- ✓ アタラックスは抗ヒスタミン作用により、じんましんや湿疹に伴うかゆみ、不安や緊張の緩和に用いられます。
- ✓ 主な副作用は眠気や口の渇きですが、稀にQT延長などの重大な副作用も報告されています。
- ✓ 服用量や服用期間は症状や年齢、体重によって調整され、特に高齢者や基礎疾患のある方には慎重な処方が求められます。
アタラックス(ヒドロキシジン)とは?

アタラックスは、ヒドロキシジン塩酸塩を有効成分とする内服薬で、錠剤とシロップ剤の2種類があります。錠剤は「アタラックス錠10mg」「アタラックス錠25mg」、シロップ剤は「アタラックス-Pシロップ0.5%」として提供されています[5]。ジェネリック医薬品も存在し、「ヒドロキシジン塩酸塩錠」や「ヒドロキシジン塩酸塩シロップ」などの名称で入手可能です。
- 抗ヒスタミン薬
- 体内でアレルギー反応の原因となるヒスタミンの受容体への結合を阻害することで、かゆみ、鼻水、くしゃみなどのアレルギー症状を抑える薬剤の総称です。第一世代と第二世代に分類され、第一世代は眠気などの副作用が出やすい傾向があります。
アタラックスの適応疾患と期待される効果とは?
アタラックスは、その抗ヒスタミン作用と中枢神経抑制作用により、複数の疾患に対して効果を発揮します。皮膚科領域では、かゆみを伴う皮膚疾患の症状緩和に、精神神経科領域では不安や緊張の軽減に用いられます。実際の診察では、患者さまから「かゆみで夜眠れない」「不安で落ち着かない」といった具体的な症状を伺い、アタラックスの処方を検討することがよくあります。皮膚疾患における効果
アタラックスは、以下の皮膚疾患に伴うかゆみの緩和に効果が期待されます[5]。- じんましん
- 湿疹
- 皮膚炎
- 皮膚そう痒症
ヒスタミンH1受容体拮抗作用により、かゆみの原因物質であるヒスタミンの働きをブロックすることで、かゆみ症状を軽減します。また、鎮静作用も併せ持つため、かゆみによる不眠の改善にも寄与することがあります[1]。
精神神経科領域における効果
アタラックスは、不安や緊張の緩和にも用いられます。具体的には、以下の症状に対して効果が期待されます[5]。- 神経症における不安・緊張・抑うつ
- 心身症における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ
- 術前の不安除去
中枢神経系に作用し、鎮静作用や抗不安作用を発揮します。全身性不安障害に対するヒドロキシジンの有効性を示唆するレビューも存在します[4]。皮膚科の臨床経験上、アレルギー性皮膚疾患の患者さまの中には、かゆみや見た目の問題から精神的なストレスを抱えている方も少なくありません。そのような場合、アタラックスの抗不安作用が補助的に役立つこともあります。
アタラックスの用法・用量と服用時の注意点

標準的な用法・用量
アタラックスの標準的な用法・用量は以下の通りです[5]。| 適応症 | 成人1日量 | 服用方法 |
|---|---|---|
| じんましん、湿疹、皮膚炎、皮膚そう痒症 | 30〜60mg | 1日3〜4回に分割経口投与 |
| 神経症における不安・緊張・抑うつ、心身症における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ | 75〜150mg | 1日3〜4回に分割経口投与 |
| 術前の不安除去 | 50〜100mg | 経口投与 |
小児の場合、通常は1日1.0〜2.0mg/kgを標準とし、1日3〜4回に分割して経口投与します。ただし、年齢、症状により適宜増減されます[5]。
服用時の注意点
- 眠気: アタラックスは眠気を催すことがあるため、服用中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作は避けるように指導しています。
- アルコールとの併用: アルコールは中枢神経抑制作用を増強する可能性があるため、服用中の飲酒は控えるべきです。
- 高齢者への投与: 高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用が出やすいため、少量から開始し、慎重に投与します。
- 妊婦・授乳婦: 妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないことが原則です。授乳中の女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を検討し、授乳を避けるよう指導します[5]。
アタラックスは、緑内障や前立腺肥大症など、抗コリン作用が悪影響を及ぼす可能性のある疾患を持つ患者さまには慎重な投与が必要です。また、心疾患のある患者さまではQT延長などのリスクがあるため、心電図検査を行うなど、より厳重な管理が求められます[5]。
アタラックスの副作用と対処法は?
