【円形脱毛症の原因と治療】|医師が解説|渋谷文化村通り皮膚科

最終更新日: 2026-05-01
📋 この記事のポイント
  • ✓ 円形脱毛症は自己免疫疾患であり、遺伝的要因やストレスが関与する可能性があります。
  • ✓ 症状の程度に応じ、ステロイド外用薬、局所免疫療法、JAK阻害薬など多様な治療法が選択されます。
  • ✓ 早期診断と適切な治療選択、そして継続的なフォローアップが改善への鍵となります。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

円形脱毛症は、突然に円形や楕円形に髪の毛が抜ける疾患で、多くの方が一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、その原因や治療法については、誤解も少なくありません。この記事では、円形脱毛症の基礎知識から最新の治療法まで、エビデンスに基づいて詳しく解説します。

円形脱毛症の基礎知識

円形脱毛症の典型的な症状、頭部にコイン状に脱毛した箇所
円形脱毛症の症状

円形脱毛症とは、免疫系の異常により自分の毛根を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。ここでは、その定義、メカニズム、症状、種類、そして原因について詳しく解説します。

円形脱毛症とは?

円形脱毛症(Alopecia Areata)とは、毛根を異物と認識して攻撃してしまう自己免疫疾患によって、頭部や体毛の一部が円形や楕円形に脱毛する病態を指します[1]。一般的に「10円ハゲ」と呼ばれることもありますが、その症状は軽度なものから頭部全体、さらには全身の体毛に及ぶ重度なものまで多岐にわたります。年齢や性別に関わらず発症し、小児期に発症するケースも少なくありません[4]

自己免疫疾患
通常、外部からの異物を攻撃する免疫システムが、誤って自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気の総称です。円形脱毛症では、免疫細胞が毛根を攻撃することで脱毛が引き起こされます。

円形脱毛症のメカニズム:なぜ毛が抜けるのか?

円形脱毛症のメカニズムは、毛包に対する自己免疫反応が中心です。Tリンパ球という免疫細胞が、成長期の毛包を標的として攻撃することで、毛の成長サイクルが中断され、脱毛が起こります[1]。この攻撃は、毛包周囲に炎症を引き起こし、毛包が休止期へと移行したり、早期に脱落したりします。この免疫反応は、毛包の特定の部位、特に毛乳頭や毛母細胞が存在する領域で活発に起こると考えられています。

円形脱毛症の症状と種類

円形脱毛症の症状は、脱毛斑の大きさや数、部位によって様々です。当院では、初診時に「つむじのあたりに10円玉くらいのハゲを見つけました」「髪をとかしている時にごっそり抜けるんです」と相談される患者さまも少なくありません。

主な種類と症状は以下の通りです。

  • 単発型: 頭部に1つだけ円形の脱毛斑が見られる最も一般的なタイプです。
  • 多発型: 頭部に複数の脱毛斑が同時に、または時間差で出現するタイプです。
  • 蛇行型: 頭部の生え際や後頭部などに沿って帯状に脱毛が広がるタイプです。難治性であることが多いです。
  • 全頭型: 頭部全体の毛髪がすべて抜け落ちるタイプです。
  • 汎発型: 頭髪だけでなく、眉毛、まつ毛、体毛など全身の毛が抜け落ちる最も重度なタイプです。

脱毛斑の境界は比較的はっきりしており、多くの場合、かゆみや痛みなどの自覚症状はありませんが、まれに軽度の違和感を訴える方もいらっしゃいます。

円形脱毛症の原因とは?

円形脱毛症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています[2]

  • 遺伝的要因: 家族に円形脱毛症の既往がある場合、発症リスクが高まることが知られています。当院の問診では、患者さまの家族歴を詳しく伺うようにしています。
  • 自己免疫疾患との関連: 甲状腺疾患、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑などの自己免疫疾患を合併しているケースも多く見られます[3]
  • ストレス: 精神的なストレスや肉体的なストレスが発症や悪化の引き金となる可能性が指摘されています。しかし、ストレスのみが唯一の原因ではなく、あくまで発症要因の一つと考えられています。
  • 感染症: ウイルス感染などが免疫システムに影響を与え、円形脱毛症の発症に関与する可能性も研究されています。

これらの要因が単独ではなく、複合的に作用することで、毛包に対する自己免疫反応が誘発され、脱毛に至ると考えられています。

円形脱毛症の治療

円形脱毛症の治療法、ステロイド外用薬と内服薬の選択肢
円形脱毛症の治療薬

円形脱毛症の治療は、脱毛の程度、範囲、活動性、患者さまの年齢、合併症の有無などを総合的に判断して選択されます。ここでは、主な治療法とその特徴について解説します。

円形脱毛症の治療目標とアプローチ

円形脱毛症の治療目標は、主に「毛髪の再生を促すこと」「脱毛の進行を抑えること」「再発を予防すること」です。治療アプローチは、軽症例から重症例まで、患者さまの状態に合わせて段階的に選択されます。

当院では、患者さまの脱毛範囲や発症からの期間、年齢などを考慮し、最も効果が期待できる治療法を提案しています。特に小児の患者さまの場合には、身体への負担が少ない治療法から慎重に検討を進めることが重要です[4]

