床ずれ(褥瘡)の初期症状・予防・治療体圧分散と受診目安を医師が解説
消えない赤みなどの初期変化、圧迫・ずれが起こる仕組み、体位変換と体圧分散、創の状態に応じた治療、受診目安を判断順に整理します。

- ✓ 床ずれ(褥瘡)は、持続的な圧迫により皮膚組織が損傷する状態であり、予防が最も重要です。
- ✓ 予防には体位変換、適切な栄養管理、スキンケア、そしてリスク評価に基づく個別のアプローチが不可欠です。
- ✓ 治療は病期に応じた適切な処置と全身管理が求められ、多職種連携が成功の鍵を握ります。
色、圧迫との関係、皮膚の状態、全身症状を順に確認します。
- 床ずれ(褥瘡)とは
- 身体の一部に持続的な圧迫や摩擦、ずれ力が加わることで、血流が阻害され、皮膚やその下の組織が損傷する状態を指します。特に骨の突出部や、長時間同じ体位でいることで圧力が集中しやすい部位に発生しやすいとされています。
床ずれの基礎知識と予防
床ずれ(褥瘡)は、長期臥床や身体活動の低下により、特定の部位に持続的な圧力が加わることで発生する皮膚や皮下組織の損傷です。適切な予防と早期の治療介入が、患者さんの生活の質(QOL)維持に不可欠となります。
床ずれの有無や深さは見た目だけでは判断できないことがあります。皮膚表面が保たれていても深部組織が損傷している場合があるため、圧迫を除いても赤みが続くときは医師または看護師へ相談します。
床ずれ(褥瘡)は、体の同じ部位に長時間圧力がかかり続けることで血流が悪くなり、皮膚や皮下組織が壊死してしまう状態を指します。その発生メカニズムと効果的な予防策について解説します。
床ずれはなぜ起こる?そのメカニズムとは
床ずれの主な原因は、持続的な「圧迫」、皮膚がずれる「ずれ力」、そして皮膚表面の「摩擦」の3つが複合的に作用することです。特に、骨が突出している仙骨部、踵、後頭部、肩甲骨部などは圧力が集中しやすく、リスクが高い部位とされています。圧迫が続くと、毛細血管が閉塞し、組織への酸素や栄養供給が途絶えるため、細胞が壊死し始めます。この状態が進行すると、皮膚の赤みから始まり、水疱、潰瘍へと悪化していきます。
当院では、初診時に「以前から同じ場所に赤みがあって、なかなか治らないんです」と相談される患者さまも少なくありません。特に高齢の方や、脳卒中などで寝たきりの期間が長くなった方に多く見られます。
この患者さまの表現と頻度は当院の非集計の診療経験で、一般人口の発症頻度を示すものではありません。赤みが続く原因には接触皮膚炎、失禁関連皮膚炎、感染症などもあり、部位と経過を含めて評価します。
床ずれのリスク因子とは?
