大黄甘草湯

【大黄甘草湯(ツムラ84)の効果と副作用】|皮膚科医が解説

大黄甘草湯(ツムラ84)の効果と副作用|皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • 大黄甘草湯は、便秘や便秘に伴う諸症状、筋肉のけいれん性疼痛に用いられる漢方薬です。
  • ✓ 大黄の緩下作用と甘草の鎮痙作用が特徴で、即効性が期待されることが多いです。
  • ✓ 長期連用や他の薬剤との併用には注意が必要であり、医師の指示に従うことが重要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

大黄甘草湯とはどのような漢方薬ですか?

大黄甘草湯の生薬であるダイオウとカンゾウが並べられた様子。漢方薬の原料。
大黄甘草湯の生薬、ダイオウとカンゾウ
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は、漢方医学で用いられる代表的な処方の一つであり、主に便秘の改善や、便秘に伴う腹部膨満感、頭重、のぼせ、湿疹・皮膚炎、吹き出物、食欲不振、痔などの諸症状、さらには筋肉のけいれん性疼痛に効果を発揮する漢方薬です[1]。この処方は、その名の通り「大黄(だいおう)」と「甘草(かんぞう)」の二種類の生薬から構成されており、比較的シンプルな配合ながらも、その効果は多岐にわたります。 大黄甘草湯は、特に急な便秘や、一時的な便秘に対して即効性を期待して処方されることが多いです。当院の皮膚科外来では、便秘が原因で肌荒れやニキビが悪化している患者さまに対して、腸内環境の改善を目的として処方する機会も少なくありません。特に、便秘によって全身の巡りが滞り、皮膚の炎症が長引いているケースでは、排便を促すことで症状の改善が見られることがあります。

構成生薬とその働き

大黄甘草湯の主成分である大黄と甘草は、それぞれ異なる薬理作用を持ち、互いに補完し合うことで効果を発揮します。
大黄(だいおう)
大黄はタデ科の植物の根茎を乾燥させた生薬で、主にアントラキノン誘導体を含んでいます。この成分が腸内の細菌によって活性化され、大腸の蠕動運動を促進し、排便を促す緩下作用を示します[2]。また、抗炎症作用や抗菌作用も報告されており、便秘に伴う腸内環境の悪化を改善する効果も期待されます。
甘草(かんぞう)
甘草はマメ科の植物の根や根茎を乾燥させた生薬で、グリチルリチン酸などの成分を含んでいます。甘草には、大黄の刺激作用を緩和し、腹痛などの副作用を軽減する作用があります。また、鎮痙作用や抗炎症作用、抗アレルギー作用も知られており、筋肉のけいれん性疼痛の緩和にも寄与します[3]
この二つの生薬が組み合わさることで、大黄甘草湯は穏やかながらも効果的に便秘を改善し、便秘に伴う不快な症状を和らげることを目指します。特に、急性の便秘や、便秘によって引き起こされる皮膚症状の改善を期待して処方されることが多い漢方薬です。

どのような症状に効果が期待できますか?

大黄甘草湯は、主に便秘とその関連症状、および筋肉のけいれん性疼痛に対して効果が期待できる漢方薬です。その効果は、構成生薬である大黄の緩下作用と甘草の鎮痙作用によってもたらされます。

便秘と便秘に伴う諸症状

最も広く知られている効果は、便秘の改善です。大黄の作用により、停滞した便の排出を促し、排便をスムーズにします。当院では、患者さまから「便秘がひどくて肌が荒れる」「お腹が張って苦しい」といった相談を受けることが多く、そのような場合に大黄甘草湯を検討します。特に、便秘によって引き起こされる以下の諸症状の改善にも効果が期待されます[1]
  • 腹部膨満感: 便秘によってお腹が張る不快感を和らげます。
  • 頭重・のぼせ: 便秘による体内の熱や気の滞りが原因とされる頭重感やのぼせを改善します。
  • 湿疹・皮膚炎・吹き出物: 便秘が原因で悪化する皮膚症状、特にニキビや肌荒れに対して、腸内環境の改善を通じて間接的に効果を発揮することがあります。実際の診察では、患者さまから「便通が良くなったら肌の調子が良くなった」とフィードバックをいただくことも少なくありません。
  • 食欲不振: 便秘による胃腸の不調が原因で食欲が低下している場合に、排便を促すことで食欲の回復を助けます。
  • 痔: 便秘による排便時のいきみが痔を悪化させる場合があるため、便通を改善することで痔の症状緩和にも寄与します。