主な治療法とその効果

円形脱毛症の治療法は多岐にわたりますが、代表的なものを以下に示します。

  • ステロイド外用薬: 軽症の円形脱毛症に第一選択として用いられることが多い治療法です。脱毛斑に直接塗布することで、局所の免疫反応を抑制し、毛髪の再生を促します。副作用として皮膚の萎縮や毛細血管拡張などがありますが、適切に使用すれば有効性が期待できます。
  • 局所免疫療法(SADBE/DPCP): 比較的広範囲の脱毛や難治性の円形脱毛症に用いられます。かぶれやすい物質(SADBE: スクアリン酸ジブチルエステル、DPCP: ジフェニルシクロプロペノン)を脱毛部に塗布し、人工的にかぶれを起こすことで、毛根への自己免疫反応を抑制する治療法です。治療を開始して3〜6ヶ月ほどで「産毛が生えてきた」とおっしゃる方が多く、臨床の現場では有効性を実感しています。
  • ステロイド局所注射: 脱毛斑が限局している場合に、直接ステロイドを注射する方法です。効果発現が比較的早いですが、注射時の痛みや皮膚の陥没などの副作用があります。
  • ステロイド内服薬: 急速に進行する広範囲の脱毛や重症例に対して、短期間使用されることがあります。全身性の副作用(ムーンフェイス、骨粗しょう症、糖尿病など)のリスクがあるため、慎重な使用が求められます。
  • JAK阻害薬: 近年開発された比較的新しい治療薬で、全身型の円形脱毛症に対して高い有効性が報告されています[2]。免疫反応に関わるヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素の働きを阻害することで、毛根への攻撃を抑制します。副作用として感染症のリスク増加などが挙げられるため、適応は専門医が慎重に判断します。
  • 紫外線療法(PUVA療法、エキシマライト): 免疫抑制作用を持つ紫外線を利用した治療法です。他の治療法と併用されることもあります。

治療法の選択と注意点

治療法の選択は、脱毛の重症度、活動性、患者さまの年齢、全身状態、過去の治療歴、そして患者さまの希望を考慮して行われます。例えば、小児の円形脱毛症では、副作用のリスクを考慮し、まずは外用薬や局所免疫療法から開始することが一般的です[4]

⚠️ 注意点

円形脱毛症の治療は長期にわたることが多く、効果が出るまでに時間がかかる場合があります。また、治療によって一度改善しても再発する可能性もあります。自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従い継続することが重要です。

実際の診療では、治療開始後も定期的なフォローアップを行い、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。特にJAK阻害薬のような全身療法では、定期的な血液検査も必要となります。

治療法主な対象特徴・注意点
ステロイド外用薬軽症、小範囲の脱毛局所的な免疫抑制、皮膚萎縮のリスク
局所免疫療法多発型、難治性、広範囲の脱毛人工的なかぶれを利用、効果発現に時間
JAK阻害薬重症(全頭型、汎発型)全身作用、感染症リスク、定期的な検査
ステロイド内服急速進行、広範囲の脱毛短期間使用、全身性副作用のリスク

まとめ

円形脱毛症の克服、希望を持って治療に取り組む人の様子
円形脱毛症の治療と回復

円形脱毛症は、毛包への自己免疫反応によって引き起こされる疾患であり、その原因は遺伝的要因、自己免疫疾患の合併、ストレスなど多岐にわたります。単発型から汎発型まで様々なタイプがあり、それぞれの症状や重症度に応じて適切な治療法を選択することが重要です。治療法にはステロイド外用薬、局所免疫療法、JAK阻害薬などがあり、早期に専門医を受診し、ご自身の状態に合った治療を継続することが、毛髪の再生と脱毛の進行抑制に繋がります。治療は長期にわたることもありますが、諦めずに医師と相談しながら進めていくことが大切です。

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よくある質問(FAQ)
円形脱毛症は自然に治ることはありますか?
軽度の円形脱毛症(特に単発型)の場合、自然治癒することもあります。しかし、脱毛が進行している場合や、多発型・全頭型などの重症型の場合は、自然治癒は期待しにくく、早期の治療介入が推奨されます。症状に気づいたら、一度医療機関を受診することをおすすめします。
ストレスは円形脱毛症の主な原因ですか?
ストレスは円形脱毛症の発症や悪化の引き金となる可能性が指摘されていますが、唯一の原因ではありません。円形脱毛症は自己免疫疾患であり、遺伝的要因や他の自己免疫疾患との合併など、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。ストレス管理は重要ですが、それだけで治るわけではないため、適切な医療的治療が必要です。
円形脱毛症の治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
治療期間は、脱毛の程度や選択された治療法、個人の反応によって大きく異なります。数ヶ月で改善が見られることもあれば、年単位の治療が必要となることもあります。特に広範囲の脱毛や難治性の場合は、長期的な治療と経過観察が求められます。医師と密に連携し、根気強く治療を続けることが大切です。
JAK阻害薬はどのような場合に選択されますか?
JAK阻害薬は、主に全頭型や汎発型など、広範囲にわたる重症の円形脱毛症に対して選択される比較的新しい治療薬です。他の治療法で十分な効果が得られなかった場合や、急速に進行するケースで検討されます。全身作用を持つため、適応は専門医が患者さまの全身状態や合併症の有無を慎重に評価した上で判断されます。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長