最終更新日: 2026-04-24
📋 この記事のポイント
- ✓ 竜胆瀉肝湯は、下腹部から陰部にかけての炎症や排尿トラブルに用いられる漢方薬です。
- ✓ 添付文書に記載された用法・用量を守り、体質や症状に合わせて医師と相談しながら服用することが重要です。
- ✓ 重大な副作用は稀ですが、間質性肺炎や肝機能障害などに注意し、体調の変化があれば速やかに医療機関を受診してください。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。
📑 目次
竜胆瀉肝湯(ツムラ76)とは?どのような症状に用いられる?

- 湿熱(しつねつ)
- 漢方医学における病態の一つで、体内に余分な水分(湿)と熱が停滞している状態を指します。これにより、炎症、排尿困難、帯下、皮膚の湿疹など、様々な症状が引き起こされると考えられています。
- 竜胆(リンドウ):清熱瀉火、燥湿の作用
- 黄芩(オウゴン):清熱燥湿、瀉火解毒の作用
- 山梔子(サンシシ):清熱瀉火、利湿退黄の作用
- 沢瀉(タクシャ):利水滲湿の作用
- 木通(モクツウ):利水通淋、瀉火通経の作用
- 車前子(シャゼンシ):利水通淋、清熱解毒の作用
- 当帰(トウキ):補血活血、調経止痛の作用
- 柴胡(サイコ):和解表裏、疏肝解鬱、昇陽挙陥の作用
- 甘草(カンゾウ):補脾益気、清熱解毒、緩急止痛の作用
どのような病態に処方される?
竜胆瀉肝湯は、主に以下の病態に対して処方されます。- **泌尿器系の症状:** 膀胱炎、尿道炎、排尿痛、頻尿、残尿感など。特に、炎症性の症状が強い場合に考慮されます。
- **婦人科系の症状:** 帯下(おりもの)の異常(量が多い、色や臭いが強い)、外陰部の痒みや炎症、子宮頸管炎など。
- **皮膚疾患:** 陰部湿疹、外陰部掻痒症など、下腹部から陰部にかけての炎症や痒みを伴う皮膚症状。
- **その他:** 肝胆湿熱(肝臓や胆嚢の湿熱)による脇腹の痛み、口の苦味など。
竜胆瀉肝湯の用法・用量と服用上の注意点
竜胆瀉肝湯の用法・用量は、患者さまの年齢や症状によって調整されますが、添付文書には以下の通り記載されています[1]。当院では、患者さまの体質や既往歴、他の服用薬などを考慮して、最適な用法を選択しています。標準的な用法・用量
通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口服用します。ただし、年齢、体重、症状により適宜増減されます[1]。- **食前:** 食事の約30分前
- **食間:** 食事と食事の間(食後約2時間後)
服用上の注意点
- **医師の指示に従う:** 漢方薬も医薬品であり、自己判断での服用は避け、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。
- **飲み忘れ:** 飲み忘れた場合は、気づいた時点で服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばし、次の服用時間から再開してください。2回分を一度に服用することは避けてください。
- **長期服用:** 長期にわたって服用する場合は、定期的に医師の診察を受け、効果や副作用の有無を確認することが重要です。
- **特定の患者さまへの注意:** 胃腸が弱い方、高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳婦、小児などは、服用前に必ず医師に相談してください。特に、甘草が含まれているため、偽アルドステロン症のリスクを考慮する必要があります[1]。
⚠️ 注意点
竜胆瀉肝湯は、体質や症状に合わない場合、効果が期待できないだけでなく、副作用のリスクも高まります。自己判断で服用を開始したり、服用量を変更したりすることは避けてください。必ず医師や薬剤師にご相談ください。
竜胆瀉肝湯の副作用にはどのようなものがある?

