- ✓ エピデュオゲルはアダパレンと過酸化ベンゾイルの合剤で、尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療に用いられます。
- ✓ 角質剥離作用、抗菌作用、抗炎症作用により、多様なニキビ病変に効果が期待できます。
- ✓ 乾燥、刺激感、赤みなどの副作用が比較的多く見られますが、適切な使用法と保湿ケアで軽減可能です。
エピデュオゲルとは?その特徴と作用機序

エピデュオゲルは、尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療に用いられる外用薬です。2つの有効成分、アダパレンと過酸化ベンゾイルを配合した合剤であることが最大の特徴です[5]。当院の皮膚科外来では、特に炎症性のニキビや、面皰(コメド)から炎症性病変まで幅広いニキビに悩む患者さまに処方することが多い薬剤です。
2つの有効成分の働き
エピデュオゲルは、それぞれ異なる作用機序を持つ2つの成分が相乗的に働くことで、ニキビの様々な病態にアプローチします。
- アダパレン(Adapalene): レチノイド様作用を持つ成分で、毛穴の詰まり(面皰)を改善する効果があります。具体的には、毛包上皮細胞の分化を正常化し、角化異常を抑制することで、ニキビの初期病変である面皰の形成を防ぎます。また、抗炎症作用も持ち合わせているため、赤ニキビの炎症を抑える効果も期待できます[5]。
- 過酸化ベンゾイル(Benzoyl Peroxide: BPO): 抗菌作用と角質剥離作用を持つ成分です。毛穴の中でニキビの原因菌であるアクネ菌(Cutibacterium acnes)の増殖を抑えるとともに、毛穴の詰まりを解消する効果があります。BPOの抗菌作用は、アクネ菌が酸素を嫌う嫌気性菌であるため、BPOが皮膚上で分解される際に発生する活性酸素がアクネ菌に直接作用することで発揮されます。この作用機序のため、アクネ菌が薬剤耐性を獲得しにくいという利点があります[5]。
これら2つの成分が協力することで、エピデュオゲルは面皰、炎症性病変(紅色丘疹、膿疱)の両方に効果を発揮し、ニキビの進行を抑制し、改善に導くことが期待されます[1][2]。
- 尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)
- 一般的に「ニキビ」と呼ばれる皮膚疾患です。毛穴の詰まり、皮脂の過剰分泌、アクネ菌の増殖、炎症が主な原因となり、面皰、紅色丘疹、膿疱、結節などの様々な病変が顔や胸、背中に現れます。
エピデュオゲルの効果は?どのようなニキビに有効?
エピデュオゲルは、その複合的な作用機序により、様々なタイプの尋常性ざ瘡に効果が期待できます。特に、炎症性病変と非炎症性病変が混在するニキビに対して有効性が示されています[1]。
効果が期待できるニキビの種類
- 面皰(コメド): 毛穴が詰まってできる白ニキビ(閉鎖面皰)や黒ニキビ(開放面皰)といった初期のニキビに効果を発揮します。アダパレンの角質剥離作用が面皰の形成を抑制し、既存の面皰の排出を促します。
- 炎症性病変(赤ニキビ、膿疱): 赤く腫れたニキビ(紅色丘疹)や、膿を持ったニキビ(膿疱)に対して、アダパレンの抗炎症作用と過酸化ベンゾイルの抗菌作用が有効です。アクネ菌の増殖を抑え、炎症を鎮静化させることで、病変の改善を促します[2]。
臨床試験では、エピデュオゲルが面皰数、炎症性病変数の両方を減少させることが確認されており、ニキビの重症度を改善する効果が報告されています[1]。皮膚科の日常診療では、特に広範囲にニキビが散在している方や、炎症が強く、面皰も多数見られる方に処方すると、効果を実感される方が多い印象です。
効果を実感するまでの期間は?
