乾癬(かんせん)の原因と治療

乾癬(かんせん)|症状・原因・治療

CONDITION GUIDE

乾癬(かんせん)の原因・症状・治療皮疹・関節症状・治療選択を皮膚科医が解説

赤い盛り上がりと銀白色の鱗屑、乾癬性関節炎、外用・光線・内服・生物学的製剤の選び方、急いで受診する症状を整理します。

尋常性乾癬・関節症状外用・光線・全身療法学会資料・PubMed参照最終更新日: 2026-08-04
皮疹境界明瞭な紅斑に銀白色の鱗屑が重なり、頭皮・肘・膝・腰などに現れます。
全身関節症状、爪病変、体重・血圧・血糖・脂質なども確認します。
治療外用、光線、内服、生物学的製剤を重症度・部位・合併症から選びます。
受診目安発熱を伴う膿疱、全身の急な赤み、強い関節痛は早急に相談します。
受診目安発熱・悪寒を伴う膿疱、全身の急な赤みと落屑、脱水、歩けないほどの関節痛、眼痛・視力変化がある場合は早急に医療機関へ相談してください。
肘の乾癬らしい赤い鱗屑性皮疹を確認する成人男性
肘の乾癬らしい皮疹を確認し、皮膚科受診を考える成人男性
📋 この記事のポイント
  • ✓ 乾癬は皮膚の細胞が過剰に増殖し、炎症を伴う慢性的な病気で、遺伝的要因や免疫異常が関与します。
  • ✓ 治療法は外用薬から生物学的製剤まで多岐にわたり、症状の重症度や患者さんの状態に合わせて選択されます。
  • ✓ 乾癬は全身疾患であり、生活習慣の改善や合併症への注意も治療の重要な一部です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
皮疹に気づいてから治療を選ぶまでの判断順

緊急性、皮疹、鑑別、関節、全身状態、重症度、安全性、生活負担の順に確認します。

  1. 緊急性発熱を伴う膿疱、全身の赤み、脱水、強い関節痛を確認します。
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  2. 皮疹紅斑、鱗屑、部位、範囲、爪・頭皮の症状を確認します。
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  3. 鑑別湿疹、白癬、脂漏性皮膚炎、薬疹などと区別します。
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  4. 関節朝のこわばり、指趾の腫れ、かかと・腰の痛みを確認します。
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  5. 全身体重、血圧、血糖、脂質、眼症状、気分への影響を確認します。
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  6. 重症度面積、部位、症状、生活への影響を合わせて評価します。
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  7. 安全性既往歴、感染症、妊娠希望、併用薬、必要な検査を確認します。
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  8. 継続性通院、塗布、検査、自己注射、費用を比較して選びます。
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乾癬の基礎知識とは?原因と症状を詳しく解説

乾癬(かんせん)は、皮膚の細胞が異常な速さで増殖し、炎症を伴う慢性的な皮膚疾患です。日本国内では約50万人以上の患者さんがいると推定されており、年齢や性別に関わらず発症する可能性があります。

乾癬とはどのような病気ですか?

乾癬は、皮膚で免疫反応が持続し、表皮細胞の増殖と炎症が進む免疫介在性の慢性炎症性疾患です。境界明瞭な紅斑と銀白色の鱗屑が代表的ですが、経過、部位、病型には個人差があります[1][2]。単純に一つの原因だけで起こる病気ではありません。

乾癬
皮膚の細胞が過剰に増殖し、炎症を伴う慢性的な自己免疫疾患。紅斑、鱗屑、かゆみなどが主な症状。

乾癬の主な種類と症状

乾癬にはいくつかの病型があり、それぞれ症状の現れ方が異なります。最も一般的なのは尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)です。