筋肉のけいれん性疼痛

大黄甘草湯は、筋肉のけいれん性疼痛、いわゆる「こむら返り」などの症状にも用いられます。甘草に含まれるグリチルリチン酸には、筋肉の緊張を和らげる作用があるため、急な筋肉のつりや痛みを緩和する効果が期待されます[3]。特に、夜間に足がつりやすい方や、運動後に筋肉のけいれんを起こしやすい方に処方されることがあります。皮膚科領域では直接的な適応ではありませんが、全身状態の改善の一環として考慮されることもあります。 これらの症状に対して、大黄甘草湯は比較的速やかに効果を発現することが多く、頓服薬としても用いられることがあります。ただし、症状の種類や程度、患者さまの体質によって効果の現れ方には個人差があります。処方する際は、患者さまの具体的な症状や生活習慣を詳しく伺い、最適な用法・用量を決定しています。

正しい用法・用量と服用上の注意点は?

大黄甘草湯の薬を水で服用する患者の手元。正しい漢方薬の飲み方。
大黄甘草湯を水で服用する手元
大黄甘草湯は、その効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるために、正しい用法・用量を守り、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。用法・用量は、添付文書の記載に準拠し、医師や薬剤師の指示に従ってください[1]

用法・用量

通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割して、食前または食間に経口服用します。ただし、年齢、体重、症状により適宜増減されます。特に、便秘の症状に応じて、服用量を調整することがあります。
  • 便秘の場合: 便通の状況を見ながら、服用量を調整することが一般的です。効果が強すぎる場合は減量し、効果が不十分な場合は増量することがありますが、自己判断での増減は避け、必ず医師に相談してください。
  • けいれん性疼痛の場合: 頓服として、症状が出た時に服用することもあります。
実際の処方では、患者さまの便秘の程度や体質、他の内服薬との兼ね合いを考慮して、細かく用法を指示しています。例えば、当院では、便秘が頑固な方には1日2回、比較的軽度な方には1日1回夕食後に服用を指導するなど、個別に対応しています。また、効果の現れ方には個人差があるため、服用開始から数日間は便通の状態を注意深く観察し、必要に応じて調整を行います。

服用上の注意点

⚠️ 注意点

大黄甘草湯は、大黄による緩下作用が強いため、長期連用すると腸の機能が低下したり、体が慣れて効果が薄れたりする可能性があります。また、甘草の過剰摂取による副作用も懸念されるため、漫然とした長期連用は避けるべきです。必ず医師の指示に従い、定期的な診察を受けるようにしてください。

  • 下痢・腹痛: 大黄の作用により、服用初期に下痢や腹痛が生じることがあります。症状が強い場合は、服用を中止し、医師に相談してください。
  • 他の薬剤との併用: 他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。特に、甘草を含む他の漢方薬との併用は、甘草の過剰摂取につながり、偽アルドステロン症などのリスクを高める可能性があります[4]
  • 妊娠・授乳中の方: 妊娠中または授乳中の方は、服用前に必ず医師に相談してください。大黄には子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血を促す作用があるため、妊娠中の服用は慎重に行う必要があります[5]
  • 小児への服用: 小児への服用は、医師の指示のもと、慎重に行う必要があります。
皮膚科の日常診療では、患者さまが自己判断で市販の便秘薬を服用しているケースも少なくありません。しかし、大黄甘草湯のような漢方薬も、西洋薬と同様に適切な知識と管理のもとで服用することが大切です。特に、便秘の根本原因を特定し、生活習慣の改善と並行して治療を進めることが、長期的な健康維持には不可欠です。

副作用にはどのようなものがありますか?