効果を実感するまでの期間には個人差がありますが、一般的には数週間から数ヶ月の継続的な使用が必要です。添付文書によると、通常は1日1回、洗顔後に患部に薄く塗布します[5]。外来でエピデュオゲルを使用した経験では、初期の刺激感を乗り越えて、2週間程度で炎症が落ち着き始め、1ヶ月〜2ヶ月で面皰の改善や新たなニキビの発生が減るなど、効果を実感される方が多い印象です。ニキビ治療は継続が重要であり、途中で諦めずに医師の指示に従って使用を続けることが大切です。
エピデュオゲルは、ニキビ跡の治療薬ではありません。ニキビによる炎症後の色素沈着や凹凸のあるニキビ跡に対しては、別の治療法が必要となります。ニキビ跡でお悩みの場合も、皮膚科医にご相談ください。
エピデュオゲルの正しい使い方と注意点

エピデュオゲルは効果的なニキビ治療薬ですが、その効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、正しい使い方といくつかの注意点を守ることが非常に重要です。実際の診察では、患者さまから「どのように塗ればいいですか?」「どれくらいの量を使えばいいですか?」と質問されることがよくあります。
用法・用量
通常、1日1回、洗顔後、患部に適量を薄く塗布します[5]。顔全体に塗布する場合は、人差し指の先端から第一関節までの量(約0.5g)が目安とされています。これは、顔全体をカバーできる量であり、過剰な塗布は刺激感を増強させる可能性があるため注意が必要です。
- 塗布のタイミング: 夜の洗顔後が推奨されます。日中に塗布すると、紫外線による刺激が増強される可能性があるためです。
- 塗布方法: 指先に適量を取り、ニキビのある部分やニキビができやすい部分に、優しく薄く伸ばしてください。擦り込むように塗る必要はありません。目や口、鼻の粘膜、傷のある部位への塗布は避けてください。
- 保湿ケア: 塗布後の乾燥や刺激感を軽減するため、保湿剤の使用が推奨されます。エピデュオゲルを塗布する前、または後に、刺激の少ない保湿剤でしっかりと保湿してください。
使用上の注意点
- 紫外線対策: アダパレンは光感受性を高める可能性があるため、日中の外出時には日焼け止めを使用し、帽子や日傘などで紫外線対策を徹底してください。
- 皮膚刺激: 使用開始初期には、乾燥、赤み、かゆみ、ヒリヒリ感などの皮膚刺激症状が現れることがあります。これは薬剤の作用によるもので、多くの場合、数週間で軽減していきます。症状が強い場合は、塗布量を減らす、塗布回数を減らす(2日に1回など)、または一時的に使用を中止して医師に相談してください。
- 漂白作用: 過酸化ベンゾイルには漂白作用があるため、薬剤が衣服や寝具、髪の毛などに付着すると脱色する可能性があります。塗布後はしっかりと乾かし、手もよく洗うようにしてください。
- 妊娠中の使用: 妊娠中または妊娠している可能性のある女性への使用は禁忌とされています[5]。胎児への影響が懸念されるため、必ず医師に相談してください。授乳中の使用についても、医師と相談の上、慎重に検討する必要があります。
- 他の外用薬との併用: 他のニキビ治療薬やピーリング作用のある化粧品との併用は、刺激感を増強させる可能性があるため、必ず医師に相談してください。特に、サリチル酸やグリコール酸などのピーリング成分、レチノール配合化粧品などとの併用は注意が必要です。
処方する際は、これらの注意点を考慮して患者さまに合った用法を選択し、詳細な説明を行うようにしています。特に、初期の刺激感は多くの患者さまが経験されるため、その対処法や継続の重要性について丁寧に説明することが、治療の成功につながると考えています。
エピデュオゲルの副作用と対処法
エピデュオゲルは高い治療効果が期待できる一方で、いくつかの副作用が報告されています。副作用の多くは、薬剤の作用による皮膚刺激症状であり、使用開始初期に現れることが多いです。皮膚科の臨床経験上、これらの副作用には個人差が大きいと感じています。
重大な副作用
添付文書には、重大な副作用として「アナフィラキシー」が記載されています[5]。アナフィラキシーは、全身のじんましん、呼吸困難、血圧低下などの重篤なアレルギー反応であり、非常に稀ですが、もしこのような症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください。
その他の副作用
エピデュオゲルの主な副作用は、塗布部位の皮膚症状です。これらは、アダパレンと過酸化ベンゾイルの作用によって引き起こされる刺激反応であり、多くの場合、治療の継続とともに軽減していきます[5]。
| 副作用の種類 | 症状 | 発現頻度(国内臨床試験) |
|---|---|---|
| 皮膚乾燥 | 皮膚のつっぱり感、粉吹き | 20%以上 |