  • 尋常性乾癬(Plaque Psoriasis):最も多く見られるタイプで、皮膚に境界がはっきりした赤い盛り上がり(紅斑)ができ、その表面に銀白色のフケのようなものが付着します。かゆみを伴うことも多く、肘、膝、頭部、腰部など摩擦を受けやすい部位に好発します[2]
  • 滴状乾癬(Guttate Psoriasis):小さな水滴のような紅斑が全身に多発するタイプです。扁桃炎などの感染症をきっかけに発症することがあります。
  • 膿疱性乾癬(Pustular Psoriasis):紅斑の上に無菌性の膿疱(うみ)が多数できる重症型です。発熱や倦怠感を伴うこともあり、全身型の場合は入院治療が必要になることもあります。
  • 乾癬性紅皮症(Erythrodermic Psoriasis):全身の90%以上の皮膚が赤くなり、落屑(らくせつ:皮膚がはがれ落ちること)を伴う重症型です。体温調節機能の異常や脱水症状を引き起こすこともあります。
  • 関節症性乾癬(Psoriatic Arthritis):皮膚症状に加えて、関節の痛みや腫れ、変形を伴うタイプです。乾癬患者さんの約10〜30%に合併するとされています[1]

乾癬の皮疹を見分けるポイント

尋常性乾癬では、赤く盛り上がった境界明瞭な局面の表面に、銀白色の細かな鱗屑が付着します。肘、膝、頭皮、腰・臀部、すねなどに左右対称にみられることがあり、爪の点状陥凹、爪の浮き、厚みを伴う場合もあります。

成人の肘にみられる境界明瞭な紅斑と銀白色の鱗屑
乾癬の症状の一例です。見た目だけでは診断できず、白癬や湿疹などとの鑑別が必要です。
  • 色・境界:周囲との境界が比較的はっきりした紅斑です。
  • 表面:乾いた銀白色の鱗屑が重なり、衣服へ落ちることがあります。
  • 症状:かゆみ、ひりつき、亀裂による痛みを伴う場合があります。
  • 部位:頭皮、肘、膝、腰、臀部、へそ、耳、爪などを確認します。

頭皮だけ、爪だけ、皮膚がこすれる部位だけに症状が出ることもあります。画像の見た目だけでは、脂漏性皮膚炎、白癬、湿疹などと区別できません。経過と全身の診察を合わせて判断します。

当日・早期の受診を考える症状

全身に膿疱が広がり、発熱、悪寒、強い倦怠感がある場合や、皮膚の大部分が急に赤くなり、むくみ、脱水、体温調節の異常がある場合は、早急な医療評価が必要です。

目の充血や痛み、急な視力変化、強い関節痛・腫れで歩けない、胸痛、息苦しさがある場合も、皮膚症状だけとして様子を見ず、救急・眼科・整形外科・内科を含む適切な医療機関へ相談してください。

新しい薬を始めた後に全身へ発疹が広がった場合は薬疹との区別が必要です。処方薬を自己中断せず、開始日と薬剤名を確認して処方医へ連絡します。

湿疹・白癬・脂漏性皮膚炎などとの違い

湿疹はかゆみ、じゅくじゅく、細かな水疱を伴うことがあり、白癬は輪状に広がる紅斑や辺縁の鱗屑が手掛かりです。頭皮では脂漏性皮膚炎、体幹ではばら色粃糠疹、薬疹、扁平苔癬なども似ることがあります。

白癬を乾癬と誤ってステロイド外用薬だけで治療すると悪化することがあります。必要に応じて鱗屑を採取して顕微鏡で真菌を調べます。典型的でない場合や治療反応が乏しい場合は、皮膚生検で病理組織を確認することがあります。

手のひら・足の裏の膿疱は掌蹠膿疱症、急に全身へ膿疱が出る場合は薬剤による急性汎発性発疹性膿疱症などとの鑑別が必要です。膿疱を自分でつぶさず、発熱などの全身症状を伝えてください。

皮膚科での診断・重症度評価

診察では皮疹の形、鱗屑、分布、頭皮・爪・外陰部など見えにくい部位、かゆみ・痛み、発症時期、過去の治療を確認します。家族歴、扁桃炎などの感染、ストレス、喫煙・飲酒、体重、使用中の薬も整理します。

