疥癬(かいせん)の症状と治療

【疥癬(かいせん)の症状と治療】|疥癬の症状と治療法|専門医が解説する対策

疥癬の症状と治療法|専門医が解説する対策

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • ✓ 疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生することで発症し、強いかゆみと特徴的な皮疹を伴います。
  • ✓ 診断には皮膚検査が重要で、治療は外用薬や内服薬を適切に組み合わせる必要があります。
  • ✓ 家族や周囲への感染拡大を防ぐため、同時治療と環境整備が不可欠です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

疥癬の基礎知識と治療

疥癬による皮膚の赤みや発疹、激しいかゆみを伴う典型的な症状
疥癬の皮膚症状と治療薬

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニという小さなダニが皮膚に寄生することで引き起こされる皮膚疾患です。強いかゆみを伴い、適切な診断と治療が重要となります。

疥癬とは?原因となるヒゼンダニの生態

疥癬は、ヒトヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)が皮膚の角質層にトンネルを掘って寄生し、産卵することで発症する感染症です[1]。このダニは体長0.2〜0.4mmと非常に小さく、肉眼で確認することは困難です。主に皮膚と皮膚の直接的な接触によって人から人へ感染しますが、寝具や衣類を介して間接的に感染することもあります。特に、高齢者施設や病院などの集団生活の場で感染が広がりやすい傾向があります。当院の問診では、患者さまの家族構成や同居者の有無、最近の旅行歴や集団生活の場での活動について詳しく伺うようにしています。これは、感染源の特定や周囲への感染拡大リスクを評価するために不可欠な情報だからです。

ヒゼンダニ
疥癬の原因となるダニの一種。皮膚の角質層に寄生し、トンネルを掘って卵を産み増殖します。夜間に活動が活発になり、強いかゆみを引き起こします。

疥癬の主な症状と特徴的な皮疹は?

疥癬の主な症状は、激しいかゆみと特徴的な皮疹です。かゆみは特に夜間、体が温まった時に強くなる傾向があります。これは、ヒゼンダニが夜間に活動を活発化させるためと考えられています。初診時に「夜中に体が温まると、かゆくて眠れない」と相談される患者さまも少なくありません。皮疹は主に以下の部位に現れやすいです。

  • 指の間
  • 手首の内側
  • 脇の下
  • へそ周り
  • 陰部
  • 乳首

特徴的な皮疹としては、ダニが掘ったトンネルの跡である「疥癬トンネル」や、赤いブツブツとした丘疹、結節が見られます。特に高齢者や免疫力が低下している方では、ダニの数が非常に多くなる「角化型疥癬(ノルウェー疥癬)」を発症することがあり、全身の皮膚が厚くなり、フケのようにボロボロと剥がれ落ちる状態になります。このタイプは感染力が非常に強いため、早期の診断と治療、そして厳重な感染対策が求められます[4]

疥癬の診断方法は?

疥癬の診断は、症状の問診と皮膚の視診、そして皮膚検査によって行われます。問診では、かゆみの特徴(夜間の増悪など)や、家族・周囲の感染状況を確認します。視診では、前述の疥癬トンネルや丘疹、結節などの特徴的な皮疹を探します。特に疥癬トンネルは診断に非常に有用な所見です。

確定診断のためには、皮膚の一部を採取して顕微鏡でヒゼンダニやその卵、糞便を確認する皮膚検査が不可欠です。当院では、疑わしい病変部からメスなどで角質を少量採取し、顕微鏡で観察する検査を積極的に行っています。この検査は痛みも少なく、その場でダニを確認できれば、患者さまも納得して治療に取り組んでいただけます。ただし、ダニの数が少ない場合や、すでに治療を開始している場合は検出が難しいこともあります。国際的なガイドラインでも、皮膚病変からのダニの検出が診断のゴールドスタンダードとされています[1]

疥癬の治療法と使用される薬剤の種類

疥癬の治療は、主に外用薬と内服薬を組み合わせて行われます。治療の目標は、皮膚に寄生しているヒゼンダニを完全に駆除することです[2]

外用薬

外用薬は、ヒゼンダニに直接作用して駆除する薬剤です。日本では主に以下の薬剤が使われます。

  • フェノトリンローション(スミスリンローション®): ピレスロイド系の殺虫剤で、ヒゼンダニの神経系に作用します。首から下の全身に塗布し、一定時間後に洗い流すという方法を、数日間隔で複数回繰り返します。
  • イオウ製剤: 硫黄の殺ダニ作用を利用したもので、古くから使われています。刺激が強いため、使用部位や濃度には注意が必要です。

外用薬は、指示された通りに全身に塗布することが非常に重要です。当院では、患者さまに塗布方法を具体的に説明し、特に見落としやすい部位(指の間、脇の下、お尻の割れ目など)を丁寧に塗るよう指導しています。治療を始めて1ヶ月ほどで「かゆみが落ち着いてきた」とおっしゃる方が多いですが、ダニの卵から孵化する期間を考慮し、指示された期間は確実に塗布を継続することが大切です。

