Sol Medicine Guide / 01
小柴胡湯(ツムラ9)の効果と副作用承認効能、飲み方、重大な副作用と受診目安を皮膚科医が解説
小柴胡湯は7種類の生薬からなる医療用・一般用の漢方処方です。ツムラ9を含む医療用製剤には承認された効能・効果があり、皮膚疾患への効果を独自に拡張して使う薬ではありません。インターフェロン製剤との併用は禁忌で、間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー・横紋筋融解症、肝機能障害・黄疸などの重大な副作用に注意が必要です。
- 小柴胡湯
- ツムラ9
- 重大な副作用
- インターフェロン併用禁忌

先に知りたいこと
- ツムラ小柴胡湯エキス顆粒(医療用)の承認効能は、体力中等度で上腹部の張り、舌苔、口中不快、食欲不振、微熱、悪心などがある人の急性熱性病、肺炎、気管支炎、気管支喘息、感冒、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全と、慢性肝炎における肝機能障害の改善です。
- 効果が出るまでの共通期間はありません。体質・症状を考慮し、経過を観察して改善が認められない場合は漫然と継続しません。
- 発熱、咳、息苦しさ、むくみ・体重増加、脱力・筋肉痛、黄疸・濃い尿などが出たら服用を中止し、症状に応じて直ちに医療機関へ連絡・受診します。
- 分類サイコ、ハンゲ、オウゴン、タイソウ、ニンジン、カンゾウ、ショウキョウからなる漢方製剤です。
- ツムラ9医療用ツムラ製剤の識別コード。成人通常量は1日7.5gを2〜3回に分けます。
- 服用時期医療用ツムラ9は食前または食間。処方ラベルと医師・薬剤師の指示を優先します。
- 併用禁忌インターフェロン製剤を投与中の方は服用できません。
- 緊急症状発熱、咳、呼吸困難は間質性肺炎の初期症状の可能性があり、直ちに連絡が必要です。
- 画像公式/本文画像を出典付きで確認します。
小柴胡湯は何に使う薬か
小柴胡湯(しょうさいことう)は、サイコ、ハンゲ、オウゴン、タイソウ、ニンジン、カンゾウ、ショウキョウの7種類の生薬を組み合わせた漢方処方です。「漢方だから穏やか」「体質改善のため長く飲めばよい」とは限らず、体質・症状に合うかを確認し、効果と副作用の両方を評価して使います。
ツムラ小柴胡湯エキス顆粒(医療用)は識別コードが「ツムラ/9」の医療用医薬品です。製品番号の9は効果の強さや服用順を示す数字ではありません。メーカーや医療用・一般用の違いにより1包量、1日量、服用回数、添加物が異なるため、別製品の飲み方をそのまま流用しないでください。
7種類の構成生薬と確認したい重複
| 構成生薬 | ツムラ9の1日量7.5g中の原料生薬量 | 安全確認のポイント |
|---|---|---|
| サイコ(柴胡) | 7.0g | 7種類を合わせた乾燥エキス4.5gを含みます。自己判断で生薬単位の効能を足し合わせません。 |
| ハンゲ(半夏) | 5.0g | |
| オウゴン(黄芩) | 3.0g | |
| タイソウ(大棗) | 3.0g | |
| ニンジン(人参) | 3.0g | |
| カンゾウ(甘草) | 2.0g | |
| ショウキョウ(生姜) | 1.0g |
特にカンゾウは、ほかの漢方製剤やグリチルリチン酸を含む薬と重なると、低カリウム血症、血圧上昇、むくみなどの偽アルドステロン症や、低カリウム血症に伴うミオパチーが起こりやすくなる可能性があります。商品名だけでなく、お薬手帳、市販薬、サプリメントの成分まで確認します。
承認された効能・効果
ツムラ小柴胡湯エキス顆粒(医療用)の電子添文には、次の効能・効果が記載されています。適応は症状名だけで決めず、「体力中等度で上腹部がはって苦しい」「舌苔」「口中不快」「食欲不振」「時に微熱・悪心」などの状態を含めて判断します。
- 上記の状態がある人の、諸種の急性熱性病、肺炎、気管支炎、気管支喘息、感冒、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全
