猪苓湯合四物湯

【猪苓湯合四物湯の効果と副作用】|皮膚科医が解説

猪苓湯合四物湯の効果と副作用|皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • 猪苓湯合四物湯は、排尿困難や残尿感などの泌尿器症状と、皮膚乾燥や月経不順などの血の道症を併せ持つ方に用いられる漢方薬です。
  • ✓ 添付文書に記載された用法・用量を守り、食前または食間に服用することが一般的です。
  • ✓ 副作用として胃部不快感や下痢などが報告されており、体質や症状に合わせて医師と相談しながら使用することが重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

猪苓湯合四物湯(ツムラ112)とは?その特徴と適応

猪苓湯合四物湯(ツムラ112)の効能を示す生薬成分の組み合わせ
猪苓湯四物湯の生薬構成
猪苓湯合四物湯(チョレイトウゴウシモツトウ)とは、頻尿、排尿痛、残尿感などの泌尿器症状と、月経不順、冷え性、皮膚乾燥などの血の道症を併せ持つ方に処方される漢方薬です。この漢方薬は、利尿作用を持つ「猪苓湯(チョレイトウ)」と、血行を改善し体を温める作用を持つ「四物湯(シモツトウ)」の二つの処方を合わせたもので、両方の特徴を兼ね備えています[1]

当院の皮膚科外来では、特に女性の患者さまから「膀胱炎を繰り返すけれど、肌も乾燥してカサカサする」「生理前になると体がだるくて、排尿トラブルも増える」といった複合的な訴えをいただくことが多く、このような場合に猪苓湯合四物湯を検討することがあります。西洋薬では対応しきれない、体全体のバランスの乱れにアプローチできる点が漢方薬の強みです。

猪苓湯(チョレイトウ)
排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿などの泌尿器症状に用いられる漢方薬です。体内の余分な水分を排出し、炎症を鎮める作用があるとされます。
四物湯(シモツトウ)
月経不順、冷え性、貧血傾向、皮膚乾燥など、主に「血(けつ)」の不足や滞りによって生じる症状に用いられる漢方薬です。血行を促進し、体を温め、皮膚や粘膜の潤いを保つ効果が期待されます。

この二つの処方を合わせることで、泌尿器系の不調と全身の血行不良や冷え、皮膚の乾燥といった複数の症状に同時にアプローチできるのが猪苓湯合四物湯の大きな特徴です。特に、冷え性で皮膚が乾燥しやすく、さらに膀胱炎などの泌尿器トラブルを繰り返しやすい体質の方に適していると考えられています[2]

猪苓湯合四物湯はどのような効果が期待できる?

猪苓湯合四物湯は、体内の水分代謝と血行を改善することで、多岐にわたる症状の緩和が期待できる漢方薬です。その主な効果は、泌尿器症状の改善と、血の道症の改善の2つの側面から説明されます。

泌尿器症状への効果

猪苓湯合四物湯に含まれる猪苓湯は、体内の余分な水分を排出し、排尿機能を正常化する作用があります。これにより、頻尿、排尿痛、残尿感、尿の出が悪いといった症状の改善が期待されます。特に、炎症を伴う膀胱炎などの泌尿器感染症の補助療法として用いられることもあります。当院では、慢性的な膀胱炎症状に悩む患者さまが、抗生物質と併用して服用することで、症状の再発頻度が減少したという声を聞くことがあります。また、尿路結石後の排尿困難感の緩和にも用いられることがあります[1]

血の道症(月経不順、冷え性、皮膚乾燥など)への効果

四物湯の成分は、血行を促進し、体を温め、皮膚や粘膜に潤いを与える作用があります。このため、月経不順、月経痛、更年期障害に伴う不調、冷え性、貧血傾向、そして皮膚の乾燥や荒れといった症状の改善に寄与します。皮膚科の臨床経験上、特に冬場に皮膚が乾燥しやすく、手足の冷えを訴える女性患者さまに処方したところ、「肌のカサつきが減り、体も温まるようになった」というフィードバックをいただくことが多いです。また、血行が改善されることで、肌のターンオーバーが整い、肌荒れの改善にもつながる可能性があります[2]

この漢方薬は、単一の症状だけでなく、複数の症状が複合的に現れる「証(しょう)」に合わせた治療を行う漢方医学の考え方に基づいています。そのため、患者さまの体質や症状の組み合わせを総合的に判断し、適切な処方を選択することが重要です。実際の診察では、患者さまから「西洋薬ではなかなか改善しなかった冷えと肌荒れが、この薬で良くなった気がする」と質問されることがよくあります。このような複合的な症状を持つ方にとって、猪苓湯合四物湯は有効な選択肢の一つとなり得ます。

猪苓湯合四物湯の正しい用法・用量と服用時の注意点

猪苓湯合四物湯の正しい服用方法と注意点を説明する薬剤師の手元
猪苓湯合四物湯の服用注意点
猪苓湯合四物湯は、その効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるために、添付文書に記載された正しい用法・用量を守って服用することが不可欠です。また、服用時にはいくつかの注意点があります。

