胃苓湯

【胃苓湯(ツムラ115)の効果と副作用】|皮膚科医が解説

胃苓湯(ツムラ115)の効果と副作用|皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-05-02
📋 この記事のポイント
  • 胃苓湯は、胃腸炎や食あたりによる下痢、嘔吐、腹痛、むくみなどに効果が期待される漢方薬です。
  • ✓ 比較的安全性の高い薬ですが、体質や既往歴によっては注意が必要な場合があり、医師の診察が重要です。
  • ✓ 症状の改善が見られない場合や、副作用が疑われる場合は速やかに医療機関を受診してください。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

胃苓湯(ツムラ115)とは?その特徴と配合生薬

ツムラ115胃苓湯のパッケージと主要な生薬である蒼朮、厚朴、桂皮、茯苓
胃苓湯のパッケージと生薬成分
胃苓湯(いれいとう)は、急性の胃腸症状、特に下痢や嘔吐、腹痛、むくみなどに用いられる漢方薬です。この漢方薬は、体内の余分な水分を排出し、胃腸の働きを整えることを目的としています。当院の皮膚科外来では、夏場の冷たいものの摂りすぎによる消化不良や、旅行先での食あたりなど、急な胃腸の不調を訴える患者さまに処方することがあります。 胃苓湯は、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)、猪苓(チョレイ)、沢瀉(タクシャ)、桂皮(ケイヒ)、厚朴(コウボク)、陳皮(チンピ)、甘草(カンゾウ)、白朮(ビャクジュツ)、大棗(タイソウ)、生姜(ショウキョウ)といった複数の生薬から構成されています[1]。これらの生薬が複合的に作用し、胃腸の機能を調整し、体内の水分バランスを改善します。例えば、茯苓、蒼朮、猪苓、沢瀉は利水作用があり、体内の余分な水分を排出するのを助けます。桂皮や厚朴、陳皮は消化管の運動を調整し、腹痛や吐き気を和らげる効果が期待されます。甘草は他の生薬の作用を調和させる役割を担います。
利水作用
体内の余分な水分を排出し、むくみや水様性の下痢などを改善する作用を指します。漢方医学において、水分の代謝異常は様々な不調の原因となると考えられています。
胃苓湯は、五苓散(ごれいさん)と平胃散(へいいさん)という二つの漢方薬を合わせた処方であるため、それぞれの薬効を兼ね備えているのが特徴です。五苓散は主に体内の水分代謝を調整し、むくみや下痢、頭痛などに用いられます。一方、平胃散は胃腸の働きを整え、消化不良や食欲不振、胃もたれなどに効果を発揮します。この組み合わせにより、胃苓湯は急性胃腸炎に伴う様々な症状に幅広く対応できると考えられています。

胃苓湯はどのような症状に効果が期待できる?

胃苓湯は、胃腸の不調に伴う様々な症状に対して効果が期待される漢方薬です。特に、体内の水分代謝異常が関与する症状に有効とされています。実際の診察では、患者さまから「急な下痢と吐き気で困っている」「食あたりで胃が重く、お腹も痛い」といった相談を受けることが多いです。このような急性期の症状に対して、胃苓湯を処方することで症状の緩和を目指します。 具体的な適応症としては、以下のものが挙げられます[1]
  • 急性胃腸炎:ウイルス性胃腸炎や細菌性胃腸炎などによる下痢、嘔吐、腹痛などの症状に用いられます。特に水様性の下痢や、吐き気がある場合に効果が期待されます。
  • 食あたり:食べ過ぎや飲み過ぎ、あるいは傷んだ食べ物による食中毒の初期症状で、下痢や吐き気、腹部の不快感がある場合に処方されることがあります。
  • 暑気あたり:夏の暑さによる体調不良で、胃腸の調子を崩し、下痢や倦怠感を伴う場合に用いられることがあります。
  • むくみ:胃腸の機能低下に伴う体内の水分貯留によるむくみにも効果が期待されます。
胃苓湯は、急性期の症状に対して速やかな効果が期待されることが多く、当院では胃腸の不調を訴える患者さまに、必要に応じて処方しています。ただし、症状が重篤な場合や、脱水症状が見られる場合は、点滴治療など他の治療法も検討する必要があります。また、慢性的な胃腸の不調に対しては、胃苓湯だけでなく、患者さまの体質や症状に応じた他の漢方薬や西洋薬を検討することもあります。