床ずれの発生には、様々なリスク因子が関与しています。これらは大きく「内的因子」と「外的因子」に分けられます。
- 内的因子: 栄養状態の低下(低栄養)、全身の循環障害(糖尿病、心疾患など)、浮腫、失禁(皮膚の湿潤)、意識障害、麻痺、加齢による皮膚の脆弱化などが挙げられます[4]。特に低栄養状態では、皮膚の修復能力が低下し、褥瘡発生のリスクが高まります。
- 外的因子: 長時間の同一体位、不適切な体位変換、硬い寝具や車椅子、衣類や医療機器による圧迫、皮膚の乾燥や湿潤などが含まれます。
これらの因子を総合的に評価するために、ブレイデンスケールやK式スケールといったリスクアセスメントツールが広く用いられています[4]。当院の問診では、患者さまの身体活動レベル、栄養摂取状況、排泄状況、皮膚の状態、既往歴などを詳細に伺い、個別のリスク評価を行っています。
リスク評価ツールは予防計画を整理する補助であり、それだけで発生や重症度を予測できるものではありません。体動、栄養、循環、湿潤、感覚、介護環境を継続的に見直します。
効果的な予防策とは?具体的なアプローチ
床ずれの予防は、その発生を未然に防ぐ上で最も重要です。多角的なアプローチが求められます[3]。
- 体位変換: 最も基本的な予防策です。臥床している場合は2時間ごと、車椅子に座っている場合は1時間ごとの体位変換が推奨されています[1]。体位変換の際には、皮膚のずれを最小限に抑えるよう注意が必要です。当院では、ご家族や介護者の方に、具体的な体位変換の方法や注意点を指導し、実践的なサポートを心がけています。
- 適切な寝具・体圧分散用具の使用: エアマットやウレタンマット、クッションなど、体圧を分散させる効果のある用具を使用することで、特定の部位への圧迫を軽減できます[5]。これらの用具は、患者さんの体重や体格、活動レベルに合わせて選択することが重要です。
- スキンケア: 皮膚を清潔に保ち、乾燥や湿潤を防ぐことが大切です。排泄後は速やかに清拭し、保湿剤で皮膚のバリア機能を維持します。摩擦を避けるために、衣類やシーツのしわを伸ばすことも重要です。
- 栄養管理: 十分なタンパク質、ビタミン、ミネラルの摂取は、皮膚の健康維持と修復に不可欠です。低栄養状態は褥瘡のリスクを高めるため、必要に応じて栄養補助食品の活用や、管理栄養士との連携も検討されます。
- 早期離床・活動促進: 可能であれば、早期にベッドから離れ、座ったり歩いたりする機会を増やすことで、全身の血流改善と圧迫部位の分散につながります。
記載した時間間隔は過去の承認済み原文で、一律の推奨ではありません。現在は体圧分散寝具、骨突出、皮膚所見、全身状態、本人の耐容性や生活状況に応じ、医療・介護職と個別の体位変換計画を立てます。
体圧分散用具を使っても床ずれを完全に防げるわけではありません。ずれ、底付き、姿勢、皮膚状態を確認し、体格と自力体動に合う種類と設定を専門職と選びます。
これらの予防策は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて個別化することが重要です。当院では、定期的な皮膚観察とリスク評価を行い、必要に応じて予防計画の見直しを行っています。患者さまやご家族からは「体位変換のタイミングが分からず困っていたが、具体的なアドバイスで実践しやすくなった」という声をよく聞きます。
このご家族の表現と『よく聞きます』は当院の非集計の診療経験で、同じ支援が全員に同じ結果をもたらすことを示しません。無理のない介護方法と利用できる支援を個別に調整します。
予防策を講じていても、褥瘡が完全に防げるわけではありません。特に重度のリスク因子を持つ患者さんの場合、細心の注意と継続的な観察が必要です。早期発見のためにも、日々の皮膚チェックを怠らないようにしましょう。
発生リスクと予防効果には個人差があります。予防中でも消えない赤み、水疱、皮膚剥離、紫色の変化、熱感や痛みがあれば、自己処置を続けず医療者へ連絡します。
床ずれの治療とケア
