最終更新日: 2026-04-28
📋 この記事のポイント
- ✓ 漢方薬はニキビの原因となる体質を根本から改善することを目指します。
- ✓ 桂枝茯苓丸、十味敗毒湯、清上防風湯など、体質や症状に応じた多様な漢方薬があります。
- ✓ 専門医の診断のもと、副作用や飲み合わせに注意し、継続的な服用が重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
漢方薬によるニキビ治療とは?

- 漢方医学における「気・血・水」とは
- 「気」は生命活動のエネルギー、「血」は全身を巡る栄養物質、「水」は体内の水分や体液を指します。これらが滞りなく巡り、バランスが保たれていることが健康な状態とされます。ニキビ治療においては、これらのバランスを整えることで、皮膚の健康を取り戻すことを目指します。
漢方医学から見たニキビの原因とは?
漢方医学では、ニキビの原因を以下のような体質や状態の乱れとして捉えます。- 熱(ねつ):体内に余分な熱がこもり、炎症を引き起こしやすい状態。赤みのあるニキビや化膿しやすいニキビに見られます。
- 湿(しつ):体内の水分代謝が悪く、老廃物が停滞しやすい状態。脂性肌や膿を持ったニキビに関連します。
- 瘀血(おけつ):血行不良により、古い血液が停滞している状態。生理前に悪化するニキビや、しこりのあるニキビ、ニキビ跡の色素沈着などに見られます。
- 気滞(きたい):ストレスなどにより気の巡りが滞っている状態。精神的な要因で悪化するニキビや、胸や脇腹の張りなどを伴うことがあります。
- 脾虚(ひきょ):消化吸収機能が低下し、栄養の代謝が悪くなっている状態。胃腸の不調や食欲不振を伴うニキビに見られます。
ニキビ治療に用いられる主な漢方薬の種類と効果
ニキビ治療に用いられる漢方薬は多岐にわたりますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。これらの漢方薬は、患者さまの体質やニキビの種類、症状の程度によって使い分けられます。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、のぼせや冷えを伴う生理不順、月経困難症、更年期障害など、「瘀血(おけつ)」の症状がある方に用いられることが多い漢方薬です。血行を促進し、体内の滞りを改善する作用があります。ニキビ治療においては、特に生理前に悪化するニキビや、しこりのあるニキビ、ニキビ跡の色素沈着の改善に効果が期待されます[1]。桂枝茯苓丸は、血行を改善することで、肌のターンオーバーを促進し、老廃物の排出を助けると考えられています。臨床の現場では、生理周期に合わせてニキビが悪化する患者さまに処方することが多く、治療を始めて2〜3ヶ月ほどで「生理前のニキビが減った」「ニキビ跡が薄くなってきた」とおっしゃる方が多いです。十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
十味敗毒湯は、皮膚の炎症やかゆみを鎮める作用を持つ漢方薬で、化膿性のニキビや湿疹、じんましんなどの皮膚疾患に広く用いられます。体内の「熱」や「湿」を取り除き、解毒作用を高めることで、皮膚の炎症を抑え、排膿を促す効果が期待されます[2]。比較的体力のある方で、赤く腫れて膿を持ちやすいニキビに特に適しています。当院では、炎症性の強いニキビで来院される患者さまに十味敗毒湯を処方することがよくあります。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。多くの患者さまが、服用開始後数週間で炎症が落ち着き、赤みが引いていくのを実感されています。清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
清上防風湯は、顔面、特に額や鼻筋にできる赤く炎症性のニキビ、いわゆる「吹き出物」に効果的な漢方薬です。体内の「熱」を冷まし、炎症を鎮める作用が強く、顔の赤みやほてりを伴うニキビに用いられます。比較的体力のある方に適しており、顔の脂っぽさが気になる方にも処方されることがあります[3]。この漢方薬は、顔の皮膚の炎症を抑え、皮脂の過剰分泌を調整することで、ニキビの発生を抑制し、症状の改善を促します。初診時に「おでこや鼻の周りに赤くて大きいニキビが繰り返しできる」と相談される患者さまも少なくありません。このようなケースで清上防風湯を処方すると、多くの方がニキビの新規発生が減り、既存のニキビの治りが早くなったと報告されます。荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