皮膚科医が成人男性の肘の乾癬らしい皮疹を診察する場面
皮疹の形、鱗屑、範囲、爪・関節症状、治療歴を確認して治療方針を相談します。

重症度は皮疹の面積だけでなく、赤み・厚み・鱗屑、頭皮・顔・手足・外陰部など生活へ影響しやすい部位、睡眠や仕事への支障を含めて評価します。PASI、BSA、DLQIなどの指標を用いる場合があります。

関節痛、朝のこわばり、指趾全体の腫れ、かかとの痛み、腰背部痛、爪病変を確認し、乾癬性関節炎が疑われる場合は画像検査や血液検査、リウマチ科・整形外科との連携を検討します[公2]

乾癬の主な原因は何ですか?

乾癬の発症メカニズムは複雑ですが、主に以下の要因が複合的に関与していると考えられています。

  • 遺伝的要因:乾癬は遺伝する病気ではありませんが、体質として乾癬になりやすい遺伝的素因があることが知られています。家族に乾癬の人がいる場合、発症リスクがやや高まるとされています[2]。問診の際に患者さまの家族歴を詳しく伺うようにしています。
  • 家族歴は診断の手掛かりの一つですが、家族に乾癬がいても必ず発症するわけではなく、家族歴がなくても発症します。遺伝だけを原因と決めつけず、皮疹、経過、誘因を合わせて評価します。
  • 免疫異常:乾癬は自己免疫疾患の一つと考えられています。免疫細胞であるT細胞が活性化し、サイトカインと呼ばれる炎症性物質を過剰に産生することで、皮膚の細胞増殖が促進され、炎症が引き起こされます[1]
  • 環境要因・生活習慣:
    • ストレス:精神的ストレスは乾癬の症状を悪化させる要因の一つとして知られています[3]。「仕事のストレスが溜まると症状が悪化する」とおっしゃる患者さまも少なくありません。
    • 肥満・メタボリックシンドローム:肥満や糖尿病、高血圧などのメタボリックシンドロームは乾癬の発症リスクを高め、症状を悪化させることが報告されています[4]
    • 喫煙・飲酒:喫煙や過度な飲酒も乾癬の悪化因子となることがあります。
    • 感染症:扁桃炎などの細菌感染症が滴状乾癬の引き金となることがあります。
    • 薬剤:一部の薬剤(β遮断薬、リチウム製剤など)が乾癬を誘発したり、悪化させたりすることがあります。
  • 患者さまの表現は当院の非集計の診療経験です。ストレスと悪化の関連には個人差があり、本人の責任を示すものではありません。皮疹の悪化時は感染症、薬剤、治療中断など他の要因も確認します。

これらの要因が複雑に絡み合い、乾癬の発症や悪化につながると考えられています。当院では、初診時に患者さまの生活習慣や既往歴、服用中の薬剤について詳しく確認し、個々の患者さまに合わせた治療計画を立てるようにしています。

治療計画は皮疹の範囲と部位、関節症状、既往歴、検査結果、妊娠希望、通院負担、費用を踏まえて相談します。個別に計画することは、特定の治療結果を保証する意味ではありません。

乾癬性関節炎を見逃さないための確認

乾癬性関節炎では、指・膝・足首などの痛みと腫れ、朝のこわばり、指や足趾全体が腫れる指趾炎、アキレス腱付着部の痛み、腰背部痛などがみられます。皮疹が軽くても関節症状が進む場合があります。

関節の炎症が続くと不可逆的な変形・破壊につながる可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です[公2][8]。関節痛を年齢や使い過ぎだけと決めつけず、爪の変化や乾癬の経過と一緒に伝えてください。