用法・用量

一般的に、猪苓湯合四物湯(ツムラ112)は、成人に対して1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口服用します。これは顆粒製剤の場合の標準的な用法・用量です[2]
  • 成人: 1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に服用。
  • 小児: 医師の判断により、年齢・体重に応じて減量して服用します。

食前または食間とは、食事の30分前〜1時間前、または食後2時間後を指します。漢方薬は胃に内容物がない状態で服用することで、成分の吸収が良くなると考えられています。ただし、胃腸が弱い方や、食前・食間での服用が難しい場合は、食後に服用することも可能です。その際は必ず医師や薬剤師に相談してください。当院では、患者さまのライフスタイルに合わせて、服用タイミングを柔軟に調整するようアドバイスしています。

服用時の注意点

⚠️ 注意点

自己判断で服用量を増やしたり、服用を中止したりしないでください。症状の悪化や副作用のリスクを高める可能性があります。また、他の薬との併用やアレルギー体質がある場合は、必ず事前に医師や薬剤師に伝えてください。

  • 飲み忘れ: 飲み忘れた場合は、気がついた時点で服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばし、次の時間から服用を再開してください。2回分を一度に服用することは避けてください。
  • 長期服用: 長期にわたって服用する場合は、定期的に医師の診察を受け、効果や副作用の有無を確認することが重要です。
  • 妊娠・授乳中: 妊娠中または授乳中の女性は、服用前に必ず医師に相談してください。漢方薬であっても、胎児や乳児への影響がないとは限りません。
  • アレルギー: 過去に漢方薬や特定の生薬でアレルギー反応を起こしたことがある場合は、その旨を医師に伝えてください。

当院では、猪苓湯合四物湯を処方する際、患者さまの体質や既往歴を詳細に問診し、服用方法や注意点を丁寧に説明しています。特に、初めて漢方薬を服用する方には、効果の実感まで時間がかかる場合があることや、体調の変化に注意していただくようお伝えしています。

猪苓湯合四物湯の副作用と対処法

猪苓湯合四物湯は比較的穏やかな作用を持つ漢方薬ですが、体質や体調によっては副作用が現れる可能性があります。副作用の種類と、それらが現れた際の対処法について理解しておくことが重要です。

重大な副作用

添付文書には、猪苓湯合四物湯に特異的な重大な副作用の記載はありません[1]。しかし、他の漢方薬と同様に、稀に以下の症状が現れる可能性が考えられます。
  • 肝機能障害、黄疸: 全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状。
  • 間質性肺炎: 息切れ、発熱、咳などの症状。

これらの症状は非常に稀ですが、もしこのような異常を感じた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。

その他の副作用

比較的多く報告される副作用は、消化器系の症状です[1]
  • 消化器系: 胃部不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、腹痛など。
  • 皮膚: 発疹、蕁麻疹など。

これらの症状は軽度であることが多いですが、症状が続く場合や悪化する場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。当院では、特に胃腸が弱い患者さまには、少量から開始したり、食後に服用するよう指導したりするなど、副作用が出にくいよう工夫しています。実際の処方では、患者さまから「少し胃がもたれる感じがする」という相談を受けることがありますが、その際は服用タイミングの調整や、他の漢方薬への切り替えを検討します。

副作用への対処法

  • 症状の観察: 服用開始後、体調の変化に注意し、気になる症状があれば記録しておきましょう。
  • 医師・薬剤師への相談: 軽度な症状であっても、自己判断で対処せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。症状の程度や持続期間に応じて、服用量の調整や中止、他の薬剤への変更が検討されます。
  • アレルギー反応: 発疹やかゆみなどのアレルギー症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医療機関を受診してください。

皮膚科の日常診療では、患者さまが安心して治療を継続できるよう、副作用に関する丁寧な説明と、きめ細やかなフォローアップが治療のポイントになります。何か不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