胃苓湯の正しい用法・用量と服用上の注意点

胃苓湯の適切な服用方法を示すピクトグラムと注意喚起の表示
胃苓湯の服用方法と注意点
胃苓湯は、その効果を最大限に引き出し、安全に服用するために、添付文書に記載された用法・用量を守ることが非常に重要です。処方する際は、患者さまの年齢や体重、症状の程度を考慮して、適切な用法を選択しています。一般的に、漢方薬は食前または食間に服用することが推奨されていますが、胃苓湯も例外ではありません。

用法・用量

通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減されます[1]
  • 食前:食事の30分〜1時間前
  • 食間:食事と食事の間で、食後2時間程度経過した頃
顆粒剤の場合は、水またはぬるま湯に溶かして服用するのが一般的です。お湯に溶かすことで、生薬の成分が吸収されやすくなるとも言われています。当院では、お湯に溶かしてゆっくりと飲むことを患者さまにおすすめしています。特に胃腸の調子が悪い時には、冷たい水ではなく温かい飲み物で服用する方が、胃腸への負担が少ないと感じる方が多い印象です。

服用上の注意点

⚠️ 注意点

高齢者、腎臓病や心臓病の既往がある方、妊娠中・授乳中の方、他の薬剤を服用している方は、必ず医師または薬剤師に相談してください。自己判断での服用は避け、指示された用法・用量を厳守することが重要です。

  • 持病や体質:高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けている方は、服用前に必ず医師に伝えてください。胃苓湯に含まれる甘草の成分が、体内のカリウムバランスに影響を与える可能性があります。
  • 他の薬剤との併用:他の漢方薬や西洋薬を服用している場合は、相互作用の可能性があるため、必ず医師または薬剤師に相談してください。特に、甘草を含む他の漢方薬との併用には注意が必要です。
  • 妊娠・授乳中:妊娠中または授乳中の方は、服用前に医師に相談してください。安全性が確立されていないため、医師の判断が必要です。
  • 症状の経過観察:数日服用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、すぐに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
皮膚科の日常診療では、患者さまの全身状態を把握した上で、漢方薬の処方を検討します。特に、高齢の患者さまや複数の持病を持つ患者さまには、より慎重な判断が求められます。

胃苓湯の副作用と注意すべき症状とは?

胃苓湯は比較的安全性の高い漢方薬ですが、全く副作用がないわけではありません。どのような医薬品にも副作用のリスクは存在するため、服用中は自身の体調の変化に注意を払うことが重要です。当院では、処方時に副作用の可能性について説明し、何か異変があればすぐに連絡するよう患者さまにお伝えしています。

重大な副作用

頻度は不明ですが、以下の重大な副作用が報告されています[1]
  • 偽アルドステロン症:手足の脱力感、しびれ、こわばりに加えて、むくみ、血圧上昇、尿量減少などの症状が現れることがあります。これは、胃苓湯に含まれる甘草の成分が原因で起こることがあります。
  • ミオパチー:偽アルドステロン症の進行により、筋肉の痛みや脱力感などが現れることがあります。
これらの症状に気づいた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。

その他の副作用

頻度は不明ですが、以下のような副作用が報告されています[1]
  • 消化器症状:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢など。
  • 過敏症:発疹、蕁麻疹など。
これらの症状が現れた場合も、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。特に、皮膚症状が現れた場合は、皮膚科医として速やかな対応を心がけています。漢方薬は自然由来の生薬から作られていますが、アレルギー反応を起こす可能性もゼロではありません。

副作用のリスクを減らすために

  • 医師の指示を厳守する:用法・用量を守り、自己判断で増量したり中止したりしないことが重要です。
  • 体調の変化に注意する:服用中は自身の体調に注意を払い、異変を感じたらすぐに医療機関に相談してください。
  • 既往歴や併用薬を正確に伝える:診察時には、持病や現在服用しているすべての薬について正確に医師に伝えてください。
皮膚科の臨床経験上、漢方薬による副作用は西洋薬に比べて頻度は低いものの、体質や体調によっては起こりうると認識しています。特に、長期にわたる服用や、複数の漢方薬の併用は、副作用のリスクを高める可能性があるため、定期的な診察で経過を観察することが大切です。