皮膚症状と関節症状で適した薬が異なることがあります。皮膚科、リウマチ科、整形外科が情報を共有し、活動性、画像所見、合併症、妊娠希望を踏まえて治療を選びます。

体重・血圧・血糖・脂質など全身状態の確認

乾癬は皮膚だけでなく、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心血管疾患、炎症性腸疾患、ぶどう膜炎、気分の落ち込みなどとの関連が報告されています[4][9]。関連があることは、乾癬が直接すべての病気を起こすという意味ではありません。

血圧、体重、腹囲、健診の血糖・脂質・肝機能、喫煙、睡眠を確認し、必要に応じて内科受診を勧めます。皮膚の治療だけで全身リスクがなくなるとは限らないため、かかりつけ医と定期的に管理します。

外見や鱗屑への周囲の反応が、仕事、学校、対人関係、入浴、服装へ影響することがあります。乾癬は感染症ではなく人へうつりません。生活への負担や気分の落ち込みも診察で相談してください。

鱗屑を剥がす・こする・薬を急にやめる行動を避ける

鱗屑を爪やブラシで無理に剥がすと、出血、痛み、炎症、刺激を受けた場所に新しい皮疹が出るケブネル現象につながることがあります。熱い湯、強いナイロンタオル、刺激の強いスクラブも避けます。

市販薬、民間療法、サプリメントだけで治療を置き換えないでください。顔や陰部へ体用の強いステロイドを塗る、内服薬や生物学的製剤を自己判断で中断する、感染症状があるのに次回まで待つ行為は副作用や再燃の評価を難しくします。

急な悪化時は、使った薬、塗布量、飲み忘れ、発熱・咽頭痛、最近始めた薬、強い日焼け、睡眠やストレスの変化を記録します。原因を一つに決めつけず、治療反応と安全性を診察で確認します。

乾癬の治療法とは?最新の治療選択肢と注意点

乾癬の治療は、症状の重症度、病型、患者さんのライフスタイルなどを考慮し、様々な選択肢の中から最適なものが選ばれます。完治が難しい慢性疾患であるため、症状をコントロールし、日常生活の質を維持することが治療の目標となります。

乾癬の治療目標と治療選択肢

乾癬の治療目標は、皮膚症状の改善、かゆみや痛みの軽減、関節症状の抑制、そして患者さんのQOL(生活の質)の向上です。治療は大きく分けて、外用療法、光線療法、内服療法、生物学的製剤の4つがあります。

治療法主な特徴適用される症状
外用療法ステロイド、活性型ビタミンD3製剤など。局所的な症状に直接作用。軽症〜中等症の尋常性乾癬
光線療法紫外線(UVA、UVB)を照射し、免疫反応を抑制。中等症の尋常性乾癬、難治性の乾癬
内服療法免疫抑制剤、レチノイドなど。全身に作用。中等症〜重症の乾癬、関節症性乾癬
生物学的製剤特定の炎症性サイトカインを標的とする注射薬。重症の乾癬、既存治療で効果不十分な場合

具体的な治療法とその効果

外用療法

軽症の乾癬の第一選択となる治療法です。当院では、症状の部位や程度に応じて適切な外用薬を処方しています。

外用薬の種類、強さ、塗布量、期間は、顔・頭・体・皮膚の薄い部位などで異なります。自己判断で増減・中断せず、刺激、皮膚萎縮、毛包炎などがある場合は処方医へ相談してください。

  • ステロイド外用薬:皮膚の炎症を抑え、細胞の過剰な増殖を抑制します。強さのランクがあり、症状や部位によって使い分けます[5]。長期使用による副作用(皮膚萎縮、毛細血管拡張など)に注意が必要です。
  • 活性型ビタミンD3外用薬:皮膚細胞の異常な増殖を抑え、正常な分化を促します。ステロイドと併用することで、より高い効果が期待できることがあります[6]
  • これらの配合剤:ステロイドと活性型ビタミンD3を組み合わせた外用薬もあり、効果と利便性を両立させることが可能です。

処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。治療を始めて数ヶ月ほどで「赤みが引いてかゆみが楽になった」とおっしゃる方が多いです。