アタラックスは効果的な薬剤ですが、他の薬剤と同様に副作用のリスクも存在します。患者さまには、どのような副作用があり得るか、また、もし副作用が出た場合にどう対処すべきかを事前に詳しく説明するようにしています。皮膚科の日常診療では、特に眠気や口渇について質問を受けることが多いです。重大な副作用
アタラックスの重大な副作用として、以下のものが報告されています[5]。- QT延長、心室頻拍(Torsades de Pointesを含む): 心電図異常を引き起こす可能性があり、重篤な不整脈につながることがあります。特に、心疾患のある患者さまや、QT延長を引き起こす可能性のある他の薬剤を併用している場合には注意が必要です。
- アナフィラキシーショック: 全身性の重篤なアレルギー反応で、呼吸困難、血圧低下、意識障害などを引き起こす可能性があります。
- 肝機能障害、黄疸: 肝臓に負担がかかり、肝機能の数値が悪化したり、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が現れることがあります。
- 急性汎発性発疹性膿疱症、多形紅斑: 重篤な皮膚症状で、発熱、全身の発疹、水疱、膿疱などが現れることがあります。
これらの重大な副作用は稀ですが、万が一症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
その他の副作用
比較的頻繁にみられるその他の副作用は以下の通りです[5]。- 精神神経系: 眠気(頻度不明)、倦怠感、ふらつき、頭重感、めまい、不眠、神経過敏、興奮、振戦、痙攣、不随意運動など。眠気は特に服用開始時に感じやすい副作用です。
- 消化器系: 口渇(頻度不明)、悪心・嘔吐、胃部不快感、食欲不振、便秘、下痢など。口渇は抗コリン作用によるものです。
- 循環器系: 動悸、血圧低下など。
- 過敏症: 発疹、紅斑、浮腫、かゆみなど。
- その他: 排尿困難、眼の調節障害、鼻閉、発汗、倦怠感、脱力感など。
これらの副作用の多くは軽度であり、服用を続けるうちに軽減することもあります。しかし、症状が続く場合や悪化する場合は、医師または薬剤師に相談してください。例えば、小児で報告されたヒドロキシジンによる垂直眼振の症例もあります[3]。また、非常に稀ではありますが、持続勃起症(プリズム)の報告も存在します[2]。
アタラックスとジェネリック医薬品について

ジェネリック医薬品の概要
アタラックスの有効成分は「ヒドロキシジン塩酸塩」です。そのため、ジェネリック医薬品は「ヒドロキシジン塩酸塩錠」や「ヒドロキシジン塩酸塩シロップ」といった名称で販売されています。ジェネリック医薬品は、開発費用が抑えられるため、先発医薬品よりも安価に提供されることが一般的です。- 有効成分: 先発医薬品と同一
- 効能・効果: 先発医薬品と同一
- 用法・用量: 先発医薬品と同一
- 安全性: 先発医薬品と同等の安全性が確認されている
- 価格: 先発医薬品よりも安価
ジェネリック医薬品の選択は、患者さまの医療費負担を軽減する上で重要な選択肢となります。皮膚科の臨床経験上、ジェネリック医薬品に切り替えても、効果や副作用に大きな違いを感じない方がほとんどです。
ジェネリック医薬品を選ぶ際のポイント
ジェネリック医薬品を選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いでしょう。- 医師・薬剤師との相談: 自身の疾患や体質に合ったジェネリック医薬品があるか、医師や薬剤師に相談することが最も重要です。
- 剤形・添加物: 先発医薬品とジェネリック医薬品では、錠剤の大きさや色、添加物が異なる場合があります。アレルギー体質の方や、錠剤の飲みにくさを感じる方は、この点も確認すると良いでしょう。
- 信頼性: 承認されたジェネリック医薬品は、国の厳しい審査をクリアしています。不明な点があれば、遠慮なく医療従事者に質問してください。
当院では、患者さまが安心して治療を受けられるよう、ジェネリック医薬品に関する疑問や不安にも丁寧にお答えしています。
アタラックス服用中の日常生活における注意点
アタラックスを服用する際には、その効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるために、日常生活でいくつかの注意点があります。皮膚科の日常診療では、患者さまの生活背景を詳しく伺い、個別の注意点をアドバイスするように心がけています。自動車の運転や危険な作業の回避
アタラックスの最も一般的な副作用の一つに眠気があります。この眠気は、服用後数時間で現れることが多く、集中力や判断力を低下させる可能性があります。そのため、服用中は自動車の運転、機械の操作、高所での作業など、危険を伴う活動は避けるべきです[5]。特に服用開始時や用量変更時には注意が必要です。当院では、患者さまが日中に服用する必要がある場合、仕事や学業への影響を考慮し、服用タイミングや用量を慎重に検討しています。アルコール摂取の制限