胃苓湯に関する患者さまからのご質問

🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 胃苓湯はすぐに効果が出ますか?
A. 胃苓湯は急性期の胃腸症状に対して処方されることが多く、比較的速やかな効果が期待できます。当院で胃苓湯を処方した患者さまからは、服用後数時間から1日程度で下痢や吐き気が和らいだというフィードバックをいただくことが多いです。ただし、効果の現れ方には個人差があります。
Q. 胃苓湯と他の胃腸薬は一緒に飲めますか?
A. 他の胃腸薬との併用は、相互作用の可能性があるため、必ず医師または薬剤師に相談してください。特に、甘草を含む他の漢方薬との併用は、偽アルドステロン症のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。当院では、患者さまが服用しているすべての薬を確認した上で、併用の可否を判断しています。
Q. 妊娠中に胃苓湯を服用しても大丈夫ですか?
A. 妊娠中の方への投与に関する安全性は確立されていません。当院では、妊娠している可能性のある方や妊娠中の方には、必ずその旨を医師に伝えていただくようお願いしています。医師がリスクとベネフィットを慎重に検討し、必要と判断した場合にのみ処方されます。
Q. 長期間服用しても問題ありませんか?
A. 胃苓湯は急性期の症状に用いられることが多く、通常は短期間の服用が推奨されます。長期にわたる服用が必要な場合は、定期的に医師の診察を受け、体調の変化や副作用の有無を確認することが重要です。特に、偽アルドステロン症などの重篤な副作用は長期服用でリスクが高まる可能性があります。
Q. 胃苓湯を服用中に飲酒はできますか?
A. 胃腸の不調で胃苓湯を服用している間は、飲酒は控えることをお勧めします。アルコールは胃腸に刺激を与え、症状を悪化させる可能性があります。また、薬の吸収や代謝に影響を与える可能性も考慮し、治療中は禁酒が望ましいです。
Q. 胃苓湯を服用しても下痢が止まらない場合はどうすれば良いですか?
A. 数日服用しても下痢が改善しない、あるいは悪化する場合は、すぐに服用を中止して医療機関を受診してください。脱水症状の進行や、他の重篤な疾患が隠れている可能性も考えられます。当院では、効果が見られない場合は、便検査や血液検査などを行い、原因を詳しく調べることもあります。

ジェネリック医薬品の有無と選択肢

胃苓湯のジェネリック医薬品と先発品を比較する錠剤の並び
胃苓湯ジェネリックと先発品の比較
医薬品を選ぶ際、ジェネリック医薬品の有無は患者さまにとって重要な選択肢の一つです。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分、同じ効き目、同じ安全性を持つと国によって認められた医薬品であり、開発費用が抑えられるため、一般的に先発医薬品よりも安価に提供されます。 胃苓湯(ツムラ115)は、株式会社ツムラが製造販売する医療用漢方製剤です。医療用漢方製剤においては、ツムラ製品が広く普及していますが、他の製薬会社からも同じ処方内容の胃苓湯が販売されています。これらは、厳密にはジェネリック医薬品という分類ではなく、「同等処方」や「後発品」として扱われることが多いです。例えば、クラシエ製薬やコタローなどからも胃苓湯の医療用漢方製剤が提供されています。
項目ツムラ胃苓湯(115)他社製胃苓湯(例: クラシエ、コタロー)
有効成分同じ(胃苓湯の構成生薬)同じ(胃苓湯の構成生薬)
効能・効果同じ同じ
安全性同等同等
価格(薬価)先発品に準じた薬価先発品より安価な場合が多い
剤形顆粒顆粒
これらの同等処方の選択は、医療機関や薬局によって取り扱いが異なる場合があります。患者さまが特定のメーカーの製品を希望される場合や、薬価について相談したい場合は、遠慮なく医師や薬剤師に申し出てください。当院では、患者さまの意向を尊重しつつ、安定供給や品質を考慮して処方する製剤を決定しています。漢方薬は、生薬の産地や品質管理によっても微妙な違いが生じると言われることもありますが、国の承認を受けた医療用漢方製剤であれば、いずれも一定の品質基準を満たしています。