ここでの患者さまの表現と「多い」は当院の非集計の診療経験であり、改善率や標準的な治療期間を示すものではありません。反応は病型、重症度、薬剤、塗り方、併存症で異なり、数か月で同じ改善が得られることを保証しません。

光線療法

特定の波長の紫外線を皮膚に照射することで、免疫反応を抑制し、皮膚の炎症を抑える治療法です。当院では、全身型や部分型の光線療法に対応しており、患者さんの症状範囲に合わせて選択します。

光線療法は皮疹の範囲、肌質、既往の光線治療、光線過敏を起こす薬、皮膚がん歴などを確認して医師が適応と照射量を判断します。機器や実施枠は受診時に確認してください。

  • ナローバンドUVB療法:乾癬の治療に最も広く用いられている光線療法です。特定の波長(311nm)のUVBを照射することで、副作用を抑えつつ高い治療効果が期待できます。
  • PUVA療法:光増感剤(ソラレン)を内服または外用した後にUVAを照射する治療法です。ナローバンドUVBよりも効果が高い場合もありますが、光増感剤による副作用(吐き気、光線過敏症など)に注意が必要です。

週に数回の通院が必要となるため、患者さまのライフスタイルに合わせて治療計画を調整することが重要です。診察の中で「通院は大変だけど、症状が落ち着くから頑張れる」というお声をよく聞きます。

この患者さまの表現は当院の非集計の診療経験です。通院頻度と期間、効果、副作用は照射法と皮疹で異なります。生活に無理のない頻度を相談し、通院継続だけで改善を保証するものではありません。

内服療法

中等症から重症の乾癬や、光線療法で効果が得られない場合に選択されます。全身に作用するため、定期的な血液検査などで副作用のモニタリングが必要です。

  • 免疫抑制剤(シクロスポリン、メトトレキサートなど):免疫系の過剰な働きを抑えることで、皮膚の炎症や細胞増殖を抑制します。
  • レチノイド(エトレチナート):ビタミンA誘導体で、皮膚細胞の異常な増殖を抑え、正常な分化を促します。
  • PDE4阻害薬(アプレミラスト):細胞内の炎症性物質の産生を抑制することで、乾癬の症状を改善します。

生物学的製剤

近年、乾癬治療の選択肢として注目されているのが生物学的製剤です。これは、乾癬の発症に関わる特定の炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-12/23、IL-17など)の働きをピンポイントで阻害することで、高い治療効果が期待できます[2]。注射による投与が一般的です。

  • TNF-α阻害薬:乾癬の炎症を引き起こす主要なサイトカインであるTNF-αの働きを阻害します。
  • IL-12/23阻害薬:IL-12とIL-23という2つのサイトカインの働きを阻害し、免疫反応を抑制します。
  • IL-17阻害薬:IL-17というサイトカインの働きを阻害することで、皮膚の炎症や細胞増殖を強力に抑制します。

生物学的製剤は非常に効果が高い一方で、費用が高額であることや、感染症のリスクが増加するなどの注意点もあります。当院では、患者さまの症状の重症度、既存治療の効果、合併症の有無などを総合的に判断し、生物学的製剤の適応を慎重に検討しています。治療を開始された患者さまからは「長年悩んでいた症状が劇的に改善した」という喜びの声を多くいただいています。

患者さまの表現と「多く」は当院の非集計の診療経験であり、全員に同じ改善を保証するものではありません。生物学的製剤は日本皮膚科学会のガイダンスに沿い、適応、結核・肝炎などの感染症スクリーニング、合併症、妊娠希望、費用、施設要件を確認して導入します。

⚠️ 注意点

乾癬の治療は長期にわたることが多く、自己判断で治療を中断すると症状が悪化する可能性があります。必ず医師の指示に従い、定期的な受診を継続することが重要です。

外用療法の塗り方と注意点

外用療法では、ステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬、両者の配合剤などを、部位、厚み、範囲、年齢、既往歴に応じて選びます[7]。頭皮ではローションやフォームなど、塗りやすい剤形を選ぶことがあります。