アルコールは中枢神経抑制作用を持つため、アタラックスと併用すると、眠気やふらつきなどの副作用が強く現れる可能性があります。また、判断力の低下や意識障害のリスクも高まるため、アタラックス服用中の飲酒は控えるようにしてください[5]。皮膚科の臨床経験上、アルコールとの併用で眠気が強く出てしまったという患者さまもいらっしゃいますので、十分な注意が必要です。他の薬剤との相互作用
アタラックスは、他の薬剤との相互作用を起こす可能性があります。特に、以下のような薬剤との併用には注意が必要です[5]。- 中枢神経抑制剤(鎮静剤、催眠剤、抗不安剤など): 相互に作用を増強し、過度の眠気や呼吸抑制を引き起こす可能性があります。
- MAO阻害剤(一部の抗うつ薬など): アタラックスの作用を増強する可能性があります。
- QT延長を起こすことが知られている薬剤(一部の抗不整脈薬、抗精神病薬、抗菌薬など): 心臓への影響(QT延長)のリスクが高まります。
複数の医療機関を受診している場合や、市販薬、サプリメントを使用している場合は、必ず医師や薬剤師にその旨を伝えてください。薬の飲み合わせについての情報は、安全な治療のために非常に重要です。
高齢者・小児への配慮
高齢者では、肝臓や腎臓の機能が低下していることが多く、薬剤の代謝や排泄が遅れるため、副作用が出やすくなる傾向があります。そのため、少量から開始し、慎重に経過を観察する必要があります[5]。小児においても、体重に応じた適切な用量設定が重要であり、保護者の方にはお子さまの様子を注意深く観察していただくようお願いしています。皮膚科の臨床経験上、高齢者では特に眠気やふらつきによる転倒のリスクを考慮し、夜間のみの服用を推奨するなど、細やかな配慮が必要です。まとめ
アタラックス(ヒドロキシジン)は、じんましんや湿疹に伴うかゆみ、そして不安や緊張の緩和に用いられる第一世代の抗ヒスタミン薬です。その効果はヒスタミンH1受容体拮抗作用と中枢神経抑制作用によるもので、皮膚科領域だけでなく精神神経科領域でも活用されています。用法・用量は年齢や症状に応じて調整され、特に眠気や口渇といった副作用が比較的よく見られます。稀ではありますが、QT延長やアナフィラキシーショックなどの重大な副作用も報告されており、服用中は医師の指示に従い、異常を感じた場合は速やかに相談することが重要です。ジェネリック医薬品も利用可能で、患者さまの医療費負担軽減に貢献しています。服用中は、自動車の運転やアルコール摂取を避け、他の薬剤との併用にも注意が必要です。特に高齢者や小児への投与には、より慎重な配慮が求められます。お近くのグループクリニック
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よくある質問(FAQ)
- Courtney R Burgazli, Krishna B Rana, Jamie N Brown et al.. Efficacy and safety of hydroxyzine for sleep in adults: Systematic review.. Human psychopharmacology. 2023. PMID: 36843057. DOI: 10.1002/hup.2864
- Christopher Olson, Archana Jhawar, Zane Elfessi et al.. Hydroxyzine-induced priapism.. The American journal of emergency medicine. 2021. PMID: 33836933. DOI: 10.1016/j.ajem.2021.03.066
- Gülsüm Alkan, Melike Emiroglu, Ayse Kartal. Hydroxyzine-induced Vertical Nystagmus.. Indian pediatrics. 2019. PMID: 30745487
- Giuseppe Guaiana, Corrado Barbui, Andrea Cipriani. Hydroxyzine for generalised anxiety disorder.. The Cochrane database of systematic reviews. 2011. PMID: 21154375. DOI: 10.1002/14651858.CD006815.pub2
- アタラックス(ヒドロキシジン)添付文書(JAPIC)