| 皮膚剥離 | 皮膚の皮むけ | 20%以上 |
| 紅斑 | 皮膚の赤み | 20%以上 |
| 刺激感 | ヒリヒリ、ピリピリ感 | 10%以上20%未満 |
| そう痒症 | かゆみ | 10%以上20%未満 |
| 接触皮膚炎 | かぶれ | 1%以上5%未満 |
| 湿疹 | 皮膚の炎症、かゆみ | 1%以上5%未満 |
| ざ瘡悪化 | ニキビの一時的な悪化 | 1%未満 |
副作用への対処法
- 保湿ケアの徹底: 乾燥や刺激感は、保湿剤を適切に使用することで大きく軽減できます。洗顔後、エピデュオゲルを塗布する前、または後に、低刺激性の保湿剤をたっぷり塗ることを心がけてください。
- 塗布量の調整: 刺激が強いと感じる場合は、塗布量を少量に減らすか、患部全体ではなくニキビのある部分のみに限定して塗布することも有効です。
- 塗布頻度の調整: 毎日塗布することが難しい場合は、2日に1回、あるいは3日に1回など、頻度を減らして皮膚を慣らしていく方法もあります。
- 一時的な中止: 症状が非常に強く、日常生活に支障をきたす場合は、一時的に使用を中止し、皮膚科医に相談してください。
当院ではエピデュオゲルを処方した患者さまから、「最初はヒリヒリしたけど、保湿をしっかりしたら落ち着いた」「少しずつ慣らしていったら使えるようになった」というフィードバックをいただくことが多いです。副作用は個人差が大きいため、ご自身の肌の状態に合わせて、医師と相談しながら使用を調整することが重要です。
エピデュオゲルに関する患者さまからのご質問
エピデュオゲルと他のニキビ治療薬との違い

ニキビ治療薬には様々な種類があり、それぞれ作用機序や適応が異なります。エピデュオゲルは、アダパレンと過酸化ベンゾイルという2つの有効成分を組み合わせた合剤である点が特徴です。この組み合わせにより、単剤では得られない幅広い効果が期待できます[3]。診察の現場では、患者さまから「他の薬と何が違うの?」と質問されることが多く、それぞれの薬の特性を理解しておくことが重要です。
主なニキビ治療薬との比較
エピデュオゲルが他のニキビ治療薬とどのように異なるのか、代表的な薬剤と比較してみましょう。
| 薬剤名 | 有効成分 | 主な作用 | 適応ニキビ | 主な副作用 |
|---|---|---|---|---|
| エピデュオゲル | アダパレン、過酸化ベンゾイル | 面皰改善、抗炎症、抗菌 | 面皰、炎症性病変 | 乾燥、紅斑、刺激感 |
| ディフェリンゲル | アダパレン | 面皰改善、抗炎症 | 面皰、炎症性病変 | 乾燥、紅斑、刺激感 |
| ベピオゲル | 過酸化ベンゾイル | 抗菌、角質剥離 | 炎症性病変、面皰 | 乾燥、紅斑、刺激感 |
| アクアチムクリーム/ローション | ナジフロキサシン(抗菌薬) | 抗菌 | 炎症性病変 | 刺激感、かゆみ |
| ダラシンTゲル/ローション | クリンダマイシン(抗菌薬) | 抗菌 | 炎症性病変 | 刺激感、乾燥 |
合剤のメリットと使い分け
エピデュオゲルは、アダパレンと過酸化ベンゾイルを組み合わせることで、ニキビの主な病態である毛穴の詰まりとアクネ菌の増殖・炎症の両方にアプローチできる点が大きなメリットです[4]。これにより、単剤で複数の効果を得られるため、治療の簡便性やアドヒアランスの向上にもつながります。
一方、ディフェリンゲル(アダパレン単剤)は主に面皰治療やニキビ予防に、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル単剤)は抗菌作用と角質剥離作用で炎症性ニキビに効果を発揮します。抗菌薬の外用薬は、炎症が強いニキビに一時的に使用されることが多いですが、耐性菌出現のリスクがあるため、長期連用は推奨されません。エピデュオゲルに含まれる過酸化ベンゾイルは、耐性菌ができにくいという特性があります。
診察の現場では、ニキビの病変の種類、重症度、患者さまの肌質や生活習慣、過去の治療歴などを総合的に考慮して、最適な薬剤を選択しています。エピデュオゲルは、特に面皰と炎症が混在する中等症以上のニキビに対して、第一選択肢の一つとして検討されることが多い薬剤です。
ジェネリック医薬品について
エピデュオゲルは、2024年4月現在、日本国内では先発医薬品のみが販売されており、ジェネリック医薬品(後発医薬品)はまだ発売されていません。
ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品とは、先発医薬品(新薬)の特許期間が満了した後に、同じ有効成分、同じ効能・効果で製造・販売される医薬品のことです。先発医薬品と同等の品質、有効性、安全性が国によって保証されており、開発費用が抑えられるため、一般的に先発医薬品よりも安価に提供されます。