荊芥連翹湯は、慢性的な鼻炎や扁桃腺炎、リンパ腺炎など、アレルギー体質や炎症体質の方に用いられることが多い漢方薬です。ニキビ治療においては、顔だけでなく、胸や背中など広範囲にわたってニキビができやすい方や、アトピー性皮膚炎を合併している方に効果が期待されます。体内の「熱」や「湿」を取り除き、解毒作用を高めることで、体質改善を促し、ニキビの根本的な治療を目指します[4]。この漢方薬は、体質改善に時間がかかる場合があるため、長期的な服用が必要となることがあります。診察の中で、アレルギー体質や慢性的な炎症を抱えている患者さまのニキビ治療には、荊芥連翹湯が有効であると実感しています。その他ニキビに用いられる漢方薬
上記の他に、以下のような漢方薬もニキビ治療に用いられることがあります。- 加味逍遙散(かみしょうようさん):ストレスやホルモンバランスの乱れによるニキビ、特に生理前に悪化するニキビや、イライラ、不眠などを伴う場合に用いられます。気の巡りを改善し、精神的な安定を促します。
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):体力があり、便秘がちで肥満傾向のある方に用いられます。体内の余分な熱や老廃物を排出し、代謝を促進する作用があります。
- 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう):化膿性のニキビや、膿を伴う皮膚疾患に用いられます。炎症を鎮め、膿の排出を促す作用が強いです。
| 漢方薬名 | 主な適応体質・症状 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 桂枝茯苓丸 | 比較的体力あり、のぼせ、冷え、生理不順、瘀血体質 | 血行促進、生理前ニキビ、しこりニキビ、ニキビ跡 |
| 十味敗毒湯 | 比較的体力あり、化膿性ニキビ、湿疹、皮膚の炎症 | 炎症抑制、排膿、解毒 |
| 清上防風湯 | 比較的体力あり、顔面の赤み、ほてり、炎症性ニキビ | 顔の炎症鎮静、皮脂分泌調整 |
| 荊芥連翹湯 | アレルギー体質、慢性炎症、広範囲ニキビ | 体質改善、解毒、炎症抑制 |
| 加味逍遙散 | 体力中等度、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、イライラ | 気の巡り改善、精神安定、生理前ニキビ |
漢方薬によるニキビ治療のメリットとデメリットは?

メリット
漢方薬治療の主なメリットは以下の通りです。- 根本的な体質改善:ニキビの根本原因とされる体質(気・血・水の乱れ、熱、湿など)にアプローチし、内側から改善を目指します。これにより、ニキビの再発を抑える効果が期待できます。
- 全身症状の改善:ニキビだけでなく、冷え性、便秘、生理不順、イライラなど、ニキビと関連する全身の不調も同時に改善されることがあります。
- 副作用が比較的少ない:西洋薬に比べて、一般的に副作用が少ないとされています。ただし、全くないわけではありません(後述)。
- 自然由来の成分:生薬を原料としているため、体への負担が少ないと感じる方もいます。
デメリットと注意点
一方で、漢方薬治療には以下のようなデメリットや注意点があります。- 効果発現に時間がかかる場合がある:体質改善を目指すため、即効性は期待しにくいことがあります。効果を実感するまでに数週間から数ヶ月かかることもあります。
- 専門的な知識が必要:患者さまの体質や症状に合わせて適切な漢方薬を選ぶには、専門的な知識が必要です。自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。
- 副作用のリスク:比較的少ないとはいえ、副作用がないわけではありません。胃腸症状(吐き気、食欲不振、下痢など)や、まれに肝機能障害、間質性肺炎などが報告されています[5]。
- 飲み合わせ:他の薬剤やサプリメントとの飲み合わせに注意が必要です。特に、西洋薬との併用については、必ず医師に相談してください。
- 味や匂い:漢方薬特有の味や匂いが苦手と感じる方もいます。
⚠️ 注意点
漢方薬は天然由来の成分ですが、医薬品であるため、必ず医師や薬剤師の指示に従って服用してください。自己判断での服用や中断は、効果が得られないだけでなく、健康を損なう可能性もあります。
漢方薬治療の進め方と注意すべきポイント
漢方薬によるニキビ治療を効果的に進めるためには、適切な診断と継続的な服用、そして生活習慣の見直しが不可欠です。ここでは、治療の進め方と特に注意すべきポイントについて解説します。専門医による診断と処方
漢方薬は、患者さまの体質や症状、生活習慣などを総合的に判断する「証(しょう)」に基づいて処方されます。この「証」を見極めるには専門的な知識と経験が必要です。自己判断で市販の漢方薬を服用するのではなく、必ず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、適切な診断と処方を受けるようにしてください。当院のオンライン診療では、問診の際に患者さまの家族歴や既往歴、アレルギーの有無、現在の服用薬などを詳しく伺うようにしています。特に、女性の場合は生理周期や妊娠の可能性についても確認し、安全かつ効果的な漢方薬を選定することを心がけています。服用期間と効果の目安はどれくらい?
