床ずれ(褥瘡)とは?原因・好発部位・ステージ分類

【床ずれ(褥瘡)とは?原因・好発部位・ステージ分類を解説】

床ずれ(褥瘡)とは?原因・好発部位・ステージ分類を解説

最終更新日: 2026-05-08
📋 この記事のポイント
  • ✓ 床ずれ(褥瘡)は、身体の一部が長時間圧迫されることで血流が悪くなり、皮膚や組織が損傷する状態です。
  • ✓ 主な原因は圧迫、摩擦、ずれで、仙骨部、かかと、後頭部などが好発部位です。
  • ✓ 症状の進行度合いに応じてステージ分類され、早期発見と適切なケアが重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

床ずれ(褥瘡)とは、寝たきりの方や車椅子を使用している方など、身体の一部が長時間にわたって圧迫され続けることで、皮膚やその下の組織が損傷する状態を指します。適切な予防と早期の対応が、重症化を防ぐために非常に重要です。

床ずれ(褥瘡)とは?その定義とメカニズム

皮膚に圧迫が加わり血流が阻害され、組織が壊死する床ずれの発生メカニズム
床ずれ(褥瘡)の発生メカニズム

床ずれ(褥瘡)は、皮膚や皮下組織が持続的な圧迫、または圧迫とずれ、摩擦の組み合わせによって損傷する局所的な領域です[1]。これは、主に骨突出部(骨が皮膚のすぐ下にある部位)で発生しやすいとされています。

メカニズムとしては、外部からの圧力が毛細血管を圧迫し、血流が阻害されることで組織への酸素や栄養供給が不足します。これにより細胞がダメージを受け、最終的に組織が壊死に至るのです。この過程には、体重による垂直方向の「圧迫」だけでなく、体位変換時などに皮膚が引っ張られる「ずれ(Shear)」や、皮膚と寝具などの表面との間で生じる「摩擦(Friction)」も大きく関与します[1]

褥瘡(じょくそう)
身体の特定部位が長時間圧迫されることで血流が阻害され、皮膚や皮下組織が損傷・壊死する状態。一般的に「床ずれ」と呼ばれます。

床ずれ(褥瘡)の主な原因は何ですか?

寝たきりの患者の仙骨部、かかと、肘など床ずれが発生しやすい身体部位
床ずれの主な原因と好発部位

褥瘡の発生には、複数の要因が複雑に絡み合っています。主な原因は「圧迫」「摩擦」「ずれ」の物理的な力ですが、患者さん自身の状態も大きく影響します。

物理的な要因

  • 圧迫: 体重によって皮膚や組織が長時間押し付けられ、毛細血管が閉塞し、血流が途絶えることで酸素や栄養が供給されなくなります。
  • 摩擦: 皮膚が寝具や衣類などと擦れることで、皮膚の表面が損傷します。
  • ずれ(Shear): ベッドのヘッドアップ時に体がずり落ちる際など、皮膚は固定されたままで皮下組織が骨とともに移動することで、血管が引き伸ばされたり断裂したりして血流障害が起こります。

患者側の要因

当院では、初診時に患者さまの活動レベルや栄養状態、基礎疾患について詳しく伺うようにしています。特に、以下のような状態にある患者さまは褥瘡のリスクが高い傾向にあります[4]

  • 低栄養状態: タンパク質やビタミンの不足は、皮膚の再生能力や抵抗力を低下させます。
  • 活動性の低下: 寝たきりや麻痺などで体位変換が困難な場合、特定の部位に圧力が集中しやすくなります。
  • 知覚障害: 痛みを感じにくいため、不快感による体位変換が促されず、長時間同じ体勢を続けることがあります。
  • 湿潤環境: 失禁などによる皮膚の湿潤は、皮膚のバリア機能を低下させ、摩擦やずれによる損傷を悪化させます。
  • 基礎疾患: 糖尿病や末梢血管疾患など、血流障害を伴う疾患は褥瘡のリスクを高めます。

床ずれ(褥瘡)はどこにできやすい?好発部位とは

褥瘡は、骨が皮膚の表面に近い部位で、かつ長時間圧迫されやすい場所に発生しやすい特徴があります。当院の診察でも、患者さまやご家族から「お尻のあたりが赤くなっている」「かかとが黒ずんでいる」といった相談をよく受けます。

