じんましん(蕁麻疹)の原因と治療|医師が解説
- ✓ じんましんは皮膚に突然現れる膨疹と強いかゆみが特徴で、急性型と慢性型に大別されます。
- ✓ 原因は多岐にわたり、アレルギー性、非アレルギー性、物理性などがあり、慢性じんましんでは原因不明の特発性が多いです。
- ✓ 治療は抗ヒスタミン薬が中心で、効果不十分な場合は増量や生物学的製剤の使用も検討されます。
じんましん(蕁麻疹)の原因と種類とは?

じんましん(蕁麻疹)は、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり(膨疹)、強いかゆみを伴う皮膚疾患です。多くの場合、数時間以内に跡を残さずに消えるのが特徴で、発症から6週間以内に治まるものを急性じんましん、それ以上続くものを慢性じんましんと分類します。
- 膨疹(ぼうしん)
- 皮膚の表面が蚊に刺されたように赤く盛り上がり、境界がはっきりしている発疹のことです。通常、数時間で消えるのが特徴です。
- 血管性浮腫(クインケ浮腫)
- じんましんと同様のメカニズムで起こりますが、皮膚の深い部分や粘膜が腫れる症状です。唇や眼瞼、舌などに発生し、かゆみよりも圧迫感や痛みを感じることが多いです。重症の場合、喉頭浮腫による呼吸困難を引き起こすこともあります。
じんましんはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?
じんましんは、皮膚の真皮にあるマスト細胞(肥満細胞)から放出されるヒスタミンなどの化学伝達物質によって引き起こされます。これらの物質が血管に作用することで、血管透過性が亢進し、血液中の液体成分が組織に漏れ出して膨疹やかゆみを生じさせます。
マスト細胞からのヒスタミン放出は、アレルギー反応だけでなく、様々な非アレルギー性の刺激によっても誘発されることが知られています。
じんましんの主な原因と種類には何がありますか?
じんましんの原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「急性じんましん」と「慢性じんましん」に分類されます。特に慢性じんましんの約80%は原因が特定できない「特発性じんましん」とされています[2]。
急性じんましんの主な原因
- 食物アレルギー: 特定の食品(エビ、カニ、卵、乳製品、小麦、そば、ピーナッツなど)を摂取後、数分から数時間以内に発症することがあります。
- 薬剤アレルギー: 抗生物質、解熱鎮痛剤、造影剤などが原因となることがあります。
- 感染症: ウイルスや細菌感染(風邪、扁桃炎、胃腸炎など)が引き金となることがあります。特に小児では感染症に伴うじんましんが多く見られます。
- 虫刺され: 蚊や蜂などの昆虫に刺された部位や全身にじんましんが出ることがあります。
慢性じんましんの主な種類
慢性じんましんは、症状が6週間以上続くものを指し、その多くは原因が特定できない「慢性特発性じんましん」です。しかし、中には特定の刺激によって誘発される「慢性誘発性じんましん」も存在します[4]。
- 慢性特発性じんましん: 原因が特定できないじんましんで、自己免疫が関与しているケースも報告されています[2]。当院でも「特に思い当たる原因がないのに、毎日じんましんが出る」とおっしゃる患者さまが多くいらっしゃいます。
- 慢性誘発性じんましん: 特定の物理的刺激や環境因子によって症状が誘発されるタイプです。これには以下のようなものがあります[3]。
- 物理性じんましん:
- 寒冷じんましん: 冷たいものに触れたり、冷たい風に当たったりすることで発症します。
- 温熱じんましん: 温かいものに触れたり、体が温まったりすることで発症します。
- 日光じんましん: 日光(紫外線)に当たった部位に症状が出ます。
- 圧迫じんましん: ベルトや下着の締め付け、重いものを持ち運ぶなど、持続的な圧迫が加わった部位に発症します。
- 摩擦じんましん(機械性じんましん): 皮膚を掻いたり擦ったりした部位に線状の膨疹が現れます。
- コリン性じんましん: 運動や入浴などで汗をかいたり、精神的な緊張を感じたりすることで、小さな膨疹と強いかゆみが出ます。
- 接触じんましん: 特定の物質(植物、動物、化学物質など)が皮膚に接触することで、接触部位にじんましんが出ます。
- 水じんましん: 水に触れることで発症する非常に稀なタイプです。
- 物理性じんましん:
じんましんの原因を特定することは、再発予防や適切な治療のために重要ですが、特に慢性じんましんでは原因が特定できないことも少なくありません。当院では問診の際に患者さまの生活習慣、食事内容、服用中の薬剤、ストレス状況などを詳しく伺うようにしています。
じんましんの治療法と日常生活での注意点