塗る量と範囲が不足すると十分な評価ができず、多すぎる・長すぎる使用は副作用につながります。何本を何日で使うか、正常に見える皮膚へどこまで塗るか、改善後の減らし方を確認してください。

顔・首・皮膚の薄い部位では薬の選択が異なります。刺激、赤み、毛包炎、皮膚萎縮などが出た場合は自己判断で別の薬を重ねず、処方医へ相談します。

ナローバンドUVB・部分照射などの光線療法

光線療法は、ナローバンドUVBやエキシマライトなどを用い、皮疹の範囲と部位に応じて全身または部分的に照射します。外用療法で不十分な場合や、内服薬を避けたい状況などで検討されます[10]

照射前に皮膚がん歴、光線過敏症、日焼け、光線過敏を起こす薬を確認します。赤み、ひりつき、やけど、色素変化が起こる可能性があり、照射量を段階的に調整します。家庭用機器や日光浴を医療照射の代わりにしないでください。

通院回数が負担になる場合は、仕事や学校と両立できる頻度、外用・内服との組み合わせ、評価時期を相談します。照射回数が多いほど必ず良い結果になるわけではありません。

内服療法・分子標的薬の選択

中等症から重症、生活への影響が大きい場合、関節症状がある場合は、シクロスポリン、エトレチナート、アプレミラスト、メトトレキサート、TYK2阻害薬などを病型と適応に応じて検討します。薬ごとに作用、禁忌、妊娠・授乳への注意、必要な検査が異なります。

JAK1阻害薬とTYK2阻害薬は適応疾患と安全管理が同じではありません。日本皮膚科学会の使用ガイダンス、最新の電子添文、患者向け資材を確認し、感染症、血栓症、悪性腫瘍、心血管リスクなど薬ごとの注意点を踏まえます[公4]

定期採血、血圧、腎機能・肝機能、脂質などの確認が必要な薬があります。市販薬やサプリメントを含む併用薬を伝え、発熱、咳、帯状疱疹を疑う痛み・水疱などがある場合は早めに相談してください。

生物学的製剤の適応・導入前検査・施設連携

生物学的製剤はTNF、IL-17、IL-23、IL-12/23など乾癬の炎症に関わる分子を標的とする注射薬です。既存の全身療法や光線療法で十分な効果が得られない場合、難治性皮疹や関節症状でQOLが大きく損なわれる場合などに検討されます[公1]

導入前に結核、B型肝炎・C型肝炎、重い感染症、悪性腫瘍の既往、心不全、炎症性腸疾患、妊娠希望、ワクチン予定などを確認します。治療中も感染症と副作用のモニタリングが必要です。発熱や咳があるときは次の注射を自己判断せず、担当医へ連絡します。

薬剤選択は皮膚・関節の活動性、合併症、注射間隔、通院、自己注射の可否、費用を比較します。日本では日本皮膚科学会の承認施設または連携体制のもとで使用される薬があり、受診先で導入・維持の体制を確認します。

皮疹・関節・生活への影響から治療を選ぶ

治療は皮疹の面積だけで決めません。顔、頭皮、手足、爪、外陰部など生活へ影響しやすい部位、かゆみ・痛み、睡眠、仕事、関節症状、過去の治療反応を整理します。

  • 限局した皮疹:外用療法を中心に、塗り方と維持方法を確認します。
  • 広範囲・難治部位:光線療法、内服療法、分子標的薬を比較します。
  • 関節症状:関節破壊を防ぐ観点から早期に専門科連携を検討します。
  • 合併症・妊娠希望:禁忌や将来計画を踏まえて薬を選びます。

短期的な皮疹改善だけでなく、安全に続けられるか、検査と通院の負担、自己注射、費用、高額療養費制度の対象などを確認し、治療目標と評価時期を共有します。

治療開始後の評価と安全確認

外用薬では塗布量と副作用、光線療法では照射反応、内服薬・生物学的製剤では採血や感染症状を確認します。皮疹、関節痛、爪、かゆみ、睡眠、生活への支障を同じ条件で記録すると治療反応を比較しやすくなります。