- 慢性肝炎における肝機能障害の改善
アトピー性皮膚炎、湿疹、にきびなどは、この医療用製剤の承認効能には含まれていません。皮膚症状があるから小柴胡湯を追加する、あるいは「炎症を抑える生薬だから皮膚にも効く」と自己判断することは避けてください。皮疹の診断と標準治療を優先します。
効果が出るまでの期間は決められない
「何日で効くか」は、治療対象、症状の経過、体質、製品、用量、併用治療によって異なり、全員に共通する保証期間はありません。医療用製剤の電子添文は、患者の証(体質・症状)を考慮し、経過を十分に観察して、症状・所見の改善が認められない場合には継続投与を避けるよう求めています。
数日で変化がないから自己増量する、体質改善を期待して数か月漫然と続ける、以前の残薬を再開するといった使い方は避けます。処方時に「何を改善目標にするか」「いつ評価するか」「どの症状で中止するか」を確認してください。

用法・用量、食前・食間、飲み忘れ
医療用ツムラ9の標準的な用法
ツムラ小柴胡湯エキス顆粒(医療用)は、通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により増減されます。これはツムラ9の用法であり、他社の医療用製剤や市販薬にはそのまま当てはまりません。
食前・食間の考え方
一般に食前は食事のおよそ30分前、食間は食後およそ2時間以上たった頃を指しますが、食事時刻、胃腸症状、ほかの薬との間隔により指示が変わることがあります。処方袋・薬剤情報と医師・薬剤師の説明を優先し、食後へ変更したい場合も事前に相談してください。
飲み忘れたとき
2回分を一度に飲んで埋め合わせをしません。次の服用までの時間や処方内容で対応が変わるため、処方元または薬剤師へ確認してください。似た名称の漢方薬、家族の薬、市販の小柴胡湯を重ねて飲まないでください。

重大な副作用と初期症状
| 重大な副作用 | 患者さんが気づきやすい初期症状 | 対応 |
|---|---|---|
| 間質性肺炎 | 発熱、咳、息切れ・息苦しさ | 服用を中止し、直ちに処方元へ連絡。呼吸が苦しい場合は救急受診 |
| 偽アルドステロン症 | むくみ、急な体重増加、血圧上昇、だるさ | 服用を中止して早めに受診し、血圧・電解質を確認 |
| ミオパチー・横紋筋融解症 | 脱力、筋力低下、筋肉痛、手足のけいれん・麻痺、赤褐色の尿 | 服用を中止して速やかに受診 |
| 肝機能障害・黄疸 | 強いだるさ、食欲不振、吐き気、皮膚や白目が黄色い、濃い尿 | 服用を中止し、速やかに受診 |
間質性肺炎は早期の連絡が重要
小柴胡湯には間質性肺炎に関する警告があります。発熱、咳、呼吸困難が現れた場合は「風邪が悪化した」と決めつけず服用を中止し、直ちに連絡してください。医療機関では胸部X線やCTなどが検討されます。息苦しく会話が難しい、唇が紫色、意識がぼんやりする場合は救急要請が必要です。
その他の副作用
発疹、かゆみ、じんましん、食欲不振、胃部不快感、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、便秘、頻尿、排尿痛、血尿、残尿感などが報告されています。服用後に新しく現れた症状は我慢せず、薬との関連を処方元に相談してください。
禁忌・併用注意と甘草の重複
併用禁忌:インターフェロン製剤
インターフェロンα製剤・β製剤を投与中の患者は小柴胡湯を併用できません。間質性肺炎が現れることがあります。注射薬だから飲み薬とは関係ないと判断せず、治療中・治療予定を必ず伝えてください。
投与しない病態
肝硬変、肝癌の患者、または慢性肝炎における肝機能障害で血小板数が10万/mm3以下の患者には投与しません。慢性肝炎における肝機能障害で血小板数が10万/mm3超〜15万/mm3以下の場合も、肝硬変へ移行している可能性があるため慎重な判断が必要です。
カンゾウ・グリチルリチン酸・利尿薬