内服薬

内服薬は、外用薬での治療が難しい場合や、角化型疥癬のようにダニの数が非常に多い場合に選択されます。

  • イベルメクチン(ストロメクトール®): ヒゼンダニの神経伝達を阻害することで駆除します。体重に応じて用量が決定され、通常は1回服用後、1週間から2週間後に再度服用します。

イベルメクチンは高い駆除効果が期待できますが、肝機能障害などの副作用に注意が必要です。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。特に角化型疥癬の患者さまでは、内服薬と外用薬を併用し、徹底したダニ駆除を目指します。

治療法主な薬剤特徴主な副作用
外用薬フェノトリンローション全身に塗布、複数回使用皮膚刺激、かゆみの一時的な増悪
内服薬イベルメクチン体重に応じた用量、通常2回服用肝機能障害、めまい、吐き気

治療中の注意点と再発防止策は?

疥癬の治療では、患者さん自身の治療だけでなく、同居する家族や周囲への感染拡大を防ぐための対策も重要です。ヒゼンダニは皮膚から離れても2〜3日は生存可能とされており、寝具や衣類を介して感染するリスクがあります。

  • 同時治療: 症状の有無にかかわらず、同居する家族全員が同時に治療を開始することが推奨されます。これにより、感染の連鎖を断ち切ることができます。
  • 環境整備: 寝具や衣類は毎日交換し、50℃以上の熱湯に10分以上浸すか、熱乾燥機にかける、またはアイロンをかけることでダニを駆除できます。洗濯が難しいものは、ビニール袋に入れて数日間密閉しておくことも有効です。
  • かゆみへの対処: 治療開始後も、ダニの死骸や糞便に対するアレルギー反応でかゆみが続くことがあります。かゆみ止め(抗ヒスタミン薬など)を処方することもありますが、かゆみが完全に消失するまでには数週間かかる場合があることを説明し、不安を軽減するように努めています。

治療の失敗例として、薬剤の不適切な使用や、周囲への感染対策が不十分であったケースが報告されています[3]。実際の診療では、患者さまが治療を中断してしまわないよう、治療の重要性と具体的な対策を繰り返し説明し、疑問点がないか確認することが重要なポイントになります。特に介護施設などでの集団感染では、施設全体での徹底した対策が求められます。

⚠️ 注意点

疥癬の治療は、かゆみが治まっても自己判断で中断せず、医師の指示に従って最後まで継続することが重要です。また、家族や密接な接触があった方も同時に検査・治療を受けることで、再感染や感染拡大のリスクを低減できます。

まとめ

疥癬の治療法と予防策をまとめた医療情報コンテンツの概要
疥癬の症状と治療の要点

疥癬はヒゼンダニの寄生によって引き起こされる皮膚疾患で、夜間の強いかゆみと特徴的な皮疹が主な症状です。診断には皮膚検査が不可欠であり、治療はフェノトリンローションなどの外用薬や、イベルメクチンなどの内服薬を用いて行われます。治療の成功には、患者さまご自身の適切な薬剤使用だけでなく、同居家族の同時治療や寝具・衣類の衛生管理といった環境整備が極めて重要です。かゆみがすぐに治まらなくても、医師の指示に従い治療を継続し、再発防止に努めることが大切です。

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よくある質問(FAQ)

疥癬は自然に治りますか?
疥癬は自然に治ることはほとんどありません。ヒゼンダニは放置すると皮膚の中で増殖し続け、症状が悪化する可能性があります。適切な診断を受け、医師の指示に従って治療を行うことが不可欠です。
疥癬の治療後もかゆみが続くのはなぜですか?
治療によってヒゼンダニが駆除されても、ダニの死骸や糞便に対するアレルギー反応が体内に残るため、かゆみが数週間から1ヶ月程度続くことがあります。これは「治療後掻痒(そうよう)」と呼ばれ、通常は徐々に軽快します。症状が強い場合は、かゆみ止めなどで対処しますので、医師にご相談ください。
家族に感染させないための対策はありますか?
家族への感染を防ぐためには、患者さんだけでなく、同居する家族全員が同時に治療を開始することが最も重要です。また、寝具や衣類は毎日交換し、50℃以上の熱湯で洗濯するか、乾燥機にかけるなどの対策も有効です。直接的な皮膚接触を避けることも感染予防に役立ちます。
疥癬はどこで感染することが多いですか?
疥癬は、皮膚と皮膚の直接的な接触が主な感染経路です。特に、介護施設、病院、高齢者施設など、人が密集して生活する場所で集団感染が発生しやすい傾向があります。また、家族内での感染もよく見られます。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長