大黄甘草湯は一般的に安全性の高い漢方薬とされていますが、体質や服用量、期間によっては副作用が生じる可能性があります。主な副作用を頻度別に整理し、特に注意すべき重大な副作用についても解説します[1]

重大な副作用

頻度は非常に稀ですが、以下の重大な副作用が報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
  • 偽アルドステロン症: 甘草の大量摂取や長期連用によって、体内の電解質バランスが崩れ、血圧上昇、むくみ、手足のだるさ、しびれ、頭痛などの症状が現れることがあります。重症化すると、低カリウム血症性ミオパチー(筋肉の麻痺)に至ることもあります。特に、他の甘草含有製剤との併用には注意が必要です[4]。当院では、患者さまの既往歴や併用薬を詳細に確認し、甘草の総摂取量に注意を払っています。
  • ミオパチー: 偽アルドステロン症の結果として、または単独で、脱力感、筋力低下、筋肉痛などの症状が現れることがあります。

その他の副作用

比較的頻度が高い、または注意が必要な副作用は以下の通りです。
  • 消化器症状: 下痢、腹痛、悪心、嘔吐、食欲不振などが現れることがあります。これらは大黄の緩下作用によるもので、服用量を調整することで軽減されることが多いです。特に、服用初期や空腹時に強い症状が出ることがあります。
  • 過敏症: 発疹、じんましんなどのアレルギー症状が現れることがあります。これらの症状が現れた場合は、服用を中止し、医師に相談してください。
皮膚科の臨床経験上、大黄甘草湯を服用した患者さまから「お腹が緩くなりすぎた」「少しお腹が痛くなった」というフィードバックをいただくことが多いです。このような場合、服用量を減量したり、服用タイミングを調整したりすることで、症状が改善することがほとんどです。副作用が疑われる症状が現れた場合は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談し、適切な指示を仰ぐようにしてください。特に、市販の便秘薬を併用している場合は、大黄の過剰摂取につながる可能性があるため、注意が必要です。

大黄甘草湯に関する患者さまからのご質問

大黄甘草湯について医師が患者の質問に答える様子。漢方薬の相談。
大黄甘草湯について質問する患者
🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 大黄甘草湯はどのくらいで効果が出ますか?
A. 大黄甘草湯は比較的即効性のある漢方薬で、多くの場合、服用後数時間から半日程度で効果を実感される方が多い印象です。特に便秘に対しては、服用後数時間で排便を促すことがあります。当院では、夕食後に服用して翌朝に効果が出るように指導することが多いです。ただし、効果の現れ方には個人差があり、体質や便秘の程度によって異なります。
Q. 長期間服用しても大丈夫ですか?
A. 大黄甘草湯の長期連用は、腸の機能が低下したり、偽アルドステロン症などの副作用のリスクが高まったりする可能性があるため、基本的に推奨されません。当院では、一時的な便秘や急性の症状に対して頓服的に使用することが多く、慢性的な便秘の場合は、生活習慣の改善指導や他の漢方薬・治療法を検討します。漫然と服用を続けるのではなく、定期的に診察を受け、医師と相談しながら服用を続けるか判断することが重要です。
Q. 妊娠中に服用しても安全ですか?
A. 妊娠中の服用は、慎重に行う必要があります。大黄には子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血を促す作用があるため、流早産のリスクを高める可能性が指摘されています[5]。当院では、妊娠を希望されている方や妊娠中の方には、原則として処方を避けるか、必要最小限の量で慎重に処方し、必ず産婦人科医とも連携を取るようにしています。必ず事前に医師に相談し、指示に従ってください。
Q. 他の便秘薬と一緒に飲んでも良いですか?
A. 他の便秘薬との併用は、原則として避けるべきです。特に、大黄を含む他の下剤や、甘草を含む他の漢方薬との併用は、大黄や甘草の過剰摂取につながり、副作用のリスクを高める可能性があります。当院の問診では、市販薬を含め、現在服用している全ての薬剤について詳しくお伺いし、相互作用がないかを確認しています。必ず医師や薬剤師に相談し、指示に従ってください。
Q. 漢方薬なのに副作用があるのはなぜですか?
A. 漢方薬は天然由来の生薬から作られていますが、医薬品である以上、効果があるのと同様に副作用のリスクも存在します。大黄甘草湯の場合、大黄には緩下作用、甘草には抗炎症作用や鎮痙作用がありますが、これらが過剰に作用したり、体質に合わなかったりすると、下痢や腹痛、あるいは重大な副作用である偽アルドステロン症などを引き起こすことがあります。当院では、漢方薬も西洋薬と同様に、患者さま一人ひとりの体質や病状を考慮して慎重に処方しています。
Q. 処方された大黄甘草湯が効かない場合、どうすれば良いですか?
A. 処方された大黄甘草湯が期待する効果を示さない場合は、自己判断で服用量を増やしたり、服用を中止したりせず、速やかに当院にご相談ください。効果が不十分な原因は、服用量不足、体質との不一致、便秘のタイプが異なるなど様々です。実際の診療では、問診で便通の頻度、便の性状、腹部の状態などを詳しく確認し、必要に応じて他の漢方薬や西洋薬への変更、または生活習慣のさらなる改善指導を行います。

