千円から1万円程度、不活化ワクチン(シングリックス)は2回接種で合計4万円から5万円程度が目安となることが多いです。一部の自治体では、費用助成を行っている場合もありますので、お住まいの自治体の情報を確認することをお勧めします。
この記事の監修医
👨‍⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長