カンゾウを含む漢方薬、グリチルリチン酸やその塩を含む薬、ループ系利尿薬、チアジド系利尿薬との併用では、低カリウム血症、偽アルドステロン症、ミオパチーが起こりやすくなる可能性があります。市販薬、健康食品、のど飴なども含め、成分が分かる資料を共有してください。
妊娠・授乳、小児、高齢者、長期服用
妊娠・授乳
妊婦または妊娠している可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与します。授乳中は、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討します。妊娠希望も含め、開始前に必ず伝えてください。
小児・高齢者・体力が著しく低下している方
医療用製剤では小児等を対象とした臨床試験は実施されていません。高齢者は生理機能が低下しているため減量するなど注意します。著しく体力が衰えている方は、副作用が現れやすく症状が強くなるおそれがあります。成人の残薬を小児へ分けないでください。
長期服用
長く飲むほど体質が改善するとは限りません。改善がない場合の継続を避け、慢性肝炎における肝機能障害へ使う場合は血小板数の変化に注意します。血圧、むくみ、体重、筋症状、肝機能症状などを確認し、必要な検査と評価時期は病状・併用薬に応じて個別に決めます。
市販薬と医療用ツムラ9の違い
小柴胡湯には、医師の診察と処方箋に基づく医療用医薬品と、薬局などで購入できる一般用医薬品があります。ツムラの一般用製品は第2類医薬品で、医療用ツムラ9とは1日量、1包量、服用回数、効能・効果の表示が異なります。「同じ小柴胡湯だから同量」と考えず、手元の製品の表示を確認してください。
市販薬でも重い副作用が起こらないわけではありません。医師の治療中、肝臓病、高血圧、心臓病、腎臓病、むくみがある、妊娠中、高齢、薬で発疹が出たことがある、インターフェロン治療中などの場合は、購入・服用前に医師、薬剤師、登録販売者へ相談します。
診察時に確認することと再診の目安
当院では、体質と症状の組み合わせ、発症からの経過、持病、アレルギー、妊娠・授乳、処方薬・市販薬・サプリメント、他の漢方薬と甘草の重複を確認した上で、服用の適否を判断します。
味やにおいが気になって続けにくい場合は、自己判断で食後へ変えたり食品へ混ぜたりせず、製品と処方内容に合う方法を医師・薬剤師へ相談してください。服用後は、改善目標にした症状と、副作用を疑う呼吸器症状、むくみ、筋症状、肝機能障害の兆候を併せて確認します。
効果が分からないまま漫然と続けず、診察時に決めた評価時期に、症状・所見の変化、服用できた回数、新しい体調変化、追加された薬を共有します。検査の種類と間隔は病状や併用薬で変わるため、全員に一律の時期を設定しません。
中止・受診の目安
- 直ちに服用中止・連絡:発熱、咳、息切れ・呼吸困難。
- 速やかに受診:顔や手足のむくみ、急な体重増加、脱力、筋肉痛、けいれん、赤褐色尿、黄疸、濃い尿。
- 早めに相談:発疹・かゆみ、胃部不快感、吐き気、下痢、排尿痛など服用後に新しく出た症状。
- 治療を再評価:目標にした症状・所見の改善が認められない、飲み忘れが続く、味や生活リズムのため継続できない。
中止後も息苦しさ、強い脱力、黄疸などがある場合は様子を見ず受診してください。受診時は、小柴胡湯の製品名、服用量、開始日、最後に飲んだ時刻、併用薬が分かるものを持参します。
小柴胡湯の飲み合わせ・副作用が心配な方へ
症状と経過、持病、妊娠・授乳、処方薬・市販薬・サプリメント、ほかの漢方薬と甘草の重複を確認します。お薬手帳と、使用中の製品名・成分が分かる箱や写真をご持参ください。
WEB予約要点のまとめ
小柴胡湯(ツムラ9)は、7種類の生薬からなる医療用漢方製剤です。承認された効能・効果と体質・症状を確認して用い、皮膚疾患への効果を独自に拡張しません。効果が出るまでの保証期間はなく、改善が認められない場合は漫然と継続しないことが重要です。
インターフェロン製剤との併用は禁忌です。発熱・咳・息苦しさ、むくみ・体重増加、脱力・筋肉痛、黄疸・濃い尿などは重大な副作用の初期症状である可能性があります。服用を中止し、指示された緊急度で連絡・受診してください。