重大な副作用
添付文書には、以下の重大な副作用が記載されています[1]。- **間質性肺炎:** 頻度不明。発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)などが現れることがあります。
- **偽アルドステロン症:** 頻度不明。低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などの症状が現れることがあります。ミオパチー(脱力感、筋肉痛、四肢痙攣、麻痺)に移行することもあります。
- **肝機能障害、黄疸:** 頻度不明。AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの上昇を伴う肝機能障害や、黄疸が現れることがあります。
その他の副作用
重大な副作用ほどではないものの、以下のような症状が現れる可能性があります[1]。| 部位 | 症状 |
|---|---|
| 消化器 | 食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢 |
| 皮膚 | 発疹、蕁麻疹 |
| その他 | 倦怠感 |
竜胆瀉肝湯のジェネリック医薬品について
竜胆瀉肝湯には、ツムラ以外のメーカーからもジェネリック医薬品(後発医薬品)が販売されています。ジェネリック医薬品とは、先発医薬品と同じ有効成分、同じ効能・効果を持つ医薬品であり、開発費用が抑えられるため、一般的に価格が安価であることが特徴です。 医療用漢方製剤においては、生薬の品質や配合比率、抽出方法など、メーカーによって若干の違いがある可能性も指摘されることがありますが、厚生労働省の承認を受けているジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の品質、有効性、安全性が保証されています[2]。 当院では、患者さまの希望や経済的な負担を考慮し、ジェネリック医薬品の選択肢についても説明を行っています。ジェネリック医薬品を希望される場合は、医師または薬剤師にご相談ください。ただし、特定のメーカーの漢方薬で効果を実感されている場合は、継続して同じメーカーのものを服用することをお勧めする場合もあります。これは、漢方薬の微妙な配合の違いが、個々の患者さまの体質に影響を与える可能性も臨床経験上あるためです。🩺 竜胆瀉肝湯に関する患者さまからのご質問
Q. 竜胆瀉肝湯はどのくらいで効果が出ますか?
A. 効果を実感するまでの期間には個人差がありますが、当院で竜胆瀉肝湯を処方した患者さまからは、早い方で数日から1週間程度で排尿トラブルや痒みの軽減を感じるというフィードバックをいただくことが多いです。慢性的な症状の場合、2週間から1ヶ月程度継続して服用することで、より安定した効果が期待できることがあります。しかし、症状が全く改善しない場合は、診断や治療方針の見直しが必要ですので、遠慮なくご相談ください。
Q. 他の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 漢方薬と西洋薬の併用は可能ですが、飲み合わせによっては相互作用が生じる可能性があります。特に、他の漢方薬や、甘草を含む医薬品(風邪薬など)を服用している場合は、偽アルドステロン症のリスクが高まることがあるため注意が必要です。診察の現場では、患者さまが服用している全ての医薬品(市販薬やサプリメントも含む)を正確に把握し、相互作用がないかを確認しています。必ず、現在服用中の薬を医師や薬剤師にお伝えください。
Q. 妊娠中や授乳中に服用できますか?
A. 妊娠中や授乳中の服用については、安全性が確立されていないため、原則として推奨されません。ただし、医師が必要と判断した場合は、リスクとベネフィットを慎重に考慮した上で処方されることがあります。当院では、妊娠を希望されている方、妊娠中、授乳中の方には、必ずその旨を申告していただくようお願いしており、より安全な代替治療法がないかを含めて検討します。
Q. 飲み忘れた場合、どうすればいいですか?
A. 飲み忘れた場合は、気づいた時点で服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばし、次の服用時間から再開してください。2回分を一度に服用することは避けてください。飲み忘れが続くと効果が十分に得られない可能性がありますので、できるだけ規則正しく服用することが大切です。
Q. 漢方薬は苦くて飲みにくいのですが、何か工夫はありますか?
A. 漢方薬の苦味は、生薬本来の味であり、効果と密接に関わっているとも言われます。飲みにくい場合は、少量の水で練って団子状にしてから飲み込んだり、オブラートに包んで飲んだりする方法があります。また、食後に服用することで、苦味を感じにくくなる方もいらっしゃいます。当院では、患者さまが継続して服用できるよう、飲みやすい方法を一緒に探すようにしています。
Q. 症状が良くなったら、服用を止めてもいいですか?
A. 症状が改善しても、自己判断で服用を中止するのは避けてください。症状が再燃したり、完全に治癒していない可能性もあります。特に慢性的な疾患の場合、症状が落ち着いてからも、しばらくは服用を継続することで再発予防につながることがあります。服用の中止や減量については、必ず医師と相談し、指示に従ってください。