漢方薬は体質改善を目指すため、効果を実感するまでに時間がかかることがあります。一般的には、数週間から数ヶ月の継続的な服用が必要とされます。症状の程度や体質にもよりますが、3ヶ月程度の服用で効果が見られ始めることが多いです。効果が感じられない場合でも、自己判断で服用を中止せず、医師に相談してください。漢方薬の種類や服用量を調整することで、効果が出ることもあります。臨床経験上、特に慢性的なニキビに悩む患者さまの場合、効果を実感するまでに半年以上かかるケースもありますが、根気強く続けることで、体質が改善され、ニキビのできにくい肌へと変化していくのを実感します。日常生活で気をつけるべきことは?
漢方薬による治療効果を最大限に引き出すためには、日常生活の見直しも非常に重要です。- 食事:脂質の多い食事、甘いもの、刺激物、アルコールの過剰摂取は、ニキビを悪化させる可能性があります。バランスの取れた食事を心がけ、特に和食中心の食生活は漢方治療と相性が良いとされています。
- 睡眠:十分な睡眠は、肌のターンオーバーを促進し、ホルモンバランスを整える上で不可欠です。夜更かしを避け、質の良い睡眠を確保しましょう。
- ストレス管理:ストレスはホルモンバランスを乱し、ニキビを悪化させる大きな要因となります。適度な運動、趣味、リラックスできる時間を作るなど、ストレスを上手に解消する方法を見つけましょう。
- スキンケア:適切なスキンケアも重要です。肌を清潔に保ち、保湿を心がけましょう。ただし、過度な洗顔や刺激の強い化粧品は避け、肌に優しいものを選んでください。
漢方薬と西洋薬の併用は可能?

併用のメリットとリスク
漢方薬と西洋薬を併用するメリットとしては、それぞれの長所を活かした治療が期待できる点が挙げられます。例えば、西洋薬で炎症を速やかに抑えつつ、漢方薬で体質改善を長期的に目指すといったアプローチです。これにより、ニキビの早期改善と再発予防の両立が期待できることがあります。 一方で、併用にはリスクも伴います。薬の種類によっては、相互作用により効果が強くなりすぎたり、副作用が出やすくなったりする可能性があります。特に、肝臓や腎臓に負担をかける薬剤や、血液凝固を抑制する薬剤などとの併用には注意が必要です[5]。例えば、甘草(カンゾウ)を含む漢方薬は、一部の西洋薬との併用で偽アルドステロン症のリスクを高める可能性があります。このため、必ず医師や薬剤師に相談し、併用が可能かどうか、どのような点に注意すべきかを確認することが不可欠です。当院での併用治療の考え方
当院では、患者さまのニキビの状態やこれまでの治療歴、体質などを総合的に判断し、必要に応じて漢方薬と西洋薬の併用を検討します。例えば、重度の炎症性ニキビに対しては、初期段階で抗生物質や外用薬などの西洋薬を併用し、炎症を迅速にコントロールしつつ、漢方薬で体質改善を進めることがあります。炎症が落ち着いてきた段階で、徐々に西洋薬を減量し、漢方薬による維持療法へと移行していくケースも少なくありません。この際、患者さまの症状の変化や副作用の有無をきめ細かく観察し、定期的な血液検査などで体内の状態も確認しながら慎重に進めます。 重要なのは、患者さまが現在服用しているすべての薬剤(市販薬、サプリメント含む)を医師に正確に伝えることです。これにより、安全かつ効果的な併用治療計画を立てることができます。オンライン診療の際も、お薬手帳などを活用して、服用中の薬剤を正確に把握するよう努めています。ニキビ治療の最新情報についても、患者さまのニーズに合わせて情報提供を行っています。まとめ
漢方薬によるニキビ治療は、体の内側から体質を改善し、ニキビの根本原因にアプローチすることを目的とした治療法です。桂枝茯苓丸、十味敗毒湯、清上防風湯など、様々な漢方薬が患者さまの体質や症状に応じて使い分けられます。血行促進、炎症抑制、解毒、ホルモンバランス調整など、多角的な効果が期待できる一方で、効果発現に時間がかかることや、専門医による診断が必要であること、副作用のリスクがあることなどの注意点も存在します。漢方薬と西洋薬の併用も可能ですが、必ず医師の指導のもと慎重に行う必要があります。ニキビ治療においては、漢方薬の服用だけでなく、適切な生活習慣の見直しも非常に重要です。漢方薬治療を検討される場合は、自己判断せずに、漢方に詳しい医療機関を受診し、ご自身の体質に合った最適な治療法を見つけることが大切です。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
