乙字湯の効果と副作用|皮膚科医が解説
最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
- ✓ 乙字湯は痔核や切れ痔、便秘に伴う症状に用いられる漢方薬です。
- ✓ 炎症を抑え、血行を改善し、排便をスムーズにする効果が期待できます。
- ✓ 体質や症状に合わせた適切な処方が重要であり、副作用にも注意が必要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
乙字湯(オツジトウ)とは?その特徴と適応疾患

- 乙字湯
- 痔核や切れ痔、それに伴う便秘の治療に用いられる漢方薬。血行促進、炎症抑制、排便改善などの作用を持つ生薬が配合されています。
- 痔核(いぼ痔)の痛み、腫れ、出血
- 切れ痔(裂肛)の痛み、出血
- 便秘に伴う肛門周囲の不快感
- 肛門周囲の湿疹や皮膚炎
乙字湯の有効成分と期待される効果
乙字湯は、複数の生薬を組み合わせることで、痔の症状や便秘に対して複合的な効果を発揮します。主要な生薬とその働きについて詳しく見ていきましょう。| 生薬名 | 主な働き | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 当帰(トウキ) | 血行促進、鎮痛、鎮静 | 痔の痛み・腫れの緩和、血行改善 |
| 柴胡(サイコ) | 抗炎症、解熱、鎮痛 | 痔の炎症・腫れの緩和 |
| 大黄(ダイオウ) | 緩下作用、抗炎症 | 便秘の改善、排便をスムーズに |
| 甘草(カンゾウ) | 抗炎症、鎮痛、解毒、他生薬の調和 | 痔の炎症・痛みの緩和、胃腸保護 |
| 黄芩(オウゴン) | 抗炎症、抗菌 | 炎症の抑制 |
| 升麻(ショウマ) | 抗炎症、鎮痛、解毒 | 炎症の抑制、痔核の脱出改善 |
- 炎症の抑制と鎮痛:痔の痛みや腫れを和らげます。
- 血行の改善:患部の血流を良くし、うっ血を解消することで痔核の改善を促します。
- 排便の促進と便通の調整:便を柔らかくし、排便をスムーズにすることで、切れ痔の悪化を防ぎ、痔への負担を軽減します。
乙字湯の用法・用量と服用時の注意点

- 服用方法:水またはぬるま湯で服用してください。顆粒が苦手な場合は、少量の水に溶かして服用することも可能です。
- 服用タイミング:食前(食事の約30分〜1時間前)または食間(食事と食事の間、食後約2時間後)が推奨されます。これは、漢方薬の吸収を良くするためと考えられています。
- 小児への投与:小児への投与は、医師の判断と指導のもと、適切な用量で行われます。
⚠️ 注意点
大黄が含まれているため、下痢を起こしやすい方や妊婦の方は慎重な服用が必要です。また、他の漢方薬や医薬品との併用には注意が必要な場合があるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。
乙字湯の副作用はある?頻度別に解説
乙字湯は一般的に安全性の高い漢方薬ですが、医薬品である以上、副作用が生じる可能性はあります。副作用の症状や頻度を理解し、異変を感じた際には速やかに医療機関に相談することが重要です。重大な副作用
頻度は不明ですが、以下のような重大な副作用が報告されています[3]。- 偽アルドステロン症:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。これは甘草の大量摂取や長期連用によって起こる可能性があります。
- ミオパチー:偽アルドステロン症の進行により、横紋筋融解症へと至ることがあります。
- 肝機能障害、黄疸:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあります。
その他の副作用
比較的頻度は低いですが、以下のような副作用が報告されています[3]。- 消化器症状:食欲不振、胃部不快感、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢など。特に大黄の作用により、下痢や軟便になりやすい方がいます。
- 皮膚症状:発疹、かゆみなど。
乙字湯に関する患者さまからのご質問