一般的に、仰臥位(あおむけ)や側臥位(横向き)、座位(座った状態)など、体位によって好発部位が異なります[1]

体位主な好発部位
仰臥位(あおむけ)後頭部、肩甲骨、肘、仙骨部(お尻の真ん中)、かかと
側臥位(横向き)耳、肩、肘、腸骨(骨盤の側面)、大転子(股関節の側面)、膝、くるぶし
座位(車椅子など)仙骨部、坐骨結節(お尻の底)、尾骨、かかと

特に仙骨部とかかとは、寝たきりの患者さんで最も頻繁に褥瘡が発生する部位とされています[3]。これらの部位は、体重が集中しやすく、骨が皮膚の表面に近いため、圧迫によるダメージを受けやすいのです。

床ずれ(褥瘡)のステージ分類とは?

皮膚の発赤から深い組織損傷まで、床ずれの進行段階を示すステージ分類
褥瘡の進行度を示すステージ分類

褥瘡の進行度合いを客観的に評価するために、国際的なステージ分類が用いられています。この分類は、適切な治療方針を決定し、予後を予測するために不可欠です[2]。当院では、視診と触診で褥瘡の状態を詳細に確認し、どのステージに該当するかを判断しています。

  • ステージ1: 皮膚の損傷がない状態ですが、圧迫が解除されても30分以上続く発赤が見られます。皮膚はまだ破れていませんが、触ると熱感や硬結、または軟化を感じることがあります。
  • ステージ2: 表皮および真皮の一部が損傷し、水疱や浅い潰瘍が形成されます。真皮より深い組織には達していません。
  • ステージ3: 皮膚の全層が欠損し、皮下組織まで損傷が及んでいます。脂肪組織が見えることがありますが、骨、腱、筋肉は露出していません。
  • ステージ4: 皮膚の全層が欠損し、骨、腱、筋肉が露出しています。壊死組織や滲出液が多く見られることもあります。感染のリスクが非常に高くなります。
  • 判定不能(Unstageable): 創底が壊死組織(黒色痂皮)やスラー(黄色または灰色の軟性壊死組織)で覆われており、損傷の深さを正確に評価できない状態です。これらの組織を除去しない限り、ステージを確定できません。
  • 深部組織損傷疑い(Suspected Deep Tissue Injury: SDTI): 皮膚は損傷していないように見えても、深部組織に損傷がある可能性が高い状態です。持続的な圧迫やずれによって生じ、皮膚が紫色や暗褐色に変色していることが多いです。水疱や血疱を伴うこともあります。
⚠️ 注意点

ステージ分類はあくまで目安であり、個々の患者さんの状態や合併症によって治療方針は異なります。特に、糖尿病などの基礎疾患がある場合は、小さな傷でも急速に悪化する可能性があるため、早期の医療機関受診が推奨されます。

まとめ

床ずれ(褥瘡)は、身体の同じ部位への持続的な圧迫、摩擦、ずれによって皮膚や組織が損傷する状態です。仙骨部、かかと、後頭部などが好発部位であり、低栄養や活動性の低下などの要因もリスクを高めます。褥瘡の進行度合いはステージ1から4、さらに判定不能や深部組織損傷疑いとして分類され、早期発見と適切なケアが重症化を防ぐ鍵となります。ご自身やご家族に褥瘡が疑われる症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診し、専門医の診断と指導を受けることが重要です。

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よくある質問(FAQ)

床ずれ(褥瘡)はどのように予防できますか?
定期的な体位変換(2時間ごとが目安)、体圧分散マットレスやクッションの使用、皮膚の清潔保持と保湿、栄養状態の改善などが重要です。
床ずれ(褥瘡)ができてしまったら、どうすればよいですか?
まずは医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。適切な処置と治療、そして原因となる圧迫の除去が不可欠です。自己判断での処置は悪化を招く可能性があります。
深部組織損傷疑い(SDTI)とは何ですか?
SDTIは、皮膚表面には明らかな損傷が見られないものの、深部の組織に損傷がある可能性が高い状態です。皮膚が紫色や暗褐色に変色していることが多く、注意深い観察と早期の専門的評価が必要です。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長