ケロイドの手術・放射線治療(電子線照射)

【ケロイドの手術・放射線治療(電子線照射)】|専門医が解説

ケロイドの手術・放射線治療(電子線照射)|専門医が解説

最終更新日: 2026-05-07
📋 この記事のポイント
  • ✓ ケロイド治療では手術単独よりも放射線治療の併用が再発抑制に有効です。
  • ✓ 電子線照射は皮膚表面に集中して作用するため、深部組織への影響が少ない治療法です。
  • ✓ 治療計画はケロイドの部位や大きさ、患者さまの状態に応じて個別に行われます。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

ケロイドの治療において、手術と放射線治療(特に電子線照射)の併用は、再発を効果的に抑制するための重要な選択肢です。この治療法は、ケロイドの特性を理解し、適切なタイミングと方法で実施されることで、より良い結果が期待できます。

ケロイドとは?その特徴と発生メカニズム

皮膚の損傷部位に赤く盛り上がり、徐々に拡大するケロイドの典型的な状態
ケロイドの皮膚症状

ケロイドは、皮膚の傷が治る過程で、過剰な線維組織が異常に増殖し、元の傷の範囲を超えて広がる良性の病変です。痛みやかゆみを伴うことが多く、見た目の問題だけでなく、日常生活にも影響を与えることがあります。

ケロイド
皮膚の損傷後に生じる、真皮の線維芽細胞が異常に増殖し、コラーゲンが過剰に産生されることで形成される、赤みや盛り上がりを伴う病変。元の傷の範囲を超えて拡大する特徴があります。

ケロイドの発生には、遺伝的素因、人種(特に有色人種に多い)、特定の部位(胸部、肩、耳垂など)、傷の種類(熱傷、手術痕、ニキビ痕など)が関与すると考えられています。線維芽細胞の機能異常や炎症反応の持続が、コラーゲンの過剰な産生と分解抑制を引き起こし、病変を形成するとされています。

ケロイド治療における手術の役割とは?

ケロイドに対する手術は、病変を切除し、見た目を改善することを目的とします。しかし、手術単独では再発率が高いことが知られています。これは、手術自体が新たな傷となり、ケロイドの再発を誘発する可能性があるためです。

当院では、ケロイドの切除手術を行う際、特に大きなケロイドや、関節部など機能に影響を与える部位のケロイドに対しては、手術後の再発抑制策を重視しています。初診時に「以前手術したけれど、また大きくなってしまった」と相談される患者さまも少なくありません。そのため、手術の適応を慎重に判断し、再発リスクの高い患者さまには、術後の補助療法として放射線治療を強く推奨しています。

再発抑制に有効な放射線治療(電子線照射)とは?

ケロイド切除後に再発を抑制するため患部に電子線を照射する治療風景
電子線照射による放射線治療

ケロイドの手術後の再発抑制には、放射線治療が非常に有効な補助療法として確立されています。特に電子線照射は、その特性からケロイド治療に適しています。

電子線照射
放射線治療の一種で、電子線を病変部に照射します。電子線はX線に比べて皮膚表面近くでエネルギーを放出し、深部組織への影響が少ないという特徴があります。これにより、ケロイドの増殖に関わる線維芽細胞の活動を抑制し、再発を防ぐ効果が期待できます。

電子線照射は、手術でケロイドを切除した直後から数日以内に開始されることが一般的です。これは、傷の治癒過程で線維芽細胞が活発になる時期に、その増殖を抑制するためです。複数の研究で、手術と術後放射線治療の併用が、手術単独よりもケロイドの再発率を大幅に低下させることが示されています[1][2][3]

当院では、術後放射線治療のプロトコルとして、総線量18Gyを2回に分けて照射するケースを多く採用しています。これは、ある研究で619例のケロイド患者を対象とした結果、再発率が6.5%と低いことが示された最適化されたプロトコルの一つです[1]。治療期間が短く、患者さまの負担も少ないため、治療継続率も高い傾向にあります。

治療の流れと具体的な方法

ケロイドの治療は、患者さまの状態やケロイドの部位、大きさによって個別に計画されます。一般的な治療の流れは以下の通りです。

  1. 診察・診断: ケロイドの診断を行い、治療方針を決定します。問診の際に患者さまの家族歴や過去の傷の治り方を詳しく伺うようにしています。
  2. 手術による切除: ケロイド組織を外科的に切除します。当院では、切除後の皮膚の緊張を最小限に抑えるよう、形成外科的な縫合法を心がけています。
  3. 術後放射線治療(電子線照射): 手術後、通常は当日または数日以内に電子線照射を開始します。照射回数や線量は、ケロイドの部位や大きさ、患者さまの年齢などを考慮して決定されます。例えば、耳垂のケロイドでは、比較的低線量で良好な結果が得られることが多いです。
  4. 経過観察: 治療後は定期的に経過を観察し、再発の兆候がないか、副作用が出ていないかを確認します。治療を始めて数ヶ月ほどで「赤みが引いてきた」「盛り上がりが落ち着いてきた」とおっしゃる方が多いです。