十分な期間・用量で行えているかを確認してから、継続、追加、切り替えを判断します。効かないと感じても、急に中止すると再燃する薬があります。反対に副作用が疑われる場合は、次回予約を待たず連絡が必要です。

症状が落ち着いた後も再燃予防の維持治療を行う場合があります。治療目標、減量・休薬の条件、感染時や手術・ワクチン時の対応をあらかじめ確認してください。

治療反応を評価するときは、赤みや鱗屑だけでなく、かゆみ、痛み、爪の変化、朝のこわばり、睡眠、仕事や学校への影響も確認します。皮疹の面積が小さくても、手足、顔、頭皮、外陰部、爪は生活への負担が大きいことがあります。治療後の写真と薬の使用記録を組み合わせ、症状と生活両方の目標を共有します。

発熱、長引く咳、強い倦怠感、帯状疱疹を疑う痛みや水疱、急な息苦しさ、強い下痢などが出た場合は、使用中の薬剤名と最終使用日を伝えて担当医に連絡します。検査値が変化した場合も、乾癬治療薬だけが原因とは限らないため、併用薬、サプリメント、感染症、飲酒、他の持病を含めて確認します。

生活習慣の改善とセルフケア

乾癬の治療効果を高め、再発を予防するためには、日々の生活習慣の改善も非常に重要です。

  • 保湿:皮膚の乾燥は症状を悪化させるため、保湿剤をこまめに塗布し、皮膚のバリア機能を保つことが大切です。
  • ストレス管理:ストレスは乾癬の悪化因子となるため、適度な運動、十分な睡眠、趣味などでストレスを解消する工夫が必要です。
  • 食生活:バランスの取れた食事を心がけ、肥満の解消や予防に努めることが推奨されます。特に、炎症を抑える働きがあると言われるオメガ3脂肪酸を意識的に摂取することも良いでしょう。
  • 禁煙・節酒:喫煙や過度な飲酒は症状を悪化させる可能性があるため、控えることが望ましいです。

当院では、薬物治療と並行して、患者さま一人ひとりの生活習慣について丁寧にヒアリングし、無理のない範囲での改善策を提案しています。患者さまが主体的に治療に取り組めるよう、きめ細やかなサポートを心がけています。

生活習慣の確認は治療を支えるために行い、乾癬を本人の努力不足とみなすものではありません。保湿、禁煙、節酒、体重・血圧・血糖管理は全身の健康にも重要ですが、皮疹の再燃を必ず防ぐものではありません。

受診前に整理しておくこと

皮疹が始まった時期、最初の部位、悪化しやすい季節、かゆみ・痛み、頭皮・爪・外陰部の症状、関節痛と朝のこわばり、発熱・扁桃炎、家族歴を整理します。使用した薬の名前、塗る量、期間、効果、副作用も記録します。

服用中の薬、サプリメント、妊娠・授乳・妊娠希望、結核や肝炎、感染症、心血管疾患、炎症性腸疾患、悪性腫瘍の既往、ワクチン予定を伝えます。皮疹の写真は同じ照明と距離で撮ると経過の比較に役立ちます。

関節症状は、どの関節が、いつから、朝に何分ほどこわばるか、腫れや熱感があるかをメモします。皮疹の悪化と関節痛が同時とは限らないため、皮膚症状が軽くても関節の訴えは省かず伝えてください。既往の検査結果、お薬手帳、健診の血圧・血糖・脂質の結果があれば、治療の安全性を判断する参考になります。

薬は現物または容器の写真を用意し、朝夕のどちらに、どの部位へ、どの程度塗れたかも伝えます。同じ薬でも塗布量や使用部位で評価が変わるため、効果だけでなく、べたつき、刺激、塗りにくさ、忘れやすい時間帯も相談してください。