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 乙字湯はどれくらいの期間服用すれば効果が出ますか?
A. 効果の現れ方には個人差が大きいですが、当院の経験では、早ければ2週間〜1ヶ月程度で便通の改善や痔の炎症が和らぐのを実感される方が多い印象です。しかし、体質改善や症状の根本的な緩和には、数ヶ月間の継続服用が必要となることもあります。特に慢性的な痔や便秘の場合、焦らずじっくりと服用を続けることが大切です。
Q. 乙字湯と他の便秘薬を併用しても大丈夫ですか?
A. 乙字湯には大黄が含まれており、緩下作用があります。そのため、他の便秘薬と併用すると、下痢がひどくなったり、腹痛が強くなったりする可能性があります。当院では、基本的に乙字湯の効果をまず確認し、それでも便秘が改善しない場合にのみ、他の便秘薬の併用を慎重に検討します。必ず医師や薬剤師に相談し、指示に従ってください。
Q. 妊娠中や授乳中に乙字湯を服用しても良いですか?
A. 乙字湯に含まれる大黄は、子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血を促す可能性があるため、妊娠中の方への投与は原則として避けるべきとされています。特に妊娠初期や切迫流産の兆候がある場合は禁忌です。授乳中の方も、成分が母乳に移行する可能性があるため、服用前に必ず医師に相談してください。当院では、妊娠・授乳中の患者さまには、より安全性の高い他の治療法を優先して提案しています。
Q. 乙字湯は体質によって向き不向きがありますか?
A. はい、漢方薬は体質(証)に合わせて処方されるため、乙字湯にも向き不向きがあります。乙字湯は比較的体力があり、炎症やうっ血が顕著な「実証」の患者さまに合うことが多いとされています。特に、便秘がちで顔色が良い、お腹が張る、痔の出血や痛みが強いといった方に有効性を感じやすいです。一方、胃腸が弱く下痢しやすい方や、冷え性で貧血気味の「虚証」の患者さまには、大黄の作用が強く出すぎてしまう可能性があるため、慎重な判断が必要です。当院では、問診で患者さまの体質を詳細に把握し、最適な漢方薬を選定しています。
Q. 乙字湯を飲んでいる間、食事で気をつけることはありますか?
A. 乙字湯の効果を最大限に引き出し、痔や便秘の症状を悪化させないためには、食生活の見直しも非常に重要です。当院では、食物繊維を豊富に含む野菜や果物、海藻類を積極的に摂るようアドバイスしています。また、十分な水分補給も便を柔らかくするために不可欠です。辛いものやアルコールの過剰摂取は、肛門周囲の血行を悪化させたり、刺激を与えたりする可能性があるため、控えることをお勧めします。
Q. ツムラ以外のメーカーの乙字湯でも効果は同じですか?
A. 乙字湯は複数の製薬会社から販売されており、ツムラ以外にもクラシエやコタローなどがあります。これらは「ジェネリック医薬品」というわけではありませんが、同じ処方に基づいて作られた漢方製剤です。基本的には同様の効果が期待できますが、メーカーによって賦形剤(添加物)や顆粒の味、溶けやすさなどが異なる場合があります。当院では、患者さまの好みに合わせて特定のメーカーを希望される場合もありますが、有効成分の含有量や効果に大きな差はないと考えています。
ジェネリック医薬品について
乙字湯は、ツムラから「ツムラ乙字湯エキス顆粒(医療用)」として販売されていますが、これ以外にも複数の製薬会社から同様の処方に基づく漢方製剤が販売されています。これらは厳密にはジェネリック医薬品とは呼ばれませんが、同じ漢方処方(乙字湯)に基づいて製造されており、有効成分や効果は同等とされています。 例えば、クラシエからは「クラシエ乙字湯エキス顆粒」、コタローからは「コタロー乙字湯エキス細粒」などが提供されています。これらの製品は、使用されている生薬の種類と配合比率は同じですが、製造方法や添加物、顆粒の形状、味などに違いがある場合があります。当院では、患者さまが特定のメーカーの味や服用感に慣れている場合や、アレルギーなどの理由がある場合に、希望に応じて異なるメーカーの製品を処方することもあります。 一般的に、漢方薬は生薬の品質や抽出方法によって効果に差が出ると言われることがありますが、日本の医療用漢方製剤は厳格な品質管理のもとで製造されており、どのメーカーの製品も一定の品質と効果が保証されています。そのため、医師の指示に従って服用すれば、どのメーカーの乙字湯でも期待される効果は得られると考えて良いでしょう。まとめ
乙字湯は、痔核や切れ痔、それに伴う便秘の症状に対して有効性が期待される漢方薬です。当帰、柴胡、大黄、甘草、黄芩、升麻といった生薬の組み合わせにより、炎症を抑え、血行を改善し、排便をスムーズにする作用があります。用法・用量は添付文書に準じ、食前または食間に服用することが推奨されます。重大な副作用として偽アルドステロン症や肝機能障害、その他の副作用として消化器症状や皮膚症状が報告されており、特に大黄による下痢には注意が必要です。妊娠中や授乳中の方、他の薬剤を服用中の方は、必ず医師や薬剤師に相談してください。乙字湯は体質によって向き不向きがあるため、医師の診断のもと、ご自身の症状や体質に合った適切な処方を受けることが大切です。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