一度発生してしまった床ずれ(褥瘡)は、その病期に応じた適切な治療と継続的なケアが不可欠です。ここでは、床ずれの進行度分類と、それぞれの病期に合わせた治療法、そしてケアのポイントについて解説します。
床ずれの進行度は?分類と症状
床ずれは、その重症度によっていくつかの段階に分類されます。国際的な分類基準として、米国国立褥瘡諮問委員会(NPUAP)による分類が広く用いられており、深さや組織損傷の程度によってステージ1から4、さらに分類不能、深部組織損傷疑い(DTIS)に分けられます。

| ステージ | 症状の特徴 | 治療の目安 |
|---|---|---|
| ステージ1 | 消退しない発赤、皮膚の損傷なし | 体圧分散、スキンケア、保湿 |
| ステージ2 | 部分的な皮膚欠損、真皮までの損傷、水疱 | 創傷被覆材、感染予防 |
| ステージ3 | 全層皮膚欠損、皮下組織まで損傷、壊死組織あり | デブリードマン、適切な創傷被覆材、感染管理 |
| ステージ4 | 全層組織欠損、筋肉・骨・腱など露出 | 外科的治療、高度な創傷管理、全身管理 |
| 分類不能 | 壊死組織で創底が見えない状態 | 壊死組織除去(デブリードマン) |
| DTIS疑い | 紫または栗色の限局した皮膚変色、深部組織損傷の可能性 | 厳重な観察、体圧分散 |
当院では、患者さまの褥瘡を診察する際、まずこのステージ分類に基づいて状態を正確に評価します。特にステージ1の段階で受診されると、比較的短期間で改善が期待できるケースが多いです。
この改善見込みは当院の非集計の診療経験で、短期間の改善を保証するものではありません。初期に見えても深部損傷や感染を伴うことがあり、圧迫解除後の変化と全身状態を合わせて評価します。
早めの受診と緊急相談の目安

圧迫を除いても赤みが消えない、水疱・皮むけ・紫色や黒色の変化がある、傷が広がる、滲出液や悪臭がある場合は、医師または看護師へ早めに相談してください。
発熱、意識状態の変化、急速に広がる赤み・腫れ、膿、強い痛み、全身状態の悪化を伴う場合は、感染が深部へ広がっている可能性もあるため、当日中の対面診療や救急相談を検討します[公1]。
皮膚が破れていなくても、暗赤色や紫色の変化、熱感、硬さ、痛みが先に現れることがあります。自宅では色・大きさ・滲出液・痛み・発熱の有無を記録し、医療者へ伝えます。赤い部分を強く揉む、傷を消毒薬で繰り返し刺激する、市販薬や被覆材を自己判断で重ねることは避けます。
床ずれの治療法とは?
床ずれの治療は、病期や感染の有無、患者さんの全身状態によって異なりますが、主に以下の要素を組み合わせます[2]。
治療内容は創の深さ、壊死、滲出液、感染、痛み、血流、栄養、基礎疾患によって異なります。外用薬や被覆材は自己判断で選ばず、創の評価に基づいて決めます。
- 局所治療:
- デブリードマン(壊死組織除去): 壊死した組織は細菌の温床となり、治癒を妨げるため、外科的に切除したり、薬剤で融解させたりします。
- 創傷被覆材の選択: 創部の状態(滲出液の量、感染の有無など)に合わせて、ハイドロコロイド、ポリウレタンフォーム、アルギン酸塩などの様々な被覆材を使い分けます。これらは創部を湿潤環境に保ち、治癒を促進する効果があります。
- 感染管理: 感染が認められる場合は、抗菌薬の全身投与や局所塗布を行います。創部の洗浄も重要です。
- 全身管理:
- 栄養改善: 治癒には十分なタンパク質やビタミンが必要です。経口摂取が難しい場合は、経管栄養や静脈栄養を検討します。
- 体圧分散: 治療中も引き続き、体位変換や体圧分散用具の使用を徹底し、新たな褥瘡の発生を防ぎます。
- 基礎疾患の治療: 糖尿病や循環器疾患など、褥瘡の治癒を妨げる基礎疾患がある場合は、その治療も並行して行います。
- 外科的治療: 重症の褥瘡や、保存的治療で改善が見られない場合、植皮術や皮弁術などの外科的治療が検討されることがあります。
実際の診療では、褥瘡の治療を始めて数ヶ月ほどで「赤みが引いてきた」「傷が小さくなってきた」とおっしゃる方が多いです。特に、適切な創傷被覆材と栄養管理を組み合わせることで、治癒が促進されるケースをよく経験します。
