清肺湯の効果と副作用|皮膚科医が解説
- ✓ 清肺湯は、慢性的な咳や痰、気管支炎などに用いられる漢方薬です。
- ✓ 痰の切れを良くし、咳を鎮める作用が期待されますが、効果発現には個人差があります。
- ✓ 副作用として胃部不快感や下痢などが報告されており、体質や既往歴に応じた注意が必要です。
清肺湯(ツムラ90)とは?その特徴と適応疾患

清肺湯は、慢性的な咳や痰、気管支炎、気管支喘息に伴う咳や痰に用いられる漢方薬です。特に、痰が多く、切れにくい、あるいは呼吸が苦しいといった症状を伴う場合に選択されることが多い生薬製剤です[1]。ツムラ90として知られるこの漢方薬は、16種類の生薬を組み合わせることで、気道の炎症を鎮め、痰の排出を促し、呼吸機能を改善する効果が期待されます。
当院の皮膚科外来では、アトピー性皮膚炎や喘息を合併している患者さまから「咳が長引いて困っている」という相談を受けることがしばしばあります。特に乾燥性の咳や、夜間の咳で睡眠が妨げられるといった訴えには、清肺湯の処方を検討することがあります。皮膚症状だけでなく、全身状態を総合的に判断し、患者さまの体質や症状に合わせた漢方薬の選択は、QOL(Quality of Life)の向上に繋がると考えています。
- 清肺湯(セイハイトウ)
- 慢性的な咳や痰、気管支炎、気管支喘息に伴う症状に用いられる漢方薬。気道の炎症を抑え、痰の排出を助ける作用があるとされる。ツムラ90は株式会社ツムラが製造販売する医療用漢方製剤の製品番号。
清肺湯の構成生薬と期待される効果
清肺湯は、以下の16種類の生薬から構成されています[1]。
- オウゴン
- キキョウ
- ソウハクヒ
- キョウニン
- サンシシ
- テンモンドウ
- バイモ
- ブクリョウ
- チンピ
- タイソウ
- トウキ
- バクモンドウ
- ゴミシ
- カンゾウ
- ショウキョウ
- コウベイ
これらの生薬は、それぞれが持つ薬理作用を組み合わせることで、気道粘膜の潤いを保ち、痰を希釈して排出を促進し、鎮咳作用を発揮すると考えられています。例えば、オウゴンやサンシシは炎症を抑える作用、キョウニンやバクモンドウは鎮咳・去痰作用が期待されます。また、チンピやショウキョウは消化器系の機能を整えることで、漢方薬全体の吸収や効果を高める役割も担っています。
清肺湯の用法・用量と服用方法
清肺湯の用法・用量は、患者さまの年齢や症状によって調整されます。一般的には、成人に対して1日7.5gを2〜3回に分割して、食前または食間に経口服用します[1]。粉末状の漢方エキス顆粒を水またはぬるま湯で服用するのが一般的です。
実際の診察では、患者さまから「漢方薬はどのように飲めばいいですか?」と質問されることがよくあります。当院では、食前30分〜1時間前、または食後2時間程度の食間に服用することを推奨しています。これは、胃の中に食べ物がない状態で服用することで、生薬の有効成分がより効率的に吸収されると考えられているためです。ただし、胃腸が弱い方や、食前の服用で気分が悪くなる方には、食後の服用を指導することもあります。患者さまの生活スタイルに合わせて、無理なく継続できる方法を見つけることが大切です。
服用時の注意点
- 服用期間: 漢方薬は即効性よりも体質改善を目指すことが多いため、ある程度の期間継続して服用することが推奨されます。効果を実感するまでには数週間から数ヶ月かかることもあります。
- 飲み合わせ: 他の薬剤やサプリメントを服用している場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。特に、他の漢方薬との併用は、生薬の重複による副作用のリスクを高める可能性があります。
- アレルギー: 過去に生薬や食品でアレルギー反応を起こしたことがある場合は、事前に医師に伝えてください。
- 妊娠・授乳中: 妊娠中または授乳中の女性は、服用前に必ず医師に相談してください。
清肺湯は、あくまで症状を緩和し体質改善を促す漢方薬であり、全ての咳や痰の症状に万能ではありません。特に、急性の感染症や重篤な呼吸器疾患が原因である場合は、西洋薬による治療が優先されることがあります。自己判断せずに、必ず医師の診断を受けてから服用を開始してください。
清肺湯の副作用と注意すべき点