オンライン診療でも医師の診察が必要です。初めての皮疹の診断、真菌検査・皮膚生検、重症度評価、関節症状、発熱を伴う膿疱、全身の急な赤み、治療導入前検査は対面で確認します。症状や治療内容に応じて対面受診をご案内します。

まとめ

乾癬は、遺伝的要因や免疫異常、生活習慣などが複雑に絡み合って発症する慢性的な皮膚疾患です。皮膚の細胞が過剰に増殖し、赤みやフケのような症状が現れるのが特徴で、関節炎やメタボリックシンドロームなどの合併症にも注意が必要です。治療法は外用薬、光線療法、内服薬、そして近年進歩が著しい生物学的製剤まで多岐にわたります。症状の重症度や患者さんの状態に合わせて最適な治療法を選択し、継続することが重要です。また、日々の保湿ケアやストレス管理、バランスの取れた食生活などの生活習慣の改善も、治療効果を高め、症状の再燃を防ぐ上で欠かせません。乾癬は長期的な管理が必要な病気ですが、適切な治療とセルフケアにより、症状をコントロールし、日常生活の質を維持することが可能です。気になる症状がある場合は、早めに皮膚科専門医に相談し、診断と治療を受けることをお勧めします。

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オンライン診療でも医師の診察が必要です。症状が安定し、診察のうえで継続が適切と判断された対象薬に限り処方を検討します。初めての皮疹、発熱を伴う膿疱、全身の急な赤み、強い関節症状、感染症状、検査や治療変更が必要な場合は対面受診をご案内します。

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よくある質問(FAQ)

乾癬は人にうつりますか?
乾癬は感染症ではないため、人から人へうつることはありません。患者さんの皮膚に触れたり、同じお風呂に入ったりしても感染する心配はありませんのでご安心ください。
乾癬の治療は保険適用されますか?
はい、乾癬の治療はほとんどの場合、保険適用となります。外用薬、光線療法、内服薬、生物学的製剤など、多くの治療法が公的医療保険の対象です。ただし、治療内容によっては高額になる場合もあるため、医療費助成制度の利用も検討できます。詳細は医師や医療機関の窓口にご相談ください。
乾癬は完治しますか?
乾癬は現在のところ、完全に完治させる治療法は見つかっていません。しかし、適切な治療を継続することで、症状を良好にコントロールし、ほとんど症状がない状態を維持することは十分に可能です。治療目標は症状の改善と再燃の予防、そして日常生活の質の向上にあります。
乾癬とアトピー性皮膚炎は同じ病気ですか?
乾癬とアトピー性皮膚炎はどちらも慢性的な皮膚の炎症性疾患ですが、原因や病態は異なります。乾癬は免疫異常による皮膚細胞の過剰増殖が主な原因であるのに対し、アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能障害やアレルギー反応が主な原因とされています。症状も似ている部分がありますが、専門医による正確な診断が重要です。
乾癬で関節が痛むときは何科を受診しますか?
まず皮膚科で乾癬の経過と関節症状を共有し、必要に応じてリウマチ科・整形外科と連携します。朝のこわばり、指趾全体の腫れ、かかとの痛み、腰背部痛がある場合は早めに相談してください。
乾癬の鱗屑は剥がしてもよいですか?
無理に剥がすと出血、痛み、炎症を起こすことがあります。入浴後にこすらず保湿し、外用薬の塗り方を確認してください。厚い鱗屑への治療は医師へ相談します。
生物学的製剤は誰でも使えますか?
重症度、既存治療への反応、関節症状、感染症・合併症、妊娠希望、費用、施設要件などを確認して適応を判断します。結核・肝炎などの検査と治療中のモニタリングが必要です。
乾癬の治療中にワクチンを受けられますか?
薬剤とワクチンの種類で対応が異なります。特に免疫へ作用する内服薬・生物学的製剤では、生ワクチンを避ける必要がある場合があります。接種前に担当医へ薬剤名と予定を確認してください。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長