Q. 竜胆瀉肝湯はどのような体質の人に合いますか?
A. 竜胆瀉肝湯は、漢方医学でいう「実証(体力があり、比較的がっしりした体格)」で、「湿熱」の病態を示す方に適しているとされています。具体的には、顔色が赤っぽく、口が苦く、舌苔が黄色くて厚い、脈が速いなどの特徴が見られることが多いです。また、イライラしやすい、怒りっぽいといった精神的な症状を伴うこともあります。当院の診察では、これらの体質的な特徴を総合的に判断し、患者さまに合った漢方薬を選択しています。
竜胆瀉肝湯と他の漢方薬との使い分け

五淋散(ゴリンサン)
五淋散は、頻尿、排尿痛、残尿感などの泌尿器症状に広く用いられる漢方薬です。竜胆瀉肝湯と同様に利水清熱の作用がありますが、五淋散はより広範な泌尿器系の不調に用いられる傾向があります。竜胆瀉肝湯が「湿熱」による炎症や強い痒みに特化しているのに対し、五淋散は「気滞(気の滞り)」や「瘀血(血の滞り)」を伴うような、より複雑な排尿トラブルにも対応できるとされています。当院では、排尿困難が主訴で炎症が比較的軽度な場合や、体力が中等度の方に五淋散を検討することが多いです。猪苓湯(チョレイトウ)
猪苓湯は、排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿などの泌尿器症状に用いられ、特に水分代謝の異常による浮腫や口渇を伴う場合に適しています。利水作用が強く、水分の排出を促すことで、泌尿器系の症状を改善します。竜胆瀉肝湯が炎症や熱を強く意識するのに対し、猪苓湯は「水滞(水分の停滞)」による症状に重点を置きます。例えば、尿量が少ない、むくみやすいといった症状がある場合に、猪苓湯が選択されることがあります。皮膚科領域では、浮腫を伴う皮膚炎や、排尿トラブルが背景にある皮膚症状に対して補助的に用いることがあります。清心蓮子飲(セイシンレンシイン)
清心蓮子飲は、頻尿、残尿感、排尿困難、夜間頻尿など、特に精神的なストレスや加齢に伴う泌尿器症状に用いられることが多い漢方薬です。体力が低下し、精神的な疲労感が強い方に適しています。竜胆瀉肝湯が「実証」の「湿熱」に用いるのに対し、清心蓮子飲は「虚証(体力がない)」や「気虚(気が不足している)」の病態に用いられます。当院では、高齢の患者さまで、頻尿や尿漏れがあり、精神的な不安定さを伴う場合に、清心蓮子飲を検討することがあります。皮膚科の観点からは、ストレス性の皮膚炎や、心因性の痒みを伴う方に、泌尿器症状と合わせて処方することもあります。 これらの漢方薬は、それぞれ異なる特徴を持つため、患者さま一人ひとりの体質や症状、生活習慣などを総合的に判断し、最適な処方を選択することが重要です。自己判断で漢方薬を選択せず、必ず専門医にご相談ください。まとめ
竜胆瀉肝湯(ツムラ76)は、下腹部から陰部にかけての炎症や排尿トラブル、帯下(おりもの)など、漢方医学における「湿熱」が原因とされる症状に有効な漢方薬です。竜胆、黄芩、山梔子などの清熱利湿作用を持つ生薬が配合されており、体内の余分な熱と水分を排出し、炎症を鎮める効果が期待されます。用法・用量は添付文書に準拠し、成人には1日7.5gを2〜3回に分けて食前または食間に服用するのが一般的です。重大な副作用として間質性肺炎、偽アルドステロン症、肝機能障害などが稀に報告されており、その他の副作用として消化器症状や皮膚症状が現れることもあります。ジェネリック医薬品も存在し、先発品と同等の品質が保証されています。服用に際しては、必ず医師や薬剤師の指示に従い、体調の変化があれば速やかに医療機関を受診することが重要です。患者さまの体質や症状に合わせて、他の漢方薬(五淋散、猪苓湯、清心蓮子飲など)との使い分けも考慮しながら、最適な治療法を選択していきます。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨⚕️
倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