胃苓湯の服用で効果が見られない場合や悪化した場合の対処法

胃苓湯を服用しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合には、速やかに医療機関を受診することが非常に重要です。自己判断で服用を継続したり、量を増やしたりすることは避けてください。皮膚科の診療でも、胃腸の不調が長引く場合は、皮膚症状だけでなく全身状態を詳しく確認する必要があります。

効果が見られない場合

  • 数日服用しても改善しない:急性胃腸炎や食あたりであれば、通常は数日以内に症状の改善が見られることが多いです。もし3日程度服用しても症状が全く改善しない場合は、胃苓湯が合っていないか、他の原因が考えられます。
  • 診断の再検討:胃腸の不調の原因は多岐にわたります。胃苓湯が適応する症状ではなかった場合や、より重篤な疾患(例えば、感染性腸炎の重症化、炎症性腸疾患の初期症状など)が隠れている可能性も考慮し、再診が必要です。

症状が悪化した場合

  • 下痢や嘔吐の頻度が増加:脱水症状のリスクが高まります。特に乳幼児や高齢者は注意が必要です。
  • 発熱、血便、強い腹痛:これらの症状は、より重篤な感染症や他の病気のサインである可能性があります。
  • 全身倦怠感、意識の低下:脱水や電解質異常が進行している可能性があり、緊急性が高い状態です。

医療機関を受診する際のポイント

  • 服用中の薬を伝える:胃苓湯を含め、現在服用しているすべての薬を医師に伝えてください。
  • 症状の経過を詳しく説明する:いつから、どのような症状が、どのように変化したかを具体的に伝えると診断の助けになります。
  • 他に気になる症状がないか:胃腸以外の症状(頭痛、発疹など)もあれば伝えてください。
皮膚科の日常診療では、患者さまの訴えを丁寧に聞き取り、必要に応じて内科など他科との連携も視野に入れて診療を進めます。胃腸の不調は、時に皮膚症状と関連することもあります(例:アレルギー反応による蕁麻疹と消化器症状)。そのため、全身を診る視点が非常に重要になります。

まとめ

胃苓湯(ツムラ115)は、急性胃腸炎や食あたりによる下痢、嘔吐、腹痛、むくみなどの症状に効果が期待される漢方薬です。五苓散と平胃散の薬効を併せ持ち、体内の水分代謝を調整し、胃腸の働きを整えることで症状の改善を目指します。服用にあたっては、添付文書に記載された用法・用量を守り、特に高齢者や持病のある方は医師の指示に従うことが重要です。重大な副作用として偽アルドステロン症やミオパチーが報告されており、手足の脱力感やむくみなどの症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診してください。効果が見られない場合や症状が悪化した場合も、自己判断せずに医師の診察を受けることが大切です。ジェネリック医薬品に相当する同等処方も存在し、薬価を抑える選択肢もありますので、医師や薬剤師にご相談ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 胃苓湯は市販されていますか?
A. 医療用漢方製剤としての胃苓湯は医師の処方箋が必要です。しかし、薬局やドラッグストアで市販されている一般用医薬品の中にも、胃苓湯と同じ生薬を配合した製品や、類似の効能を持つ漢方製剤があります。これらを購入する際は、薬剤師に相談し、自身の症状に合ったものを選ぶようにしてください。
Q. 胃苓湯は保険適用になりますか?
A. 医療機関で医師が処方する胃苓湯(ツムラ115など)は、保険診療の対象となります。そのため、医療費の自己負担割合に応じて費用が軽減されます。自己判断で市販薬を購入するよりも、医師の診察を受けて処方してもらう方が、適切な診断と治療を受けられるだけでなく、費用面でもメリットがある場合があります。
Q. 胃苓湯は子供にも服用できますか?
A. 小児への投与も可能ですが、年齢や体重に応じて用量を調整する必要があります。小児に服用させる場合は、必ず医師の診察を受け、指示された用法・用量を守ってください。特に乳幼児は脱水症状を起こしやすいため、慎重な経過観察が必要です。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長