ジェネリック医薬品について

大黄甘草湯には、先発品であるツムラ84の他に、複数の製薬会社からジェネリック医薬品(後発医薬品)が製造・販売されています。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と有効成分、含量、効能・効果、用法・用量が同じであり、生物学的同等性試験によって先発医薬品と同等の品質、有効性、安全性が確認されています[6]

ジェネリック医薬品のメリット

ジェネリック医薬品の最大のメリットは、先発医薬品と比較して薬価が安価である点です。これにより、患者さまの医療費負担を軽減することができます。特に、慢性的な疾患で長期にわたって薬を服用する必要がある場合、ジェネリック医薬品を選択することで、経済的な負担を大きく減らすことが可能です。当院では、患者さまの希望に応じてジェネリック医薬品の選択肢も提案しており、経済的な側面も考慮した上で最適な治療法を一緒に検討しています。
項目先発医薬品(ツムラ大黄甘草湯)ジェネリック医薬品(例:コタロー大黄甘草湯)
有効成分大黄、甘草大黄、甘草
効能・効果便秘、便秘に伴う諸症状、筋肉のけいれん性疼痛便秘、便秘に伴う諸症状、筋肉のけいれん性疼痛
用法・用量原則として成人1日7.5gを2〜3回に分割経口服用原則として成人1日7.5gを2〜3回に分割経口服用
薬価(目安)高め安価
剤形顆粒顆粒、錠剤など

ジェネリック医薬品の選択

ジェネリック医薬品を選択するかどうかは、患者さまご自身の判断に委ねられます。当院では、ジェネリック医薬品の品質や効果について詳しく説明し、患者さまが納得して選択できるようサポートしています。ただし、漢方薬の場合、製剤技術の違いにより、味や溶けやすさ、服用感が異なる場合があります。実際の処方では、「いつも飲んでいるものと同じものが良い」とおっしゃる方もいれば、「費用を抑えたい」というご希望の方もいらっしゃいます。患者さまの希望を尊重し、医師と薬剤師が連携して適切な薬剤を提供することが重要です。

まとめ

大黄甘草湯(ツムラ84)は、大黄と甘草の二つの生薬からなる漢方薬で、便秘やそれに伴う諸症状、そして筋肉のけいれん性疼痛に効果を発揮します。大黄の緩下作用と甘草の鎮痙作用が特徴で、比較的即効性が期待されます。服用にあたっては、正しい用法・用量を守り、特に長期連用や他の薬剤との併用には注意が必要です。重大な副作用として偽アルドステロン症やミオパチーが報告されており、下痢や腹痛などの消化器症状も起こりうるため、異変を感じた場合は速やかに医師に相談することが重要です。ジェネリック医薬品も存在し、医療費の負担軽減に貢献しますが、選択の際は医師や薬剤師とよく相談してください。便秘や皮膚症状でお悩みの方は、自己判断で市販薬に頼らず、まずは専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。

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よくある質問(FAQ)

Q. 大黄甘草湯は保険適用になりますか?
A. はい、大黄甘草湯は医師の処方箋に基づいて医療機関で処方された場合、保険適用となります。ただし、市販されている大黄甘草湯は保険適用外となりますのでご注意ください。
Q. 大黄甘草湯は食前と食間どちらに飲めば良いですか?
A. 添付文書には「食前または食間に経口服用する」と記載されています。食前とは食事の約30分前、食間とは食事と食事の間(食後約2時間)を指します。どちらのタイミングでも効果は期待できますが、便秘の症状や患者さまの生活リズムに合わせて、医師や薬剤師が適切な服用タイミングを指導します。
Q. 大黄甘草湯と他の漢方薬の飲み合わせは問題ないですか?
A. 大黄甘草湯は甘草を含んでいるため、他の甘草含有製剤との併用は、甘草の過剰摂取につながり、偽アルドステロン症などの副作用のリスクを高める可能性があります。必ず医師や薬剤師に、現在服用している全ての漢方薬や西洋薬を伝え、飲み合わせについて確認してください。
この記事の監修医
👨‍⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長