猪苓湯合四物湯に関する患者さまからのご質問

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 猪苓湯合四物湯はどのくらいの期間で効果を実感できますか?
A. 効果の実感には個人差がありますが、当院で猪苓湯合四物湯を処方した患者さまからは、泌尿器症状の改善は比較的早く、数週間〜1ヶ月程度で感じ始める方が多い印象です。血の道症や皮膚症状の改善は、体質改善を伴うため、1ヶ月〜3ヶ月程度の継続服用で徐々に効果を実感されるケースが多いです。
Q. 他の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 基本的に、多くの西洋薬との併用は可能ですが、一部の薬剤との相互作用や、症状の重複によって思わぬ副作用が出る可能性もゼロではありません。特に、他の漢方薬や利尿作用のある薬、ホルモン剤などを服用している場合は、必ず診察時に医師に伝えてください。当院では、患者さまの服用中の薬剤を全て確認し、安全性を考慮した上で処方しています。
Q. 妊娠中や授乳中でも服用できますか?
A. 妊娠中や授乳中の服用については、安全性が確立されていないため、原則として推奨されません。しかし、症状によっては医師の判断で慎重に処方されるケースもあります。必ず事前に医師に相談し、リスクとベネフィットを十分に検討した上で判断してください。当院では、妊娠を希望されている方や妊娠中の患者さまには、より安全な代替治療を検討するか、産婦人科医との連携を図るようにしています。
Q. 猪苓湯と四物湯を別々に飲むのと、合剤を飲むのとでは何が違いますか?
A. 猪苓湯と四物湯を別々に服用することも可能ですが、猪苓湯合四物湯は、両方の処方を組み合わせることで、それぞれの生薬が持つ作用が相乗的に働き、より効果的に複合的な症状に対応できるよう設計されています。当院では、患者さまの「証」が猪苓湯合四物湯の適応と判断される場合、利便性や服薬コンプライアンスの観点からも合剤を処方することが多いです。
Q. 飲み忘れてしまった場合はどうすれば良いですか?
A. 飲み忘れた場合は、気がついた時点で1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分は服用せず、次の服用時間から通常通り1回分を服用してください。決して2回分を一度に服用しないようにしてください。当院では、飲み忘れが多い患者さまには、服薬カレンダーやアラームの活用をお勧めしています。
Q. 猪苓湯合四物湯を服用中に、体質に合わないと感じたらどうすれば良いですか?
A. 漢方薬は体質に合うかどうかが非常に重要です。もし服用中に「体がだるくなる」「胃腸の調子が悪い」「症状が悪化したように感じる」など、体質に合わないと感じる症状が現れた場合は、自己判断で服用を継続せず、速やかに当院にご連絡ください。診察を通じて、他の漢方薬への変更や、治療方針の見直しを検討いたします。

ジェネリック医薬品と保険適用について

猪苓湯合四物湯のジェネリック医薬品と保険適用を示す書類
ジェネリックと保険適用情報
猪苓湯合四物湯は、医療用漢方製剤として広く用いられており、ジェネリック医薬品も存在します。また、医師の処方に基づいて使用される場合、保険が適用されます。

ジェネリック医薬品の有無

猪苓湯合四物湯(ツムラ112)には、複数のメーカーからジェネリック医薬品(後発医薬品)が販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分、同じ効能・効果、同じ品質、同じ用法・用量で製造されており、国の厳しい基準をクリアしています。そのため、先発品と同等の効果が期待でき、薬価が安価であるというメリットがあります。
項目先発医薬品(ツムラ112)ジェネリック医薬品
有効成分猪苓湯合四物湯エキス猪苓湯合四物湯エキス(同等)
効能・効果添付文書に準拠添付文書に準拠(同等)
品質・安全性国が定めた基準国が定めた基準(同等)
薬価比較的高価安価

当院では、患者さまのご希望に応じてジェネリック医薬品の処方も可能です。費用負担を抑えたい場合は、診察時に医師や薬剤師にご相談ください。

保険適用について

猪苓湯合四物湯は、医師による診断に基づき、保険診療として処方される漢方薬です。そのため、保険証を提示することで、医療費の自己負担割合に応じた金額で処方を受けることができます。保険適用外となるのは、医師の診察を受けずに個人で購入する場合や、美容目的など、保険診療の対象とならない目的で使用する場合です。

皮膚科の診療において、漢方薬は西洋薬と組み合わせて使用されることも多く、治療の選択肢を広げる重要な役割を担っています。保険適用があることで、患者さまは経済的な負担を軽減しながら、質の高い医療を受けることが可能になります。

まとめ

猪苓湯合四物湯(ツムラ112)は、泌尿器症状と血の道症を併せ持つ方に適応される漢方薬です。猪苓湯の利尿・抗炎症作用と、四物湯の血行促進・滋養作用を組み合わせることで、頻尿、排尿痛、残尿感といった泌尿器トラブルに加え、月経不順、冷え性、皮膚乾燥などの全身症状の改善が期待できます。服用に際しては、添付文書に記載された用法・用量を守り、食前または食間に服用することが一般的です。稀に胃部不快感や下痢などの副作用が現れることがありますが、重大な副作用は少ないとされています。妊娠中や授乳中の服用は医師との相談が必須であり、他の薬剤との併用についても注意が必要です。ジェネリック医薬品も存在し、医師の処方に基づけば保険適用となります。症状や体質に合わせた適切な使用のため、必ず医療機関を受診し、医師や薬剤師の指導のもとで服用してください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 猪苓湯合四物湯は市販されていますか?
A. 猪苓湯合四物湯は、医療用漢方製剤として医師の処方箋が必要な医薬品です。一般の薬局などで市販されているものとは異なり、医師の診断と指導のもとで服用することが推奨されます。
Q. 猪苓湯合四物湯の服用をやめたい場合はどうすれば良いですか?
A. 自己判断で服用を中止すると、症状が再発したり悪化したりする可能性があります。服用を中止したい場合は、必ず事前に医師に相談してください。医師が症状の経過を評価し、適切な中止時期や方法をアドバイスします。
Q. 漢方薬は長く飲み続けると体に良くないですか?
A. 漢方薬は、体質改善を目的として比較的長期間服用することがあります。しかし、すべての漢方薬が長期服用に適しているわけではありません。猪苓湯合四物湯も同様に、定期的に医師の診察を受け、効果や副作用の有無を確認しながら服用を続けることが重要です。医師の指示に従い、漫然と服用を続けることは避けてください。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長