じんましんの治療は、症状の緩和とかゆみの抑制を目的とします。原因が特定できる場合は、その原因を避けることが最も重要ですが、慢性じんましんでは対症療法が中心となります。当院では、患者さま一人ひとりの症状の程度や生活スタイルに合わせて、最適な治療計画を提案しています。
じんましんの主な治療法には何がありますか?
じんましんの治療の中心は薬物療法です。特に抗ヒスタミン薬が第一選択薬として広く用いられています。
1. 抗ヒスタミン薬
マスト細胞から放出されるヒスタミンの作用をブロックすることで、かゆみや膨疹を抑えます。現在では、眠気などの副作用が少ない「第2世代抗ヒスタミン薬」が主流です。効果が不十分な場合は、医師の判断で抗ヒスタミン薬の量を増量する(最大4倍まで)こともあります[1]。
当院では、初診時に「市販薬を飲んでも効かない」と相談される患者さまも少なくありませんが、医療機関で処方される抗ヒスタミン薬は種類も多く、症状に合わせて選択することで効果を実感されるケースがほとんどです。
2. H2ブロッカー
胃酸分泌を抑える薬として知られていますが、一部のH2受容体は皮膚にも存在し、じんましんのかゆみを軽減する効果が期待できる場合があります。抗ヒスタミン薬と併用されることがあります。
3. ステロイド薬
重度のじんましんや、抗ヒスタミン薬で効果が見られない場合に、短期間で内服ステロイド薬が処方されることがあります。炎症を強力に抑える効果がありますが、長期連用は副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って使用することが重要です。
4. 生物学的製剤(オマリズマブなど)
慢性特発性じんましんで、抗ヒスタミン薬の増量でも効果が不十分な難治性のケースに対して、生物学的製剤であるオマリズマブ(商品名:ゾレア)が用いられることがあります[1]。これは、アレルギー反応に関わる免疫グロブリンE(IgE)の働きを抑える注射薬です。治療を始めて3ヶ月ほどで「夜中に目が覚めるほどのかゆみがなくなり、よく眠れるようになった」とおっしゃる方が多いです。
| 治療法 | 主な作用 | 使用されるケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 抗ヒスタミン薬(第2世代) | ヒスタミン作用を抑制 | 急性・慢性じんましんの第一選択 | 眠気などの副作用に注意、効果不十分なら増量検討 |
| ステロイド薬(内服) | 強力な抗炎症作用 | 重症例、抗ヒスタミン薬無効例(短期間) | 長期連用による副作用リスク |
| 生物学的製剤(オマリズマブ) | IgEの働きを抑制 | 難治性慢性特発性じんましん | 注射薬、費用、アナフィラキシーのリスク(稀) |
日常生活でじんましんを悪化させないための注意点はありますか?
薬物療法と並行して、日常生活での工夫もじんましんの症状管理には非常に重要です。当院では、処方後のフォローアップで、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるか、そして日常生活でどのような点に気をつけているかを確認するようにしています。
- 原因・悪化因子の特定と回避: 特定の食物や薬剤、物理的刺激が原因である場合は、それらを避けることが最も効果的です。日誌をつけて、じんましんが出た時の状況(食べたもの、行ったこと、体調など)を記録すると、原因の特定に役立つことがあります。
- ストレス管理: ストレスはじんましんを悪化させる要因の一つです。十分な睡眠、適度な運動、リラックスできる時間を作るなど、ストレスを軽減する工夫を取り入れましょう。
- 皮膚への刺激を避ける: 締め付けの強い衣類、熱すぎるお風呂、体を強くこする入浴などは、皮膚への刺激となりじんましんを悪化させる可能性があります。肌に優しい素材の衣類を選び、ぬるめのお湯で短時間の入浴を心がけましょう。
- 飲酒・香辛料の摂取を控える: アルコールや辛い香辛料は血管を拡張させ、かゆみを増強させることがあります。症状が出ている間は控えることが望ましいです。
じんましんは症状が改善しても再発することがあります。自己判断で薬の服用を中止せず、医師の指示に従って治療を継続することが大切です。特に慢性じんましんでは、症状が落ち着いていても、薬を急にやめると再燃するケースをよく経験します。
まとめ

じんましんは、皮膚に突然現れる膨疹と強いかゆみが特徴の皮膚疾患です。発症期間によって急性型と慢性型に分類され、原因はアレルギー性、非アレルギー性、物理性など多岐にわたりますが、慢性じんましんの多くは原因不明の特発性です。治療は主に抗ヒスタミン薬が用いられ、効果が不十分な場合には増量や生物学的製剤の使用も検討されます。日常生活では、原因や悪化因子の回避、ストレス管理、皮膚への刺激を避けることが症状の管理に役立ちます。症状が長引く場合や、日常生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
お近くのグループクリニック
当グループでは、患者様の通いやすさに合わせて渋谷・池袋の2院を展開しております。お近くのクリニックをお選びください。
💊 【通院が難しい方へ】オンラインでの継続処方も可能です
お仕事が忙しい方や、遠方にお引越しされた方は、グループ院の「東京オンラインクリニック」にてお薬の継続処方が可能です。スマホで診察を受け、お薬はご自宅のポストに届きます。
東京オンラインクリニック(オンライン診療)はこちらよくある質問(FAQ)
- Torsten Zuberbier, Luis Felipe Ensina, Ana Giménez-Arnau et al.. Chronic urticaria: unmet needs, emerging drugs, and new perspectives on personalised treatment.. Lancet (London, England). 2024. PMID: 39004090. DOI: 10.1016/S0140-6736(24)00852-3
- Sarbjit S Saini, Allen P Kaplan. Chronic Spontaneous Urticaria: The Devil’s Itch.. The journal of allergy and clinical immunology. In practice. 2019. PMID: 30033911. DOI: 10.1016/j.jaip.2018.04.013
- Sheila M McSweeney, Evangelos A A Christou, Marcus Maurer et al.. Physical urticaria: Clinical features, pathogenesis, diagnostic work-up, and management.. Journal of the American Academy of Dermatology. 2023. PMID: 37001733. DOI: 10.1016/j.jaad.2023.02.062
- Iva Pozderac, Liborija Lugović-Mihić, Marinko Artuković et al.. Chronic inducible urticaria: classification and prominent features of physical and non-physical types.. Acta dermatovenerologica Alpina, Pannonica, et Adriatica. 2021. PMID: 32975301
- オマリズマブBS(オマリズマブ)添付文書(JAPIC)