清肺湯は比較的安全性の高い漢方薬とされていますが、全く副作用がないわけではありません。体質や体調によっては、いくつかの副作用が現れる可能性があります。特に、消化器症状やアレルギー反応には注意が必要です[1]。
皮膚科の臨床経験上、漢方薬を処方した患者さまから、胃部不快感や下痢といった消化器症状のフィードバックをいただくことが多いです。特に、元々胃腸が弱い方や、冷えやすい体質の方では、これらの症状が出やすい傾向があります。そのため、処方する際は、患者さまの体質や既往歴を詳しく問診し、もし消化器症状が出た場合の対処法についても事前に説明するようにしています。症状が続く場合は、服用量の調整や、他の漢方薬への変更を検討します。
重大な副作用
添付文書によると、清肺湯で報告されている重大な副作用は以下の通りです[1]。
- 偽アルドステロン症: 尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなるなどの症状が現れることがあります。これは、甘草(カンゾウ)という生薬の成分が原因となることがあります。
- ミオパチー: 脱力感、倦怠感、手足のつっぱりや痛み、麻痺などの症状が現れることがあります。偽アルドステロン症の進行により生じることがあります。
- 肝機能障害、黄疸: 全身倦怠感、食欲不振、発熱、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状が現れることがあります。
これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
その他の副作用
比較的頻度の低いものや、軽度なものとして、以下の副作用が報告されています[1]。
- 消化器系: 食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢など
- 皮膚: 発疹、蕁麻疹など
これらの症状が続く場合や、気になる症状が現れた場合は、医師や薬剤師に相談してください。
清肺湯に関する患者さまからのご質問
清肺湯とジェネリック医薬品について

清肺湯は、株式会社ツムラが製造販売する医療用漢方製剤(ツムラ90)として広く知られています。漢方製剤の場合、西洋薬のような厳密な意味での「ジェネリック医薬品」という概念は少し異なります。漢方製剤は、各メーカーが独自の製法と品質管理基準に基づいて生薬を加工し、エキス顆粒として製造しています。
そのため、同じ「清肺湯」という名称の漢方薬であっても、メーカーによって配合されている生薬の産地、抽出方法、エキス濃度などが異なる場合があります。これにより、味や香り、さらには効果や副作用の出方にわずかな違いが生じる可能性も指摘されています。しかし、医療用漢方製剤として承認されているものは、いずれも一定の品質基準を満たしており、臨床効果が期待できるものです。
| 項目 | 西洋薬のジェネリック | 漢方製剤(他社品) |
|---|---|---|
| 有効成分 | 化学的に同一 | 生薬の種類は同じだが、品質や配合比率が異なる場合がある |
| 製造方法 | 原薬から合成 | 生薬の抽出・加工 |
| 同等性評価 | 生物学的同等性試験 | 品質規格、臨床試験データ |
| 価格 | 先発品より安価 | メーカーにより価格差がある場合がある |
当院では、患者さまに漢方薬を処方する際、特定のメーカー品を指定することが多いです。これは、長年の臨床経験から、そのメーカーの製剤で安定した効果を実感していることや、患者さまの体質や症状との相性を考慮しているためです。もし、特定のメーカー品を希望される場合や、他社品への変更を希望される場合は、遠慮なくご相談ください。
清肺湯の服用に関するQ&A
清肺湯の服用に関する疑問は多岐にわたります。ここでは、患者さまからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
なぜ清肺湯が咳や痰に効くのですか?
清肺湯は、複数の生薬が複合的に作用することで、咳や痰の症状を改善すると考えられています。主な作用機序としては、気道粘膜の炎症を鎮める抗炎症作用、痰の粘稠度を下げて排出を促す去痰作用、気管支を広げて呼吸を楽にする鎮咳作用などが挙げられます。これらの作用により、慢性的な咳や痰の悪循環を断ち切り、呼吸器系の機能を正常化に導くことが期待されます。
清肺湯はどのような症状の人に向いていますか?
清肺湯は、特に以下のような症状を持つ方に向いているとされています[1]。
- 慢性的に咳や痰が続く方
- 痰が粘っこく、切れにくいと感じる方
- 呼吸が苦しい、息切れしやすいと感じる方
- 気管支炎や気管支喘息に伴う咳や痰の症状がある方
ただし、漢方薬は個人の体質(証)に合わせて処方されるため、これらの症状があるからといって全ての方に効果があるわけではありません。専門医の診断のもと、ご自身の体質や症状に合った漢方薬を選ぶことが重要です。
まとめ
清肺湯(ツムラ90)は、慢性的な咳や痰、気管支炎、気管支喘息に伴う呼吸器症状の改善に用いられる漢方薬です。16種類の生薬が複合的に作用し、気道の炎症を鎮め、痰の排出を促し、咳を鎮める効果が期待されます。用法・用量は成人で1日7.5gを2〜3回に分けて食前または食間に服用するのが一般的です。副作用としては、胃部不快感や下痢などの消化器症状が報告されており、稀に偽アルドステロン症や肝機能障害といった重大な副作用も起こり得ます。効果の発現には個人差があり、継続的な服用が必要となる場合が多いですが、症状が改善した際には自己判断で中止せず、医師に相談することが大切です。漢方薬にはジェネリックという概念が西洋薬とは異なるため、メーカーによる違いも考慮し、医師と相談しながらご自身に合った製剤を選択しましょう。
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