電子線照射の線量や回数については、様々なプロトコルが報告されています。例えば、総線量18Gyを2回に分けて照射する方法[1]や、短期間で分割照射する方法[3]などがあります。患者さまのケロイドの部位も重要な予後因子であり、特定の部位では再発リスクが高いことが示されています[4]。そのため、当院では、各患者さまに最適な治療計画を立案することを重視しています。

ケロイド治療における注意点と副作用とは?

ケロイド治療後の皮膚状態の変化や副作用の可能性を示す注意喚起の表示
ケロイド治療の注意点と副作用

手術と放射線治療を併用するケロイド治療には、いくつかの注意点と副作用があります。

⚠️ 注意点

放射線治療は、妊娠中の方や小児に対しては慎重に検討する必要があります。また、放射線による発がんリスクは極めて低いとされていますが、ゼロではありません。治療のメリットとリスクを十分に理解し、医師と相談の上で決定することが重要です。

一般的な副作用

  • 皮膚炎: 照射部位の皮膚が赤くなったり、かゆみが出たりすることがあります。通常は一時的で、保湿剤などで対処可能です。
  • 色素沈着・脱失: 照射部位の皮膚の色が濃くなったり、白くなったりすることがあります。
  • 脱毛: 照射部位に毛根がある場合、一時的または永続的な脱毛が起こることがあります。

これらの副作用は、電子線照射が皮膚表面に集中して作用する特性から、比較的軽度であることが多いです。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。患者さまからは「治療中の痛みはほとんどなかった」という声も多く聞かれますが、皮膚の赤みやかゆみに対しては、適切な軟膏を処方し、ケア方法を指導しています。

ケロイド治療の選択肢比較

ケロイドの治療法には、手術と放射線治療の併用以外にも様々な選択肢があります。それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあり、患者さまのケロイドの状態やライフスタイルに合わせて選択されます。

治療法主な特徴メリットデメリット
手術単独ケロイド組織を切除即座に病変を除去再発率が高い
手術+電子線照射切除後に放射線で再発抑制再発率が低い放射線治療の通院が必要、ごくわずかな発がんリスク
ステロイド注射ケロイド内にステロイドを直接注入非侵襲的、外来で実施可能効果に時間がかかる、複数回の治療が必要、皮膚の萎縮や色素変化
シリコンジェルシート・圧迫療法患部を保護・圧迫非侵襲的、自宅で実施可能効果に時間がかかる、継続が必要、重症ケロイドには不十分

実際の診療では、患者さまのケロイドの大きさ、部位、過去の治療歴、そして患者さまご自身の希望を総合的に考慮して、最適な治療法を提案しています。特に、手術と電子線照射の併用は、再発を強く懸念される患者さまにとって、非常に有効な選択肢であると実感しています。

まとめ

ケロイドは、傷跡が異常に盛り上がり、痛みやかゆみを伴う皮膚の病変です。その治療において、手術と放射線治療(特に電子線照射)の併用は、再発を効果的に抑制するための確立された方法です。電子線照射は、皮膚表面に集中して作用するため、深部組織への影響が少なく、比較的安全に実施できる治療法と言えます。当院では、患者さま一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立案し、ケロイドによる苦痛の軽減と生活の質の向上を目指しています。

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よくある質問(FAQ)

ケロイドの手術は必ず必要ですか?
ケロイドの大きさや症状、部位によっては、ステロイド注射やシリコンシートによる圧迫療法など、手術以外の治療法が選択されることもあります。しかし、大きなケロイドや、他の治療法で効果が見られない場合には、手術が検討されます。
電子線照射の痛みはありますか?
電子線照射自体は痛みを感じることはほとんどありません。治療中に熱感や刺激を感じる方もいますが、通常は軽度です。治療後の皮膚に赤みやかゆみが出ることがありますが、これらも通常は一時的なものです。
放射線治療による発がんリスクはどのくらいですか?
ケロイド治療で使用される放射線量は低く、発がんリスクは極めて低いと考えられています。特に電子線は皮膚表面に集中するため、深部臓器への影響はさらに少ないです。しかし、リスクがゼロではないため、治療のメリットとデメリットを十分に理解し、医師と相談して決定することが重要です。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長