この治療期間と改善実感は当院の非集計の診療経験で、すべての方が数か月で同様に改善することを示しません。創傷被覆材や栄養管理の適否も創の状態と全身状態で変わり、治療効果を保証するものではありません。
自宅で確認すること・避けたい行動
床ずれの初期に気づいたら、まず同じ場所への圧迫を減らし、皮膚を清潔かつ過度に湿らせない状態に保ちます。骨の出ている仙骨、踵、外くるぶし、肘、後頭部などを毎日同じ時間帯に観察し、消えない赤みや色調の変化を確認します[公2]。
- 観察:色、大きさ、熱感、硬さ、痛み、皮膚剥離、滲出液、臭い、発熱を記録します。
- 圧迫を減らす:本人の状態と寝具に合った体位変換を行い、踵などが直接寝具へ当たり続けないよう専門職と調整します。
- 皮膚を守る:排泄物や汗をやさしく除き、こすらず、乾燥や過度の湿潤を避けます。
- 避ける:赤い部分を揉む、傷を針で触る、壊死組織を自宅で切る、消毒薬や外用薬を自己判断で多用することは避けます。
床ずれの治し方は深さや感染の有無で変わります。初期に見えても自己処置だけで経過をみず、改善しない場合は皮膚科、形成外科、主治医、訪問看護師へ相談してください。
床ずれのケアと多職種連携の重要性
床ずれの治療とケアは、医師だけでなく、看護師、管理栄養士、理学療法士、介護福祉士など、多職種が連携して行うことが非常に重要です。それぞれの専門性を活かし、患者さんの状態に合わせた包括的なケアを提供します。
必要な職種と支援体制は病期、療養場所、本人・家族の状況で異なります。担当者間で観察項目、体位変換、栄養、排泄、創処置の計画を共有します。
- 定期的な皮膚観察: 看護師や介護者が日常的に皮膚の状態をチェックし、変化があれば速やかに医療者に報告します。
- 家族への指導: ご家族や介護者の方には、褥瘡の観察ポイント、体位変換の方法、スキンケアの実施方法などを具体的に指導し、自宅でのケアをサポートします。
- リハビリテーション: 理学療法士は、患者さんの残存機能に応じたリハビリテーションを行い、活動性の向上を促すことで、褥瘡の再発予防にも貢献します。
リハビリテーションは全身状態、疼痛、関節可動域、荷重制限に合わせて行います。活動性を高めることが全員の再発を防ぐとは限らず、圧迫を増やさない方法を専門職と選びます。
当院では、処方後のフォローアップで、褥瘡の治癒状況だけでなく、治療を継続できているか、ご家族がケアで困っていることはないかを確認するようにしています。オンライン診療を活用し、遠方の患者さまやご家族からの相談にも対応することで、継続的なケアを支援しています。
オンライン相談はケア上の困りごとを整理する補助で、創の深さや感染を画面だけで確定するものではありません。悪臭、膿、急な拡大、発熱、強い痛みがある場合は対面での診察が必要です。
褥瘡の治療は長期にわたることが多く、患者さんやご家族にとって大きな負担となることがあります。精神的なサポートも非常に重要であり、必要に応じて心理的なケアを提供することも検討されます。
治療期間と負担には大きな個人差があります。介護者だけで抱え込まず、訪問看護、ケアマネジャー、主治医、地域の相談窓口など利用可能な支援を確認します。
まとめ
床ずれ(褥瘡)は、適切な予防策と早期の治療介入が極めて重要な皮膚疾患です。予防には、体位変換、体圧分散用具の使用、スキンケア、栄養管理、そしてリスク評価に基づく個別のアプローチが不可欠です。一度発生した床ずれに対しては、その病期に応じたデブリードマンや適切な創傷被覆材の選択、感染管理、そして全身的な栄養改善が求められます。治療とケアは多職種連携のもと、患者さんの生活の質を維持向上させることを目指して継続的に行われるべきです。日々の観察と早期の相談が、重症化を防ぐ鍵となります。
ここで示す予防・治療の組み合わせは一般的な整理です。実際の治療は創の評価と全身状態に基づいて個別に選択し、改善や治癒までの期間を保証するものではありません。
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