- 有効成分: 先発医薬品と全く同じ有効成分を含んでいます。
- 効能・効果: 先発医薬品と同じ効能・効果が認められています。
- 安全性: 先発医薬品と同等の安全性が確認されています。
- 価格: 先発医薬品よりも安価です。
エピデュオゲルのジェネリック医薬品の現状
エピデュオゲルの有効成分であるアダパレンと過酸化ベンゾイルの合剤としては、現時点ではジェネリック医薬品は存在しません。しかし、個々の成分であるアダパレン(ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)については、それぞれジェネリック医薬品が承認・販売されています。
将来的には、エピデュオゲルの特許期間が満了すれば、ジェネリック医薬品が開発される可能性はあります。ジェネリック医薬品が発売されれば、患者さまの経済的負担の軽減につながるため、今後の動向が注目されます。
ただし、ジェネリック医薬品は有効成分が同じであっても、添加物や製剤の形状が異なる場合があります。これにより、使用感や皮膚への刺激感に若干の違いが生じる可能性もゼロではありません。ジェネリック医薬品が発売された際には、医師や薬剤師と相談し、ご自身の肌に合ったものを選ぶことが大切です。当院では、患者さまの希望や肌の状態を考慮し、最適な薬剤を提案するよう心がけています。
まとめ
エピデュオゲルは、アダパレンと過酸化ベンゾイルという2つの有効成分を配合した尋常性ざ瘡(ニキビ)治療薬です。毛穴の詰まりを改善する作用、アクネ菌への抗菌作用、そして抗炎症作用を併せ持ち、面皰から炎症性の赤ニキビ、膿疱まで幅広いタイプのニキビに効果が期待できます。特に、多様なニキビ病変が混在する中等症以上のニキビに対して、有効な治療選択肢の一つとされています。
使用に際しては、乾燥、赤み、刺激感などの皮膚刺激症状が比較的多く見られますが、これらは薬剤の作用によるものであり、適切な保湿ケアや塗布量の調整、医師との相談によって管理可能です。夜1日1回の塗布、紫外線対策、そして継続的な使用が治療成功の鍵となります。現在、エピデュオゲルのジェネリック医薬品は存在しませんが、ニキビ治療の選択肢として重要な位置を占める薬剤です。
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よくある質問(FAQ)
- Jerry Tan, Robert Bissonnette, David Gratton et al.. The safety and efficacy of four different fixed combination regimens of adapalene 0.1%/benzoyl peroxide 2.5% gel for the treatment of acne vulgaris: results from a randomised controlled study.. European journal of dermatology : EJD. 2019. PMID: 30187864. DOI: 10.1684/ejd.2018.3367
- Gillian M Keating. Adapalene 0.1%/benzoyl peroxide 2.5% gel: a review of its use in the treatment of acne vulgaris in patients aged ≥ 12 years.. American journal of clinical dermatology. 2012. PMID: 21967116. DOI: 10.2165/11208170-000000000-00000
- Brigitte Dréno, Alison M. Layton, Patricia Troielli et al.. Adapalene/benzoyl peroxide gel 0.3%/2.5% for acne vulgaris.. European journal of dermatology : EJD. 2022. PMID: 36301750. DOI: 10.1684/ejd.2022.4275
- Rachel V Reynolds, Howa Yeung, Carol E Cheng et al.. Guidelines of care for the management of acne vulgaris.. Journal of the American Academy of Dermatology. 2024. PMID: 38300170. DOI: 10.1016/j.jaad.2023.12.017
- エピデュオゲル 添付文書 – PMDA(医薬品医療機器総合機構)
